#20【2026-2027シーズン】新プログラム④_佐藤 駿、三浦 佳生 編
激動のミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪。
鍵山選手を含む同世代の「最強トリオ」として夢の舞台へ挑み、日本中に感動を届けた佐藤選手と三浦選手。
五輪の熱戦から早数ヶ月、
2人は早くも次の4年に向けた新たな一歩を踏み出しています。
幼少期から切磋琢磨し、誰よりも互いの才能と長所を認め合ってきた2人。時に最高のライバルとして、時に最大のモチベーションとして高め合う唯一無二の関係性は、新シーズンでさらなる進化を遂げようとしています。
初出場の五輪とその後の世界選手権を経て、さらなる高みを目指し新プログラムを携えて挑む佐藤選手。
そして、波乱の五輪シーズンを乗り越え、原点回帰として「楽しむ」ことをテーマに掲げる三浦選手。
今回は、固い絆で結ばれた2人の新シーズンに向けて披露されたショートプログラムと、発表されているフリープログラムの概要を紹介します。
佐藤 駿選手 SP「愛しみのチャルダッシュ」
まず注目したいのが、佐藤駿選手の新ショートプログラムです。
楽曲は、ヴァイオリニスト・古澤巌さんによる「愛しみのチャルダッシュ」。
チャルダッシュはハンガリー発祥の民族舞踊音楽で、緩やかなテンポから徐々に加速していく構成が特徴のジャンルです。
今回のプログラムは、伝統的なクラシックのチャルダッシュをアレンジしたバージョンで、曲調やリズムにメリハリが効いていて、スケートの表現にぴったりとはまる編曲になっています。
振付は宮本賢二さんが手がけました。
実際に見た印象は、とにかく素晴らしいの一言に尽きるプログラムでした。
ヴァイオリンの細やかな音の一つひとつを、エッジですくい上げるように拾っていくステップが見事で、滑らかさを増したスケーティングが曲と美しく調和していました。
まさに佐藤選手のイメージにぴったりと合ったプログラムだと感じます。
この滑りからは、初出場となったミラノ・コルティナ五輪という大きなプレッシャーに打ち勝ち、しっかりと結果を残した佐藤選手の精神面の強さと成長も感じ取ることができました。
現時点でのジャンプ構成はまだ抑えめですが、今後は4回転ジャンプを複数組み込んだ構成になっていくと見られ、内容がさらに充実していく仕上がりが楽しみなプログラムです。
佐藤 駿選手 FP「ポエタ」

佐藤選手の新フリープログラムは「ポエタ」。
振付は、2023-2024シーズンから継続してタッグを組んでいるギヨーム・シゼロンさんです。
佐藤選手とシゼロンさんの出会いは2023-2024シーズン。
当時カナダ・モントリオールに渡り、2週間にわたって直接指導を仰いだのがきっかけでした。
それ以降、シーズンごとにフリープログラムの振付を依頼し続け、2025-2026シーズンのミラノ・コルティナ五輪、そして世界選手権でも「火の鳥」で好演を見せています。
3シーズン目となる今回もシゼロンさんとのタッグが継続される形となり、二人三脚で積み重ねてきた信頼関係の深さがうかがえます。
演技はまだ映像として公開されていませんが、これまでシゼロンさんの振付のもとで、佐藤選手はドラマ性のある滑りや大人びた表現力を大きく開花させてきました。
今回の「ポエタ」でどんな新たな一面を見せてくれるのか、お披露目が待たれます。
三浦佳生選手 SP「マンボ(ある恋の物語、Gopher Mambo)」
続いてご紹介するのは、三浦佳生選手の新ショートプログラムです。
選曲は「ある恋の物語(Historia de un Amor)」(ペレス・プラード)と「Gopher Mambo」(レアンドロ・ダ・シルヴァ)を組み合わせたマンボ構成。
波乱の多かった五輪シーズンを終え、来シーズンは「とにかく楽しむ」ことをテーマに掲げて選ばれたプログラムです。
マンボといえば、フィギュアファンにとって真っ先に思い浮かぶのが髙橋大輔さんの伝説的なプログラム。
今もなお語り継がれる名作だけに、どうしても比較してしまう部分はありますが、三浦選手なりの激しさとパッションをしっかりと表現できていました。
大きく緩やかに広がるステップはスピードに乗っており、迫力が感じられます。
一方で、リズミカルな曲の刻みに対しては、まだ完全に乗りきれていない印象もあり、このあたりはシーズン初お披露目ゆえの伸びしろと言えそうです。
今後滑り込むごとに、曲との一体感がぐっと増していく予感があります。
課題となるのはジャンプの安定感です。
五輪シーズンはアップダウンの激しい戦いが続いた三浦選手。
新シーズンは「楽しむ」ことを軸にしながらも、この課題をどう克服していくかが注目のポイントです。ノリの良いマンボのリズムに乗って、伸び伸びと滑る三浦選手の姿に期待したいです!
三浦佳生選手 FP「ジキルとハイド」
三浦選手のフリープログラムは、ブロードウェイミュージカル『ジキル&ハイド』からの選曲。
振付はシェイリーン・ボーンさんが手がけています。
原作はロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説「ジキル博士とハイド氏」。
人間の善と悪を分離する薬を開発した医師ジキルが、自ら人体実験を行ったことで、凶暴な人格「ハイド」を生み出してしまうという物語です。
作曲を手がけたフランク・ワイルドホーンの楽曲はドラマチックで感情的な旋律が特徴で、1つの体に宿る善と悪、2つの人格の激しい対比を描き出す名作として、世界中で長く愛されているミュージカルです。
三浦選手はここ数シーズン、ミュージカルナンバーを使ったプログラムを続けており、今回もその路線を継続する形での選曲となりました。
ジキルとハイドという対照的な人格を、リンクの上でどう表現し分けるのか、シェイリーン・ボーンさんの振付でどんな仕上がりになるのか、お披露目が楽しみなプログラムです。
おわりに:氷上で交錯する、2人の新たなプロローグ
幼い頃から同じリンクで育ち、鍵山選手とともにミラノ五輪の舞台を戦い抜いた佐藤選手と三浦選手。
彼らの絆は、単なる「仲の良さ」を超え、お互いの才能をリスペクトし合うことで、自らのスケートを極めるための最高のモチベーションになっているようです。
世界への挑戦を経て、さらなる高みへ手を伸ばす佐藤選手の新プログラムと、波乱を乗り越え「滑る喜び」の原点に帰ってきた三浦選手の新シーズン。
2人が見据える先にあるのは、さらなる飛躍と可能性です。
ライバルであり、戦友であり、何より最高の理解者である2人。
彼らが今シーズン、氷の上にどんな新しい足跡を刻むのでしょうか。
これから始まる彼らの物語の全貌から、一瞬たりとも目が離せません。
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