『ザ・ゴール』に学ぶ! 仕事の生産性を上げる考え方:第12回 SCM流・仕組みの極意
こんにちは!サプライチェーン・マニアの瀬崎健です!
名著『ザ・ゴール』をガイドに、仕事の生産性をハックするこの連載。 ついに第12回を迎えました!
前回は「大聖堂を建てる」という言葉をキーワードに、個人の頑張りを全体の成果に繋げる「全体最適」の視点をお話ししました。
今回は、生産性向上のための3大視点の2つ目。 「仕組みづくり」にスポットを当てていきます!
🛠️ 「気合」に頼るチームはいつか壊れる
生産性を上げようとするとき、私たちはついつい「もっと頑張ろう!」「ミスを減らそう!」と根性論に走りたくなります。 でも、人間ですから体調も悪ければ、うっかりミスもします。
『ザ・ゴール』のアレックスも、最初は現場を走り回り、叫び、必死に「気合」で問題を解決しようとしました。 でも、それでは彼が寝ている間や、目を離した隙にまたトラブルが起きてしまいます。
本当に生産性が高い状態とは、「自分が動かなくても、勝手に全体最適になるように周りが動いてくれる状態」のこと。 そのために必要なのが「仕組み」なんです。
📱 SCMを支える「情報の見える化」
実はサプライチェーン・マネジメント(SCM)という考え方が発展したのは、IT技術の進化とセットでした。
昔は隣の部署が何をしているか、在庫がいくつあるかさえ、電話して聞かないと分かりませんでした。 これでは「全体最適」なんて夢のまた夢。
しかし、今はシステムを開けば「どこに何があるか」がリアルタイムで見えるようになりました。
この「情報を共有する仕組み」こそが、SCMの心臓部なのです。
📉 実は「販促広告」だった?『ザ・ゴール』の裏話
ここで面白い裏話を。世界中で愛されるこの本「ザ・ゴール」、実は著者の会社の「生産管理ソフト」を売るための広告として書かれたものだったんです!
当時、物理学者のゴールドラット博士は画期的なソフトを開発しましたが、高価すぎて全く売れませんでした。
そこで博士は「小説にすれば、ソフトの凄さが伝わって売れるはずだ!」と考えたわけです。
ところが、結果は驚きのものでした。 ソフトはさっぱり売れず、本だけが爆発的に売れてしまったのです。
読者たちは高いソフトを買う代わりに、本に書かれた「考え方」を真似して、自力で工場を立て直してしまいました。
道具(ソフト)がなくても、「思考の仕組み」さえ変われば成果は出ることを証明してしまったんですね。
博士はソフト会社を去ることになりましたが、結果として世界中のビジネスの「OS」を書き換えてしまいました。
これぞ究極の「仕組みづくり」と言えるでしょう。
🔍 情報を集め、活用する仕組みを作る
仕事の生産性を上げる第一歩は、「現状を正しく把握する」こと。 アレックスがボトルネックを探して工場を歩き回った苦労を、私たちは仕組みで解決できます。
在庫管理: 倉庫の中身が瞬時にわかる。
進捗管理: 仕事が今どこで止まっているか一目でわかる。
こうした「記録する仕組み」がないと、何か問題が起きるたびに各部署に「あの資料、出してもらえますか?」とお願い行脚をすることになります。 この「お願い」や「確認待ち」の時間こそが、生産性を下げる最大の要因なんです。
⚖️ 現場を迷わせない「共通ルール」
もう一つの重要な仕組みが、「全体のルール作り」です。
『ザ・ゴール』では、「ボトルネックの機械が動いている間は、誰かが必ずついていなければならない」といったルールを作りました。 これ、地味に大事な仕組みですよね。
もし機械がトラブルを起こさなければ、その人がついている時間は、「ムダ」な人件費ですよね?
でもボトルネックの1時間の遅れは、工場全体の1時間の遅れにつながる、という点でみて、トータルコストとして最適だという判断があったのです。
ルールが明確だと、現場の人が「今はどっちの作業を優先すべき?」といちいち上司に確認しなくて済みます。 判断の時間をゼロにする仕組みが、チームのスピードを劇的に上げます。
地味な帳票(フォーマット)を整えることも立派な仕組みづくり。 誰が書いても同じ情報が伝わる仕組みがあれば、コミュニケーションミスは激減します。
💡 今回のポイント
「仕組みづくり」は、最初は面倒に感じるかもしれません。 でも、一度作ってしまえば、それはあなたの分身として24時間働いてくれる資産になります。
必要な情報に、誰でも・いつでもアクセスできる環境ですか?
トラブルのたびに、誰かが「仲介役」として走り回っていませんか?
個人の「頑張り」を不要にする工夫。 これこそが、SCM流のインテリジェンスな生産性向上術です!
🎯 次回予告:目先の火消しより「火事にならない」対策を!
さて、次回は3大視点の最後。「中長期対策」についてお話しします。 目先の利益にとらわれず、未来のボトルネックを先回りして叩く考え方とは……?
それでは、また次回お会いしましょう!
名著「ザ・ゴール」の漫画版もぜひに!
