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【大津綾香氏の主張はこじつけ・意味不明】 おおつあやか後援会2000万円訴訟控訴審の控訴状・答弁書・判決文(令和7年(ネ)第5804号)


はじめに

本記事では、おおつあやか後援会(会長:大津綾香)が、破産者みんなでつくる党の破産管財人から提起された2000万円の否認権行使請求事件について、大津氏側が第一審で敗訴した後に提起した控訴審の書面の内容を紹介いたします。

控訴状及び答弁書については、裁判所で記録を閲覧した方のメモを基に復元したものであり、判決文については、謄本を入手された方からご提供いただきました。いずれにつきましても公開の許可をいただいておりますので、より多くの方に当該事件を知っていただくことを目的に、本記事にて公開させていただきます。

忙しい方は、「判決文の要約」をご覧ください。

※ 第一審の訴状・和解案・判決文はこちら

※ 大津氏個人に対する2000万円裁判の訴状はこちら

控訴状

控訴状

令和7年11月7日

東京高等裁判所民事部 御中

控訴人訴訟代理人弁護士 豊田 賢治

〒106-0047 東京都千代田区神田錦町三丁目15番地16-005
控訴人 おおつあやか後援会
同代表者会長 大津 綾香

〒104-0044 (~略~ 控訴人訴訟代理人事務所住所)
電話 (~略~)
FAX (~略~)
上記控訴人訴訟代理人弁護士 豊田 賢治

〒177-0034 (~略~ 被控訴人事務所住所)
被控訴人 みんなでつくる党破産管財人
森 利明

否認権行使請求控訴事件
 訴訟物の価額 2000万円
 貼用印紙額 12万円

上記当事者間の東京地方裁判所令和6年(ワ)第24865号否認権行使請求事件について、令和7年10月23日同裁判所において判決言渡しがあり、同月24日判決正本の送達を受けたが、控訴人は上記判決の全部に不服であるから控訴を提起する。

第1 原判決の表示

  1. 被告は、原告に対し、2000万円及びこれに対する令和6年1月30日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。

  2. 訴訟費用は、被告の負担とする。

  3. この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

第2 控訴の趣旨

  1. 原判決を取り消す。

  2. 被控訴人の請求を棄却する。

  3. 訴訟費用は、第一審、第二審とも被控訴人の負担とするとの判決を求める。

第3 控訴の理由

追って控訴理由書を提出する。

以上

添付書類

控訴状副本 1通

控訴理由書

令和7年(ネ)第5804号 否認権行使請求控訴事件
控訴人(一審被告) おおつあやか後援会
被控訴人(一審原告) みんなでつくる党破産管財人森利明

控訴理由書

令和8年1月6日

東京高等裁判所第8民事部A4係 御中

控訴人訴訟代理人
弁護士 豊田 賢治

頭書事件につき、控訴人の控訴理由は、次のとおりである。
なお、略語等については、本書において定義するもののほか、特に断りのない限り、原判決の例による。

第1 原判決言渡し後の債務の履行

  1. 被控訴人は、本件の訴えの提起に先立ち、控訴人名義の普通預金口座の残高1294万3313円を仮差押えしていた。

  2. 被控訴人は、原判決における仮執行宣言に基づき、上記仮差押えをしていた預金残高1294万3313円を差し押さえ、取り立てた。

  3. よって、控訴人は、1294万3313円について被控訴人の本訴請求に係る債務を履行した。

第2 本件支払の無償行為性

 原判決の引用する最高裁判所判決においては有力な二つの反対意見が述べられている。

2 すなわち、裁判官島谷六郎の反対意見に以下のとおりの見解がある。「破産法72条5号による無償否認は、破産者及び受益者の主観的要件を全く問うことなく、一定期間内の無償行為でありさえすれば、ただそれだけの理由で否認することを認めた特殊な否認類型である。同条が定める他の否認類型、すなわち1号の故意否認では、破産者及び受益者において否認の対象となる行為が破産債権者を害することを知っていたことが必要であり、2号ないし4号の危機否認でも、受益者らが破産者の支払の停止又は破産の申立があったことを知っていた等の主観的要件が必要とされるのに対し、5号の無償否認では、破産者及び受益者の主観のいかんを全く問わないのである。破産者が破産債権者を害する意思をもつことを要しないのはもちろん、受益者らにもこのような主観的要件は必要ではなく、客観的に無償行為であるならば、これを否認しようというものである。このような純客観主義的な否認類型を認めた理由は、否認の対象が無償行為だからである。無償で財産上の利益を取得した者は、それによって他人の権利が害される場合には他人に譲らなければならないという法理念に基づき、否認を許しても、財産状態が原状に復するだけで受益者がそのために損失を被ることがないことを前提とするものであって、贈与がその典型である。贈与が否認されても、受贈者において贈与者から贈与された物を返還すれば足り、それ以上に失うものがなく、その立場が不当に害されることはないからである。これに反し、破産者の保証若しくは担保の供与(以下「保証等」という。)があるため債権者が主たる債務者に対して貸付等の出捐をした場合において、破産者の保証等の行為が無償行為に当たるとしてこれを否認しうるものとすれば、債権者は保証等がないにもかかわらず出捐を行ったのと同じ結果になる。債権者としては、保証等がなければ出捐をしなかったはずであるが、それが否認されると債権者の出捐だけがそのまま残ることになり、その立場は著しく害されるのであって、贈与が否認された場合の受贈者の立場とは甚だしく異なる。このような場合までをも無償行為とみて、当事者の主観のいかんを問わず、客観主義的な無償否認を許すのは、法の趣旨とは考えられない。」

3 無償否認を純客観主義的に捉えていかなる場合でも形式的に無償行為であれば否認を許すことは破産法の意図するところとは思われないし、具体的な弊害を生じるおそれも否定できないのであり、基本的には上記反対意見における見解に従うのが現在の実務としては正解と考えられる。

4 本件支払は保証等ではなく政治活動に関する寄附(資金供与)であり、上記の反対意見における見解がそのまま適用されるものではないが、「無償で財産上の利益を取得した者は、それによって他人の権利が害される場合には他人に譲らなければならないという法理念に基づき、否認を許しても、財産状態が原状に復するだけで受益者がそのために損失を被ることがないことを前提とする」との点は本件支払にも当てはまる。

5 本件支払は、政治資金規正法第3条第4項に定める「政治活動に関する寄附」である。「政治活動に関する寄附」による政治資金は政治資金規正法において規制されており、預金等以外の方法により運用してはならないこととされているほか(同法第8条の3)政治団体以外の団体は政党及び政治資金団体以外の者に対して政治活動に関する寄附をしてはならないこととされ(同法第21条第1項、第2項)政党以外の個人や法人は公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して政治団体以外に対して寄附をしてはならないこととされ(同法第21条の2第1項、第2項)政党及び政治資金団体以外の政治団体のする政治活動に関する寄附は各年中において政党及び政治資金団体以外の同一の政治団体に対しては五千万円を超えることができないこととされている(同法22条)。これらの規制に加え、政治団体が「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること」や「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること」を本来の目的とする団体である(同法第3条第1項)ことを踏まえれば、「政治活動に関する寄附」は、単なる贈与ではなく、政治活動の対価として評価されるべきものである。また、「政治活動に関する寄附」の中でも政党が政治団体に対してするものは政治資金規正法上特別扱いされており(政党以外の団体から政治団体以外の団体に対してするものと比べて圧倒的に規制が小さくなっており)、それが政治活動の対価としての性質を強く有していることが裏付ける。

6 控訴人は、被控訴人(政党)の党首の政治活動を後援することを目的とする政治団体であり、その活動の成果は被控訴人(政党)に還元されることが期待されている。具体的には、党首が国会議員に就任すれば、それに伴い被控訴人(政党)に政党交付金が支払われることになる。また、国会議員に就任しないまでも、その政策が多くの人に指示されることになれば被控訴人(政党)に多くの献金・寄附が集まることが期待できる。

※ 「指示される」の記載は原文ママ

7 確かに、現実には被控訴人(政党)の党首は国会議員の選挙に出馬したものの当選には至っていない。しかし、本件支払はいわば被控訴人(政党)における政党交付金や献金・寄附の受給可能性を高めるための支出であり、その意味で経済的対価性がないとはいえない。

8 本件支払について否認権行使を許すとすれば、それは遡って被控訴人(政党)は政治活動のための資金を支出して政党交付金や献金・寄附の受給可能性を高めることができないことを意味するので、結局「受益者がそのために損失を被ることがない」とはいえない状況が招来される。このような場合までをも無償行為とみて、当事者の主観いかんを問わず、客観主義的な無償否認を許すのは、法の趣旨とは考えられない。

第3 結語

以上から、原判決には結論に影響を及ぼすべき認定判断の誤りがあり、取消しを免れない。

以上

控訴に対する答弁書

令和7年(ネ)第5804号 否認権行使請求控訴事件
控訴人 おおつあやか後援会
被控訴人 みんなでつくる党 破産管財人 森 利明

控訴に対する答弁書

令和8年2月19日

東京高等裁判所第8民事部A4係 御中

〒100-0005 (~略~破産管財人住所)
(送達場所)
電話(~略~)
FAX(~略~)
被控訴人 みんなでつくる党
破産管財人 森 利明

第1 控訴の趣旨に対する答弁

  1. 本件控訴を棄却する

  2. 訴訟費用は、第1審、第2審とも控訴人の負担とする

との判決を求める。

第2 「控訴理由書」に対する反論、被控訴人の主張

1 「第1 原判決言渡し後の債務の履行」について
被控訴人は、原判決の仮執行宣言に基づき、控訴人の預金(仮差押分を含む)に強制執行をして取立をしているが、この事実が、控訴審の判断において、考慮されるものではないことはいうまでもないことである(最高裁判所昭和36年2月9日判決・民集15巻2号209頁、最高裁判所平成24年4月6日判決・民集66巻6号2535頁)。

2 「第2 本件支払の無償行為性」について
(1)最高裁判決(甲15)の裁判官島谷六郎の反対意見について
島谷六郎裁判官の反対意見(少数意見である)は、要約すると、「無償否認について、「贈与」の場合には、無償否認は認められるが、「破産者の保証若しくは担保の供与」(以下「保証等」という。)の場合には、「否認されると、債権者の出捐だけがそのまま残りその立場が不当に害されるので、無償否認を認めるべきではない」とするものである(甲15)。
本件支払は、「保証等」ではなく、寄附であり、「贈与」であるので、上記の反対意見からしても、無償否認が認められることは明らかである。

(2)政治資金規正法第4条第4項の「政治活動に関する寄附」が対価性のないものであることについて(控訴理由書には「第3条第4項」とあるが、「第4条第4項」の誤りと思われる)
 控訴人は、本件支払が、同法第4条第4項の「政治活動に関する寄附」(以下、「政治活動に関する寄附」という。)であるとし、「政治活動に関する寄附」は、同法の規制を受けるため、単なる贈与ではなく、政治活動の対価として評価されるべきものである旨主張する。

 しかしながら、原判決にあるとおり、政治資金規正法では、「寄附」を「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてなされるもの以外のもの」と定義し(同法第4条第3項)、「政治活動に関する寄附」を、「政治団体に対してなされる寄附又は公職の候補者の政治活動(選挙運動を含む。)に関してなされる寄附」と定義し(同法第4条第4項)、寄附などに関する制限を規定している(第5章)。
以上より、政治資金規正法の「政治活動に関する寄附」は、義務の履行ではないもの、すなわち、対価性を有しないものであることは明らかであり、「政治活動に関する寄附」である本件支払が、対価性を有しないものであることは明らかである。

(3)本件支払の経済的対価性について
 控訴人は、「本件支払はいわば被控訴人における政党交付金や献金・寄附の受給可能性を高めるための支出であり、その意味で経済的対価性がないとはいえない。」などと主張するが、こじつけに過ぎない。

 政党が行う寄附が、政党交付金や献金、寄附を得る対価として行われるようなものでないことはいうまでもないことである。

 さらに控訴人は、「本件支払について否認権行使を許すとするならば、それは遡って被控訴人(政党)は政治活動のための資金を支出して交付金や献金・寄附の受給可能性を高めることができないことを意味するので、結局「受益者(下線部は被控訴人が付記)がそのために損失を被ることがない」とはいえない状況が招来されるので、法の趣旨とは考えられない」などと主張するが、意味不明の主張である。
本件支払の「受益者」は控訴人であり、「被控訴人(政党)」ではない。

※ 実際の答弁書では、管財人側が「受益者」に下線を引いて強調している

3 控訴人の特別抗告許可抗告が、最高裁判所において、すべて棄却されていること控訴人は最高裁判所に対し、1破産手続開始決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告特別抗告(乙1~6)、及び、2破産財団に属しない財産の範囲の拡張申立て却下決定に対する許可抗告特別抗告(乙7~11)を申立てていたが、これらの12の抗告は、すべて、令和7年10月20日、最高裁判所において棄却されている(1の許可抗告の棄却について甲21)。

第3 結語

以上より、本件控訴は早急に棄却されるべきものであることは明らかである。

以上

判決文

令和8年4月23日
東京高等裁判所第8民事部
裁判所書記官 上野真理子

令和8年4月23日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和7年(ネ)第5804号 否認権行使請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所令和6年(ワ)第24865号)
口頭弁論終結日 令和8年2月19日

判決

千葉県柏市大室1799-19
控訴人 おおつあやか後援会
同代表者会長 大津綾香
同訴訟代理人弁護士 豊田賢治

東京都千代田区丸の内2丁目5番2号 三菱ビル9階969区
光樹法律会計事務所
破産者みんなでつくる党破産管財人
被控訴人 森利明

主文

  1. 本件控訴を棄却する。

  2. 控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1 控訴の趣旨

  1. 原判決を取り消す。

  2. 被控訴人の請求を棄却する。

第2 事案の概要

(以下、略語は、新たに定義しない限り、原判決の例による。)

1 事案の概要等
(1)
破産者みんなでつくる党(破産者)は、政党であり、大津綾香(大津)は、その代表者である。破産者の債権者は、令和6年1月18日、破産者の破産手続開始の申立てをし、同年3月14日午後3時、破産者につき破産手続を開始するとの決定(本件開始決定)がされた。破産者は、その間の同年1月30日、大津が代表者である政治団体である控訴人(一審被告)に対し、2000万円の支払(本件支払)をした。

(2)以上の事実関係の下、本件は、破産者の破産管財人である被控訴人(一審原告)が控訴人に対し否認権の行使に基づく原状回復を求める事案である。
 被控訴人は、本件支払が無償行為であるから、否認するとの主張をして、控訴人に対し、否認権の行使に基づく原状回復として、2000万円及びこれに対する本件支払の日である令和6年1月30日から支払済みまで民法所定年3%の割合による利息の支払を求める。

(3)これに対し、控訴人は、本件支払が政治資金規正法4条4項に規定する「政治活動に関する寄附」であるから、政治活動の対価性があり、贈与等の無償行為ではない、本件支払に係る2000万円の原資は、政党交付金であり、これが破産債権者に対する配当に用いられた場合には、国が政党交付金の返還を命ずる可能性があるが、破産債権者に対する配当が先行する結果、国がその返還を受けることができなくなり、政党助成法4条の趣旨に反することなどから、破産財団に属しない財産であるとの主張をした。

(4)原審は、被控訴人の請求を認容した。原判決の理由は、要旨、以下のとおりである。
 破産者が義務なくして他人のためにした法律行為は、破産者がその行為の対価として経済的利益を受けない限り、破産法160条3項にいう無償行為に当たるものと解すべきであり、本件支払は破産者が義務なくして控訴人のためにした法律行為であって、かつ、破産者が経済的な対価を得ていないことは明らかである。政治資金規正法は、「寄附」を「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のもの」と定義し、「政治活動に関する寄附」を「政治団体に対してされる寄附又は公職の候補者の政治活動(選挙運動を含む。)に関してされる寄附」と定義していること(4条3項及び4項)寄附等に関する制限も規定していること(第5章)に照らすと、「政治活動に関する寄附」は対価性を有しないものと整理されていると解される。
 破産法は、法人については、破産財団に属しない財産を想定していない。本件全証拠をもってしても、本件支払の原資が政党交付金であるかどうか明らかではないし、破産者の支払不能又は債務超過時において、上記政党交付金の返還命令の実効性や政党が政治活動をするための資金確保の要請が総債権者の満足の最大化、利害関係人の権利の公平な実現といった破産法の趣旨に優先する根拠を見出すことはできない。

(5)控訴人は、これを不服として、本件控訴をした。

2 前提事実争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正し、後記3のとおり当審における控訴人の主張を加えるほかは、原判決「事実及び理由」禍の「第2事案の概要等」の2から4まで(原判決2頁4行目から同5頁12行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する(ただし、「原告」を「被控訴人」に、「被告」を「控訴人」に、それぞれ読み替える。以下同じ。)。

(原判決の補正)
原判決2頁14行目の「当庁」を「東京地方裁判所」に改め、同3頁3行目末尾に改行して、次のとおり加える。
「キ 最高裁判所は、令和7年10月20日、エの許可に係る抗告を棄却するとの決定をした(同裁判所令和6年(許)第17号)。(甲21)」

3 当審における控訴人の主張
(1)
被控訴人は、原判決の仮執行の宣言に基づき、控訴人の銀行預金1294万3313円を差し押さえて取立てをしたから、控訴人は、同額の履行をした。

(2)破産法は、形式的に無償行為であれば常に否認を許すとするものではない。本件支払は、政治資金規正法4条4項に規定する「政治活動に関する寄附」であり、その使途を規制するといった同法の各規定を踏まえると、「政治活動に関する寄附」は単なる贈与ではなく、特に政党が政治団体に対してするものは、政治活動の対価としての性質を強く有するものである。また、本件支払は、破産者の党首の政治活動を後援することを通じて、破産者における政党交付金、献金、寄附等の受給可能性を高めるための支出であり、経済的対価性もないということはできない。

第3 当裁判所の判断

1 当裁判所も、原審と同様に、被控訴人の請求は、理由があると判断する。その理由は、次のとおり補正し、後記2のとおり当審における控訴人の主張に対する判断を加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第3当裁判所の判断」の1から5まで(原判決5頁14行目から同7頁24行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。

(原判決の補正)
(1)原判決5頁17行目の「13条」を「同法13条」に改める。
(2)同6頁8行目の「しかしながら」から同18行目末尾までを次のとおり改める。
「しかし、破産法160条3項の趣旨は、その対象たる破産者の行為が対価を伴わないものであって破産債権者の利益を害する危険が特に顕著であるため、破産者及び受益者の主観を顧慮することなく、専ら行為の内容及び時期に着目して特殊な否認類型を認めることにあるものと解される。そして、同項のこのような趣旨に照らすと、仮に本件支払について、破産者と控訴人が制度の趣旨に沿って専ら政治活動に用いる意図を有していとしても、経済的対価性が具体的かつ客観的に認められない以上、本件支払が同項に規定による否認を免れ得るものとはいえない。控訴人の上記主張は、採用することができない。」
(3)同6頁26行目の「このように」から同7頁1行目末尾までを「このほか控訴人主張の事情を考慮しても、本件支払に係る財産が破産財団に属しないということはできない。」に改める。

2 当審における控訴人の主張に対する判断
(1)
控訴人は、上記のとおり、被控訴人が原判決の仮執行の宣言に基づき控訴人の預金1294万3313円を差し押さえて取立てをしたとして、同額の履行をしたとの主張をする。
 しかし、上記取立ては、飽くまで原判決の仮執行の宣言に基づいてされたものであるから、当審において被控訴人の請求の当否やその額を判断するに当たっては、これを考慮することはできない(最高裁昭和35年(オ)第629号同36年2月9日第一小法廷判決・民集15巻2号209頁参照)。

(2)また、控訴人は、上記のとおり、本件支払について政治活動の対価としてこの性質を強く有するものであり、経済的対価性もないということはできないとの主張をする。
 しかし、仮に本件支払について、破産者と控訴人が専ら政治活動に用いる意図を有していたとしても、そのことによって本件支払が破産法160条3項の規定による否認を免れ得るものとはいえないことは、補正の上引用した原判決中当審における補正部分記載のとおりである。また、控訴人主張の経済的対価は、極めて抽象的かつ間接的な可能性をいうものにとどまり、これをもって、破産者が現に具体的な経済的利益を受けたと認めることはできない。このほか、控訴人が本件支払により具体的な経済的利益を受けたとうかがうに足りる証拠はなく、本件支払は、同項に規定する無償行為に当たるから、同項の規定による否認を免れない。

(3)以上のとおりであるから、控訴人の主張は、いずれも採用することができない。このほか控訴人が主張をする諸事情を考慮しても、上記判断は左右されない。

第4 結論

以上に説示をしたところによれば、被控訴人の請求は、これを認容すべきであるから、これと同旨の原判決は相当である。

判決文の要約

控訴人「約1300万円は差押えで回収されたので、その分は支払い済みだ」(控訴理由書 第1)
管財人「過去の判例から、それが控訴審判断で考慮されるものではないことはいうまでもない」(答弁書 第2の1)

控訴人「最高裁判事も、『形式上は無償でも、相手が損をするなら無償否認すべきではない』という反対意見を出している」(控訴理由書 第2の1~4)
管財人「本件支払は、『保証等』ではなく、寄附であり、『贈与』。上記の反対意見からしても、無償否認が認められるのは明らか」(答弁書 第2の2(1))

控訴人「大津党首が国会議員になれば政党交付金が貰えるし、献金や寄付だって集まる。実際には落選したけど、その可能性を高めたから対価性はあった」(控訴理由書 第2の5~7)
管財人「こじつけにすぎない。政党の寄附が、交付金や献金、寄附を得る対価として行われるものではないことは言うまでもない」(答弁書 第2の2(2)(3)ア・イ)

控訴人「否認権を行使されれば、みんつく党はお金を稼げず、受益者が損をすることになる。そんなの法の趣旨じゃない」(控訴理由書 第2の8)
管財人「意味不明。本件の受益者は後援会であり、みんつく党ではない」(答弁書 第2の2(3)ウ)

裁判所:
仮執行宣言に基づく差押えは、過去の判例からも支払い済みとは考慮できない。
控訴人主張の経済的対価は、極めて抽象的かつ間接的な可能性をいうもの。
具体的な経済的利益を受けた証拠はない。
控訴人の主張は、いずれも採用することができない。
(大津氏側全面敗訴)

おわりに

本件は、破産者みんなでつくる党の破産管財人がおおつあやか後援会(会長:大津綾香)に対する2000万円の寄附行為を否認した事件であり、第一審に続き、控訴審においても大津氏側の主張は退けられる結果となりました。

第一審では、大津氏側が「無償行為ではない」「政党交付金は配当に充てられない」「政党交付金から返済を受けようとする債権者は法的保護に値しない」などと主張しましたが、裁判所はいずれも採用せず、「的確な根拠なく独自の見解を述べるもの」と指摘したうえで、大津氏側を「悪意の受益者」と認定しました。

さらに今回の控訴審においても、大津氏側は「大津党首が国会議員になれば政党交付金や寄附が集まる可能性があった」「否認権行使によって受益者が損失を受けるのは法の趣旨に反する」などと主張しましたが、管財人からは「こじつけにすぎない」「意味不明」と厳しく反論され、裁判所も大津氏側の主張を退けました。

その後、大津氏側は期限までに上告を行わず、後援会に対する2000万円の支払命令が確定しました。そのため後援会は、既に差押えにより回収済みの約1300万円を除いた約700万円について支払義務を負う状況となっています。しかし、大津氏は「団体代表者個人に対して提起された訴訟の中で、今後争っていきます」と主張しており、判決確定後もなお、支払いを拒否する姿勢を示しているように見受けられます。

2026年5月12日 午後7:29 の投稿

本件については、第7回債権者集会において、破産管財人及び大津氏側から一定の説明が行われるものと思われます。控訴審判決が確定したことで、今後は実際の回収状況や関連訴訟でどのような主張が展開されるのかが注目されます。

外部リンク

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