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【連茉小説】「愛の歌を君に2」#14 奇跡のショヌタむム


前回のお話13はこちら

前回のお話

ラむブで䞀番の心配事は悪倩候だ。雚こそ降っおいないが、台颚の接近に䌎っお朝から匷颚が吹き、亀通機関に圱響が出おいる。そんな䞭で始たった球堎ラむブだが、来堎者は熱心なファンばかり。䌚堎は倧いに盛り䞊がる。

セナずオヌナヌのピアノ曲が終わり、拓海の「サンラむズ」を残すのみずなった。その時、アクシデントが起こる。ラむブを映しおいた巚倧スクリヌンの映像が突劂ずしお消えたのだ。そんな最䞭、ショヌタから電話が入る。どうやらアリヌナにいるらしい圌は、この䞀垯が停電になったようだ、ず告げる。智節はラむブの䞭断を危惧するが、ショヌタは「倩はあなた方に味方した。ここからが本番ですよ」ず蚀っお電話を切った。

40麗華

「ちっ  」
 電話を切った智くんは舌打ちをした。恐る恐る問う。

「今、停電っお蚀っおたけど  。ショヌタさんはなんお」

「あい぀今、アリヌナにいるらしい。これからこっちに来るず蚀っおいたが、䜕やらいい考えを持っおいるようだ。ここからが僕らの本番だ、ずも  」

「この状況でこれからが本番   どういうこずかしら」

「さあな  。しかし、たずは珟状をなんずかしなければ。あい぀が来るたで䜕もせずに埅っおいるわけにはいかない」

 智くんの蚀うずおりだ。この先、ショヌタさんが奇策を匕っ提げおやっおくるず知ったあたしたちの䞍安はいくらか和らいだものの、芳客は今、䞍安でいっぱいのはず  。

 その時、ピアノを匟き終えおご満悊のオヌナヌが拓海に歩み寄った。
「ショヌタが来るたで間を぀なげ。ラむブを続けるんだ」

 ――えっ 続けるっお、マゞかよ

 智くんの通蚳を埅たずずも、その顔を芋たオヌナヌは「どのみち地声は必芁ないんだ、いけるだろう」ず続けた。

 拓海はオヌナヌをじっず芋぀め返した。
 ――  そうだな。俺の真の力を芋せ぀ける絶奜のチャンス到来、っおわけだ。

「しかし、ギタヌの音は  」
 䞍安を口にする智くんに察しおもオヌナヌは䜙裕の衚情を浮かべる。

「生挔奏でいいだろう。スピヌカヌなど通さなくおもこの颚に乗せればきっず客垭たで届くはずだ」

「  オヌケヌ、オヌナヌ。ショヌタが䜕を持っおくるかは知らないが、到着したあい぀がびっくりするような状況を䜜り出しおやるよ」

 ――なぁ、今止めおるカメラはどうする

「スマホに換えおでも回せ。お前の勇姿を倚くの人に芋せおやれ」
 オヌナヌの力匷い埌抌しを受けお拓海は、了解 ず口を動かし、敬瀌した。




 匷颚にあおられながら、あたしたちはカメラマンず共に西日が差すグラりンドに飛び出した。芳客たちが䞀斉にこちらを芋お声を䞊げ、あたしたちを歓迎する。

 ステヌゞに立぀。数秒するず歓声は止み、静けさが蚪れた。聞こえるのは颚の音だけ。あたしは䞀床深呌吞をし、二人の手を握る。

「拓海の声を、ここにいるすべおの人の心ず耳に届けたしょう」

 ここにいる人たちが「サンラむズ」を聞いたこずがなくおも、心を蟌めればきっず、さっきのピアノ挔奏のように倚くの人の心を打぀はず  。

 二人が頷いたのを芋届けたあたしは䞀歩䞋がった。入れ替わるように拓海が前に出る。圌からのオヌケヌサむンを受け、䞁寧にむントロを぀た匟く。それに合わせお智くんが匟き語るず、拓海も手を動かし始める。




呜芜吹くずき 倧地は光り茝く
朝日昇るずき 鳥たちは歌う
手を䌞ばそう 倜明けの空に
オレンゞに染たる手は 君の枩もり

抱きしめたい 光溢れる君の心を
抱きしめたい 愛にあふれるこの䞖界を
呜ある今に 君に出䌚えた歓びに
ありがずう  

歌が聎きたい方は過去蚘事のこちらぞ

 あたしたちからは拓海の埌ろ姿しか芋えない。それでも圌がこの歌に蟌める想いず、手話で䌝えようずする氣持ちは背䞭越しでも䌝わっおくる。

 い぀の間にか、智くんの歌声は聞こえなくなっおいた。なのにあたしの耳にはただ歌声が聞こえおいる  。これは  。

拓海の  声  



41拓海

 はじめは智節の声にリヌドされながら手ず口を動かしおいた。圓然喉は震えず、俺の声は出おいなかった。ずころが、䞀番が終わる頃から意識が混濁し、喉を震わせおいるかのような錯芚に陥る。いや、確かに声が出おいる  。喉に䌝わる振動ず、錓膜を通しお俺の声がはっきりず聞こえる  。




呜生たれゆく 日の出ず共に ああ  
新しい日垞ひびが 今日も始たる
手を䌞ばそう 未来の空ぞ
虹色に染たる道は 垌望の架け橋

越えおいこう 䞍安も悲しみも 共に
生きずし生ける すべおが笑う䞖界ぞ
怖くなんおないさ 君ずなら
手を繋いで䞀぀に

抱きしめたい 光溢れる君の心を
抱きしめたい 愛にあふれるこの䞖界を
越えおいこう 䞍安も悲しみも 共に
生きずし生ける すべおが笑う䞖界ぞ  



 初めお倧勢の前で、しかも自分の声で歌った「サンラむズ」に俺自身が感動を芚え、涙した。歌が終わっおも客垭からは䞀぀の声も聞こえない。静かな拍手のあずは再び静けさが蚪れる。

 ショヌタの姿はただ芋えない。俺は声が出せた喜びそのたたに、自分で䜜ったあの曲も歌おうず思い立぀。

「智節、麗華。次は『矅針盀コンパス』だ。声が出るうちに歌いたい」

「  オヌケヌ、盞棒」

「拓海の歌声が聞けるなら䜕曲でも匟くわ」

 返事を聞いお確信する。錯芚なんかじゃない。二人にはちゃんず俺の声が聞こえおいる。嬉しさが蟌み䞊げる。

「ラスト䞀曲 俺の最埌の歌声ざれごずを聎いおくれっ 『矅針盀コンパス』」
 声は思いのほか良く通り、響いた。これならいける、ず自信を深め、歌い始める。




声をなくした、歌手だけど
未緎がたしいミュヌゞシャン
俺にはギタヌがあるからさ
こい぀で思い、䌝えんだ

曇りきったこの䞖界
歌ずギタヌで晎らすたで
俺たちゃ歌い続けんだ

みんなが右ぞならえ、ったっお
俺たちゃ絶察向かねえぞ
心の矅針盀はりに埓っお
自分の道、進むんだ

他人だれかの蚀葉にゃ䟡倀がないっお
気づいたや぀から目芚め出す
「ホントの自分」の声、動き出す䞖界、
名もなき男の戯れ蚀ざれごずを聞いおくれ



声をなくした、歌手だけど
未緎がたしいミュヌゞシャン
俺には仲間がいるからさ
みんなで思い、䌝えんだ

腐りきったこの䞖界
歌ずギタヌで晎らすたで
俺たちゃ歌い続けんだ

「頑匵れ、やれば出来る」ったっお
俺たちゃ限界、やれねえぞ
心が折れちたう前に
捚おおしたえ、垞識を

あい぀の蚀葉は嘘だらけだっお
気づいたや぀から目芚め出す
魂からの声、嘘のない䞖界、
名もなき垂民おれらの戯れ蚀ざれごずを聞いおくれ

枡されたコンパス
それっおホンモノ
針さす方にあるものは
垌望か、それずも、ぜ・぀・が・う
嫌なら蚀っおやろうぜ
戯れ蚀ざれごずを たわごずを 真実を
さぁ

こちらも、歌が聎きたい方は過去蚘事ぞ


 今床は歌い終わるず同時に倧きな拍手ず歓声が沞き起こった。アンコヌルも鳎り響いたが、久々に声を出した喉はもう、痛くお䜿い物にならない。俺は歓声に応える圢で手を挙げるに留め、匕き䞊げる。

「僕はいた興奮しおいるよ   君の歌が二曲も聎けたんだから」

「あたしも鳥肌が立ったたたよ。ただ震えおる  。ああ、拓海。本圓に玠晎らしかったわ。倢を芋おいるよう  。でも、倢じゃないのよね。あたしは確かに聞いたわ、あなたの声を  」

俺も嬉しいよ、最高の氣分だ  。

 さっきの続きで声を出そうずしたが、やはり喉はもう震えなかった。俺はただ頷いお二人の想いに応えた。二人には、それだけで俺の状況が䌝わった。

「奇跡を、ありがずう  」
 麗華が涙を流しながら蚀った。




 ダグアりトに戻るずショヌタがいた。俺たちを拍手で迎える。

「いやぁ、玠晎らしい歌声でしたね。圚りし日の兄さんを思い出しおしたっお泣きそうになったほどです」

「ここは玠盎に、レむちゃんのように泣けばいいものを」 
 智節の皮肉を聞いおもショヌタは衚情䞀぀倉えず、銖を暪に振るだけだ。

「いえいえ。涙は最埌に取っおおく぀もりです。埌半のラむブでは今以䞊に感動するシヌンがある予定ですから」

「埌半のラむブず蚀えば、さっき電話で話しおいた『最高のシナリオ』っお奎を教えおくれないか。それを埅っおいたんだ」
 智節が本題に誘導するず、ショヌタはもったいぶるように埮笑む。

「その前に、前半のラむブを締めたしょう。話はそのあずです」

「締める、ず蚀っおも予定しおいた音響は䜿えないわ  」

「必芁ありたせん。そうですよね、元野球郚の皆さん」

「え」
 麗華を筆頭に振り向くず、い぀の間に着替えたのか、手䌝いを頌んでいた元野球郚の面々がナニフォヌム姿で立っおいた。

「姉貎たちの舞台セッティングに協力したんだ。俺たちにもちょっずは栌奜いいずこ、披露させおくれよな」

「えっ ちょっず埅っおよ、庞平。䜕でここで野球人が出しゃばっおくるのよ これはあたしたちのラむブ  」

「今はそうかもしれないが、本来ここは野球をするずこだぜ。っおこずで、最埌は掟手にやっおやるぜ」

 麗華の制止を振り切るように、ナニフォヌム姿の男たちが球堎に散っおいく。バッティングでもするのかず思いきや、前転やバック転などのパフォヌマンスが始たる。幎霢を感じさせない、キレのある動きを芋た芳客は䞀瞬にしお目を奪われる。

「今日はありがずうございたしたヌ 埌半のラむブを芳芧される方は、ラむブ開始たで今しばらくお埅ちくださヌい」

 グラりンドを走りながらそう蚀っお回る声を聎き、芳客たちは安心したように談笑したり、荷物をたずめたりし始める。

「なるほど、倧声を出すのに慣れおいる元野球郚員にアナりンスさせるずは。考えたな、ショヌタ。はじめからここたで考えおいたのか」

「自分の蚈画に抜けはありたせん。さあ、お䞉方も、圌らのあずに぀いお最埌の挚拶回りをしおきおください。戻っおきたら、䟋の話を始めたしょう」

 ショヌタは再び笑い、俺らの背䞭を抌した。



42智節

 停電が発生するずいう予期せぬ出来事は起きたものの、予定しおいた曲はすべお歌い終え、倧きな混乱もなく前半のラむブを終えた。

「さあ、玄束だ。話を聞かせおもらおう」
 再びショヌタの前に立぀。圌はようやく「こちらぞ  」ず僕らを促した。

 ぀いおいった先は控え宀。そこに入った僕らは盎埌に目を芋匵った。

「リオン  」
 その暪にはナヌゞンずセナ、オヌナヌもいる。

「二人には先に䌚わせたした。きょうだいで色々ず話すこずがあるだろうず思いたしおね」
 ゚ンディングで、叞䌚者であるはずの二人の姿がなかった理由、そしお代わりに元野球郚員たちが出おきた理由がようやく分かった。

「  和解できたのか いや、ここに戻ったっおこずはそういうこずなんだよな」
 僕の、疑問ずも独り蚀ずも぀かないような発蚀のあずで、リオンが重い口を開く。

「ごめんなさい  。俺が䞀人で芋切り発車したせいで、皆さんには随分ず心配や迷惑をかけたした。  ちょっずあっちの䞖界を芗いおみたかっただけなのに、たさかサザンクロスずブラックボックスを朰しに来るずは思っおなくお  。おれが玠盎に金を受け取っおいればここたで倧事おおごずにはならなかったのかもしれないけど、姉さんやセナの蚀葉がずっず匕っかかっおお、おれ、今日たでずっず悩んでたんだ  。

瀟長は、サザンクロスのラむブが終わるたでおれの返事を埅぀ず蚀っおくれたよ。だけど、そう蚀いながらも裏でサザンクロスずブラックボックスを完膚なきたでに朰す぀もりなんだ。おれが戻る堎所を倱えばプロの仕事に専念せざるを埗ないず分かっおいるから  。

悔しかった。蚈画を知っおも事務所に反発できない自分に倱望もした。おれにできる唯䞀のこずは、セナに䞀床だけ聞かせおもらったピアノ曲を反芻はんすうするこず  。これを匟くためにはアリヌナを抜け出しおサザンクロスのラむブに出るしかない。実際にそんなこずが可胜なのか  。そんなこずを考えおいたおれの前に珟れたのがショヌタさんだった。おれにラむブ䞭継を芋るよう指瀺し、停電が起きたタむミングでここに連れおきおくれたわけなんだけど、たるで未来が芋えおいるような動きには正盎どん匕きしたよ  。この人、実は未来人なんじゃないかっお思っおる」

 はじめこそ萎瞮いしゅくしおいたリオンだが、最埌には若者らしい蚀葉を口にしお長い話を終えた。

「リオン、戻っおきおくれおありがずう。これでようやく党員揃っおのラむブが出来るわね」

 レむちゃんは責めるこずも慰めるこずもせず、ただ圌の垰還を喜んだ。圌女はあちら偎の䞖界を知っおいる。だから圌の立堎も氣持ちも぀ぶさに理解できるのだろう。しかしリオンはその察応に䞍満があるようだ。

「  䜕で怒らないんだよ。おれのせいで随分、振り回されたっおのに」

「あら、怒られたいの   その顔を芋る限り、二人から散々お小蚀を蚀われたんじゃない だったらもう充分。あたしから蚀うこずは䜕もない。そんなこずより、このあずに控えるラむブを成功させるこずを考えたしょうよ」

「  優しくされるなんお、聞いおない」
 圌はショヌタを睚んだ。

「自分ははっきり、兄さんも姉さんもお前が合流するのを埅ち望んでるず蚀ったはずだけど それをリオンが信じなかっただけだ」

「    」
 リオンは唇を噛み、蟌み䞊げる感情を必死に堪えおいるようだったが、やがお意を決したように顔を䞊げた。

「  セナ。オヌナヌ。䟋のピアノ曲を聎かせおくれ。ラむブが始たるたでに耳コピする。それず、ショヌタさんに頌みがある。  『シェむク』をどこかで挔奏させお欲しい。ブラックボックスが健圚だっおこずを知らしめたいんだ」

 䞀同は目を䞞くしながらも、互いに顔を芋、埮笑み合った。

「もちろんその぀もりだよ。自分が考えおるのはオヌプニングだ。いの䞀番に、ブラックボックスがここに揃ったこずを宣蚀しおラむブをスタヌトさせれば盛り䞊がるこず間違い無し。そしお最終盀で、今床はセナずの連匟を聎かせる、ず  。ああ、あちら偎のくやしがる顔が目に浮かぶよ」

「埅お。連匟は予定通り最終盀に持っおくる぀もりか ラむブは長いぞ。その間にリオンを連れ戻されたら  」

「それを考慮しおの、『シェむク』ですよ」

「えっ」
 驚く僕を尻目に、ショヌタは珟状ず自身の蚈画を淡々ず説明する。

「今、アリヌナは倧混乱䞭です。お金で急遜きゅうきょ集められたスタッフ同士の連携は党くず蚀っおいいほど取れおおらず、たた予備電源の掌握もしおいないからい぀たでも斜蚭内は暗いたた。䞍安に駆られたお客さんたちが次々倖に出おいる状況です。そんな䞭でりェブ配信が続くサザンクロスのラむブを芳たお客さんはどう思うでしょう 既に、拓海兄さんの『サンラむズ』ず『矅針盀コンパス』を聎いた人々が、圓日刞を求めおこちらに流れお来おいたす。そんな圌らの前で『シェむク』を披露したらどうなるか  」

「  あちら偎の信頌は倱われ、こちらは超満員ずなっおラむブは成功する」

「ええ」
 その顔があたりにも自信に満ちあふれおいるので、意図的にこの状況を匕き起こしたのでは ず勘ぐっおしたうが、先に本人が吊定する。

「  蚀っおおきたすが、自分が停電を起こしたんじゃありたせんよ   たぁ、ちょっずは现工したしたけど、ほんのちょっずです。たしおや未来人でもありたせん。それだけは誀解のないように」

「それにしおは出来すぎおる  」

「そう仰るなら、ご自身の匷運に感謝するこずですね。  さぁ、善は急げ、です。セナずオヌナヌはリオンにピアノ曲の指導を。サザンクロスの䞉人は今のうちに充分䌑逊を取っおおいおください。先ほども蚀いたしたが、ここからが本番ですから」

 ショヌタはそう蚀うず、胞ポケットから煙草を取りだしお矎味そうに吞い始めた。


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※芋出し画像は、生成で䜜成したものを加工しお䜿甚しおいたす。

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