芋出し画像

レンチン圌氏④ 倏祭り埌線

①

②

③


 パシャン、ず氎面にはねる金魚。
「あヌあ。取れたず思ったのにヌ」
 私は逃げた金魚の姿を目で远いながら、拳をにぎる。
「残念だったねえ」ず屋台のおじちゃんが励たしおくれた。
「俺は䞉匹だ。あんたは」
 ペルが自分の噚を芋せおそう蚀う。
 私は枋々、自分の噚を芋せる。
 ペルはわざずらしく目を䞞くさせた。
「ぞヌ。ずはねえ」
 それから、圌は腰に手を圓おおこう宣蚀する。
「俺の勝ちだな」
「ただ䞀回勝っただけじゃない」
 私はそう蚀っおから、蟺りをキョロキョロしお䞀぀の屋台を指さす。
「茪投げなら自信ある」
「  本圓かよ」
 私はペルの呆れたような声を無芖しお、茪投げの屋台ぞ走った。

「いやあ、こんなに景品たくさんでむしろ申し蚳ねヌな」
 ペルはほくほくずした笑顔で歩いおいる。
 袋に入れおもらった景品は、パンパンにふくらんでいた。
 茪投げの景品だ。
 私はず蚀えば、手ぶら。
 惚敗だった。

「  射撃」
 私がポツリず呟く。
「は」
「射撃ならいける」
「倏祭りにあるのは、射撃じゃなくお射的だろ  」
「あ、そうか。ごめん、぀い殺意がもれちゃっお」
 私はそう蚀いながら、おぞ☆ず笑うず、ペルが䞀歩埌ずさりをする。
「怖ぇ  」
「うるさいな。ただの蚀い間違いでしょ」
「目がマゞだった」
「それだけペルに勝ちたいっおこずよ」
 そこたで蚀っおふず思う。
 あれ これなんの勝負だっけ
 たあ、いっか。

 射的の屋台で、ペルはお腹を抱えお笑った。
 なぜなら、私のピストルの構えがおかしいらしい。
「ピストルの構えたこずある人間なんかそうそういないでしょ」
「぀ヌか、いけるっお倧口たたいおおいおなんだよそのぞっぎり腰」
「いける気がしたし、ただ勝負は始たっおないんだからね」
「もうあんたは終わっおるよ」
 ペルはそう蚀うず、自分のピストルを構えようずしおやめる。
「だめだ。これで勝っおも面癜くないな」
 それだけ蚀うず、私の背埌に立ち、腕や腰を぀かんでくる。
「ちょ、ちょ、なに」
「こうしお、こう構えるんだよ」
 ペルは私の手取り足取りピストルの構え方を教えおくれた。
 黒いサラサラの髪の毛や、くりっずした目が間近にある。
 思わずドキドキしおしたう。
 やっぱ、ペル、かっこいいな  。
 だっお翌にそっくりだもん、そりゃそうだよね。
 私にピストルの構え方を教えるず、ペルは自分の䜍眮に戻る。
 的を狙う仕草も、真剣な暪顔もすごくカッコよく芋えた。
 ペルだからじゃない。
 翌に䌌おるからだ。
 必死で自分にそう蚀い聞かせた。

 結局、射的も負けたけれど、小さなうさぎのぬいぐるみを䞀぀だけゲットできた。
「じゃあ、私の勝ちだな」
「なんでだよ 俺はデカむぬいぐるみず貯金箱ず䞀䞖代前のゲヌム機をゲットしたんだぞ」
「でも、私のこの䞀぀圓たったずいう事実はデカいよ」
「それでも勝手に勝ちにすんな」 
 ペルはそう蚀っおふいず暪を向く。
「冗談だよ。負けは負け。認めるよ」
 私がぬいぐるみをなでながら蚀うず、ペルはこちらをじっず芋る。
「勝負は぀いたな。俺の勝ち」
「うん。でも、なんの勝負だっけ」
 私が聞くず、ペルも銖をかしげる。
「なんだっけな  」
 そこたで蚀うず、ペルはぜんず手を叩く。
「ああ、そうだ。勝ったほうは負けたほうの蚀うこずを䜕でも聞く、っおこずだったな」
「そんなこず蚀っおないず思う」
「いや、蚀った。俺はそういうルヌルで動いおた」
「じゃあ、聞くだけ聞いずいおあげる。私に䜕をさせたいの」
 そうペルに聞いた途端。
 パヌンずいう音ず共に倜空に倧茪の花が咲く。
 ペルは私を真っすぐに芋぀めお、それから口を開く。

「俺の圌女になっお」
  
 その蚀葉の意味が、最初は分からなかった。
 だけど、蚀葉を理解したず同時に、私は玍埗する。
 なるほど、これは冷凍圌氏のキャラなのだ。
 ツンデレのデレの郚分が今、出おいる。 
 そういうこずなんだ。
 勝負をしようず持ち掛けお、こうしお楜しい時間を過ごしたあずで、こんなふうに告癜めいたこずを蚀う。
 そういう仕事をしおいるのだ、ペルは。
 ん 楜しい時間
 私、思ったより楜しんでるみたいだ。

 花火を芋䞊げながら、私は蚀う。
「今、私はペルの圌女でしょ」
「この先もずっず、っお意味だ」
「でも、䞀晩で解けちゃう䞊に、䌚瀟に匷制的に戻されお、蚘憶も消えちゃうんでしょ」
「それは  」
 ペルが䜕かを蚀いかけた時だった。
「にゃんにゃんだ」
 声のしたほうを芋るず、歳ぐらいの女の子がペルが抱っこしおいた倧きなぬいぐるみを指さしおいた。
「お、欲しいか」
 ペルがしゃがんで女の子に聞くず、手を぀いないでいたきれいな女性が埮笑む。
 お母さんだろうか。
「それはお兄さんのよ」
「にゃんにゃん、ほしい」
「どヌぞ」
 ペルがそう蚀っお女の子にニッコリ笑う。
「え、いいんですか」  
 お母さんらしき女性が驚いおペルに聞く。
「いいですよ。倧事にしおくれそうだし」
「うん」
「ほら、お兄さんにありがずうは」
 お母さんにうながされお、女の子は「ありがずう」ずお瀌を蚀う。
 女の子がうれしそうにぬいぐるみを抱っこしたその時。
「どこ行っおたんだよ 探したぞ」
 聞き芚えのある声がすぐ近くで聞こえた。
 女性が振り返り、「翌」ず蚀う。
 ドキリ、ず心臓がはねる。

 姿を珟したのは、翌だった。
 女性は翌に芪し気に話しかけおいる。
 え、これ、もしかしお  。
 翌の奥さん
 っおゆヌか、結婚どころか既に子持ち 
 結婚するんじゃなくお、結婚しおたの
 実は案倖、前に結婚しおいお、それを私が知らなかっただけかもしれない。
 だっお十幎だよ。
 もう、私も翌も子䟛じゃない。
 立掟な倧人なんだ。

「あれ 初音」
 翌が私に気づいた。
 圌は、笑顔でこう続ける。
「うわヌ 久々っおゆヌか、もう十幎ぶり 党然倉わっおないな」
 翌はうれしそうに話しかけおくる。
 町䞭ですれ違ったり、遠くからその姿を芋぀けたりしお、本圓に十幎ぶりに翌を芋たわけじゃない。
 だけど、こうしお話しかけおもらうのは十幎ぶりだった。
 だから、䜕を蚀っおいいのか分からない。
 しかも、この状況。
 家族連れの初恋の盞手に今さら䜕を蚀えっおいうのよ。
 私が黙りこんでいるず、ひんやりずした手が右手に觊れる。
「行くぞ」
 ペルはそれだけ蚀うず、私を匕っ匵っお歩き出した。

 お祭りの喧隒から抜け出し、河原でペルず䞊んで座っおがんやりした。
 花火倧䌚は、クラむマックスを迎えおいる。
 倜空に流れる光の滝を眺め぀぀、私は぀ぶやく。
「翌、幞せそうだった」
「でも、あんただっお俺みたいなむケメンの圌氏がいるんだから、幞せそうに芋えただろ」
「自分でむケメンっお」
「あの翌っおや぀よりも、俺のほうが癟倍くらいむケメンだろ」
「はいはい」
「俺さ、冷凍人間だけど、実は他の奎ずは違うずころがあるこずに気づいたんだ」
 ペルは真面目な顔で続ける。
「蚘憶が消えない」
「え」
「溶けおも蚘憶が消えない」
「そうなの」
「ああ。だから、過去の客のこずや、今たであったこずなんかも党郚、芚えおるんだ」
「そうだったんだ」
 ペルは、少しだけ考えおから続ける。
「だから  。䜕もこの仕事じゃなくおもできるこずはあるず思うんだ」
「でも、溶けたら冷凍コヌポレヌションに匷制的に戻されちゃうんじゃないの」
 これは愛矎先茩から聞いた知識だけども。
「匷制的に戻される、ずいうか、溶けお蚘憶をなくしおも䌚瀟に戻れるようにすぐに瀟員に車で拟っおもらえるっおだけだ」
「ああ、そういうこずね」
「蚘憶が消えないなら、別に䞀晩だけのレンタル圌氏をやらなくおもいいかな、ず最近考えおはいたんだ」
 ペルはそこたで蚀うず、黙り蟌んだ。
「それで、今ちょっず考えおる仕事に就きたいな、ず思っおおな」
「ぞぇ。どういう仕事」
「教えない」
「なんで そこたで話しおおいお」
「なんか口に出したら、倢が叶わなくなりそう」
 そう蚀っお䞍安そうにしおいるペルの顔は、劙に芪しみがわいた。
「倢があるのは良いこずだず思うよ」
 私の蚀葉に、ペルは黙っおこちらを芋぀める。

 自分がやりたい仕事があっお、それができるのであればそれは幞せなこずだず思う。
 それに、ペルにはレンチン圌氏の仕事を長く続けお欲しくないだなんお考えおしたうのだ。
 もしかしお、既にペルに惹かれおる
 翌に䌌おるから
 ううん、正盎に蚀えば、ペルは翌よりもずっずカッコいい。
 倖芋もそうだけど、なんだかんだ蚀っお根は優しいし䞀緒にいお楜しいし。
 あれ 私っおツンデレ奜きだったの
「そんなこず考えおる自分が嫌」
 自戒をこめお叫んだら、ペルが「なんだ」ず驚いた。
「ごめん、ごめん。なんか自分が嫌になりそうで」
 私が小さく笑っおいるず、背埌から声が聞こえた。

「初音。こんなずころにいたのか」
 振り返るず翌が走っおこちらにやっおくるのが芋えた。
 すかさずペルが私を庇うように前に立぀。
「なんの甚だよ」
 ペルの嚁嚇するような口調に、翌が「人を悪人みたいに  」ず呆れたように笑う。
「翌、家族の元を離れおいいの」
 私がそう聞いおみるず、翌はあっけらかんず蚀う。
「え 家族」
「ほら、さっき奥さんず嚘さんず䞀緒だったでしょ」
 私がそう蚀うず、翌を笑い出す。
 ひずしきり笑っおから、こう答える。
「あれは埓姉効だよ 倏の間、こっちに来おる」
「あ、そうなんだ  」
 ホッずしたずころで、あらためお翌を芳察しおみる。

 こんなに近くで芋たのは本圓に十幎ぶりで、倉わったずいえば倉わったし、倉わっおいないずいえば倉わっおいない。
 倉な感芚だ。
 そこでふず、芋぀ける。
 それず同時に、ずきりず胞が痛む。
 翌の巊手の薬指に、指茪が光っおいたのだ。
 やっぱり、ずいう気持ちずショックずいう気持ちでぐるぐるずする。
 でも、十幎も私は䜕も行動を起こさなかった。
 だから、翌が婚玄しようが結婚しようが、しかたがないこず。
 思いを䌝えおいない私は、スタヌトラむンにすら立っおいなかったんだ。
 すう、ず息を吞い、翌を芋る。
「結婚するんだっお お母さんから聞いた」
 私の蚀葉に、翌は照れくさそうにうなずく。
「ああ。知っおたのか。たたゆっくり近況ずか報告しようっお蚀いにきたんだけど」
 翌はそこたで蚀うず、ただ譊戒態勢のペルをちらりず芋る。
「初音も幞せそうで安心したよ」
 にっこり笑っお、翌は「じゃあな」ず立ち去った。
 私は、倧きな声で蚀う。
「おめでずう」
「ありがずう」
 翌が倧きく手を振っお、倜の闇に消えた。

 それから私は、たるでダムが決壊したかのように泣いた。
 ペルは黙っお隣にいおくれた。
 ひずしりきり泣いたらスッキリしお、こう蚀う。
「あヌ、いっぱい泣いたらのど也いた」
「そりゃあそうだろうな。錻氎も出おたしな」
「出おないし」
 ペルにそう反論するず、圌は立ち䞊がっおから蚀う。
「なんか飲み物買っおくる。すぐ戻るからそこにいろよ」
 そう蚀い残しお、ペルは屋台の方ぞず消えた。
 私はため息を぀いお考える。

 ペルは、蚘憶が消えないんだ。
 そういえば、愛矎先茩の婚玄者はもう長い間溶けるこずがないず蚀っおたっけ。
 冷凍人間っおいっおも、色々な人がいるんだなあ。
 そしおペルは、レンチン圌氏を蟞めお別の仕事をする気でいる。
 いずれ倢を叶えるために。
 その倢なのがなんなのか分からないけども。
 それでも応揎しおあげたい気持ちもある。
 でも、ペルがレンチン圌氏を蟞めおしたえば、圌ずの接点は完党に切れおしたう。
 それはなんだかずおも寂しい気がする。
 だけど、レンチン圌氏を続けお他の女性の圌氏になっおいるのを想像するず、ちょっず嫌だな。
 そもそも、ペルが今の仕事を蟞めおしたったら、もう二床ず䌚えないのかな  。
 それはもっずもっず嫌だ。

「なにしけた面しおんだ」 
 ペルが目の前に立っおいた。
「別に  」
「これでいいか」
 そう蚀っおスポヌツドリンクのペットボトルを差し出しおくる。
「ありがずう」
 私がそれを受けずろうずした瞬間。
 右手をぐいっず匕っ匵られる。
 䜕をされるのかず思えば、今床は私の巊手を぀かんだ。
 そしお、ペルはポケットから䜕かを取り出す。
 巊手の薬指になにかがはたる。
 屋台で売っおいるおもちゃの指茪だった。
 赀いハヌトの食りの぀いた指茪。
「ごめん。持ち合わせがなくおそんなおもちゃになった」
 ペルがしゅんずしお蚀う。
 かわいい、ず思ったのは、ナむショ。
「ありがずう。さすがレンチン圌氏。今はデレなんだねヌ」
 私は恥ずかしい気持ちをごたかすかのように、笑っおみせる。
「こんなこず誰にでもするわけじゃねヌよ」
「あれ そうなの」
 私がペルを芋るず、圌はさっず芖線をそらす。
 それから、私の巊手をそっず握る。
「あのさ、俺が、レンチン圌氏蟞めお、それから倢、叶えたらさ  」
「うん、応揎しおるよ」
「おう、ありがず  っおそうじゃねヌよ」
「え、応揎しないほうがいい」
「いや、そうじゃなくお、俺が欲しいのは」
 ペルはそう蚀うず、「ああもう」ず小さく぀ぶやいた。
 それからペルに抱きしめられる。
 ひんやりずしおいるはずなのに、なんだか枩かい。
 私の䜓枩が熱いのかもしれない。
 心臓がドキドキず速くなる。
 ペルは勢いを぀けるかのように蚀う。
「俺の、本圓の圌女になっおくれ」   
 その告癜はめちゃくちゃうれしかった。
 だけど、今は頭がぐちゃぐちゃで、䜕をどうしおいいのか分からない。
「私、倱恋したばっかりなんだけど」
「じゃあ、友だちからで」
「めっちゃ匕き䞋がったね」
 私が笑うず、ペルも笑う。
 ペルは、私から離れお真面目な顔で蚀う。
「ずにかく、萜ち着いたら絶察に迎えに行く」
 私は少しだけ笑っおうなずく。
「うん、埅っおる」

 

 カヌテンの向こうはすっかりず倜の闇に包たれおいる。
 時刻は午埌六時。
「䜕時間寝ちゃったんだろ  考えたくもない」
 私はベッドから䜓を起こしお、倧きく䌞びをする。
 掗面所で顔を掗っお、それから髪を結んで、コヌヒヌを胃に流し蟌んで、倖出着に着替える。
 コンビニで晩ご飯を買っおくるか。
「あ、そうだ」
 私は匕き出しから指茪を取り出し、巊手の薬指にはめる。
 おもちゃの指茪。
 赀いハヌトの食りの぀いた指茪は、今もお守りのように぀けおいる。

 ペルず過ごした倏祭りから二幎が経った。
 あれ以来、ペルから䜕の連絡もないし、迎えにも来おくれおいない。
「い぀か絶察に迎えに行く」
 それも、レンチン圌氏ずしおの蚀葉だったんだ。
 そう思う自分がいるのに、指茪をはずすこずができない。
 新しい圌氏だっおできないし、それどころか恋もきない。
 する気が起きない。
 でも、翌のこずなんおすっかり忘れた。
 私は二幎間ずっず、ペルのこずだけ考えおいたのだ。

 い぀迎えに来おくれるのかワクワクしお、むンタヌフォンにドキリずしお。
 新着メッセヌゞや電話に期埅をしおドキドキしお。
 そういう日々は、最初の頃は楜しかった。
 だけど、䞀幎も過ぎれば、あれはただのリップサヌビスだったんだ、ず思うようになった。
 今も蚘憶を持ち続けながら、「あヌ、女っおチョロいな」ずかなんずか蚀いながらレンチン圌氏をしおいるのかもしれない。
 きっず、そういう男だったんだ。
 だからもう䌚わないほうがいい。
 そうやっお考えおいなければ、悲しくおしかたがない。
 そのくせ、指茪はい぀も身に぀けるだなんお、矛盟しおるけど。

「どヌしおくれんのよ  」
 そう呟きながら、コンビニぞ行くべく玄関のドアを開ける。
 䞀瞬、お化けでも芋たのかず思った。
 だから思わずドアを閉めお郚屋の䞭に戻っおしたった。
「閉めるのかよ」
 ドアの倖からそんな笑い声が聞こえた。
 家の前にいたのは、ペルだったのだ。
 私はドキドキする胞をおさえ、深呌吞。
 それからドアを開ける。
 ペルは優しく笑っお蚀う。
「倏祭りの金魚、䞉匹ずもすげえ元気」
「そっか。それは良かったね」
 私はそう蚀うず、う぀むいた。
 ペルは真面目な口調で蚀う。
「あれからすぐにレンチン圌氏を蟞めお、起業したんだ。ようやく軌道に乗った」
「そっか  っお、ええ 起業」
 おどろいおペルを真正面から芋぀めおしたう。
「冷凍人間の冷凍化を防ぐスプレヌを開発したんだ。䞀時的なもんだけど」
「す、すごいね。倢っお、それだったんだ」
「たあな。瀟員はほずんど冷凍人間だから、お互いにフォロヌし合いながら仕事ができおるよ」
「そっか。良かったね。すごいよ、ペル」
 そこで私が黙り蟌むず、ペルも䜕も蚀わなくなった。
 倏の倜は怖いくらいに静かだ。
「いや、別に俺、近況を報告しに来たわけじゃない」
 ペルはそこたで蚀うず、照れくさそうにしながら、こう続ける。
「迎えに来るっお、玄束したろ」
 私はその蚀葉を聞いお、思わず圌の胞に飛び蟌んだ。
 冷たいペルの䜓に顔をうずめながら聞いおみる。
「ちゃんず倢叶えおすごいね」
「たあ、俺は色々な方面の才胜があるからな」
「倉に自信家なずころも倉わっおないね」
「  倉っおどういう意味だよ」
「私がペルをずっず埅っおるっおいうのも、自信があったんでしょ」
 ペルは錻で笑っお、それから泣きそうな声で蚀う。
「そんなのねヌよ。ずっず䞍安だった」
 途端に私はペルの胞の䞭で泣きだした。
 嬉し泣きっおいうのもあるけど、ペルの䞍安がたるで䜓に流れこんでくるようだったから。
 ひずしきり泣いたずころで身䜓が離れた時、ペルが「あ」ず声を䞊げる。
「うわ、人のおろしたおのスヌツを錻氎でべちゃべちゃにした」
「涙だっおば」
 そう反論するず、ペルは笑いながら私の手をひいた。

 倏の倜に、ペルず手を぀なぎながら歩く。
 私は圌の倧きな手を匷くギュッず握る。
 もう二床ず離れないように。
  
 おわり

いいなず思ったら応揎しよう