発達検査の限界と結果の捉え方
保護者の方から、こんな相談を受けることが
あります。
「発達検査を受けましたが、思っていたよりも
IQが低くてショックでした。
家で見ていると、普通に生活ができているし、
検査ももう少しできるのかなって
思っていました。」
発達検査は子どもの理解力や得意・苦手を
知るための大切な手がかりになります。
しかし、発達検査の結果=その子のすべての能力 ではありません。
発達検査で測れないものがある
代表的な発達検査(知能検査)に、
WISCがあります。
WISCでは、
言葉で考える力
見て考える力
記憶する力
処理するスピード
などを評価します。
かなり多くのことがわかる検査ですが、
それでも測れない能力はあります。
例えば、
読み書きの力
計算能力
コミュニケーション能力
などは、十分に反映されないことがあります。
さらに、知的な活動に大きく影響する
意欲
集中力
不安の強さ
周囲の刺激への反応
こういった要素も、数値としては出てきません。
つまり、こういった要素に困難がある子は、
「能力が低い」のではなく、
検査場面で能力を発揮できなかった
ということ可能があるのです。
発達障害の子は実力より低く出ることがある
発達障害の傾向のある子では、
この問題が起こりやすいです。
ADHDの傾向がある子は、注意の集中が難しく、
長時間の検査時間の間、座っていることが難しい場合があります。
また、検査を受ける環境によっては、
集中が困難になるリスクも高いです。
(例えば、部屋の外の様子が気になるなど)
ASDの傾向がある子はの場合は、
検査で正確な能力を測定することはさらに
困難です。その理由のひとつが、
言語的コミュニケーションの難しさです。
例えば、検査でこんな課題があったとします。
「今から言う数字を、反対の順番で言ってね。2、3、5」
このとき必要なのは、
単純な記憶力だけではありません。
まず、
「反対の順番」とは何か
何を求められているのか
というルール理解が必要です。
ここでつまずく子がいます。
でも面白いことに、同じ説明を紙に書いて、
← 2 3 5
のように視覚的に示すと、
すぐ理解できる子もいます。
つまりその子は、
数字を操作する力がない
のではなく、言葉だけの説明が理解しづらい
だけかもしれません。
検査結果だけで決めつけない
ここで大切なのは、
検査結果を否定することではありません。
検査はとても有用です。
ただ、数値だけを見て、
「この子はIQ◯◯だからここまで」
と決めつけるのは危険です。
本当に見るべきなのは、
説明方法を変えるとできるのか
安心できる環境なら力を出せるのか
視覚支援があると理解しやすいのか
という部分です。
大事なのは「どうすれば力を出せるか」
支援で知りたいのは、
「この子の限界」ではありません。
知りたいのは、
この子は、どんな環境なら力を発揮できるのか?
ということです。
発達検査は、そのヒントをくれる道具のひとつ。
完璧な答えをくれる万能ツールではありません。
検査結果と同じくらい、
普段の様子
遊びの中で見せる力
家や園・学校での違い
を丁寧に見ることが大切です。
幼稚園や学校の先生から
「お子さんに合った関わりや支援をしたいので、
発達検査を受けてみてはどうでしょうか」
と勧められることがあります。
検査を勧められたとき、保護者の中では、
さまざまな気持ちが動きます。
・なぜ今なのか
・受けた方がいいのか
・どんな意図があるのか
このあたりは、
少し踏み込んで整理しておく必要があります。
こちらの記事にまとめていますので、
ぜひお読みください。
