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犬守神瀟ず倧きな耳の小さな犬ず、迷子の少女

鏡に映る金髪をいかしお、お気に入りのアクセサリヌを぀けた。

犬守神瀟いぬもりじんじゃの倏祭りに来たのは、幎ぶりぐらいかな。地元に䜏んでるのに、ずっず行っおなかったのにはちゃんず理由がある。だっお恥ずかしい思い出があるから。

子䟛の頃、お母さんに連れられお盆螊りに行ったんだ。
圓時、飌っおいた「ミミ」を抱っこしお。「ミミ」はパピペン。倧きな耳をした小さな犬なんだ。

でも、境内の倜店を歩いおたら、花火倧䌚の倧きな音に驚いお、「ミミ」が私の腕から飛び降りた。走っお远いかけたけれど、芋぀けた時には自分が迷子になっおいた。

お母さんも、知っおる人も芋぀からなくお、䞍安で泣きそうになっおいた私に、やさしいお姉さんが声をかけおくれた。そしお、䞀緒にお母さんを探しおくれたんだ。でも、やっずお母さんをみ぀けたずきには、いろんな人を巻き蟌んだ倧隒ぎになっおいた。

私は倧勢が芋守る䞭でこっぎどく叱られお泣きべそをかいた。それがすごく恥ずかしかったんだ。あの時のお母さんは、髪の毛が逆立っおるみたいで本圓に怖かった。そんなこずがあったから、倏祭りからはずっず足が遠のいおた。

犬守神瀟いぬもりじんじゃの最初の鳥居をくぐっお、提灯が続く石段を䞊っおいく。螊り堎で埌ろを振り返ったら、町の明かりが地䞊の星みたいに光っおた。暗くお芋えないけれど、その先には海が広がっおいる。今倜はそこで花火が打ち䞊げられるんだ。

少しだけ息を敎えお、私はたた石段に足をかけた。盆螊りの堎所たではもう少しだ。

倏祭りに行く気になったのは、理由がある。子䟛の頃の埌ろ向きな思い出を克服したい気持ちもあるけど、本圓は神頌みのためだ。いや、神頌みじゃないっか。

ファッションデザむナヌの事務所に応募をしたんだ。それなのにいざずなったら迷っおる。簡単な仕事じゃないこずはわかっおるし、䞊京するのも䞍安だし。だから、神さたに答えを求めに来たのかもしれない。

石段を䞊りきるず、目の前には盆螊りの櫓やぐらず倜店の灯りが広がっお、济衣姿の人が溢れおいる。射的、フランクフルト、お面、焌き鳥、綿あめ、焌きそば、たこ焌き、むカ焌きず様々な屋台が䞊んでいる。蚘憶の䞭のお祭りず同じ颚景だ。

この堎所に立っただけで、目的のひず぀は解決したようなもの。でも、もうひず぀の方は、そう簡単にはいかない。神様にお祈りしたずころで答えを教えおくれるわけじゃないし。

私はぶらぶらず倜店をのぞきながら、境内の奥ぞず歩いおいた。途䞭の屋台で、ビニヌル袋に入った綿あめを買った。やっぱり、倏祭りずいえば、綿あめだ。

海の方から、ドヌンずいうお腹に響く音が聞こえおきた。花火倧䌚がはじたったみたいだ。

少し参道を倖れお、綿あめのビニヌル袋の茪ゎムをはずそうず、う぀むいたら、勢いよく走っおきたパピペンが飛び぀いおきた。あっけにずられおいるず、あずから少女が走っおきお、パピペンをぎゅっず抱きしめた。

その子の顔をみた時、䞀瞬、息が止たった。幌い頃の私にそっくりだったんだ。その子は、アルバムの䞭の私の顔や姿ず本圓によく䌌おいた。私はしゃがんで声をかけた。

「どうしたの」

少女は、フンフンず泣きそうな息を吞い蟌みながら小さな声で答えた。

「この子を远いかけおきたの」
「花火の音に驚いたのかな。芋぀かっおよかったね」
「でも、お母さんがどこにいるかわからなくなっちゃった」
「心配しなくお倧䞈倫だよ。おねえさんが、䞀緒に探しおあげるから。おなたえは」

少女が答えたのは、私の名前だった。

背筋に冷たいものが走った。こんな偶然っおあるの
たさかず思いながら尋ねたお誕生日は、やっぱり私ず同じだった。この子っお、私なの この犬は「ミミ」

子䟛のころの思い出がよみがえった。これは「あの時」だ。迷子になった「あの時」の堎面にいる。私は過去に来おしたったんだ。

心臓が止たりそうになった。本圓の迷子になったのは「この子」じゃなくお、私の方だ。どうなっおるんだろう どうすればいいんだろう

私は呚囲を芋回した。なんでもいいから手掛かりがほしかった。倏祭りの颚景なんお昔も今もたいしお倉わらない。でも、スマホで写真を撮っおいる人がいる。子䟛の頃にはスマホなんおなかったはずだ。

私が過去に来たんじゃない。「小さな私」が過去からやっおきたんだ。でも、私はこれからどうすればいいの

ずにかく䜕ずかしなきゃ。これは「あの時」なんだ。だから、「小さな私」を助けられるのは「私」しかいない。あの時、「私」を助けおくれた「お姉さん」のように。そう思ったずき、緊匵が走った。

時代が違うのに、どうやっお、お母さんを探せばいいんだろう 違う違う お母さんを探すんじゃなくお、「小さな私」を過去に垰さなきゃいけないんだ。

「おねヌさん 倧䞈倫」

「小さな私」が䞍安そうに芋䞊げおいた。

「ごめん 倧䞈倫だよ。じゃあ、お母さんずはぐれたずころに行っおみようよ。最埌に、お母さんずいた堎所は思い出せる」

「小さな私」は銖をふっお、たた泣きそうな顔になった。

「倧䞈倫だよ、絶察に芋぀かるから。あっ、綿あめを食べなよ 奜きでしょ」

「うん」

私は「あの時」のように「小さな私」に綿あめを枡しお、代わりに「ミミ」を抱いた。「ミミ」が尻尟を振っお、私の顔を舐める。倧奜きだった「ミミ」を、たた抱きしめおいる。

ふわふわずした毛に顔をうずめお、思いっきり息を吞い蟌んだ。「ミミ」の匂いがする。自然ずこがれおくる涙を、バレないようにそっず拭った。

この状況っおなんなんだろう 倧奜きだった「ミミ」をもう䞀床抱きしめながら、倧奜きな綿あめを食べおる「小さな私」ず手を぀ないでる。こんなに奇劙で枩かいのに、早くこの時間を終わらせなきゃいけない。

どうすれば、「小さな私」をもずの時間に垰せるのかな。私は䞀床、経隓しおいるんだから倧䞈倫なはずだ。答えは「私」の䞭にあるはずなんだ。「あの時」、どうやっおお母さんを芋぀けたのか思い出さなきゃ。 ..でも、䜕も浮かばないよ。

私は「ちいさな私」に声をかけた。

「今日は、どこを歩いたか思い出せる 来た道をはじめから歩いおみようよ」

「小さな私」は銖をふっお、たた泣きそうな顔になった。私っおこんな感じだったんだ。

「心配いらないよ お姉さんに任せお」

私は「小さな私」の手を匷く握った。「あの時」、どこをどう歩いおたんだっけ。腕の䞭の枩もりを抱きしめながら、懞呜に「あの時」の蚘憶を蟿った。

「ミミ」を远いかけた堎面はよく芚えおいる。小さなお尻ず尻尟を倢䞭で远いかけた。でも、ダメだ。それしか思い出せない。あずは、綿あめがおいしかったこず。綿あめが嬉しくお蚘憶が飛んでいる。

小さな声で、腕の䞭の「ミミ」に話かけた。「あなたは、なにか芚えおないの」。「ミミ」は、クリっずした目で私を芋䞊げるだけだ。この子の匂い、この子の䜓枩がただ愛しい。

「おねヌさん」
「なぁに」
「おねヌさんっおお排萜だね。髪の毛もキレむ。倧人になったらわたしもそうしたい」

圌女は私の金髪をキラキラした目でみおいた。すっかり頌り切っお、安心しおいるかのようだった。ねぇ、「小さな私」。もう少しだけ、あなたも頑匵っお来た道を思い出そうよ。

「あっ、埡守りを買っおもらった」
「いいわね。それはどこ」

「小さな私」は、たた銖をふった。きっず「今頃」は、お母さんず係の人たちが「小さな私」を探しお、倧隒ぎをしおいるはずだ。それが「今頃」ずいえるのかわからないけれど。早く垰しおあげなきゃ、たた「私」がこっぎどく叱られる。

「じゃあ、埡守りを買っおもらったずころを探そう」

埡守りが売っおるずころずいえば、きっず瀟務所だろう。行ったずころで䜕も倉わらないかもしれない。でも、じっずしおいるわけにも行かない。なにかしおなきゃ、「小さな私」も「私」も䞍安になる。私たちは、お祭りの賑やかな人たちの間を瞫うように足を進めた。

「あの時」のこず、迷子になった時のこずはやっぱり思い出せない。浮かぶのは「走っおいったミミのお尻」だけ。私はダメだ。あの「お姉さん」にはなれない。どうしよう。蟿り぀いた瀟務所の前のベンチに、二人で腰をおろした。私の顔を芋お「小さな私」が蚀った。

「おねヌさん、倧䞈倫」
「ぞヌきだよ、すぐにお母さんを芋぀けるからね」
「もしかしお、おねヌさんも迷子になっおない」
「なっおないよ。探偵みたいに考えおるずころ。たかせおよ」

綿あめを食べ終えた「小さな私」に、「ミミ」を枡した。「小さな私」が「ミミ」をギュっず抱きしめた。そうだよね、「小さな私」の倧切な「ミミ」だもんね。

迷子のはじたりは、走り出した「ミミ」を远いかけたこずだった。どこで走りだしたんだっけ 頭の䞭では「小さなお尻」がぐるぐるず回っおいる。

その次の蚘憶は、綿あめを食べた堎面になっおる。その次はずいえば、倧勢の人に囲たれお、お母さんに怒られた堎面だ。

怖かったし、恥ずかしかった。すぐ隣ではみんなが楜しそうに盆螊りを螊っおるのに、私だけが怒られおいた。怒っおるお母さんの髪の毛が挫画みたいに逆立っおたんだよ。ほんずに逆立぀わけがないから、あれは埌ろの朚のせいかな 。

埌ろの朚 そうだ 倧きな朚があった。あれは杉の朚だ。私はあたりを芋回した。瀟務所の先に、倧朚な朚がみえる。うろ芚えだけど、きっずあれだ。

私は「小さな私」の手をひいお、杉の朚の前ぞず歩いた。そこはお祭りの賑やかさからは、少しだけはみ出た堎所。本殿ずは別に摂瀟せっしゃずいうのか、小さな瀟があっお、その前に子䟛がやっず朜り抜けられるぐらいの小さな鳥居がある。

そうだ この鳥居だ。「ミミ」を远いかけお、この鳥居をくぐった。戻った時は、鳥居の反察偎から入った。そこからは杉の朚が芋える。お母さんを芋぀けたずきの景色だ ここで぀ながっおたんだ

私は小さな鳥居の埌ろにしゃがんで、内偎をのぞきこんでみた。鳥居の向こうに少しだけ色あいの違う景色がわずかに揺れおいる。

「ねぇ、この鳥居の䞭をのぞいおみお」

「小さな私」がこわごわず鳥居をのぞいた。

「あっ、お母さんが芋える」
「やったね もう倧䞈倫だよ。ここをくぐっおお母さんのずころにいこう」
「うん」
「早く行きな。迷子にならないようにここでみおるから」
「ありがずう」
「この鳥居をくぐったら、あなたを探しおる懐䞭電灯で照らされるからすごくたぶしいよ。それから、お母さんに叱られるかもしれないけど、それはあなたのこずが倧奜きで心配しおるからだからね」
「うん」
「あっ、ワンちゃんにも挚拶させお」

私はしゃがんで「ミミ」の頭をやさしく撫でた。
「ありがずう。ミミは、私を心配しお来おくれたんだね」

「ミミ」を抱いた「小さな私」は、振り向くこずなく鳥居をくぐっおいった。その姿は陜炎のように䞀瞬だけ揺れお、すぐに消えた。鳥居の反察偎にたわっおみたけれど、もう圌女の姿はなかった。恐るおそる手をくぐらせおみたけど、䜕も起こらない。

私は深呌吞をするず、瀟務所の前のベンチに戻っお腰をおろした。私はあの日、「未来」に行っおたんだ。今になっお気づくなんお。

今頃は、きっず「小さな私」は、倧勢に囲たれお、お母さんに叱られお泣いおるんだろうな。でも、倧䞈倫だよ。あなたはずっず先で「やさしいお姉さん」になれるんだから。頌りないお姉さんではあるけれど。

もう「答え」を探す必芁はなかった。「小さな私」だっお、「未来」に来お、無事に垰るこずができたんだ。頑匵っお、それでもうたくいかない時は戻っおくればいい。

答えはずっず「私」の䞭にあったんだ。


◆「犬守神瀟の物語」シリヌズ
犬守神瀟いぬもりじんじゃずいう䞍思議なこずが起こる堎所を舞台にした連䜜です。笑ったり、しんみりする物語が、ゞャンルを超えお玡がれるシリヌズ。単䜓でも完結するけれど、順番に読んでいくず物語のうねりが芋えおくるお話です

・犬守神瀟ずみかん风ず、ワワンのワン
・犬守神瀟ず倧きな耳の小さな犬ず、迷子の少女 ←今回
・犬守神瀟ず怪しい男ず、狛犬の前に座る犬
・犬守神瀟ず少幎少女ず、化石の森準備䞭
・犬守神瀟ず少幎少女ず、倏䌑みの探偵準備䞭


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ケむメむ 最埌たでお読みいただきありがずうございたした。チップしちゃおうかなず思ったら、迷わなくおいいんです。私がそっず背䞭を抌したすからね

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