エギングロッドは万能か|シーバスもアジングも11〜26gで判定しろ
よう、未来のエギングマイスターたち。
エギングロッドでシーバスはできるのか。アジングは。バスは。タイラバは。ネットで調べると、魚の名前だけ替えた同じ質問がずらりと並んでいて、出てくる答えは「できた」「快適だった」「やめとけ」の体験談ばかりだ。肝心の、自分の手元にある竿がどうなのかは、どこにも書いてねぇ。
魚ごとに答えを20個覚える必要は無い。物差しは1本で足りる。
エギングロッドを他の釣りに使えるかは、竿の名前じゃなく重さで決まる。号をグラムに直せば、答えはカタログに書いてある。
先に数字を渡しておく。対応エギ2.5〜4.0号のエギングロッドは、11〜26gを投げるための竿だ。今日はこの数字の出し方と使い方をやる。逆向きの「シーバスロッドでエギングはできるか」にも、同じ物差しで答えを出すぞ。
01. 答え:エギングロッドは「11〜26g」の竿だ

釣具屋でシーバスロッドの棚を見ると、カタログや竿の根元に「ルアー重量 7〜35g」のようにグラムで重さが書いてある。アジングロッドも、タイラバの竿も、バスロッドも同じだ。ところがエギングロッドの棚に移ると、グラムが消える。
ダイワのエギングロッドで確かめた。エメラルダス X、MX、AIR の3シリーズとも、スペック表で重さを示す列は「対応エギサイズ」だけで、単位は号になっている。グラムの列はそもそも無い。
エギングロッドを他の釣りと比べられない原因はこれだ。片方は号、片方はグラム。単位が違うものを並べても、重なっているかどうかは見えない。だから号をグラムに翻訳する。使うのはエギの重さそのものだ。ヤマシタの公式スペックで、エギ王K(ベーシック)の重さはこうなっている。
■ 2.5号 → 11g
■ 3.0号 → 16g
■ 3.5号 → 22g
■ 4.0号 → 26g
これを竿の対応号数に当てはめる。たとえばダイワ エメラルダス X 83M・J(全長2.51m・自重103g)の対応エギは2.5〜4.0号だから、グラムに直すと11〜26gになる。
対応エギ2.5〜4.0号のエギングロッドは、11〜26gの竿だ。
この範囲の中で、3.5号の22gがどこにいるか見てくれ。真ん中よりやや上だ。3.5号をキレよく弾くために硬さをMにする、というのがこのブログの竿選びの基準で、その結果がそのまま数字に出ている。エギングロッドは22g前後を気持ちよく動かすために作られていて、その上下に少しずつ余裕を持たせてある。他の釣りに持ち出すときは、この11〜26gが竿の守備範囲だ。
だから「エギングロッドは万能か」と聞かれたら、答えはこうなる。11〜26gの中なら万能で、その外は専用竿の仕事だ。
自分の竿のグラムを出す3手
手元の竿で確かめる手順は3つしかねぇ。
■ ① 竿の対応エギ号数を見る。ブランクス(竿の本体)の根元に印字されているか、メーカーのカタログに載っている。「2.5-4.0」のように下限と上限がある。竿に印字が見当たらなければ、品番でメーカーのサイトを検索すればスペック表が出てくる
■ ② 下限と上限を、エギの重さに置き換える。2.5号なら11g、4.0号なら26g
■ ③ やりたい釣りのルアーや仕掛けの重さと重ねる。相手の重さは、その釣りの専用竿のカタログに書いてあるグラムがそのまま目安になる
ラインも同じ手順で重ねておけ。エギングのメインのラインはPE(ポリエチレンを編んだ糸)を使う。エギングロッドのスペック表には「適合ライン PE」の欄があって、エメラルダス X 83M・J なら0.5〜1.2号だ。重さとライン、この2行が両方重なって初めて「持ち出せる」と言える。
1つだけ補足しておく。対応エギを「2号から」と書いている竿は、下限がもう少し軽い側まで伸びている。エギ王Kには2号の設定が無いから、そういう竿は下限が11gより少し軽い、とだけ覚えておけばいい。上限の26gは変わらない。
02. 重なる釣り、重ならない釣り

相手の数字も、同じダイワのカタログから引く。メーカーを揃えるのは、表の書き方が揃って比べやすいからだ。11〜26gと重ねると、こう分かれる。
■ 全部重なる → シーバス(7〜35g)/スーパーライトショアジギング(上限30g)
■ 一部だけ重なる → バスの重いルアー(3.5〜21g)/アジングの重い仕掛け(2〜15g)/ショアジギングの軽い側(10〜50g)
■ 重ならない → 軽いジグヘッドのアジング(0.5〜8g)/軽いルアーのバス(0.9〜7g)/船のタイラバ(40〜150g)
括弧の中は、どれもダイワの専用竿のカタログ値だ。シーバスはラテオ 86ML・K、スーパーライトショアジギングはドラッガー X SLSJ 84M、バスはブレイゾン S68MH と S64L、アジングは月下美人 AJING 78ML-S・R と 68L-S・R、ショアジギングはショアジギング X 96M、タイラバは紅牙 N69MHB-S・K から引いてある。
答えを一言ずつにするとこうなる。エギングロッドでシーバスはできる。アジングは仕掛けの重さしだいで、1g前後のジグ単なら竿の範囲の外だ。バスは使うルアーの重さしだい。船のタイラバは範囲の外。シーバスとの兼用がよく話題になるのは、数字で見ればうなずける。重さがまるごと重なるのは、この中でシーバスだけだからだ。
ここで1つ勘違いしないでほしい。「重なる」が意味するのは、投げてもその竿の設計の範囲に収まる、というところまでだ。その釣りの専用竿と同じ仕事ができるかどうかは、また別の話になる。シーバスロッドは巻いてルアーを泳がせる釣りのために、エギングロッドはシャクってエギを弾く釣りのために、長さも曲がり方も作り込まれている。重さが重なれば、その釣りを始めることはできる。専用竿の快適さまでは付いてこねぇ。
軽すぎる側で起きること
竿は、先に付いたものの重さで曲がり、その曲がりが戻る力で投げる道具だ。エギングで垂らしを長く取る理由も、竿をしっかり曲げて反発を使うためだった。
11gを下回るほど、竿は曲がりきらなくなる。曲がらない竿は反発を出せないから、飛ばない。飛ばないだけならまだいい。困るのは感じ取るほうで、軽いものが水の中で受ける小さな変化は、22g前後を動かすための張りを持った穂先には伝わりにくい。
アジングで使う軽いジグヘッドは1g前後の世界だ。月下美人 AJING 68L-S・R の範囲が0.5〜8gなのを見れば、11gを下限にしたエギングロッドとは桁が1つ違うのが分かる。「エギングロッドでジグ単はできますか」という質問の答えは、この差を見れば出る。投げるだけなら投げられても、竿が仕事をする領域には入っていない。
重すぎる側で起きること
反対に26gを超えていくと、今度は竿の設計が想定していない重さになる。メーカーが表に書いている範囲は、その竿が性能を出せる重さとして作り手が決めた数字だ。その外側は、作り手が考えていない領域になる。
ショアジギングで青物を狙う40gを超えるジグや、船のタイラバの40〜150gは、エギングロッドの範囲からはっきり外れる。「エギングロッド 青物 折れる」という検索は月に110回ほどある。数字を先に見ていれば、踏む前に止まれる場所だ。
ラインも同じ向きに外れていく。エメラルダス X 83M・J の適合PEは0.5〜1.2号、ショアジギング X 96M は1〜2号で、重なるのは1.0〜1.2号の端だけだ。重い釣りほどラインも太くなり、エギングロッドの範囲から出ていく。重さで外れる釣りは、たいていラインでも外れている。
03. 竿は流用しても、ラインは釣りごとに替えろ

竿が重さの範囲で合っても、ラインをそのまま使い回すと別の問題が出る。
エギングのラインはPE0.6号だ。細いラインほど潮に押されにくく、エギが斜め45度の姿勢のまま沈む。このブログのエギングは、この1本を前提に全部組んである。PE0.6号でなければいけない理由は、潮の抵抗とフォールの姿勢の話に行き着く。
一方で、エギングロッドを持ち出す先の釣りには、その釣りの流儀のラインがある。竿の適合PEが0.5〜1.2号なら、その範囲の中で相手の釣りに合わせて太さを変えればいい。困るのは戻るときだ。シーバスに合わせて太めのラインを巻いたまま、次の週末にそのリールでエギングをすると、0.6号の前提がそこで崩れる。ずれるのはフォールの姿勢で、しかも本人は気づきにくい。
解決は単純で、リールは1台のまま、スプールだけ替える。 スプールは、リールのラインを巻いておく部分のことで、多くのリールは付け外しができる。エギング用の0.6号を巻いたスプールと、持ち出す釣り用のラインを巻いたスプールを分けておく。釣り場で差し替えればラインの太さを取り違えることもないし、そのたびに巻き替える手間も要らない。
スプールを分けるときは、糸巻量の行も確かめておけ。エギング用のスプールは、PE0.6号が下巻きなしで200m入るものが基準だ。持ち出す釣り用のスプールも、そのラインが下巻きなしで収まるかを同じ見方で確かめればいい。番手の数字より糸巻量の行を見る、という読み方はリール選びと同じだ。
04. 逆方向:シーバスロッドでエギングはできるか

同じ物差しを、今度は逆向きに当てる。シーバスロッドのルアー重量は、ラテオ 86ML・K で7〜35g。エギの11〜26gは全部この中に入る。重さだけで言えば、シーバスロッドでエギは投げられる。
詰まるのは重さ以外のところだ。ラインと長さ、それにシャクリとの相性になる。
まずライン。ラテオ 86ML・K の適合PEは0.8〜1.5号で、エギングのPE0.6号は範囲の下に外れる。同じダイワのシーバスフラットX 86ML は0.6〜1.5号で、0.6号が範囲に入っている。同じ「86ML」という表記でも、ここは品番ごとに違う。
シーバスロッドでエギングをするなら、適合PEの下限が0.6号以下の品番を選べ。
カタログの1行を見るだけで、店頭でも判定できる。
次に長さ。ラテオなら86MLが2.59m(8.6ft)、90Mが2.74m(9ft)だ。エギングの竿選びでは8.3ft以下を基準にしている。8.6ftにすると、同じようにシャクっても手首にかかる回す力(モーメント)は、8.3ftより約3.7%増える。リールシートの位置を支点に置いて、そこから先の有効な長さの比で出した数字だ。投げて巻く釣りなら1投ごとの差は小さいが、エギングは1投のあいだに何度もシャクる。回数が多いぶん、この差は夕方の手首にまとめて返ってくる。
最後にシャクリそのもの。エギングのシャクリは、ラインを一瞬張って竿で弾き、すぐに緩めてエギを左右へ飛ばす動きだ。22gを弾く瞬間の反発が要る。竿の曲がり方がこの弾きに合っていないと、力が竿に吸われて、そのぶん大きく煽ることになる。煽りが大きいほど、エギは横へ飛ぶより手前へ引かれる。
アジングロッドやバスロッドは、重さで先に落ちる
シーバスロッドはラインと長さの問題だったが、アジングロッドやバスロッドは、その手前の重さで止まる。
月下美人 AJING 68L-S・R の範囲は0.5〜8gだ。3.5号の22gは、その上限の3倍近い。重い側の78ML-S・R でも範囲は2〜15gで、3号の16gの時点で上限を超える。バスのブレイゾン S64L も0.9〜7gで、事情は同じだ。
エギを投げた瞬間に竿が受け止める重さが、設計の範囲の外にある。シャクリの話を始める以前の段階で止まるということだ。手持ちの竿でどうしても試したいなら、自分の竿の上限のグラムと、エギの重さを並べてから決めろ。数字が外れているなら、答えはもう出ている。
05. 1本で済ませたいなら、先に「主」を決めろ

「シーバスとエギングを1本で」と調べると、答えはほとんど86MLのシーバスロッドにたどり着く。一方このブログは、エギングの竿は8.3ft以下のMで選べと言ってきた。真逆に見えるが、比べているものが違う。
86MLは「2つの釣りを兼ねたときの落としどころ」で、8.3ft以下のMは「エギングだけで見たときの最適点」だ。どちらが正しいかは、お前の釣りの主がどっちかで決まる。主がシーバスなら、シーバスを基準に竿を選んで、エギングを後から合わせる。主がエギングなら、その逆になる。基準にする釣りが入れ替わるだけで、答えも入れ替わる。
主が決まったら、あとはこう分ければいい。
■ エギングが主 → エギングロッドを8.3ft以下・Mで買う。11〜26gに収まる釣り(シーバス、重めのルアーのバス、軽めのショアジギング)へ、スプールを替えて持ち出す
■ シーバスが主 → 86MLのシーバスロッドを買う。エギングもするなら、適合PEの下限が0.6号以下の品番に絞る。長さの差は承知のうえで使う
■ アジング・タイラバ・40gを超えるジギングが主 → 竿は分ける。重さの桁が違うので、両方の範囲にまたがる1本を探すより、2本に分けたほうが早い
シーバスが主の人は、自重の差も頭に入れておけ。同じダイワの2.59mで比べると、ラテオ 86ML・K は120g、エメラルダス X 86M・J は106gで、14g違う。手首に効くのは重さより長さのほうだが、1日シャクり続けるなら、この差も少しずつ積もっていく。
エギングが主なら、竿の長さと硬さの決め方と、価格帯別の8本はここに並べてある。
ロッドだけでなく、ライン・リーダー・リール・エギまで、一式をどの順番で決めるかはこっちだ。
まとめ:迷ったら、号をグラムに直せ

今回の講義はここまでだ。
エギングロッドを他の釣りに使えるかは、竿の名前じゃなく重さで決まる。号をグラムに直せば、答えはカタログに書いてある。
■ エギングロッドは対応エギ2.5〜4.0号=11〜26gの竿。持ち出せるのは、この中に重さが入る釣りだけ
■ 竿は流用してもラインは替える。リールは1台、スプールを分ける。エギングに戻るときはPE0.6号
■ シーバスロッドでエギングをするなら、適合PEの下限が0.6号以下か、長さの差を飲めるかを見る
■ 1本で済ませたいなら、先に主の釣りを決める
この4行があれば、魚の名前が変わるたびに検索し直す必要は無くなる。次に「エギングロッドで◯◯はできるか」と思ったら、その釣りの竿のカタログを開いて、グラムの欄を見ればいい。
よくある質問(FAQ)
理屈っぽいお前らのために、最後によくある疑問を潰しておくぞ。
Q1. エギングロッドでサビキやちょい投げはできますか? オモリは何号まで使えますか?
A. 結論:オモリなら3〜7号あたりが目安だ。 釣りのオモリの号数は、昔の重さの単位「匁(もんめ)」と同じで、1号がおよそ3.75gになる。11〜26gを割り戻すと、3号(約11g)から7号(約26g)だ。サビキなら、カゴとオモリと仕掛けを全部足した重さで考えろ。竿の先にぶら下がるのは、その合計だからだ。ちょい投げも同じで、オモリの号数をグラムに直して、11〜26gに入るかを見ればいい。
Q2. エギングロッドで万能な硬さはどれですか?
A. 結論:Mだ。ただし「万能」の中身は11〜26gだと思っておけ。 ダイワ エメラルダス AIR で比べると、83MLの対応エギは1.8〜3.5号、83Mは2.5〜4.0号だ。MLは軽い側に広く、重い側は3.5号で頭打ちになる。Mは3.5号を真ん中に置いたうえで、重い側に4.0号ぶんの余裕がある。シーバスや重めのルアーの釣りへ持ち出すことまで考えるなら、重い側に余裕のあるMのほうが使える場面が多い。
Q3. 陸っぱりのエギングロッドは、ボートエギング(ティップラン)の竿の代わりになりますか?
A. 結論:代わりには向かない。竿の長さも穂先の作りも別物だ。 ダイワのティップラン用ロッド、エメラルダス MX BOAT 65LS-S・Q は全長1.96mで、対応エギは15〜50gとグラムで書いてある。ティップランのエギも専用品で、ヤマシタのエギ王 TR なら3.5号で27gある。重さは一部重なるが、船の上で真下にエギを沈めて穂先の動きで掛ける釣りと、陸から投げてシャクる釣りでは、竿に求める仕事が違う。混ぜて覚えないほうが、どっちも早く上手くなる。
Q4. エギングロッドで青物を釣ったら折れますか?
A. 結論:重さの範囲を守っていても、扱い方しだいで折れる。 ダイワの修理を受け持つスポーツライフプラネッツが、竿の破損例として挙げているのは3つだ。仕掛けがトップガイド(竿先のラインを通す輪)に当たってからさらに巻いてしまう「巻き込み」、継ぎ目の差し込みが浅いまま使う「コミ浅」、ぶつけて潰す「潰れ」。トップガイドから10cm以内で折れる竿は、1つ目が一番多い原因だとしている。どれもルアーの重さとは関係ねぇ。青物を掛けたときに危ないのも同じ理屈で、取り込みでラインを巻きすぎたり、竿を立てたまま抜き上げたりすると、穂先の一点に重さが集まる。ルアーは11〜26gの中に収めて、取り込みはタモかギャフに任せろ。
Q5. 結局、万能なエギングロッドのおすすめはどれですか?
A. 結論:8.3ft以下のMを選べば、それが一番広く使える1本になる。 「万能」や「最強」を名乗る竿を探し回るより、対応エギ2.5〜4.0号の竿を選ぶほうが確実だ。11〜26gの範囲をまるごと持っていれば、エギングを軸に、シーバスや重めのルアーの釣りまで届く。そこから先は、予算と自重で選べばいい。値段で変わるのは重さの範囲より、手に伝わる情報の細かさのほうだ。
魚の名前が変わるたびに答えを探し回る時間は、今日で終わりだ。竿の数字を1行読めば済む。
浮いた時間で海に立て。そっちのほうが、よっぽど釣果に近い。
このブログでは、エギングの「なんとなく」を一つずつ物理で解体していく。役に立ったならフォローしておけ、損はさせねぇ。
またな。
