『ザ・ゴール』に学ぶ! 仕事の生産性を上げる考え方:第11回 全体最適
こんにちは!サプライチェーン・マニアの瀬崎健です!
サプライチェーン・マネジメントの名著中の名著『ザ・ゴール』をガイドに進むこの連載、第11回を迎えました。
前回は、ボトルネックの陰に隠れた要注意人物「CCR(容量制約資源)」について。
今回は、サプライチェーンのプロが最も大切にする考え方。 この連載の集大成ともいえるテーマ、「全体最適」について深掘りします!
🧐 なぜ「一生懸命」が裏目に出るのか?
『ザ・ゴール』の物語の中で、工場長アレックスは大きな間違いに気づきます。 それは、「全員が100%の力で働けば、会社は儲かる」という思い込みです。
かつての工場では、機械を1分でも止めたら「サボり」と見なされ、とにかく大量にモノを作ることが評価されていました。 これこそが「部分最適」のワナです。
もし、製造部門が超スピードで製品を作っても、その後の「検査」や「出荷」が追いつかなければどうなるでしょうか?
工場の中は、出荷できない「無駄な在庫」で溢れかえります。
在庫が増えれば管理コストがかさみ、資金繰りも悪化します。 「自分の部署の効率」を追求した結果、会社全体の利益を減らしていた……なんて、笑えない話ですよね。
🧱 3人のレンガ職人と「大聖堂」
「部分最適」のワナから抜け出すヒントとして、有名な寓話をご紹介します。 ある旅人が、レンガを積んでいる3人の男に「何をしているんですか?」と尋ねました。
1人目は、不機嫌そうに答えました。 「レンガを積んでいるんだよ。見ればわかるだろ」
2人目は、淡々と答えました。 「壁を作っているのさ。これで家族を養うお金を稼いでいるんだ」
そして3人目は、キラキラした目でこう答えました。 「私は、多くの人の心を癒す『大聖堂』を建てているんです!」
さて、この中で一番「全体最適」の視点を持っているのは誰でしょうか? もちろん3人目ですよね。 彼のゴールは「レンガを積むこと」ではなく、「大聖堂を完成させること」だからです。
😱 【ダメな例】部分最適のレンガ職人たち
もし会社のみんなが「自分のレンガ」しか見ていなかったら、こんな悲劇が起こります。
営業部: 「売上目標さえ達成すればいい!」と、工場のキャパを無視して超タイトな注文を無理やり取る。 → 結果:現場がパニックになり、残業代が跳ね上がって利益が吹っ飛ぶ。
製造部: 「機械の稼働率100%が正義だ!」と、売れる見込みのない製品までガンガン作る。 → 結果:倉庫がパンパンになり、保管コストで赤字が膨らむ。
購買部: 「1円でも安く買うのが仕事だ!」と、品質の悪い格安材料を仕入れる。 → 結果:製造ラインで不良品が続出し、ボトルネックを止めてしまう。
✨ 【良い例】全体最適の大聖堂建築チーム
一方で、全員が「大聖堂(会社全体の利益)」を見ているチームはこう動きます。
営業部: 「今、工場が苦しそうだな。納期に余裕のある案件から優先して受注しよう。それが会社全体の利益に繋がるからね!」
製造部: 「今は無理に在庫を作らず、機械を止めてでもボトルネックの応援に行こう。すべては最高の製品を届けるためだ!」
購買部: 「単価は少し高いけど、加工しやすい高品質な材料を揃えよう。そうすれば全体の処理スピードが上がって、スループットが最大化するからね!」
🎯 「自分だけのKPI」を捨てよう
私たちの仕事も同じです。 「資料を早く作ること」や「アポをたくさん取ること」は、あくまで手段(レンガを積むこと)に過ぎません。
本当のゴールは、「会社として利益を上げ、顧客に価値を届けること(大聖堂を建てること)」のはずです。
『ザ・ゴール』のアレックスは、上司から「もっと機械を回せ!」と怒られても、その声に耳を貸しませんでした。 なぜなら、それが「無駄な在庫」を作り、会社の利益(ゴール)を損なうと知っていたからです。
自分の部署の数字(部分最適)だけを追いかけるのではなく、「今、自分の動きは『大聖堂』の完成に繋がっているか?」を問い続けること。
これが、サプライチェーンをマネジメントする人の真髄です。
💡 まとめ
「部分最適」は、穴の空いたバケツに一生懸命水を注ぐようなものです。
あなたの「頑張り」は、他の部署の迷惑になっていませんか?
「自分の仕事は完璧だ」と満足して、全体のゴールを見失っていませんか?
「手段」を目的にしない。 常に一段高い視点から、チーム全体の流れを見渡してみましょう!
🎯 次回予告:仕事は「気合」ではなく「仕組み」で回せ!
しかし「全体最適」という精神論だけでは、現場はいつか疲弊してしまいます。 次回は、SCM流・生産性向上の第2の視点、「仕組みづくり」について掘り下げていきます。
それでは、また次回お会いしましょう!
