外国人だけを厳しく見ても問題はなくならないんちゃうかな
永住許可の厳格化について考え、
外国人材業界のSNS発信にモヤッとした話
外国人の永住許可について、
審査基準を厳しくする方向で検討が進められていると報じられました。
収入。
将来の年金受給見込み。
預貯金などの資産。
日本語能力。
日本の制度や生活上のルールへの理解。
学齢期の子どもの就学状況。
現時点では改定後の基準や具体的な数値が正式に公表されたわけではありません。
「年収がいくら必要になる」
「厚生年金に何年間加入していなければならない」
「日本語能力試験の何級が必須になる」
そこまで断定できる段階ではないため、
必要以上に不安を広げないことも大切やと思います。
報道されている永住許可の厳格化の話と、
今回はもう一つのテーマはSNS上の発信の話です。
外国人本人に多くの責任や安定性を求めるのであれば、
紹介・雇用・支援する側の責任も同じように問われるべきなんちゃうかな。
今回の報道とSNS発信についてそんなことを考えました。
厳しくすることに反対ではない
税金や社会保険料を納めない。
在留資格のルールを守らない。
虚偽の申請をする。
不法行為に関わる。
こうした行為まで外国人だから仕方がないで済ませる必要はありません。
守るべきルールは守る。
違反があれば国籍に関係なく適切に対応する。
永住許可は在留期間を更新することなく日本で暮らし続けられる大きな許可です。社会保険料の納付状況、生活の安定性が慎重に確認されることにも理由はあると思います。
ただ、報道されている収入や年金の基準がそのまま運用されるとすれば、
少し心配になる部分もあります。
真面目に働いても届きにくい
仮に年収400万円前後が一つの水準になったとしても、
職種によっては簡単に届く金額ではありません。
仮に特定技能2号になって責任のある仕事を任されるようになっても業種的に年収400万円に届かない人が出てくる可能性ありますよね。
本人が努力していないわけではありません。
税金を払っていないわけでもない。
日本語を学びJLPT取得して長く同じ会社で働いている。
それでも働く業界の賃金水準によって永住への距離が変わってしまう。
本人の努力や昇進によって、収入を上げられる可能性はあります。
気合いと根性で年収を少し上げられると仮定して、
もっと頑張ればええやんと言うのは簡単です。
でもその業界の給与相場を一人で持ち上げるのは、
さすがに荷が重すぎませんか。
日本が人手不足を理由に外国人材を必要としている仕事ほど、
長く暮らすための条件に届きにくい。
そんな構造になるのであれば少しちぐはぐに見えます。
年金は分かりにくい
将来の年金受給見込額についても、気になる点がありました。
技能実習から特定技能へ移行した人の中には、
一時帰国などのタイミングで脱退一時金を受け取った人もいます。
当時は日本で一生暮らすつもりではなかった。
制度上、受け取れるものとして手続きをした。
その後、日本で働き続ける中で仕事に慣れた。
職場で信頼されるようになった。
家族を呼びたいと思うようになった。
このまま日本でと考えるようになった人もいるはずです。
最初から永住すると決めて来日する人ばかりではありません。
働きながら将来の考え方が変わる。自然なことやと思います。
もし過去に脱退一時金を受け取ったことが、
将来の年金見込額に大きく影響して永住へのハードルを上げるのであれば、本人からすると酷にも感じます。
具体的な計算方法や脱退一時金を受け取った人がどのように扱われるのかはまだ分かりませんし、正式な公表を待つ必要があります。
日本で頑張り続けようと思えるか
気になるのは永住許可を得られる人が減るかどうかだけではない。
今、日本で働いている人がこの先も日本で頑張ろうと思えるのか。
これから働こうとしている人が日本を選ぼうと思ってくれるのか。
そちらへの影響です。
申請手数料が上がる。
永住の審査も厳しくなる。
収入だけでなく、年金、日本語、資産、家族の状況まで確認される。
一つひとつにそれぞれ理由があるのは理解できます。
ただ、それが重なれば考え直す人は出てきますよ。
選ぶのは日本側だけではありません。
外国人側も給与や家族との生活、
在留資格の見通しを比べながら働く国を選びます。
永住できる水準の能力や収入がある人ほど、
日本以外の選択肢を持っている可能性もあります。
制度を厳しくした結果、
日本が必要としている人材まで遠ざけてしまえば、
その影響はいずれ日本の現場にも返ってくるのではと感じます。
で、僕がモヤッとしたのはここからです
このSNS上の発信について触れるか、正直かなり迷いました。
誰かを攻撃したいわけでも、上から批判したいわけでもありません。
ただ、外国人材の仕事や生活に関わる一人として、
見過ごせない投稿が増えているのも事実です。
自分への自戒も込め、今回あえて触れたいと思います。
僕は最新の業界動向や情報収集でSNSを日課のように見ています。
そこで最近、どうしても引っかかる投稿がいくつかありました。
※投稿者やアカウントが特定されないよう、
アカウント名、アイコン、投稿日時、文言などに加工を施しています。

この投稿だけでは、すべての事情は分かりませんよ。
もしかしたら僕が知らない背景もあるのかもしれない。
ただ外国人材の紹介や支援に関わる立場として、
こうした発信を見ると正直しんどくなります。
「外国人が86人余っています」
僕も候補者数や採用予定人数を数字で伝えることはあります。
余っているって人を在庫のように扱う響きが…。
結局これはどのような在留資格の人をどのような雇用につなげようとしているのかも見えてきません。
ほんでびっくりしたのはこちらです。
「オーバーステイの人、相談に乗ります。DMください」

適切な機関や専門家につなぐためならまだ分かりますよ。
いわゆる不法滞在者を集めて、仕事の紹介や就労につなげようとしているのであれば、これはグレーでは済みません。
それでもこれは真っ黒な案件の匂いがするやろとかなり警戒しました。
投稿だけですべてを断定することはできませんが、
「とりあえずDMください」で済ませてええ話ではないことは確か。
匿名性を逃げ道にしてない?
SNSは会社名も個人名も出さずに発信している人がいます。
匿名で発信すること自体を僕は否定しません。
実名で発信できない事情もあるのかもしれない。
会社の方針で名前を出せない人もいると思います。
外国人本人が安心して相談するために匿名を選ぶこともあります。
匿名だから信用できない。
実名だから正しい。
そんな単純な話ではありません。
ただ、その匿名性を逃げ道にしている人がおる。
過激なことを書いても批判されたら消せば終わり。
誰が発信したのか分からない。
どの会社が責任を持つのかも分からない。
その状態で外国人の仕事や在留資格、人生に関わる情報を扱う。
それを責任回避のために使うのであれば話は別やと思います。
制度を理解し、間違ったことをしていないという自信があるなら、
堂々と説明してもいいんちゃうのん?
なぜ運営者や会社情報を出せないのか。
何か表に出せない事情があるのではないかと、
正直、勘ぐってしまうこともあります。
これは外から投稿を見た僕の感想です。
実際の事情までは分かりません。
匿名性が強いほど発信する内容には、より丁寧な説明と責任が必要になるのではないのかと感じます。
良いことを言っていても返信がこれでは…
また別の投稿では、
外国人を採用して終わりにしない
そんな会社と一緒にされたくない
定期面談を通じて、入社後もしっかり支援する
管理責任を持つ。それが私たちの仕事
という内容が発信されていました。
そこだけを見れば、まともな登録支援機関がとても大切なことを言っていると思います。

ところが批判的なコメントへの投稿者の返信が、
「黙れ」
「ほざくな」
でした……。

噓やん…さすがにこれはアカンやろと思いました。
SNSには時に失礼なコメントもあると思います。
事実と違うことを言われれば、腹が立つこともあります。
僕も返信コメントを書いてから、送信せずに消したことがあります。
送らなかった判断は正解やったと思います。
幸いなことに僕はnoteを中心に発信していることもあって、
強い言葉を向けられる機会はそれほど多くありません。
それでも発信を始めた頃は、
外国人受入れに強く否定的な方からコメントもありました。
それでもその人が何を不安に感じているのか。
なぜ、そう考えるのか。
一度はきちんと読んでこちらの考えを返すようにはしています。
人間ですからお互いに分かり合えないこともあります。
相手の考えを変えられないこともある。
僕の考えも変わらないかもしれません。
それでも「そういう見方もあるんやな」と、
考え方の違いに気づくことはできるかもしれない。
SNSでの対話はそのくらいでも十分やと思っています。
あまりにも話が噛み合わないときはそっと閉じます。
対話も大事ですが、閉じるボタンも大事です。
通訳ができれば支援ができるわけではない
もう一つ気になったのが定期面談の通訳募集です。

母国語で相談できることには大きな意味があります。
日本人には話しにくいこともあるでしょうし、
文化的な背景を理解してもらえる安心感もあります。
ただ、通訳ができることと支援ができることは別です。
例えば、本人がこう話したとします。
「給与が聞いていた金額より少ないです」
「残業代が合っていない気がします」
この言葉を日本語に置き換えることは通訳です。
支援はそこからがスタートです。
雇用条件書や給与明細を確認する。
控除の内容を見る。
本人の理解違いなのか、企業側の説明不足なのかを整理する。
在留資格上、何ができて、何ができないのかを説明する。
必要に応じて、企業や行政機関、専門家につなぐ。
そこまで含めて支援です。
留学生に通訳をお願いすることが問題ではありません。
資格外活動や原則週28時間の範囲内であれば違法でもなんでもない。
でも特定技能に有給取らせて募集はアウトでしょ。
ほんまどうなっているん??どんな業者がどの感情で募集してるのか…
特定技能制度や労務上の論点を理解していない人に、
通訳だけでなく面談そのものまで委ねてしまうのはどうなのか。
「困っていることはありますか」
「大丈夫です」
「では、面談終了です」
これでは本当に困りごとがなかったのか。
言いにくかったのか。
質問の意味が伝わっていなかったのか。
そこも分かりません。
面談をした記録だけが残り、問題はそのまま残る。
それやと本人にも企業にも良くありません。
外国人材を支える側の発信
SNSで外国人への寄り添いや安心を伝えていた人が、
批判的なコメントを受けた途端、一気に沸点を超えてしまう。
これはわざと炎上を狙っているのか。
ほんまに腹が立って、感情を抑えられなかったのか。
そこまでは分かりません。
どちらであっても外国人材を支援する側の発信としては、
そんな投稿は辞めてくれよ…と思います。
それまでどれだけ良いことを伝えていても、
コメント欄で強い言葉をぶつけてしまえば、
先ほどまでの話まで軽く見えてしまいます。
SNSでは刺激の強い言葉の方が目立ちます。
会社名も顔も出していない匿名の投稿であっても、
業界の外にいる人からすれば、
「外国人材を扱う会社=こういう感じ」
と、一緒くたに受け取られてしまうこともあります。
これは一部の人だけですと言ったところで、真面目に支援している会社も、
そうではない会社も世間から見れば区別できません。
僕も気づかないうちに発信を間違えてしまうかもしれません。
自分への戒めも含めて、誰かの人生や仕事に関わる立場なら、
発信する言葉には責任を持たなあかんと思っています。
炎上目的であっても、感情を抑えられなかっただけであっても、
外国人材支援の業界にとって良い見え方ではありません。
世間から見れば、僕も同じ外国人材の業界。
同業者としてほんまにやめてほしいです。
外国人だけ厳しく見ても問題はなくならない
永住許可の審査を厳しくする議論と、
外国人材業界のSNS発信について触れてきました。
二つは別の論点ですが残る問いは同じ。
外国人に納税や年金、日本語、生活の安定まで求める。
では外国人を紹介、雇用、支援する側、
自分たちの仕事や言葉にどこまで責任を持てているのか。
制度を理解すること。
正しく説明すること。
面談を形だけで終わらせないこと。
人を在庫のように扱わないこと。
発信する言葉にも責任を持つこと。
僕もその責任を問われる側の一人として、自分はできていると決めつけず、
支援の中身も発する言葉も見直していきたいと思います。
──外国人材、現場からは以上です。
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