日本代表対アイスランド戦で見た「スローイン5秒ルール」|少年サッカーでの適用を考える
ワールドカップ本戦前の壮行試合となった日本代表対アイスランド代表戦。
前回は、この試合で適用された「交代10秒ルール」について書きました。
今回は、同じくサッカー競技規則2026/27改正で導入された「スローイン5秒ルール」についてです。
実際に試合の中で適用される場面を見ることができたので、少年サッカー審判の視点から考えてみたいと思います。
📝「これが新ルールか」と思った瞬間
後半、アイスランド代表のスローインで再開する場面でした。
ボールはタッチラインを割り、アイスランド代表のスローインとなりました。
しかし、なかなかプレーが再開されません。
すると主審が笛を吹き、日本代表のスローインへと変更されました。
「ああ、これが新しく導入されたスローイン5秒ルールか」
それが私の第一印象でした。
それまで改正内容としては知っていましたが、実際の適用シーンを見るのは初めてでした。
その後は、スローインのたびに主審の動きが気になり、意識して見ていると、主審が手を挙げながら5秒をカウントしている様子も確認できました。
審判員目線で試合を見ていると、こうした細かな運用も気になってしまいます。
📝スローイン5秒ルールとは
今回の競技規則改正では、スローインを行うチームは、主審がスローイン可能と判断した後、5秒以内にスローインを行わなければなりません。
5秒以内に再開されなかった場合は、相手チームのスローインとなります。
第15条「スローイン」
スローインを行う競技者またはチームが、再開を遅らせている場合、目で見て分かる5秒のカウント ダウンを用いる。その時間制限を超えた場合、相手チームにスローインが与えられる。
「2026/27年サッカー競技規則 変更の概要と詳細」
より抜粋
目的としては、試合再開の遅延防止が大きいのでしょう。
プロの試合では、試合終盤になると再開を遅らせる行為が問題になることがあります。
そうした行為に対して、より明確な基準を設けた改正と言えそうです。
📝少年サッカーではどうだろうか
では、少年サッカーの現場ではどうでしょうか。
私の経験では、意図的な時間稼ぎのためにスローインを遅らせる場面はそれほど多くありません。
一方で、
「どこに投げようかな」
と迷ってしまい、結果的に再開が遅くなることはよくあります。
特に低学年では珍しくありません。
そのような場面では、
「早くスローしようね」
と声をかけることはありますが、競技規則上のペナルティとして相手ボールに変更するというケースはほとんどありませんでした。
つまり、プロの試合と少年サッカーでは、再開が遅れる理由そのものが違うように感じます。
📝実際に適用するとなると課題も多い
仮に少年サッカーでこのルールを適用するとした場合、審判実務上はいくつか課題がありそうです。
⚽4人審判制なら比較的運用しやすい⚽
4人審判制であれば、
主審が5秒カウント
副審がスローワーの反則監視
という役割分担ができます。
そのため運用自体は比較的現実的だと思います。
ただし、主審がカウントに意識を向けている間は、スローイン直後のコンタクトやオフ・ザ・ボールの動きへの注意が一時的に薄くなる可能性があります。
カウント終了後、速やかに監視ポイントを切り替えることが重要になりそうです。
⚽2人審判制では負担が大きい⚽
一方で、多くの少年サッカーで採用されている2人審判制では事情が変わります。
1人の審判が、
5秒のカウント
スローワーの監視
フィールド内選手の監視
を同時に行わなければなりません。
競技規則上は可能だとしても、実際の運用ではかなり忙しくなりそうです。
⚽低学年カテゴリーではさらに難しい⚽
低学年になると、そもそも正しいスローインができるようになる段階の選手も少なくありません。
そのような年代では、
「5秒以内に投げられたか」
よりも、
「正しいスローインを覚えること」
の方が優先順位は高いように思います。
また、1人審判で運営する試合も多く、5秒カウントを厳格に適用することが本当に適切なのかという点は議論の余地がありそうです。
📝大切なのは競技規則だけでなく競技会要項
今回、日本代表対アイスランド代表戦で実際の適用シーンを見ることで、改めて競技規則改正を身近に感じました。
ただ、少年サッカーの現場で大切なのは、「競技規則が改正されたから必ず適用される」と考えないことだと思います。
年代や大会によっては、
適用しない
一部のみ適用する
独自の運用を行う
といったケースも十分考えられます。
だからこそ、担当する大会の競技会要項やローカルルールを事前に確認する習慣が大切です。
スローイン5秒ルールも、適用の有無だけでなく、誰がどのように実施するのか、という運営面まで確認しておきたいところです。
今回の試合を見ながら感じたのは、競技規則を学ぶことと同じくらい、「その大会でどう運用されるのか」を知ることも審判実務の大切な一部だということでした。
