はじめまして。人と会社のことを、少し本音で書いてみます。
はじめまして。
細江英明と申します。 経営コンサルタント・中小企業診断士として、経営の現場に立ち会う仕事をしています。
私が生まれ育った愛知県犬山市は、観光の街です。 いまは城下町の通りに若い人が戻ってきて、休日中心に結構な賑わいです。
ただ、私が育った昭和の終わりからつい20年程前までは、そうではありませんでした。 かつて観光地としてにぎわっていた場所が、年々静かになっていく時期でした。 店のシャッターが少しずつ増えていく。 人の流れが変わっていく。 街が廃れていくのを見るのは、痛いものです。
あのときの感覚が、いまの仕事につながっているのだと思います。
現在、主な仕事の分野は3つあります。
ひとつは、旅館・宿泊業の経営支援。
もうひとつは、旅館以外の一般的な中小企業の支援。
そして、外国人材の紹介・採用・定着・活用支援です。
一見すると別々の仕事に見えますが、私の中では共通するテーマがあります。 それは「人」です。
なぜそう考えるようになったのかを、旅館の現場を例に書いてみます。
これまで、温泉旅館の立て直しに約40軒、伴走してきました。 相談まで含めると150施設を超えます。 その多くは、客室が10室から50室ほどの、小さな宿です。
小さな宿の経営者から、いちばん多く聞く言葉があります。
「うちには何もない」
建物は古い。露天風呂付きの客室もない。 すぐ隣には、大きな資本が入った新しい宿がある。 設備で比べたら、勝ち目がない。 だから値段を下げる。 すると、忙しいのに利益が残らない。
この流れを、私は何十回も見てきました。
けれども、同じように古くて小さいのに、予約が途切れない宿があります。 設備を入れ替えたわけでも、借り入れを増やしたわけでもありません。 何が違うのか。ずっとそれを考えてきました。
ある宿に、止まったままの柱時計がありました。
まさに「おおーきなノッポの古時計ー」の歌に登場しそうな時計です。
捨てるのが面倒で、ただ置いてあっただけの時計です。 それが、初代の女将さんが嫁入りのときに持ってきたものだと分かりました。 その瞬間から、その時計は「古い荷物」ではなく「見に来る値打ちのあるもの」に変わりました。
変わったのは時計ではありません。 変わったのは、その時計をどう見るかです。 そして、その値打ちを知っていたのは、機械でも図面でもなく、その宿で長く働いてきた人たちでした。
小さな宿の差別化は、最後は人に行き着く。 私がそう考えているのは、こういう場面を何度も見てきたからです。
設備は、お金があれば真似されます。 料理も、レシピが分かれば真似されます。 真似されないのは、誰が、どんな気持ちで、何を伝えるかです。 そしてそれは、大きな宿ほど揃えにくく、小さな宿ほど揃えやすいものでもあります。
いまは、比較の時代です。 お客様は予約サイトで宿を並べ、これからはAIが要約して見せるようになるでしょう。 スペックで並べられたら、小さな宿はまず勝てません。 だとすれば、小さな宿が持つべきなのは、比較表に載らないものです。 それを持っているのは、設備ではなく人だと思っています。
もうひとつ、忘れてはいけないことがあります。 経営者自身も、人だということです。 経営者にも迷いがあり、悩みがあり、判断を間違えることもあります。 資金繰りの不安を、誰にも言えないまま抱えている人もいます。 社員だけを「人材」として考えるのではなく、経営者を含めて人がどう力を発揮できるかを考えないと、会社は動きません。
旅館以外の中小企業でも、外国人材の支援でも、起きていることはよく似ています。 「うちにはいい人材がいない」と言う会社にも、たいてい人はいます。 見え方が変わっていないだけです。 それは「うちには何もない」と言う宿と、同じことだと思っています。
このnoteでは、そういう現場で見てきたことを書いていきます。
うまくいった話だけではありません。 正直に書くと、私がこれまでいちばん多く止めてきたのは値下げで、 いちばん多く失敗してきたのは、経営者や従業員に納得してもらう前に正しいことを言ってしまった場面です。
理屈では正しくても、現場はそれほど単純ではありません。 そういうことも含めて、できるだけ本音で書きます。
まずは週に1回くらいのペースで。
次回から、小さな宿の現場で見てきたことを順番に書いていきます。 最初は、さきほどの止まった柱時計の話からにしようと思います。
どうぞよろしくお付き合いください。
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アスタコンサルティング株式会社
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