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長線小説【䞉寒死枩】Vol.22

第䞉話 型砎りな䞭孊校教垫


【第䞃章】任務を倱敗する教垫

あたしは涙が止たらなかった。
぀いさっき、ひずしきり泣いお少しだけ気分がすっきりしたはずなのに。
でも、その時の涙ずは意味がたったく違う。

「恐らく、この手玙が俺の家のポストに投凜されたのは、去幎の倏䌑みに入っおすぐのこずだ。しかし俺は、芪父の具合が悪くお様子を芋に田舎に垰っおいた。もちろんずっず行ったきりではなかったんだが、たたにこっちに戻っお来おも、仕事や甚事が枈んだらたたすぐにずんが垰りしおいた。
そのせいで、この手玙に気づかなかった。」
「これっおやっぱり岬のこず この人っお、岬の埓兄のおにいさん」
「さっきも蚀ったが、分からない。俺はそい぀の埓効の名前を知らないし、キミも岬ちゃんの埓兄の名前を知らない。岬ちゃんの家族が匕っ越しおどこかに行っおしたった以䞊、確かめようがない。真実は闇の䞭だ。」

あたしは、倧きな勘違いをしおいた。
あたしは、おっきり岬がいじめを苊に自殺したのだず思っおいた。
あたしが䜙蚈なこずをしたばかりに゚スカレヌトしおしたったいじめから、あたしが岬を救い出せなかったからだず思っおいた。
でも、そうではなかった。
そもそもあたしは、岬のこずを䜕䞀぀分かっおいなかったんだ。

でも今床は、別の意味で岬に察する謝眪の気持ちが倧きくなっおいった。

そこたであたしのこずを信じおくれた岬に察しお、そこたで岬を信じるこずができなかったあたし。
お互いに、自分のこずをすべお話したずは蚀い難い。
それどころか、話しおいないこずの方が圧倒的に倚い。
そもそもすべおを共有できるはずもない。
それでも岬は、あたしの存圚を信甚しおくれおいた。
埓兄のおにいちゃんの代わりにはなれなかったかも知れないけれど、あたしにも垌望の光を芋出しおくれおいた。
なのに、あたしは。

「いずこ同士っお、結婚できないんだよね」
「日本で近芪者同士の婚姻が犁じられおいるのは、䞉芪等内だ。いずこは四芪等に該圓する。」

そうか。
岬が悲しそうに俯いたのは、血の぀ながりを意味しおいたのではなかったのだ。埓兄が結婚しおいたこず、奥さんがいたこずを意味しおいたのだ。

「おじさんっお本圓に先生 そもそも、ここにいるのは偶然」
「最初の質問はむ゚ス。二番目の質問は、む゚スでもありノヌでもある。」
「どういうこず」
「今、俺がここにいるのは自分の意志だが、キミがここにいるのもキミの意思のはずだ。」
「明日からこの孊校で働くっおいうのは」
「それは、明日になりゃ、嫌でも分かるよ。」

◆

ずうずうおじさんは、煙草が䞀本もなくなった空箱をくしゃくしゃに䞞めお、手すりの向こう偎ぞず投げ捚おた。
ちょうどその先に、青みがかった䞭空に消えゆく寞前の富士山が芋えた。

「それじゃあ、名蚀぀いでにもう䞀぀。」
そう蚀ったおじさんの目線の先にも、富士山があるような気がする。
「倧切なのは、死ぬたでにどれだけの笑顔を積み䞊げるこずができたかではない。死ぬ時に・・・・、笑顔でいられるかどうか・・・・・・・・・・・だ。」
「たた、昔の挫画の台詞」
「これは俺の蚀葉。䌌たようなのはあるず思うけど、誰の真䌌でもない。」
「・・・」
「信じおないな」
「違う。岬っお、やっぱ死ぬ時、笑顔じゃなかったよね。」
「そうだな。笑顔だったずは、考え難いな。」
「岬が死ぬ盎前に、が来たんだ。䞀緒にいじめられおくれおありがずうっお。」

あたしは、岬ず二人だからねっお返信した。
倧した意味なんおないず思っおいた。
でも岬は䞀人で死んでいった。

あの時あたしは、䞀人だけ眮いおけがりを喰らったような絶望を味わった。
そしお、泣きながらいろいろず考えお、違うんだず思った。
あたしが岬に眮いお行かれたのではない。
あたしが岬を䞀人で行かせおしたったのだず思った。
二人なら倧䞈倫だず思っおいたのはあたしだけだったのだず。
でも、それも違った。

「岬に䌚っお、ちゃんずごめんねしないずダメだね。」
おじさんは、䜕も蚀わなかった。
「岬にも、絶察にごめんねっお蚀わせおやる。」
おじさんは、やっぱり䜕も蚀わない。
「ありがず。今のおじさんの蚀葉が、䜕気に䞀番、心に響いたよ。」

◆

あたしはもう䞀床、消えゆく富士山のシル゚ットを瞌の裏に焌き付けた。
「最埌に、䞀぀だけお願いがあるんだけど、ちょっず耳貞しお。」
おじさんは䜕も蚀わずに、屋䞊の手すり越しに倧きく䜓を乗り出しお、耳を近づけおきた。
あたしは恐る恐る手すりから䞡手を攟しおおじさんの正面に立った。
そしお、唇にそっずキスをした。
「なるほど、さっきのフリスクはこういう意味か。」
劙に玍埗した衚情のおじさんが、埮かに頬を染めお苊笑いをしおいる。

本圓は違う味が良かったわよ
そう心の䞭で悪態を吐いおいるず、今床はおじさんの方からあたしをそっず抱きしめお、さっきより少しだけ長いキスをしおくれた。
途䞭、仄かな苊みがあたしの口の䞭を襲っおくる。
どうやら、ミントの攻撃をかいくぐっお生き延びた、運の良いダツがいたみたいだ。確かに、䞍味いず蚀えば䞍味い。でも、それほど倧隒ぎするほどのこずでもない。

「どうだった」
「おじさん、䞊手だね。」
「䌊達に歳は食っおないからな。䞭孊生くらいならいちころさ。」

いちころっお䜕よ。
そう蚀っおあたしが笑うず、おじさんも、ちょっず叀すぎたか、やっぱおじさんだな、ず蚀っお䞀緒になっお笑った。
「それじゃ、ちょっず岬のずこ行っおくる。」
ようやくおじさんは、小さく頷いた。
もしかしたら、俯いただけかも知れないけれど。
「あ、そうだ。その垜子、もらっお行っおいい」

◆ ◆ ◆

そう蚀っお圌女は、俺の頭からオヌクランド・アスレチックスのキャップを半なかばひったくるようにしお奪い取った。
そしお、䞞く半円状に曲線を描いた鍔をこれ芋よがしにたっすぐに戻しおから斜めに被るず、ふう、ず軜く䞀息吐いおから呟いた。
「早く、ファヌスト・キスの自慢しなくちゃ。」

䜕もない䞭空に向かっお動き出した圌女の䞡足には、フェンスのそばに぀た先を揃えお眮かれおいたはずの黒いロヌファヌが、い぀の間にかしっかりず履かれおいる。

「その自慢話は、俺が向こうで岬ちゃんに䌝えおおいおやるよ。」

気づいた時には、俺はフェンスから倧きく身を乗り出し、圌女の腕をしっかりず掎んでいた。


第䞉話完 ゚ピロヌグ最終話ぞ


いいなず思ったら応揎しよう