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岩国・萩・津和野|35歳ママの350kmひとりドライブ旅

ハンドルを握って、350キロ。
広島から岩国、萩、そして津和野へ。

江戸時代の教育を学びに行ったつもりが、出会ったのは“教科書にいない先生たち”だった。

日が昇る前の薄暗い岩国の道、
朝日を浴びながら走った高速道路、
松下村塾の場所を知らせるように吹いた風。

これは「呼ばれる旅」だったのだと思う。


迷いと決定|ハンドルを握る前に

35歳、ママ、個人事業主。
夏からどっぷり江戸教育にはまり、吉田松陰に傾倒した。

松蔭の出身は山口県の日本海沿いにある萩市。
地元広島のお隣でありながら、これまでついぞ縁のなかった場所だ。

Googleマップでは車で2時間半。
「これ…行けるんじゃね?」と魔が刺した。

しかし家族で行くには、スケジュールが立たない。
夫の仕事、保育園の行事、そして私の仕事。

火の星座である牡羊座は、じっとしていられない。こんな気質こそ松蔭とシンパシーを感じたところなのだから。

「これはもう一人で行くしかない」

普段なら長距離ドライブは夫に任せる。
でも今回は、私個人の、ハイパーコアな江戸教育思想を求める旅である。
いくら愛しい家族でも、一緒にいたら思考に集中できない。

覚悟を決めた。

夫に留守を託し、宿を「えいやッ」と予約。

目的は江戸時代の教育を体感すること。
藩校や松下村塾を巡って、日本の“学びの原点”を確かめたかった。

正直わずか二泊の一人旅にしては距離が長い。
岩国、萩、津和野、そしてまた広島へ。およそ350キロ。

走行時間7時間はひとまず忘れて、好奇心の赴くまま、出発した。


岩国|現代の学びに出会う

最初の目的地は岩国。
いつもお世話になってるコワーキングスペースの岩国支部があり、そこのビブリオバトルを見に行った。
知人を含め、面白すぎるメンバーが登壇!

無料自習塾を開いているTさん。
農学博士を経て日本酒居酒屋を開くYさん。

いや面白すぎるやろ!!!

それぞれの道を極める人たちとの会話や視点が面白くて、
知的好奇心がビシビシを刺激される。

まさに学問。

教壇ではなく、まちの中で“生きる力”を教えている人たち。
この出会いが、旅の最初のサインだった。


萩|神格化された街で感じた違和感

5歳の子供が気がかりで、岩国のホテルでは十分に寝られなかった。
4時前に目が覚めてしまい、目を瞑ること1時間。

「ダメだ、もう行こう」

二度寝できず、5時に支度を開始。
5時52分にはホテルを出て、車で出発した。

まだ日の出前で、車内も肌寒い。
トレンチコートを羽織り、ストールを巻いて、ブランケットを膝にかける。

時間が経つにつれて、
周りがどんどん明るくなっていく。

高速に乗り、長いトンネルを抜けた後で、朝日が後ろから差していた。
フロントミラーに映っていたオレンジ色の朝日は、まさにご来光!

途中で立ち寄ったサービスインはもちろん営業前で、
自販機のレモネードやミルクティで暖をとりながら、萩へ。


松蔭神社に着いたのは8時半頃。
萩の空は広くて、どこを見ても“維新のふるさと”。

松陰神社の大きな石碑、観光バスの列、名言のオブジェ。

確かに立派だ。だけど、
どこか「志が観光になっている」ような息苦しさもあった。

松下村塾を訪ねたとき、風がさっと吹き抜けた。
時代や政治の流れを受けて、どこか神格化されすぎた松蔭の姿。

教育は、尊いものに思える。
でも人の営みである限り、運営者のエゴや思いが強く入る。

それを踏まえた上で、私はどんな教育をしたいのかと考えた。


津和野|静けさの中で呼ばれた場所


萩はどこもかしこも、世界遺産や明治維新の熱があった。
資料も熱心に見過ぎたせいで少し疲れて、私は津和野へ向かった。

山あいの町に着いたのは午後2時すぎ。
津和野を訪れたのはちょうど一年ぶりだった。

信仰深い私の基本ルールは、まず神社へお参りすること。
その上で観光するって決めてるけれど、
流石に1時間のドライブで疲れ、休憩したかった。(それに津和野の観光地は夕方には閉まっちゃう)

まずは、ザラ茶(豆科のお茶)を振る舞う香味園さんへ。

この冬を越すための茶葉を買い占めて、津和野の藩校・養老館を訪ねた。

哲学者の西周や文豪の森鴎外が学んだところ。
小さな建物が2棟残っていて、剣術・素読などカリキュラムは萩の藩校と大きく変わらなかった。

そして、
津和野の酒造を2軒廻り、辛口の日本酒を買い占める雑念の旅路(笑)

寄り道も気がすんで、いよいよ太鼓谷稲荷神社へ。
表の拝殿に手を合わせたとき、左に小さな看板が目に入った。

「神殿裏奉拝所はこちら」

1年前に来たときには、まったく気づかなかった。

気になって裏手に回ると、飛び石の先にお稲荷さんが四体。
普通は二体なのに、四体。
左も右も目つきの鋭いお狐様。

4対1のプレッシャーに「やべ、呼ばれた…!」と背筋が伸びた。
油揚げはちゃんと買っておくべき。(参拝方法もちゃんとあるやんけ)


家までの帰り道|山道は孤独


津和野の帰り道は山の中を抜けていくので、昼間でも薄暗い。
夜ドライブはおすすめしない。私、見える人じゃないけど、


この山には、何かいる。(断言)

なんせ、電波も途切れる。
六日市の高速インターまでコンビニもない。

走れど走れど山道で、
「え、あってる? 下関向かってないよね?」

ナビを拡大したり縮めたりして、
青い矢印を信じるしかない。

段々と開き直り、
「まぁ下関行っても、走ってれば帰れるか……」

とよくわからない悟りの境地に達した。
六日市インターの手前で半日ぶりにコンビニを見つけて、駆け込んだ。
カフェラテ最高。

殺風景な中国高速道路はMISIAのeverythingを熱唱し、眠気を晴らした。


呼ばれる旅は、自分で選んだ旅

振り返れば、350キロの道のりは、
“学び”を探す旅であり、“自分を信じる”旅でもあった。

萩の熱、
津和野の光、
岩国に生きる人。

どれも違う温度を持っていて、
どれも今の私に必要な出会いだった。

ママでも、
ひとり旅でも、
35歳でも、

いつでも出発は、できるのだ。


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