ずっと26.5cmだと思っていた人の足は、25.5cmでした|スポーツシューズのサイズ選び、2つの数字の話
こんにちは、元大手スポーツ用品店マネージャーの佐伯です。
シューズの売り場に立っていた頃、いちばん多く交わした会話があります。「サイズはおいくつですか」「26.5です」。このやり取りですね。
ところが、実際に計測器で足を測らせていただくと、その数字とは違う結果が出ることが本当によくありました。ご本人がいちばん驚かれます。
靴のサイズは、長さの数字ひとつで決まるものではありません。今日は、売り場でお客様の足を測りながらお伝えしてきたことを、そのまま書いていきたいと思います!
売り場で、いちばん多かった思い込み
まず、いちばん多かった思い込みからお話しします。それは足の長さ=靴のサイズだと思っている、というものです。
もちろん長さは大事な数字です。ただ、それだけでは足に合う一足にはたどり着きません。
印象に残っているお客様がいます。ずっと26.5cmの靴を履いてきた方だったのですが、測ってみると足の長さは25.5cmでした。1cmのズレです。
なぜそうなっていたのか。その方は足の幅が広く、25.5cmの靴を履くと横がきつかったのです。それで、幅がラクになるまでサイズを上げていった結果、26.5cmに落ち着いていた、と。
これはとても多いパターンです。幅の窮屈さを、長さで解決しようとしてしまうんですね。
でも、そうやって選んだ靴は長さが余っています。走ったり切り返したりすれば、足が靴の中で前に滑る。かかとが浮く。靴擦れやマメの原因になります。

サイズは2つの数字で決まる|足長と足囲
では、何を見ればいいのか。答えはシンプルで、長さと幅、2つの数字です。
1つ目が足長(そくちょう)。かかとから、いちばん長い指の先までの長さです。日本の靴に書かれている25.5cmや26.0cmという表示は、この足長を表しています。
2つ目が足囲(そくい)。ワイズ、あるいはウィズとも呼ばれます。親指の付け根と小指の付け根を通る、足まわりのぐるりとした周径のことですね。
日本のJIS規格では、この足囲が A、B、C、D、E、EE、EEE、EEEE… というアルファベットで表されています。同じ26.0cmでも、EとEEEでは靴の幅がまるで違うわけです。
日本の方はE〜EEEあたりに収まることが多いと言われています。一方で、海外ブランドのモデルには細めの木型でつくられたものもあります。ここがずれていると、長さが合っていても履き心地は良くなりません。
先ほどの26.5cmの方も、25.5cmで幅の広いモデルに替えたところ、「今までのはなんだったんだ」と笑っていらっしゃいました。長さを下げて、幅を上げる。これで解決する方は、本当に多いです。

自分の足を測る|家でもできる、かんたんな測り方
お店の計測器がいちばん確実ですが、ご自宅でもおおよその数字は出せます。メジャーと紙があれば十分です。
足長は、紙の上にまっすぐ立って、かかとの後ろといちばん長い指の先に印をつけ、その間を測ります。
ここで1つ注意があります。必ず立った状態で、体重をかけて測ってください。座って測ると、足は小さめに出ます。人の足は体重がかかると広がるからです。
足囲は、親指と小指の付け根のいちばん出っ張ったところに、メジャーをぐるりと一周させて測ります。きつく締めず、軽く触れる程度で。
そして、左右の両方を測ること。ここも忘れられがちなポイントです。左右で5mm前後違う方は珍しくありません。その場合は大きいほうの足に合わせるのが基本です。
小さいほうに合わせると、大きいほうの足がずっと窮屈なまま。これは毎日のことなので、地味に効いてきます。

つま先の余り(捨て寸)は、自分で足す数字ではありません
ここで、もう1つ多い勘違いをほどいておきます。
靴のつま先には、捨て寸と呼ばれる余裕が必要です。指の先が靴の内側に当たったままだと、地面を蹴るたびに爪を痛めてしまいますからね。
ご存じの方も多いと思います。問題は、この先です。
「じゃあ足長が25.5cmなら、1cm足して26.5cmを買えばいいんですね」。売り場でよく言われました。でも、これは足しすぎです。
日本の靴の表示サイズは、足入れサイズと呼ばれます。つまり足長25.5cmの人が履けるように作られた靴に、25.5cmと表示されているのです。捨て寸は、すでに木型の中に織り込まれています。実際、25.5cm表示の靴の内側を測ると、26.5cm前後あることが多いですよ。
ですから、ご自身で1cm足す必要はありません。足せば余裕が二重になって、靴の中で足が泳ぎます。基準は、表示サイズ=あなたの足長。ここが出発点です。
そのうえで、半サイズの微調整はあっていいと思います。木型によって、内側の余裕には差がありますから。
ランニングのように着地で足が前へ動く競技なら、履いてみて指先が当たるようなら0.5cm上げる。逆に細かい切り返しでフィット感が欲しい競技で、足が泳ぐようなら下げる。最後は、履いた感覚で決めるべきです。
SNSのDMで、忘れられないご相談がありました。「ネットで買ったランニングシューズが、なぜかきつい」という内容です。
伺ってみると、足長を座ったまま測っていらっしゃいました。立って測り直したら、5mm以上大きかったんですね。測り方がずれていると、その後の判断がすべてずれます。

同じ26cmでも違う|ブランドごとのサイズ感というもの
「アシックスの26.5がぴったりだから、他も26.5で大丈夫ですよね」。これもよくいただく質問です。
残念ながら、そうとは限りません。
以前、メーカーの担当者の方に教わった話が的確でした。「同じ26cmでも、木型(ラスト)が違えば、幅も甲の高さもまったく別物になります」と。木型というのは、靴をつくるときの足の形の型のことですね。
だからこそ、ブランドやモデルが変わったら、表示サイズを信じきらずに、一度履いてみるべきです。同じブランドの中でも、モデルによって作りが変わることは普通にあります。
売り場では、常連のお客様でも、新しいモデルに替えるときは必ず両足で履いていただいていました。それくらい、表示サイズは目安でしかないと考えています。
ネット通販を使うなら、サイズ交換ができるお店を選んでおくと安心ですね。特に初めて履くブランドのときは。
試し履きは、夕方に。その靴で使う靴下で
試し履きには、地味ですが効く2つのコツがあります。
1つ目は夕方に履くこと。足は夕方になるとむくんで、朝より大きくなると言われています。シューズ担当の長かった元同僚は「朝はゆるかった靴が、夕方にはきつく感じる方がいる。とくに幅と甲に出る」と言っていました。
朝の足に合わせた靴は、夕方にはきつくなる。逆に、夕方の足で選んでおけば、1日を通して大きな失敗になりにくいのです。
2つ目はその靴で実際に使う靴下を履いていくこと。薄手のソックスで合わせた靴に、厚手のスポーツソックスを履いたら、それだけで窮屈になります。競技用の厚い靴下を使う方は、なおさらです。
そして履いたら、必ずかかとを靴の後ろにトントンと合わせてから、紐をしっかり結んで、歩いてください。座ったまま「なんとなくいい感じ」で決めてしまうのが、いちばん危ないです。
子供の靴は「大きめ」を買うと、かえって危ない
保護者の方から必ずと言っていいほど聞かれたのが、「すぐ大きくなるから、大きめでいいですよね」という質問です。
お気持ちはとてもよく分かります。成長期のお子さんの靴は、あっという間に履けなくなりますから。
ただ、大きすぎる靴は、お子さんの動きにとって危険だと考えています。靴の中で足が泳ぐと、走るときに踏ん張れません。つまずきやすくもなります。
以前、「子供がよく転ぶ」とご相談を受けて靴を見せていただいたら、明らかに大きいサイズでした。安全に関わる部分ですので、ここはケチらないほうがいいですね。
大きめにするとしても、捨て寸の範囲に収めるのが現実的です。目安を大きく超えるサイズアップは避けて、こまめに買い替える前提で考えるほうが、結果的にお子さんのためになります。
お子さんは足のサイズがどんどん変わりますので、3か月に一度くらいは測り直してあげてください。本人は、きつくても言わないことが多いです。
合わない靴は、足以外のところに出てくる
最後に、これはお伝えしておきたいことがあります。
合わない靴の影響は、足だけにとどまらないことがあります。靴の中で足が安定していないと、その不安定さを補うために、体の他の場所が無理をするからです。
売り場でも、「膝の内側が痛む」というご相談を受けて靴を見たら、かかとの片側だけがすり減っていた、ということがありました。
もちろん、靴を替えれば痛みが治る、というような話ではありません。痛みやしびれ、足の変形が気になる場合は、整形外科などの専門家に相談してください。ここは、道具を売る側が踏み込んではいけない領域だと考えています。
そのうえで申し上げると、足に合った靴は、体にとって土台になります。土台が安定していることの意味は、決して小さくありません。
長さ、幅、そして捨て寸。この3つを押さえるだけで、靴選びの精度はまるで変わります。
靴を選ぶ前に、まず自分の足を知ってください
そして何より、自分の足の数字を知っている人は強いです。ブランドが変わっても、通販で買うときも、判断の基準を自分の中に持てますから。
もしお近くに計測器を置いているお店があれば、一度測ってみてください。数分で終わりますし、たいていは無料です。長年信じてきた自分のサイズが、実は違っていた。そういう発見があるかもしれません。
あなたの足に、本当に合う一足が見つかることを願っています!
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靴が合っていないと、膝に負担がかかることがあります。膝のサポーターについては、こちらでタイプ別に解説しました。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。参考になった方は、フォローやスキで教えていただけると励みになります。

元大手スポーツ用品店マネージャー・佐伯
20年以上にわたり、大手スポーツ用品店にて販売員からエリアマネージャーまでを歴任。数千種類以上のギアに触れ、初心者からプロアスリートまで、延べ10万人以上のお客様の道具選びをサポートしてきた経験を持つ。現場で培った豊富な知識と確かな目利きで、あなたのスポーツライフを格段に向上させる逸品を厳選します。
