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いかに精度高くDIY木工をするか 〜設計篇②〜

これはいかに精度高くDIY木工をするか 〜ローテーブルの作り方〜の設計編の後半である。


接合部

幕板および棚板を横板に接合する部分の接合をどうするのかを考えなければならない。棚板と幕板の接合では、木口と呼ばれる木の繊維が並んでいる面を横板に接着しなければならない。木は、模式的にはストロー状の組織が束ねられたような構造であり、木口はこのストローの断面が見える面のため接着剤を吸い込んでしまう。このため、木口にいくら接着剤を塗っても十分な接着強度を得ることができない。

木ネジを使った安易な方法

最も安易なDIY的な接合は、何もせず、ただ板を接合し、横板側から木ネジで棚板や幕板を固定するという方法である。接着剤ではなく、ネジで強度を確保する。この方法は簡単で、DIYでもよく使われると思われるが、高級家具ではまず見ない。そのせいか安っぽく見えてしまう。

これは後述する塗装・仕上げにもよるが、どうしても木材は湿度によって変形する。ネジ止めで固定している場合、変形による応力がネジ止めした数ヶ所に集中してしまう。これによってネジ止めしたところで板が割れたり、ネジ穴がバカになってネジの効きが悪くなってしまう可能性がある。こういうことも考慮して高級家具ではネジ止めはあまり使われないし、高級家具で使われない故にネジ止めは安っぽく見えてしまうのであろう。

ネジ止めの場合、横板の外側から内側に向かってネジを打つのでネジ頭が外側に見えてしまう。広めの穴をほってネジ頭を板の内部に埋め込み、ダボ(木の棒)を穴に埋めてネジ頭を隠すという技法が一般的だ。ダボで隠したとしても、よく見るといかにもそこにネジを打ちました、ということがわかってしまうため、安っぽさを隠しきれない。

50年100年もたせるなどということは端から考えておらず、5年持てば新しく買い替えるのでそれで良い、という前提であれば、逆に言うとネジ止めは安くて合理的な固定方法である。IKEAなどの家具は基本的に長期間、数世代にわたって使い続けるなどということは期待されていないから、長く持たせる設計ではなく、安くて初心者でも確実に組み立てられるような設計になっているのだろう。

DIYで家具を作る時に何を目的にするのかは人それぞれだから、ネジ止めを中心に作るというのは一つの考え方として尊重する。私は、あえてIKEAなどの安物の、そして実際に本当に安い合理性の塊のような家具を買わずにあえてDIYするのは、むしろフラッシュ(木の枠組みで形を作り表面に薄い板を貼った)構造ではない木材を使った家具を、目が飛び出るほどではないコストで作る点に意義があると思っている。それ故今回はネジ止めとは違う方法を試してみたい。

追い入れ接ぎ

今回のローテーブルでは追い入れ接ぎという方法を用いた。追い入れ接ぎとは、棚板や幕板の木口側の端を凸のように少し小さい長方形になるように(ほぞ)加工した上で、横板側にはちょうどこの長方形と同じ形の溝(ほぞ溝)を掘り、ほぞ溝に棚板や幕板のほぞ部を挿入するという方法である。

全体的に接着面積が増えることで接合部の全体の強度は高くなる。またほぞ溝にもう一方の木を挿入するという形になるため、ほぞ溝とほぞ部の大きさが大体一致していれば、接着しなくても、木材だけで一応接合した形を維持できる。つまり、例えば幕板に横方向の力が加わっても、その力が全て接着面に行くのではなくほぞ溝の縁の部分にまず行くため、そのことによって強い強度を維持することができる。

最終案

以上を考慮して、高さ38cm、幅80cm、奥行き45cmという娘の要望に応じて各部品を3D CADのFreeCADで設計した。FreeCADはLGPLライセンスのオープンソースのCADで、パラメトリックな設計のできるフルセットの機能を持つ。まずは全体のイメージをCAD上で作った後で、木工製作時の制約条件を考慮しながら個別部品を設計し、最後に設計した複数の部品をCAD上で組み立てる。パラメトリックCADということは、例えば机の幅、奥行き、高さ、板厚、などを定数として定義した上で設計を進め、後から必要に応じて定数の設定値を変更すると、それに応じて設計が自動的に見直される、ということである。例えば板厚を18mmと仮定して、定数 ThicknessThickness=18㎜ として設計していたが、実際にホームセンターに行ったら15㎜の板しかなかった、というような場合、 Thickness=15mm と設定しなおすだけで設計全体が自動的に見直され、部品一覧の数字も自動的に更新される。あるいは、実際に入手できた板の大きさに部品がちょうど入るよう、部品一覧の数字を見ながら机全体の幅、奥行き、高さを微調整する、という使い方もできる。状況に応じて柔軟に設計を見直す必要のあるDIYでは、パラメトリックCADによる設計を推奨したい。オープンソースライセンスで、作ったデーターがベンダーロックインされ得ないFreeCADは特にお勧めである。

設計最終案

FreeCADでは部品の展開図も作れる。

部品展開図

切り出し(cut list)

FreeCADから出力した部品一覧(BoM = Bill of Materials)は次の通り(長さ×厚さ×幅×数量)。

  1. 天板: 800×18×450×1

  2. 棚板: 764×18×350×1

  3. 横板: 362×18×430×2

  4. 幕板: 764×18×40×2

最初は1820×18×910の集成材を1枚ホームセンターで買って、これを切り出して使おうと思っていたのだが、実際に某ホームセンターに行ったところ1820×18×910がなかった。置いてある中で一番大きいものが910×18×450だったので、これを3枚買い、次のように切り出して部品を揃えることにした。板を実測してみると、幅450mmは±1mm以下の精度だったので、これはそのまま信用して、次のように切ることとした。

  1. 1枚目から天板1枚を切り出す

    1. 長さ910mmを、800mmの位置で横方向に切る ⇨天板

    2. 残りは端材

  2. 2枚目から横板2枚を切り出す

    1. 幅450mmを、430mmの位置で縦方向に切る。切った余りは端材。

    2. できた長さ910mm幅430mmの板を、362mmの位置で横方向に切る ⇨横板1

    3. 残り548mm未満(鋸刃の厚さ分だけ短くなっている)を、362mmの位置で横方向に切る ⇨横板2

    4. 残りは端材

  3. 3枚目から棚板1枚、幕板2枚を切り出す

    1. 長さ910mmを、764mmの位置で横方向に切る。切った余りは端材。

    2. できた長さ764mm幅450mmの板を、350mmの位置で縦方向に切る ⇨棚板

    3. 残り100mm未満を、40mmの位置で縦方向に切る ⇨幕板1

    4. 残り60mm未満を、40mmの位置で縦方向に切る ⇨幕板2

    5. 残りは端材


切り出し

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