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【被告は破産の可能性を認識していた】 大津綾香氏個人に対する2000万円損害賠償請求事件の準備書面等(令和8年(ワ)第2277号)


はじめに

本記事では、2026年1月30日に破産者みんなでつくる党の破産管財人が大津綾香氏個人に対して提起した、2000万円の損害賠償請求事件の口頭弁論調書、答弁書、被告準備書面、原告準備書面の内容を紹介いたします。

こちらは、裁判所で書類を閲覧した方がまとめたメモを基に復元したものとなります。作成者の方から公開の許可をいただきましたので、より多くの方に当該事件を知っていただくことを目的に、本記事にて公開させていただきます。

忙しい方は、「準備書面の要約」をご覧ください。

※ 当該事件の訴状はこちら

第1回口頭弁論調書

事件の表示:令和8年(ワ)第2277号
期日:令和8年3月27日午後1時30分
場所及び公開の有無等:東京地方裁判所民事第34部法廷で公開

裁判長裁判官:一場 康宏
裁判官:餅田 庄平
裁判官:小鹿 凌平
裁判所書記官:北川 青賜
出頭した当事者等:原告 みんなでつくる党破産管財人 森 利明
指定期日:令和8年5月15日午後1時30分口頭弁論

弁論の要領等

原告
訴状陳述
答弁書陳述擬制

裁判長
本件は、被告の後援会が行った資金移動に関する別件訴訟と原因事実を同じくするものと思料するが、被告個人を訴えた理由は何かあるのか。

原告
別件訴訟と同一の請求原因が、被告個人に対する請求も成り立つものと考え提起した。

裁判長
被告の実質的な答弁書の提出見込みが、令和8年5月8日の予定であるので、被告の反論を見て審理を進めることとする。

証拠関係別紙のとおり

裁判所書記官 北川 青賜

答弁書(被告側)

令和8年(ワ)第2277号 損害賠償請求事件
原告 みんなでつくる党破産管財人森 利明
被告 大津 綾香

答弁書

令和8年3月19日

東京地方裁判所民事第34部合議甲A係 御中

被告訴訟代理人弁護士 石垣 美帆

〒104-0045(~略~事務所住所)
TEL(~略~)
FAX(~略~)
上記被告訴訟代理人弁護士 石垣 美帆

第1 請求の趣旨に対する答弁

  1. 原告の請求を棄却する

  2. 訴訟費用は原告の負担とする

との判決を求める。

第2 請求の原因に対する認否・反論

追って認否・反論する。
なお、初回期日は欠席のため、擬制陳述とされたい。

以上

被告準備書面(1)

令和8年(ワ)第2277号 損害賠償請求事件
原告 みんなでつくる党破産管財人森 利明
被告 大津 綾香

準備書面(1)

令和8年5月8日

東京地方裁判所民事第34部合議甲A係 御中

被告訴訟代理人弁護士 石垣 美帆

第1 請求の原因に対する認否・反論

1 「第1 事案の概要」について
被告が破産手続開始申立後に政党の資金をおおつあやか後援会(以下「後援会」という。)に移動したことは認めるが、その余は否認ないし争う。被告は破産者の資金を隠匿等していない。

2 「第2 当事者等」について
認める。

3 「第3 背景事情1」について
概ね認める。ただし、債権者による支払督促申立や民事再生手続開始申立、労働審判などはいずれも訴外立花孝志(以下「訴外立花」という。)が主導・誘導してなされたものである。

4 「第4 背景事情2」について
(1)「1 政党交付金」について

認める。

(2)「2 被告が管理していた資金及びその状況」について
ア 「(1)」について
認める。

イ 「(2)」について
計算上原告の主張するとおりとなることについては特段争わない。

ウ 「(3)」について
特段争わない。

エ 「(4)」について
原告側の事情、認識であるため不知。

5 「第5 不法行為」について
(1)「1 おおつあやか後援会への資金移動」について
ア 「(1)」について
特段争わない。

イ 「(2)」について
原告主張の資金移動があったことは認める。被告が原告に対して2000万円の資金移動の理由を説明していなかったのは、破産手続開始申立がなされたものの、被告としては政治活動の自由を尊重すべきとする政党助成法第4条1項の趣旨等から、解散していない政党に対する破産手続開始申立自体が違法であり、政治活動の一環として後援会に寄附することは適法であるとの認識であったことから、後援会に対する2000万円の寄附について原告に問われるまで説明する義務がないと認識していたためである。

ウ 「(3)」について
原告からの確認に対して、甲10号証、甲11号証記載の回答を行ったことは認め、その余は否認ないし争う。令和6年6月当時、被告は破産者の代表者として破産手続開始決定を争うとともに、破産者が政治団体であり、仮に破産手続開始決定がなされたとしても、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律(以下「政党法人格付与法」という。)10条には破産手続開始決定が政党の解散事由として定められておらず、法人格を失わないことから、破産手続開始申立がなされたとしても政治活動を継続する破産者が破産手続開始決定前に政治活動の一環として後援会に寄附した2000万円については返還義務がないと認識していた。

エ 「(4)」について
被告がXにおいて原告主張の投稿をしたことは認めるが、その余は否認ないし争う。上記のとおり、被告は、破産手続開始決定の有効性を争っており、破産手続開始決定前になした後援会に対する2000万円の寄附行為は適法であり、返還義務がないと認識していた。

オ 「(5)」について
被告が令和6年7月16日に原告主張のXの投稿をしたこと、被告が原告主張の金員の引き出しをしたことは認めるが、その余は否認ないし争う。甲12号証のXの投稿は、破産手続開始決定後に行ったものであり、破産手続開始決定前の時点においては、被告は破産手続開始申立自体が適法でないという認識であったことから、破産手続開始決定がなされるなどということは予測しておらず、破産者の破産手続開始決定がなされることに備えて2000万円の資金移動をしたなどという事実はない。

(2)「2 不法行為」について
否認ないし争う。被告は、破産手続開始決定前の時点においては、政治活動の自由を尊重すべきとする政党助成法第4条1項の趣旨等から解散していない政党に対する破産手続開始申立自体が適法ではないという認識であったことから、破産手続開始決定がなされるなどということは予測しておらず、破産者の破産手続開始決定がなされることに備えて2000万円の資金移動をしたなどという事実はない。
また、破産手続開始決定後も、被告は破産者の代表者として破産手続開始決定自体を争っていたうえ、政党法人格付与法10条には破産手続開始決定が政党の解散事由として定められておらず、法人格を失わないことから、破産手続開始申立後も破産者が政治活動を継続する前提で政治活動の一環として政治資金規正法4条4項に定める「政治活動に関する寄附」として破産手続開始決定前になした後援会に対する2000万円の寄附行為は適法であり、返還義務がないと認識していたのであるから、破産財団を故意に隠匿したものではない。

(3)「3 損害賠償義務」について
否認ないし争う。

(4)「4 本件資金移動に関する否認権行使(訴訟)について」について
認める。

(5)「5 本件資金移動とは別の合計4150万円の財産隠匿・毀損行為について」について
本件とは無関係であるため、認否を要しない。

6 「第6 破産裁判所の許可」について
特段争わない。

7 「第7 結語」について
争う。

第2 被告の主張

1 資金移動の理由
(1)
令和6年1月18日に破産者について破産手続開始申立がなされたが、被告としては政治活動の自由を尊重すべきとする政党助成法第4条1項の趣旨等から、解散していない政党に対する破産手続開始申立自体が違法であり、破産手続開始決定がなされるはずはないと認識していた。

(2)また、政党助成法第14条1項では、政党交付金で借入金の返済をすることは禁じられているところ、原告が訴状5頁ないし6頁で主張するとおり、破産者名義の武蔵野銀行の口座には政党交付金が振り込まれており、同口座に入金された政党交付金は債権者に対する返済に充てることができず、政治活動のために使用しなければならない性質のものであった。

(3)そのため、政治資金規正法4条4項に則り、政治活動の一環として後述する衆議院議員補欠選挙等の選挙活動に備えて、破産者及び被告の支援団体である後援会に寄附を行ったのである。

(4)以上のとおり、被告としては、破産者から後援会に2000万円を寄附した当時は、そもそも破産手続開始申立自体が違法であり、政党である破産者に対して破産手続開始決定がなされるなどとはまったく想定していなかったのであり、破産手続開始決定がなされることに備えて2000万円の資金移動をしたなどという事実はない。

2 2000万円の使途
(1)
被告は、2000万円のうち、合計690万3533円を以下の使途で利用した(乙1 令和6年度会計帳簿)。

 破産者及び後援会の事務所の賃料・共益費等(令和6年2月分~令和7年1月分)211万3265円
 令和6年の衆議院議員総選挙出馬のための供託金600万円のうち、479万0268円

(2)なお、残金1309万6467円は、原告が後援会に対して提起した否認権行使請求事件(甲13)の原審判決の仮執行宣言に基づき、既に原告が取り立てている(乙2 財産目録及び収支計算書 番号21備考欄参照)。

3 690万3533円の使途の意義
(1)破産者及び後援会の事務所の賃料・共益費について

 上記のとおり、政党法人格付与法10条には破産手続開始決定が政党の解散事由として定められておらず、法人格を失わないことから、破産手続開始申立後も破産者が政治活動を継続することが前提となる。

 政治団体は、政治資金規正法の定めにより、事務所の所在地を届出なければならず、政治団体である政党が存続する以上、事務所が必要となる(政治資金規正法第6条、第6条の3参照)。

 破産者及び後援会は、事務所の移転が必要となったため、破産者の破産手続開始申立がなされた令和6年1月18日以前の同月11日、破産者及び後援会の事務所を東京都千代田区永田町所在の十全ビルに移転した(甲1)。

 当然、破産者は政治団体として政治活動を継続する以上、破産者の事務所の賃料及び共益費(以下「賃料等」という。)の支払が必須であるところ、後援会は、破産者ないし被告の支援政治団体として、破産者の負担すべき令和6年2月以降の十全ビルの賃料等も負担していた(乙1)。

 かかる後援会による十全ビルの賃料等の支払は、実質的には破産者が負担すべきものであり、後援会は破産者が負担すべき費用を破産者に代わって負担していたのにすぎない。

 破産手続開始決定前はもちろんのこと、破産手続開始決定後においても破産者は解散せず、存続することから、仮に被告が後援会に資金を移動してなかったとしても、破産者自身が十全ビルの賃料等を支払っていたことは言うまでもない。かかる賃料等の支払を後援会において一部負担していたのにすぎないのであるから、実質的には破産財団を毀損・隠匿することとはならない。

 したがって、被告には不法行為は成立しない。

(2)供託金について
 令和6年4月28日、衆議院議員補欠選挙が行われることとなり、当該選挙に立候補する場合、同月15日までに供託金を支払う必要があった。被告は、破産者の党首として東京第15区の補欠選挙に立候補することを検討したが、破産者の幹事長であった訴外黒川敦彦(以下「訴外黒川」という。)が所属する政治団体「つばさの党」より苛烈な誹謗中傷を受けたことから、選挙活動において訴外黒川などから選挙妨害の標的とされることが強く懸念されたため、被告は立候補を見送った。現に、訴外黒川は補欠選挙において立候補者を執拗に追い回すなどして公職選挙法違反で逮捕された(乙3 ウェブサイト)。

 また、被告は、令和6年7月7日に行われる東京都知事選への立候補も検討しており、供託金を同年6月20日までに支払う必要があった。しかし、当時、訴外立花が率いるNHK党が東京都知事選で多くの立候補者を擁立し、選挙ポスター掲示板のスペースを、一般の人や企業の広告枠として販売するといういわゆる選挙ポスタージャック運動を予告していた(乙4 ウェブサイト)。このような中、被告が立候補した場合、再び訴外立花の標的となり、選挙妨害を受けることが懸念されたことや、訴外立花が30を超える立候補者を擁立するという発表を行っていたことを受け、東京都知事選への立候補もやむなく見送ることとした。

 そして、令和6年10月9日、衆議院解散の閣議決定がなされ、衆議院議員総選挙が行われることとなったため、被告は破産者の党首として、ようやく小選挙区及び比例代表に立候補することとなった。

 小選挙区及び比例代表で立候補する場合、重複立候補として合計600万円の供託が必要となる(乙5 ウェブサイト)。被告は、令和6年に行われた衆議院議員総選挙の小選挙区(東京9区)及び比例代表(東京ブロック)に立候補した(乙6 ウェブサイト)。そのため、被告は、令和6年10月11日に合計600万円を供託した(乙1)。

 上記のとおり、被告は最終的には令和6年10月に行われた衆議院議員総選挙に立候補する際の供託金の支払に2000万円の一部を充てたが、当初は令和6年4月に行われた衆議院議員補欠選挙に立候補する予定であったために、政党交付金の一部である2000万円を政治活動に使用する目的で後援会に寄附したのである。寄附した当時の被告の認識としては、破産者に対する破産手続開始申立自体違法であり、破産手続開始決定がなされるなどとはまったく想定しておらず、債権者への返済に使用できない政党交付金を政治活動の一環として使用する意図しかなく、破産者の破産財団を隠匿・毀損する意図など一切なかった。

(3)小括
以上のとおり、被告による資金移動の理由及びその使途に鑑みれば、破産者の破産財団を毀損・隠匿するものではなく、その意図もないのであるから不法行為は成立しない。

以上

乙第1号証

令和6年度会計帳簿

乙第2号証

財産目録及び収支計算書

債権者集会資料 1~3ページ目

乙第3号証

読売オンライン
記事 「つばさの党」の黒川敦彦代表ら3人を3回目の逮捕

乙第4号証

読売オンライン
記事都知事選に大量の候補擁立、 ポスター掲示板を 「販売」

乙第5号証

総務省ホームページ
「立候補を目指す方へ」

乙第6号証

時事ドットコムホームページ
衆院選2024年 東京9区

第2回口頭弁論調書

事件の表示:令和8年(ワ)第2277号
期日:令和8年5月15日午後1時30分
場所及び公開の有無等:東京地方裁判所民事第34部法廷で公開(ウェブ会議の方法による)

裁判長裁判官:一場 康宏
裁判官:塩田 良介
裁判官:小鹿 凌平
裁判所書記官:小林 卓也
出頭した当事者等:
  原告(破産管財人) 森利明(出頭)
  被告代理人 石垣美帆(ウェブ・事務所)
指定期日:令和8年6月24日午後1時05分

弁論の要領等

当事者双方
従前の口頭弁論の結果陳述

被告
準備書面(1)(令和8年5月8日付)陳述

裁判長
原告が主張する不法行為は、故意のほか、過失も主張しているのか。

原告
基本的には故意責任を主張している。

裁判長
改めて読むと、原告が、どの時点の被告のいかなる行為が不法行為に当たると主張しているのかはっきりしない。破産手続開始後に資金を移動したことか、出金したまま資金を返戻しないことか、その両方であるかである。原告は、これらについて被告の注意義務違反の内容を、被告の主観面である故意・過失とともに具体的に特定して主張されたい。

原告
承知した。6月15日までに書面を提出する。

被告
否認権行使訴訟は確定する見込みであり、同事件の仮執行宣言に基づき原告が回収した金員により、本訴請求額は減額されるであろうと認識している。

裁判長
本件は、客観的な行為自体にはほぼ争いがなく、不法行為の評価と主観面が問題になると考えている。次回の原告の主張に対する被告の反論が次々回に提出されれば、尋問については措き、主張立証は終えられるものと認識している。

証拠関係別紙のとおり

裁判所書記官 小林 卓也

原告準備書面(1)

令和8年(ワ)第2277号 損害賠償請求事件
原告 破産者みんなでつくる党 破産管財人 森利明
被告 大津綾香

原告準備書面(1)

令和8年6月15日

東京地方裁判所 民事第34部合議甲A係 御中

原告 破産者みんなでつくる党
破産管財人 森 利明

第1 被告の準備書面(1)「第2 被告の主張」に対する認否

1 「1 資金移動の理由」について
否認ないしは争う。
なお、本書面の第3において具体的に反論する。

2 「2 2000万円の使途」について
(1)(1)アは否認する。
少なくとも本件破産手続開始決定前の破産者の事務所の賃料を後援会が支払っていた事実はない。
この点を含め、本書面の第3において具体的に反論する。

(2)(1)イについては、被告自身の衆議院議員選挙の立候補のための供託金に宛てたという範囲で認め、その金額が600万円のうち479万0268円であることは否認する。

(3)(2)については、原告が、否認権行使請求事件の原審判決(甲13)の仮執行宣言に基づき、1309万6476円を取り立てていることに限り認め、その余は否認ないしは争う。なお、原告が上記1309万6476円を取立てたのは、令和7年10月23日の判決後であることはいうまでもない。他方、後援会の令和6年分の収支報告書(甲14)によれば、本件資金移動による2000万円を収入として計上し、また、原告による預金仮差押額1294万3133円を支出として計上したうえで、令和6年末時点における後援会の資金は残高0円(翌年への繰越額0円)となっている。したがって、上記預金仮差押額を上回る、取立額全額(1309万6476円)を2000万円の使途と主張することは、明らかに誤りであることを念のため指摘しておく。

※ 文章中の太字箇所は、実際には下線が引かれている

3 「3 690万3533円の資金使途の意義」について
否認ないしは争う。

第2 原告の主張

~略~

あらためて原告の主張、破産の経緯(齊藤議員会談含む)
予備的に「財産散逸防止義務」違反との主張追加
以下、タイトルのみ記載

1 不法行為の内容
(1)故意による不法行為
(2)過失による不法行為(予備的主張)

2 本件の経緯等

3 「本件資金移動」が故意による不法行為に該当すること
(1)
(2)本件資金移動が、破産手続開始申立の直後に行われていること
(3)被告が破産者について破産手続が開始される可能性を認識、危惧していたこと
(4)本件資金移動により、破産者の財産が、被告が自由に使える口座に移されていること
(5)本件資金移動の必要性がないこと
(6)
(7)本件資金移動が破産者の財産を隠匿・毀損する不法行為であることを示すほかの事実
 ア 破産管財人(原告)に対する不開示・不説明等
 イ 被告によるXへの投稿
(8)否認権訴訟において本件資金移動が無償否認の対象である「無償行為」であることが認定されていること

4 「本件資金移動」が過失による不法行為に該当すること(予備的主張)

第3 被告の主張に対する反論

以下、被告準備書面(1)における被告の主張に対し、必要な範囲で反論する。

1 破産手続開始決定がなされるはずはないと認識していたとの主張について

(1)被告は、政党助成法の趣旨から政党である破産者につき破産手続開始決定がなされるはずはないと認識していた旨主張するが(被告準備書面(1))の第2の1(1)(4頁))、全く事実に反する後付けの主張である。

(2)本書面第2の2(7)イにおいて述べたとおり、被告は、令和6年1月10日に行われた齊藤議員との会談において、浜田議員に続いて齊藤議員まで離党した場合には、破産者は令和6年分の政党交付金を受け取れなくなるため、債権者への返済ができなくなり、破産を余儀なくされる旨の発言を繰り返し行っていたところ(甲16-2)、破産者に所属議員がいなくなって、政党交付金が受け取れなくなった場合には、破産を余儀なくされることを十分に認識し、危惧していたものである。
そして、破産者が、同月16日に政党交付金の受給資格を喪失し(甲17)もって、令和6年の収入の目途が絶たれ、財産が破綻状態となった(本書面第2の3(2)イ)という状況のもと、同月18日に本件破産手続開始申立がなされたのであり、被告が、破産者について破産手続開始決定がされる可能性を十分に認識し、危惧していたことはいうまでもないことである。

(3)被告は、破産者について破産手続開始決定がされる可能性を十分に認識し、危惧し、破産手続開始決定に備えて本件資金移動を行い、もって、破産者の資金を隠匿・毀損したものにほかならない。

2 政党交付金で借入金の返済をすることは禁じられているとの主張について

(1)被告は、政党助成法第14条第1項を引用して、政党交付金で借入金の返済をすることは禁じられており、政治活動のために使用しなければならない性質のものであると主張する(被告準備書面(1)の第2の1(2)(5頁))。

(2)しかしながら、まず、かかる被告の主張については、既に、本件破産手続開始決定に関する許可抗告事件における最高裁判所の決定において、「当該財産(政党交付金を含む解散していない法人である政党等の財産)は当該法人の自由な政治活動のために生じた破産債権に対する配当の原資等になる」として、一蹴されている(甲21)。

(3)そして、本書面第2の2(7)イにおいて述べたとおり、被告は、令和6年1月10日の齊藤議員との会談において、債権者への返済は政党交付金が原資である旨何度も明確に述べているところ、被告は、当然、債権者への返済は、政党交付金を原資として行うという認識であったことはいうまでもない。

(4)被告は、破産者について破産手続開始決定がされる可能性を十分に認識して危惧し、破産手続開始決定に備えて、債権者への返済(配当)にあてられるべき資金を移動し(本件資金移動)もって、破産者の資産を隠匿・毀損したものにほかならない。

3 十全ビルの賃料共益費にかかる被告の主張について

(1)被告は、本件資金移動にかかる資金のうち211万3265円を、破産者及び後援会の事務所の令和6年2月以降の賃料・共益費等に宛てたなどと主張し、破産手続開始後も存続する破産者が支払うべき賃料等を後援会が一部負担していたにすぎないのであるから、実質的には破産財団を毀損・隠匿することにはならないなどと主張するが(被告準備書面(1)の第2の3(1)(6頁))、意味不明であり、詭弁を弄するものにほかならない。

(2)まず、本件破産手続開始前、すなわち令和6年2月分及び同年3月分の破産者の事務所(十全ビル)の賃料等は、武蔵野銀行破産者名義口座から貸主に振り込まれている。
また、本件資金移動後、令和6年3月15日(本件破産手続開始決定がされた翌日)までの間、後援会からの出金はなく(本書面第2の2(15)、甲9)したがって、本件資金移動にかかる資金を、本件破産手続開始決定前の十全ビルの賃料等に実際に充てることはあり得ない。
このように、本件破産手続開始決定前の十全ビルの賃料等を後援会が負担していた事実は全くない。

(3)次に、破産手続開始決定後の十全ビルの賃料等については、そもそも、破産管財人である原告は、破産手続開始後の破産者の政治活動には一切関与しておらず、また破産管財業務のために、十全ビルを使用していないのであるから、破産者及び後援会のための十全ビルの賃料・共益費等を、破産財団が負担する理由は全くない。

(4)また、令和6年3月21日からその翌日にかけての十全ビルの賃貸契約等にかかる原告と豊田弁護士とのやりとり(本書面第2の2(19)~(22))からも明らかなとおり、原告は、豊田弁護士に対し、破産財団から賃料は支払わないこと、また明渡を求める方針であることを明確に伝えたところ、これに対して、破産者(被告)側が原告に対し、十全ビルの賃貸借契約を解除しないよう懇請し、賃貸借契約の名義変更や賃料等の支払いを約束して、使用を継続したという経緯であるところ、被告は、破産財団が破産者の十全ビルの賃料・共益費等を負担しないことは十分認識し了承していたものである。
そうであるにもかかわらず、被告は、破産財団が十全ビルの賃料等を負担すべきであるかのような主張を行っているのであり、場当たり的な主張であるというほかない。

(5)ちなみに、被告は、令和6年1月18日に、(破産者及び)後援会の事務所を、十全ビル(千代田区永田町)に移転した旨主張している(被告準備書面(1)の第2の3(1)ウ(6頁))。
しかしながら、豊田弁護士は、令和6年6月6日付けメールにおいて、本件資金移動の移動先である後援会の住所については、「東京都千代田区神田錦町三丁目15番地16-005」(以下「神田錦町住所」という。)と回答しているところ(本書面の第2の2(26)、甲10)、「十全ビル」などという話は全く出ていなかったものである。
また、原告は、被告である後援会の住所を、神田錦町住所として否認権訴訟を提起したが、訴訟において、被告からは、住所の変更の申出はなく、神田錦町住所のまま判決が出され(甲13)この判決に対して令和7年11月7日付で後援会から出された控訴状においても、控訴人である後援会は、自らの住所として神田錦町住所を記載している(甲22)。
以上より、「令和6年1月18日に、後援会の事務所を、十全ビルに移転した」旨の被告の主張は極めて不可解であり、したがって、「後援会が、令和6年2月分から令和7年1月分の後援会の事務所の賃料・共益費として十全ビルの賃料等を負担していた」との被告の主張自体に信用性がないことは明らかである。

※ 文章中の太字箇所は、実際には下線が引かれている

(6)以上、いずれにしても、本件資金移動が、破産財団を毀損・隠匿するものであることは明らかである。

4 供託金にかかる被告の主張について

(1)被告によれば、本件資金移動にかかる資金を、衆議院議員総選挙における被告の立候補の供託金(の一部)として費消したとのことである(被告準備書面(1)第2の2(1)(5頁))
そして、被告は、立候補の経緯を縷々述べているが(同準備書面第2の3(2)(7頁))、本件資金移動を正当化する理由には全くならないものである。

(2)破産管財人である原告が、破産者(被告)の政治活動には一切関与していないことはいうまでもなく、従って、被告の選挙の立候補の供託金を、破産財団が負担する理由は全くない。

(3)なお、本書面第2の2(28)において述べたとおり、被告は、原告から本件資金移動にかかる2000万円の返金を求められ、後援会口座の仮差押命令が発令される(本書面第2の2(31))ような状況の中、令和6年10月11日、本件資金移動にかかる2000万円から現金化した合計900万円(いわば仮差押を免れた合計900万円)の中から、被告自身の衆議院議員選挙の立候補のための供託金として合計600万円を支出して費消し、その結果、原告による後援会からの資金の回収を困難にしたのであり、悪質な行為であるといわざるを得ない。

(4)以上、いずれにしても、本件資金移動が、破産財団を毀損・隠匿するものであることは、やはり明らかである。

5 本件資金移動について説明する義務がないと認識していたとの主張について

(1)被告は、「破産手続開始申立自体が違法であり、政治活動の一環として後援会に寄附することは適法であるとの認識であったことから、後援会に対する2000万円の寄附について原告に問われるまで説明する義務がないと認識していた」などと主張するが(被告準備書面(1)の第1の5(1)イ(2頁))、全く事実に反する主張である。

(2)既に述べたとおり(本書面第2の3(7)ア)、被告は、破産者代表者として、破産法により、破産管財人である原告に対し、説明義務を負っている(同法40条1項)。
そして、被告は、豊田弁護士から、武蔵野銀行破産者名義口座の「従前支出」の問い合わせを受け、少なくともその問合せを受けた時点(遅くとも令和6年3月18日)までには、同口座の「従前支出」について、破産管財人(原告)に説明する必要があることを明確に認識していたものである(本書面第202(17))。
加えて、令和6年4月1日、被告は、豊田弁護士同席のもとでの原告との面談において、原告から武蔵野銀行破産者名義口座の入出金の内容について早急に明らかにするよう要請を受けた際、入出金の内容について明らかにする必要はない、とか、説明する必要はない、などといった異論を一切述べていないのである(本書面第2の2(23))
このことは、被告が、本件資金移動を含め、同口座からの入出金の状況について、被告に説明する義務があることを明確に認識していたことを如実に示すものにほかならない。
なお、被告が、武蔵野銀行破産者名義口座(本件資金移動が行われた口座である)の情報すら直ちに原告に開示することをせず、その間、5件の振込による出金を行っていたことも既に述べてきたとおりである。

※ 文章中の太字箇所は、実際には下線が引かれている

6 本件資金移動が「適法な寄附」である等の主張について

(1)被告は、被告準備書面(1)において、本件資金移動について、随所で、「適法な寄附」である、とか、「適法であると認識していた」旨述べ、本件資金移動を正当化しようとしているとも思われるので、以下、この点について反論しておく。

(2)そもそも何をもって「適法な寄附」、「違法な寄附」とするのかは措くとして、本件では、「寄附」自体の適法性・違法性が問題となっているのではない。
破産者の財産が破綻状態の中、本件破産手続開始申立がされ、被告がこれを認識したうえで、2000万円という巨額の資金を、破産者の財産(口座)から、被告自身が管理する後援会名義口座に移動したということが問題なのであり、本件資金移動が「寄附」としては「適法」であったとしても、破産者の財産の隠匿・毀損となることに変わりはない。

(3)なお、本件資金移動が、破産法上の無償否認の対象である「無償行為」であり、破産債権者(=破産財団)の利益を害する危険が特に顕著な行為であることが、否認権訴訟の一審控訴審において認定され、法的に確定していること、さらに、本件においては、無償行為(本件資金移動)は、破産申立後になされており、加えて、無償行為(本件資金移動)によって破産者の資金が被告が自由に使える口座に移され、さらに、移動された破産者の資金は、被告により、現金化され、破産財団とは関係のない被告の政治活動・立候補のために費消されているのであり、本件資金移動自体が、破産財団の利益を害する危険が特に顕著な行為であり、極めて違法性の高い行為であったことは、本書面第2の3(8)において述べたとおりである。

第4 結語

以上より、被告の主張はいずれも認められないことは明らかであり、原告の請求は早急に認容されるべきものである。

第5 否認権訴訟の確定の有無等について

1 本書面第2の2(36)のとおり、否認権訴訟は、令和8年5月9日に確定している。

2 本書面第2の2(35)のとおり、原告は、否認権訴訟の第1審判決の仮執行宣言に基づき、後援会名義口座に対する差押命令を得て、1309万6467円(振込手数料880円控除後)を取立てている。
なお、上記差押命令における請求債権は2106万1424円であり、その内訳は、元金2000万円、利息105万2054円、執行費用9370円である。
また原告は、否認権訴訟に関する訴訟費用額確定処分申立を行う予定である。

以上

準備書面の要約

被準…被告準備書面(1)
原準…原告準備書面(1)

大津「破産申立自体が違法だし、破産開始決定なんて出るはずがないと思っていた」(被準 第2の1(1)(4))
管財人「後付けの主張にすぎない。Zoom怪談で大津氏自身が『政党交付金が入らなれば破産する』と繰り返し話しており、破産の可能性を十分認識していた」(原準 第3の1)

大津「政党交付金は借金返済に使えないので、政治活動のため後援会へ寄附した」(被準 第2の1(2)(3))
管財人「最高裁で既に否定済み。Zoom怪談で大津氏自身も政党交付金を債権者への返済原資と説明していた」(原準 第3の2)

大津「2000万円の一部は十全ビルの家賃に使った。実質的には党のための支出だ」(被準 第2の2、第2の3(1))
管財人「意味不明。破産開始前の家賃は党口座から支払われており、開始後の家賃も破産財団が負担する理由はない」(原準 第3の3)

大津「黒川や立花のせいで補選や都知事選への出馬を断念したが、最終的に衆院選へ立候補し、その供託金に2000万円の一部を使った」(被準 第2の3(2)ア~エ)
管財人「立候補の経緯について縷々述べているが、本件資金移動を正当化する理由には全くならない。大津氏個人の供託金を破産財団が負担する理由も全くない」(原準 第3の4(1)(2))

大津「供託金など政治活動のために使ったので、破産財団を隠匿・毀損する意図はなかった」(被準 第2の3(2)オ)
管財人「後援会口座への仮差押えが行われる中で、仮差押えを免れた資金から供託金600万円を支出し、資金回収を困難にした」(原準 第3の4(3))

大津「2000万円の寄附について説明義務があるとは思っていなかった」(被準 第1の5(1)イ)
管財人「事実に反する。大津氏は管財人から入出金の説明を求められた際も異論を述べておらず、説明義務を認識していたことは明らか」(原準 第3の5)

大津「後援会への2000万円の寄附は適法だった」(被準 全般)
管財人「寄附が適法かどうかは問題ではない。破産申立後に2000万円を自分が管理する口座へ移したこと自体が問題だ」(原準 第3の6)


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