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【新連茉】小説「LOVERS」新時代の綺矅星きらがし線①幞せな日垞に忍び寄る圱

月日より、「LOVERS」シリヌズ〜新時代の綺矅星きらがし線〜、連茉スタヌトです。こちらはシリヌズ前䜜「星の欠片かけら線」の続きにあたりたす。

星の欠片線、抂芁
思いがけず、「星の欠片」である子䟛を授かるこずになったさくらずリオン。しかしその子は、神さたから二人に蚗された「救䞖䞻」でした  。




リオン『ワラむバ』に忍び寄る “黒い圱”

 こんなに長期間、停電しおいるなんおおかしい。本圓はずっくに埩旧しおいるが、誰かが独占しおいお「未だ䜿えない」ず嘘を぀いおいるんじゃないか――。

 人々の間でそんな噂がたこずしやかに囁かれ始めたのは、停電しおからちょうど䞀幎が経぀頃。本栌的な倏を迎える前の、梅雚の走りの頃だった。

 暑さが極たる昚幎の倏は、停電のせいで冷房が䜿えずに倚くの呜が倱われた。その蚘憶ず恐怖が人々を䞍安にさせるのは圓然のこず。もうあんな経隓は懲り懲りだ。いい加枛、もずの暮らしに戻りたい。囜は䞀䜓䜕をやっおいるのか  。囜民の䞍満ず怒りは爆発寞前のずころたで来おいる。

 䞀応、生きるのに最䜎限の電氣は䜿えおいる。しかし、か぀おのように、無尜蔵に䜿える状況には皋遠い。これに察し政府は、ラゞオや新聞等で䞀貫しお「電力の埩旧に党力を䞊げおいる」ず説明するばかりで具䜓的な時期を瀺さない。同じフレヌズの繰り返しに、人々の䞭には諊めの念を抱き始める者すらいる。

 今日もたた䞀人、そんな人がここ『ワラむバ』にやっおきた。

「もう、囜がなんずかしおくれるのを埅っおいたら死んでしたう。藁にもすがる思いでここに来たした。  本圓にここでは、電氣もお金もなしに暮らせるんですか」

「もちろん。ただし、芞術ずか特技ずか、呜を぀なぐものを互いに亀換するのが䞀応の条件だけど、たぁ、こんな䞖の䞭だから、ここにたどり着いたのもなにかの瞁っおこずで、今は䜕もしなくおも倧䞈倫。奜きなだけいおいいよ」

「なんおお優しい人なんだ   ありがずうございたす  」
 男性は倧いに感動し、䜕床も頭を䞋げおワラむバの䞀角に腰を䞋ろしたのだった。





 声高には蚀わないが、おれはこの「停電隒動」の裏で䜕が起きおいるのかを知っおいる。ピアノを匟いおいるずきにだけ、時々ではあるが神の啓瀺が降りおくるからだ。

 停電の理由。それは、䞖界をAIで牛耳ろうずする組織による電力の独占。そう、人々が噂しおいるずおりだ。神はその事実を、ピアノの響きでおれに教えおくれた。

 神によれば、その組織は海の向こう偎に存圚しおいるずいう。海の向こうの組織がなぜ日本を停電させるんだ ず思うだろうが、圌らは他囜から奪っおでも電氣がほしいのだ。

 なぜ 答えは簡単。AIをストレスなく動かしお䞖界のトップであり続けるためだ。もはや自囜の発電所だけでは、倧量の電氣を食うAIを動かすこずができない。しかし、発電所を建蚭するのには時間がかかる。ならば手っ取り早く他囜から奪う。それが海倖のやり方なのだ。

 AIそのものではなく、AIを動かしおいる人間によっお䞖界を支配される時代が来るなんお皮肉だよな。でも、それがたかり通るのがこの䞖の䞭だ。

 そうは蚀っおも、おれたちの憩いの堎『ワラむバ』だけは、そばにある湖畔の氎面のように穏やかだったんだ、、、、、。圌らがおれたちの「聖域」に氣づき、螏み荒らそうず魔の手を䌞ばしおくるたでは。




さくら 闇をも照らす赀ちゃんの埮笑み

 神さたから授かった愛嚘、冬月ふづきちゃんは䜕から䜕たで他の子ずは違う。よく眠る手のかからない子、ず蚀うだけではない。生埌ヶ月をすぎたころには銖が完党に座り、盎じきにヶ月になろうかずいう珟圚にはもう、這いずり回っお今にも立ち䞊がろうずさえしおいるのだ。

 ワラむバに出入りする先茩ママたちも驚きを隠せない様子だが、「時たたありえない発育速床の子もいるから、冬月ちゃんはきっずそっちのタむプなのよ」ず、我が子の成長を「個性」ずしお受け止めおくれる。そう、倖では「異垞」ず捉えられるこずも、ここでは「みんな違っおみんないい」。それがここ『ワラむバ』で暮らす人の考え方。本圓にありがたいこずだ。

 もちろん私は、なぜこんなにも早く成長するのかを知っおいる。胎内にいるずきからずっず蚎えかけられおきた、「日でも早く成長しお、ママたちず䞀緒に䞖界を良くしたい  」ずいう圌女の思いが、今たさに珟実のものになっおいる、それだけのこず。でも、呚囲には話さない。これは私たち芪子だけの秘事ひめごずにする぀もりでいる。


◇◇◇

 この囜で生きるこずがいよいよ厳しくなる䞭で、ワラむバに救いを求める人は倚い。ここで快適な暮らしができるず知った人が玔粋な心の持ち䞻なら、もちろん誰でも歓迎する。だが、名が知れればどうしおも色んな人がやっおくる。

 激しい雚が降る䞭、その女性は真っ黒な服ず真っ黒な傘を差しおワラむバに珟れた。
「わたくし、こういうものです  」

 差し出された名刺には、『再生゚ネルギヌ掚進事業委員䌚』ずいう立掟な団䜓名が倧きく印字されおいた。女性の名前は、銙府こうふさやか。だが、開かれたたたの傘の䞋の顔は未だ刀別できない。声の感じから想像するに、歳くらいだろうか。

「あの  。䞀䜓どのようなご芁件でしょうか ここは芞術家の集たる堎所。倱瀌ながら、あなた様のような方が来る堎所では  」

 冬月ちゃんを抱きかかえたたた、できるだけ䞁寧な口調で告げるず、女性は勢い良く傘を閉じ、ニダリず笑った。

「日本䞭が停電しお生きるこずもたたならない状況䞋においお、あなた方は平然ず『電氣』を䜿っお生掻しおいる  。そのような情報が圓方に入っおおりたす。珟圚、皌働する発電所で䜜られるわずかばかりの電氣を、党囜民に均等に行き枡るよう送電しおいるのはご存知ですね 皆、その電氣を呜綱になんずか暮らしおいる䞭、あなたたちだけはなぜか快適に生掻できおいる  。それは、電氣を䞍正利甚しおいるからですよね」

 確かにここ、ワラむバでは「電氣」を䜿うこずができる。だがそれは、リオンくんが玔粋な想いでピアノを匟いたずきにのみ生たれる、ほんのわずかな電氣゚ネルギヌ。私たちは『愛の゚ネルギヌ』ず呌んでいるが、それを蓄電噚や冷暖房機噚に送り、必芁に応じお䜿甚しおいるだけ。決しお「䞍正利甚」などではないし、こっちだっお、生きるのに必死なのは同じだ。

「違いたす  」
 迷いなく返答した぀もりだったが、盞手の嚁圧的な態床に少し声が震えおしたった。盞手はそれを聞き逃さなかった。

「䜕か、隠しおいたすね 調査させおいただいおもよろしいでしょうか」

「    」
 真っ黒なその瞳に怖氣づきそうになった時、腕の䞭の冬月ちゃんが急に動き始めた。

「おんり、おんり  」

「えぇっ   お、䞋ろしおほしいの」
 急に発話したこずにも驚いたが、今はそんな状況ではない。蚀われるがたた、足元に䞋ろす。するず圌女はニコニコしながら女性のそばに這い寄り、その足を掎んで立ち䞊がったのだ。

「ちょっ、なんですか、この子は   あっちぞお行き」
 赀ちゃんが苊手なのだろう、女性は足を動かしお冬月ちゃんを振り払おうずした。けれど、圌女は女性を笑顔で芋䞊げ続けおいる。

「あ、あなたもがさっず立っおないで、この子を抱き䞊げおちょうだい  」

 女性が冬月ちゃんに恐れをなしおいるのが分かった。が、敢えおそのたた芋守る。するず、芋蚈らったように、アトリ゚からリオンくんの匟くピアノの音が聞こえおきた。倖の雚が倧地を最すような、しっずりずした優しい音色が。

 その瞬間、女性の目の色が倉わった。もう、ここには䞀秒もいたくないずいった衚情で女性は蚀う。

「  今日はこれで倱瀌。たた埌日、改めお䌺うこずにしたす」

 私はそこで冬月ちゃんを抱き䞊げた。足元にたずわり぀く赀ちゃんがいなくなっおホッずしたのか、女性は逃げるように玄関を出おいった。

「ありがずう、冬月ちゃん。ママを助けおくれお」
 私は圌女をぎゅっず抱きしめた。

「やっぱり、あなたに笑顔を向けられた人は、どんな人でも心を芋透かされおしたうのね。あの人、あなたのこずをずおも怖がっおいたわよ フフ、芋た目は赀ちゃんなのにね」

 ――ママ、あの人には氣を぀けお。あの人、ここをめちゃくちゃにする぀もりだよ。

 心の䞭に、冬月ちゃんの「声」が響いた。その内容に、身を匕き締める。
「教えおくれおありがずう。でも、倧䞈倫。ここは絶察に守る。もちろん、あなたのこずも」

 唐突に、あの女性の真っ黒な瞳が脳裏によみがえっお怖くなる。しかし雚音ず、鳎り響くリオンくんのピアノの音が、少しず぀、だが確かに私の心を癒やしおくれた。



ここたでのお話ず䞖界芳はこちら

ある日を境に突然、電氣が䜿えなくなっお、はや䞀幎。生き延びた人たちは、自然ず互いに手を差し䌞べ、助け合いながらなんずか呜を぀ないでいる――。

犏岡の田舎町にひっそりず存圚する芞術家の憩いの堎『ワラむバ』。ここにアトリ゚を構えるアヌトパフォヌマンスナニット『サクラむロ』の音村おずむらリオンピアニストずさくら画家、そしおその子䟛の冬月ふづき倩からの授かりものは、芞術家仲間や「垞識はずれ」な圌らの理念を理解する仲間ずずもに生掻しおいる。ここでは、それぞれの芞術䜜品や持ち寄った野菜などが「貚幣」のかわり。人々はそれらを亀換するこずで粟神を満たし、心を通わせながら生きおいる。

ここ、ワラむバでは愛ず調和が䞖界を回しおいる。ひずたびリオンがピアノを匟けば、「人々を癒やし、救いたい」ずいう『愛の゚ネルギヌ』が、䞀぀の照明を灯ずもす゚ネルギヌを生む。たた、さくらがキャンバスに色を乗せれば、その優しい色圩が芋るものの粟神を萜ち着かせる。冬月に至っおは、そこに存圚しお埮笑むだけで、冬なら呚囲を暖かく、倏なら涌しくさせお人々を心身ずもに安心させる。

音村おずむら䞀家ず圌らが暮らす『ワラむバ』は、いたや犏岡のみならず、党囜、果おは䞖界にたでその名を蜟かせおいる。


第二話はこちらから


補足
前䜜「星の欠片線」第話にお、『博倚駅前でリオンがピアノを匟いた際、クリスタルギタヌに電氣を䟛絊するこずができおラむブを成功させた』ずいう奇跡の゚ピ゜ヌドを、こちらでも匕き続き䜿甚しおいたす。初めお読んだ方で、䞖界芳がよくわからなかったずいう方は、ぜひ前䜜話も読んでみおください かっこいい、ギタヌずピアノセッションも聎けたす



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