自立することは、一人で生きることではない 船頭の道しるべ#7🐯🛶
はじめに
「一人でも生きていけるようになりたい」
そう考えることは、大切なことです。
自分で働き、自分で考え、自分の人生を選ぶ。
けれど、「自立すること」と「誰にも頼らないこと」は、同じ意味なのでしょうか。
今回の「舟の語り#7」で描いたのは、二艘の舟でした。
同じ舟ではありません。
それぞれが自分の櫂を持ち、自分の舟を漕ぎながら、ときどき相手を待つ。
今回は、そんな関係について考えてみます。
1|「一人の方が楽」は、たしかに間違っていない
自分も独身の頃は、自分の時間を自分で決められる気楽さがありました。
だから「一人の方が楽」という男の言葉もよく分かります。
ですがある時、ふとよぎる考えがあります。
「このまま一人で生きていくんだろうか?」
もちろん、一人で生きていくという選択もあります。
ただ、自分自身も周囲も環境も変わっていきます。
今は「一人の方が気楽」と思っていても、
その価値観がいつか変わることもある。
その時に船頭のセリフを思い出してください。
「楽であることと、豊かであることは同じか。」
楽であることは、もちろん悪いことではありません。
けれど、人生で得たいものが「楽さ」だけとも限りません。
一人では見られなかった景色
自分とは違う考え方
喜びを共有する時間
苦しいときに隣にいる存在
そうしたものの中に、「豊かさ」という価値を見いだすこともできます。
2|二艘の舟が表していたもの
今回の物語では「二人で一艘」ではなく、
二人がそれぞれ一艘ずつ舟を持つ姿を描きました。
それは
相手には相手の人生があり、
自分には自分の人生があるからです。
仕事、夢、友人、趣味、時間、価値観。
パートナーになったからといって、それらすべてを一つにする必要はありません。
相手に、
「自分を幸せにしてほしい」
「自分の気持ちを全部分かってほしい」
「自分の人生を何とかしてほしい」
と人生そのものを預けてしまえば
やがて二人の関係は重くなってしまう。
ただし逆に、
「全部自分でやらなければならない」
でもない。
3|自立とは「誰にも頼らないこと」ではない
自分も以前は、「自立とは、人に頼らず自分で何とかすること」だと思っていました。
けれど最近は、もう少し違う捉え方もできるのではないかと思っています。
自分で考える
自分で選ぶ
自分の人生に責任を持つ
必要なときには誰かの力を借りる
一人で何でも抱えることよりも、必要なときに「助けて」と言えることも、自分の人生を守るための力なのかもしれません。
これも自立の一つなのではないかと思うようになりました。
4|支え合うとは「代わりに漕ぐこと」ではない
物語では、
疲れた舟をもう一艘が待つ
横風で流された舟へ戻る
また二艘で進み始める
という描写があります。
ここで重要なのは、
待っている舟が、相手の舟を代わりに漕いでいるわけではないということ。
これを日常に置き換えると、
・仕事で疲れているときに家事を多めに引き受ける
・落ち込んでいるときに話を聞く
・何かに挑戦しているときに応援する
・迷っているときに一緒に考える
でも最終的にその人の人生を歩くのは本人です。
だから支え合いとは、
相手の人生を背負うことではなく、
相手がまた自分で漕ぎ出せるまで隣にいること。
実際には手を貸してもらわなくても、誰かが隣で見守ってくれているだけで心強いことがあります。
問題を解決するのは自分でも、「一人で向き合っているわけではない」と思えるからです。
5|二人は、いつも同じ速さでなくていい
長く関係を続けていれば、
片方が先に進む時期。
片方が立ち止まる時期。
仕事が忙しい時期。
子育てに追われる時期。
何かに挑戦する時期。
心に余裕がなくなる時期。
があります。
毎日50対50にはならない。
だから大切なのは、
常に同じ速度で進むことではなく、ときどき相手の舟を見ること。
二人で進むとは、ずっと横一列でいることではありません。
離れたときに、相手がどこにいるのかを気にかけられることなのだと思います。
6|「二人でいること」を目的にしなくてもいい
世の中には、さまざまな生き方があります。
一人で生きている人。
二人で並んで生きている人。
二人で並んでいたけれど、
一人で生きていくことにした人。
どの生き方が正解ということはありません。
重要なのは、
一人でいるか、二人でいるかではなく、自分がどんな航路を選びたいか。
というところ。
一人ひとりに舟があり、それぞれが自分の櫂を持っています。
だから、舟の数だけ航路があっていいのだと思います。
7|あなたの隣には、どんな舟がありますか
ここで皆さんに問いをいくつか用意しました。
船頭に聞かれていると思って
少し考えてみてください。
①自分の舟を、誰かに漕いでもらおうとしていないだろうか
②逆に、誰かの舟まで自分が漕ごうとしていないだろうか
③相手が遅れているとき、待つことができているだろうか
④自分が疲れたとき、「少し待って」と言えているだろうか
⑤自分はこれからどんな景色を見たいだろうか
まとめ|自分で漕ぐ。でも、一人ではない
誰かと生きるというのは、自分の人生を相手に預けることではありません。
自分の櫂は、自分で握る。
相手にも、相手の櫂がある。
それぞれが自分の舟を漕ぎながら、ときどき隣を見る。
疲れていたら少し待つ。
風に流されたら、少し戻る。
そしてまた、それぞれの櫂で進んでいく。
自分の舟は、自分で漕ぐ。
でも、一人ではない。
そんな関係も、一つの「共に生きる」という形なのかもしれません。
今回の「道しるべ」のもとになった物語はこちらです。↓
「自分の舟は、自分で漕ぐ。でも、一人ではない|舟の語り#7」
そして次は、もう少し先の話。
二艘の舟が「一つの舟」になるとしたら、何が変わるのでしょうか。
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