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新刊速報【2026年8月版】|柏書房営業部通信

 柏書房営業部です。「たのしかった旅行について、書いてみませんか?」とnoteに提案されました。旅行どころか1年に東京都の外に出る回数が片手の指で足りる程度の身では、とても書けそうにありません。紙の上や画面の向こうの自分ではない誰かのたのしかった旅行について書く、であれば、あるいは……。
 さて、柏書房の8月下旬の新刊は2点(上旬刊行は7月版で)。草森紳一、ハリー・スミス、松岡正剛ら、分類不能の〈知の怪物〉たちが集う、紙上の驚異博物館ヴンダーカンマー『博覧狂気の怪物誌』、紙に文字や絵を書くことは人類の思考と脳をいかに変えてきたのか? 紀元前からその影響をたどる初の書籍『紙の上で考えることの歴史──手帳が人類にもたらしたもの』です。


『博覧狂気の怪物誌』

後藤護 著

これは精神を醒ます“呪智”の集成か!?
言ってみれば「神智と汎智の両界曼荼羅」か。東西“怪物智”の勢揃いする大興行だ。異端が正統を笑い、風狂が常識を覆し、偶然が必然を凌駕し、本物より偽物に叡智を見いだした「思想のデーモン」たちが、いま結集する。
森羅万象すべてに好奇心を放射し、「夢と反夢=超現実」の解明に死ぬことも忘れるほど熱中した異脳たちを差し置いて、SNSやAIに頼っている場合ではない。全世界の魔的な精神が起電させた“呪智”の帝網ネットワークこそ、掛値なしに昭和“最強”の刺激物だった。この効果が、毒にも薬にも変貌し得るというスリルを、どうか期待して読まれよ。

荒俣宏「帯文」より

 本書の序文呪文を下記のリンク先にて公開中です。のっけから暗黒革命フルスロットル全編最後まで手心なし。本編もお楽しみに。

紙の上で考えることの歴史──手帳が人類にもたらしたもの

ローランド・アレン 著
小林玲子 訳

序章
第1章 ノート以前  地中海――紀元前一〇〇〇年~西暦一二五〇年
第2章 赤い本、白い本、布の本  会計学の誕生――一二九九年、プロヴァンスとフィレンツェ
第3章 「小さなノートに簡単な線で描いて……」  スケッチブック――フィレンツェ、一三〇〇~一五〇〇年
第4章 リコルディ、リコルダンツィ、ジバルドーネ  家庭のノート――フィレンツェ、一三〇〇~一五〇〇年
第5章 アレキサンドリアの胡椒  ロードス島のミカーリの書――一四三四年、ヴェネツィア
第6章 放埓な妻たち、羊毛でふさがれた口  イギリスに上陸したノート――一三七二~一五一七年
第7章 LHD二四四の長い生涯  声を揃えて歌う――一四五〇~一六〇〇年頃、ボローニャ
第8章 「ああ、これでは何ひとつ仕上がらない……」  イタリアのノート使いの二紳士――一四五五~一五一九年
第9章 「おお、他人の話を記録する忍苦と労力よ!」  コモンプレイス・ブック――一五一二年~現在
第10章 「一番目と二番目の海峡は東から西へと延びている」  大航海時代――一五一九~一五二二年
第11章 ニシンの王   魚の書フィスブック――一五七〇年、オランダ
第12章 「下らぬ阿蘭陀の流行りよ!」  友情の本――一六四五年、北ヨーロッパ
第13章 「旅の途中で愛した名品」  技術観察――一五九八年、ドイツおよびイタリア
第14章 「永く留まってはならぬ」  旅人とノート――一四七〇年~現在
第15章 継父と息子の雑記帳  数学――一六一二年、リンカーンシャー
第16章 二冊の黒いスクラップブック  フーケとコルベール――一六六一~八〇年、パリ
第17章 「わずか一八ペンスの現金……そしてテーブルブック」  テーブルブック――一五二〇~一六七〇年代、イギリスとオランダ
第18章 アホウドリを撃つな  航海記――一六九九年、ロンドンからアモイへ
第19章 「私が思うに」  博物学者のノート――一五五一~一八五九年
第20章 心の支えと慰め  日記の時代――一六〇〇年~現在
第21章 ビートを外れてはならない  イギリスの警察官のノート――一八二九年~現在
第22章 「イエス――歯医者は死んでいるほうがいい」  作家たちのノート――一八九四年~現在
第23章 保存と調理   レシピ本――一六三九年~現在
第24章 自分を語る  セルフケアとしての日記――一九六八年~現在
第25章 青、緑、赤、黄  選挙運動――一九七七~二〇〇三年、フロリダ州
第26章 「一筋縄ではいかない」  航海日誌――一八五〇年~現在
第27章 特性に合わせる  バレットジャーナル――二〇一〇年、ブルックリン
第28章 失われた時を求めて  患者日記――一九五二年~現在
第29章 「この地球上の何もノート以上に……」  ノート研究――一八八三年~現在
第30章 脳の異なる部位  アーティスト観察――二〇二二年
終章 オットー、ノートを持ち歩く  拡張された心――一九三八年~現在

目次より

 紙に書いて考えることと電子機器の入出力で考えることとが並存し、完全な移行には至っていない狭間の今の時代だからこそ、一番面白く読める一冊になっています。

 『博覧狂気の怪物誌』『紙の上で考えることの歴史』は、いずれも8月24日(月)の配本予定となっております。今月の新刊もぜひよろしくお願い致します。

新装版刊行!

 ロングセラー古文書字典『増訂 近世古文書解読字典』『新編 古文書解読字典』がこの度、新装版として2026年9月1日に刊行になります。長年ご愛顧いただいております両字典を今後ともよろしくお願い致します。

 来月の新刊は1点を予定しております。それではまた次回もよろしくお願い致します。