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【SCM基礎】調達③ 見積もり・コスト構造

こんにちは!サプライチェーン・マニアの瀬崎健です!
このシリーズでは、サプライチェーンの基礎を、なぜか時々バスケットボールになぞらえて解説しています。

前回のテーマは「調達のプロセス」でした。サプライヤー開発からサプライヤー管理まで、調達担当者の守備範囲の広さの話。

さて、今回は「スカウト(調達)」編の第3弾。「見積もり・コスト構造」についてお話しします。

スカウトマンであるあなたが、素晴らしい才能を持つ選手を見つけたとしましょう。 そこで避けて通れないのが「年俸交渉」です。

「えっ、あんなに高いの!?」と驚くのか。 「この実力でこの金額なら、絶対にお買い得だ!」と確信するのか。

その判断基準を養うための、超重要なステップに踏み込んでいきましょう。


見積もり取得のポイント

まずは、候補となる選手(サプライヤー)から「見積もり」を取る段階です。

ここで適当に「いくらでやれますか?」と聞くのは、バスケで言えば作戦板を持たずにタイムアウトを取るようなもの。

見積もりを取る際に、まず鉄則となるのが「1社に頼らないこと」です。
基本的には複数社から見積もりを取りましょう(相見積もり、通称「あいみつ」ですね)。
ただ、特別な業務提携・独占契約などをしている場合は、契約違反ならないよう気をつけましょう。

そして、比較する上で最も大切なのが「前提条件を揃えること」です。

100個買う時の値段と、100万個買う時の値段は違います。 明日届けてほしいのか、半年後でいいのかでも変わります。

これらがバラバラだと、A社とB社のどちらが安いのか正しく比較できません。
これを業界用語で「リンゴとリンゴを比べる」と言ったりします。
リンゴとバナナを比べて「バナナの方が曲がっているから安い!」なんて言っても意味がないですからね。

また、特に初心者のうちは、見積もりの「内訳」を必ず出してもらいましょう。

「一式 1,000万円」なんていう大雑把な見積もりは、 「年俸10億円です。理由は、すごい選手だからです!」と言われているのと同じです。

何にいくらかかっているのか。 そこを細かく分解して把握することが、プロのスカウトへの第一歩です。
(※ちなみに、さらに上級者になると、戦略的にあえて細かく分解させない高度なテクニックもありますが……それはまた別のお話!)


コスト構造を把握する

内訳をもらったら、次は中身の分析です。 これを「コスト構造の把握」と呼びます。

製品の価格は、大きく分けていくつかの要素でできています。

  1. 材料費(選手の体を作る食事代やサプリ代)

  2. 加工費・労務費(練習場所の維持費や、コーチの指導料)

  3. 管理費・利益(事務所の運営費や、エージェントの取り分)

ここで面白いのが、サプライヤーによって「得意なコスト構造」が違うことです。

「うちは最新の設備があるから、大量に作るなら加工費を安くできるよ!」 というパワーフォワードのような会社もあれば、 「手作業だけど、材料を無駄にしない技術があるよ!」 というテクニシャンなポイントガードのような会社もあります。

「なぜこの価格になるのか?」という裏付けを理解しておくと、 交渉のテーブルについた時に、「ここをこう工夫すれば、もっと安くなりますよね?」という 建設的な対話ができるようになります。

また、たとえば最近電気代が上がったから値上げさせてください、と言った場合でも、コストの割合がわかっていたら、影響度合いがわかってきます。

単に「とにかく安くして!」と泣きつくのは素人のやり方。
プロの調達は、「構造を紐解いて、論理的に無駄を削る」のです。


相場形成の力学

最後に、需要側(マーケット)による「相場」の変動についてです。

バスケ選手の年俸が、リーグ全体の景気や、似たような成績の選手の契約状況に左右されるように、 製品の価格も市場の力学で動いています。

供給側(売り手)は、高く売れるのであれば高く売りたいと願うもの。

つまり、「高く買ってくれる相手がいる限り、値段は上がり続ける」のが相場という魔物です。

また、「需給バランス」も無視できません。 世界中でその部品が足りなくなれば、当然価格は上がります。
まさに、FA市場で人気が集中したスター選手の年俸が跳ね上がるのと同じ現象ですね。
季節変動や、数か年のサイクルなどもあります。

調達担当者は、常に「世の中の風向き」を読んでおく必要があります。 新聞の経済面をチェックしたり、複数のサプライヤーから話を聞いたりして、 自分の中に「基準となる相場観」を作っておくことが、チームの資金を守る盾になります。



「見積もり」とは、単なる数字の羅列ではありません。 それは、サプライヤーからの「決意表明」であり、あなたとの「知恵比べ」でもあります。

相手のコスト構造を理解し、市場の相場を味方につける。
そんな冷静な分析眼を持つスカウトマンがいれば、チームの予算は最大化され、 最強の布陣を整えることができるはずです。

次回は、 「開発購買」について。

お楽しみに!

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