原油42ドルの世界:アメリカ国内のガソリン価格はいくらになるのか?日本はリッター300円?

さて、つづきです。

米国の国内原油価格(WTI)が1バレル=42ドルまで下がった場合、全米平均の小売ガソリン価格は、1ガロンあたり約2.10ドル〜2.40ドルの範囲に落ち着くというのが、米エネルギー情報局(EIA)などのデータに基づく標準的な試算(コスト構造モデル)の帰結です。

この算出プロセスの客観的な事実と内訳は以下の通りです。

1. ガソリン価格の基本構成

米国におけるレギュラーガソリンの小売価格は、主に4つの要素で構成されています。EIAの統計によると、それぞれの割合は概ね以下のようになります。

  • 原油価格(Crude Oil):約 50% 〜 60%

  • 精製コスト・利益(Refining):約 15% 〜 25%

  • 流通・マーケティング(Distribution & Marketing):約 10% 〜 15%

  • 税金(Taxes / 連邦税および州税の合算):約 10% 〜 20%

2. 1バレル=42ドル時の計算モデル

1バレルは42米ガロン(約159リットル)に相当します。したがって、原油価格が42ドルということは、ガソリン1ガロンあたりの原油コストが単純計算で「1ドル」になることを意味します。

ここに原油以外の固定・変動コスト(精製・流通・税金)が上乗せされます。過去に原油価格が40ドル台前半(例:2016年や2020年の特定時期)だった際のコスト実績をベースに、各要素を累積すると以下のようになります。

3. 地域による価格差の要因

全米平均が2.10ドル〜2.40ドルであっても、実際の価格は地域によって大きく異なります。

  • 安価な地域(例:テキサス州やミシシッピ州など):州税が安く、製油所に近いため、1.80ドル〜1.95ドル前後まで下がる可能性があります。

  • 高価な地域(例:カリフォルニア州):独自の環境規制による特殊ブレンドの精製コストと高い州税(1ガロンあたり60セント超)が加算されるため、原油が42ドルであっても3.00ドル前後に留まる傾向があります。

中東の原油価格(ドバイ価格)が200ドルのケース

中東の指標であるドバイ原油が1バレル=200ドルに急騰した場合、現在の日本の税制(石油生命線としての補助金制度が終了している、または上限に達していると仮定)および標準的なコスト構造に基づくと、日本のレギュラーガソリンの店頭価格は1リットルあたり約260円〜290円の範囲に達すると試算されます。

為替レートが現在の水準(1ドル=150円前後と仮定)である場合、この価格に至る客観的な内訳と構造は以下の通りです。

1. 原油コストの機械的計算

1バレル(約159リットル)が200ドルのとき、1リットルあたりの原油価格は次のように算出されます。

$$200 \text{ドル} \times 150 \text{円} \div 159 \text{リットル} \approx 188.7 \text{円}$$

したがって、1リットルあたりの原油コストだけで約189円となります。

2. ガソリン価格の構成要素と上乗せコスト

店頭に並ぶガソリン価格は、この原油コストに「精製・流通コスト」「固定のガソリン税」「消費税」が加算されます。

  • 原油コスト:約 189円

  • 精製・流通・販売マージン:約 15円〜25円(コスト高に伴う輸送費高騰を織り込む)

  • 本体価格(税抜き)の合計:約 204円〜214円

3. 税金の加算(二重課税構造)

日本のガソリンには、固定の「従量税(体積にかかる税)」と、価格に比例する「従価税(消費税)」が課されます。現行法制度に基づく内訳は以下の通りです。

  • 揮発油税・地方揮発油税(ガソリン税)53.8円(固定)

  • 石油石炭税(地球温暖化対策税含む)2.8円(固定)

  • 消費税(10%):本体価格+固定税の合計に対して10%が課されます。

試算の組み立て:

  1. 消費税の対象額:本体価格(204円〜214円)+ 固定税(56.6円)= 260.6円〜270.6円

  2. 消費税(10%):約 26円〜27円

  3. 最終店頭価格(税込):260.6円〜270.6円 + 26円〜27円 = 約 287円〜298円

価格を左右する2つの不確定要素

経済的な合理性や過去の政策スタンスに照らし合わせると、実際に200ドルまで急騰した局面では、以下の2点が変動要因となります。

  • 「トリガー条項」の凍結解除、または激変緩和補助金

    1. 現在の日本の制度では、平均価格が160円を超えた状態が続くとガソリン税の特例税率(25.1円分)を停止する「トリガー条項」が存在しますが、東日本大震災の復興財源確保を理由に凍結されています。また、政府の「燃料油価格激変緩和補助金」が発動された場合、店頭価格は200円〜220円程度に抑制される可能性がありますが、原油200ドル規模の長期化に対して国家財政がどこまで補填を維持できるかは不透明です。

  • 為替レート(円高・円安)の影響

    1. 原油高が日本の貿易赤字を拡大させて「キャピタルフライト(資本逃避)型の円安」を招いた場合(例:1ドル=160円超)、ガソリン価格は容易に300円を突破します。逆に、世界的な景気後退懸念から有事の円買いなどが起きて円高(例:1ドル=130円)に振れた場合は、原油コスト自体が下がるため、240円〜250円程度に抑えられる計算になります。

要するに、産油国だけが一人勝ちする仕組みに、非産油国側から乗り換える気みたいなんですよね。


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