コレクション展は楽しい #21 横浜美術館 2026年5月
企画展の後はコレクション展へ。
そんなに頻繁ではないけれど企画展の度に観てきたコレクション展。近現代の美術とコレクションに興味を持つようになって作家を知るにつれ、最近は訪れるたびに今まで見過ごしていた作品が沢山あったなーと色々発見があって楽しいです。
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横浜美術館では、横浜が開港した19世紀後半から現代にいたる約15,000点の作品を所蔵しています。コレクション展では、会期ごとに様々な角度からコレクションの魅力を発信しています。
今回のコレクション展は、「みる風景、かんがえる風景」と題し、19世紀から21世紀にいたる多様な風景表現を紹介します。今を生きる私たちにとっての風景には、山や海などの自然に限らず、日常生活の一部となっている人工的につくられた構造物なども含まれています。シュルレアリスムにおける表現にみられるように、目の前にあるものだけでなく、夢や幻想、無意識など、人間の内なる世界の投影もまた、風景のひとつといえるでしょう。風景は、それぞれの感性によって受け止められる一方、文化、社会、政治との関係のなかで考察される知的な対象でもあります。
芸術家や写真家たちは、風景に何をみて、何を考え、作品としてどのように表現していったのでしょうか。この展示は、〈自然〉〈都市〉〈無意識と現実〉といったキーワードのもとで、風景という主題を再考します。
加えて「ハイライト」コーナーでは、横浜美術館の珠玉の所蔵作品を厳選して紹介します。横浜にゆかりのある作家や、カンディンスキー、ピカソ、ダリといった西洋美術を代表する作家の作品を集め、コレクションの魅力に迫ります。
コレクション展 みる風景、かんがえる風景
会期:2026年4月25日(土)~6月28日(日)
まずはハイライト展示でダリの作品にごあいさつ。横美のコレクションと言えばこれですね。

《ヘレナ・ルビンシュタインのための装飾壁画 幻想的風景 ―暁、英雄的正午、夕べ》
1942年/43年
企画展かコレクション展かはっきり思い出せないけれど、初めて奈良美智作品の実物を観たのが横浜美術館で、図版とは全く違う印象を受けたことが心に残っています。

両目の間、顔の中心からグーっと作品に引き込まれる感覚があって、眺めるほどにこの子の年齢も性別も、そもそもヒトなのかどうかもどんどん曖昧になっていく。奈良美智にはそれほど興味はないのですが、この独特の雰囲気がいいのかな。
定番のピカソもあります。モデルはマリー=テレーズ・ワルテル、当時18歳。作品を観ていちばん目に付く歯を剝き出しにした口には、険悪な関係にあった妻オルガのイメージが投影されているそうです。

片岡珠子(1995-2008年)を知ったのは1年前の神奈川県立近代美術館の展覧会。
それ以来いくつかの展覧会で作品を観る機会があって、私の「日本画」に対するイメージを覆すような作品の数々にいつも驚かされています。
その片岡珠子の作品持っていたのね、という発見。
この作品もかなり前衛的な表現で、片岡珠子の作品を観ていると「日本画」というジャンル分けって現代ではもはや通用しないのでは?と思ってしまう。

続いて「みる風景、考える風景」と題されたテーマ展示へ。
高橋由一(1828-1894年)は近代日本美術史に興味を持って初めてその重要性を認識した画家。作品に出会える機会が少ないので嬉しい。よく観ておかねば。

企画展に関連して、今村紫紅(1880-1916年)と親交のあった画家の作品。
横浜生まれの牛田雞村(1890-1976年)は紫紅と同じく原三渓の支援を受けた日本画家。

そして横山大観(1868-1958年)。
左は岡田紅陽(1895-1972年)の写真作品で富士山の神秘的な姿をあらわした2作品の並びはなかなか良かったです。

ダイナミックな構図で見るニューヨークの景色にワクワクする。


まったく人の気配がないパリの風景には詩的でシュールでちょっと不穏な雰囲気が漂う。こういう写真もすごく好き。


不穏な雰囲気漂うシュルレアリスムの風景。
いつも心の奥をゾワッと逆なでする、マックス・エルンスト(1891-1976年)。よく見ると色んな生き物が潜んでいます。

ダリ的な要素が見え隠れするイヴ・タンギー(1900-1955年)。

マグリットの描く世界はシュールだけれどすごく理知的な感じがする。
モヤモヤ感の少ないところが好き。

不穏さのマックスは浜田知明(1917-2018年)かな。心をえぐるような強い痛みも感じる。

富山妙子(1921-2021年)の作品は、自然の一部みたいに表現された構造物が印象的。1950年代に炭鉱の過酷な労働や生活環境を取材し、見えにくい事実を広く伝えようとした初期作品。

風間サチコ(1972年~)の作品は、アニメーションぽい表現で面白く観てしまうけれど、実は風景に潜む歴史をモチーフにしていて、解説を読むと色々考えさせられる。

1995年に発生した阪神淡路大震災の10年後の姿を捉えた、米田知子(1965年~)の作品。
米田知子の作品は一見すると普通の風景だけれど、タイトルを知るとその風景の見え方が変わってしまう。目に映るものとその場所にかつて広がっていた風景のギャップにいつも心を動かされる。

「自然と向き合う」「モダンな都市のイメージ」「無意識と現実」「風景をかんがえる」という4つの章を通じて、作家がそこに何を見て、何を投影してどう表現しているのかをみて、作品の色々な風景を見ながら作家の視点に触れて、風景の先にあるものを考えたりしました。いつもよりちょっと深く作品の風景に入っていく感じが面白かった。
鑑賞の後は、1階のカフェ「馬車道十番館 喫茶室」で休憩。

マグカップのデザインが可愛い
横浜の老舗喫茶店「馬車道十番館」の「ビスカウト」は、横浜に住む親せきの家に遊びに行くとよくお土産に貰っていた思い出があります。
本店のメニューを味わえる美術館のカフェを利用するようになったのは割と最近で、ケーキ美味しそうだなと思いつつ、いつもアイスに惹かれてパフェとかコーヒーゼリーを選んでしまう。

思い出のビスカウトと、パッケージが可愛いコーヒーのドリップパックをお土産に購入して帰りました。
