【実話】第4話:断罪|妻から決別を告げられ、崩れ去った城。「清算の地獄」
■ 過去の物語はこちら
▼ 第1話:プロローグ|不倫さえしなければ
▼ 第2話:二面性|献身と隠された嘘の聖域
▼ 第3話:蹂躙|打算と、汚された最後の禁忌
ーーー
第4話【断罪】
「もう、不倫はやめた。僕は変わったんだ」
そう自分に言い聞かせ、必死に家族に尽くした2年間。不倫も浮気も一切断ち切り、穏やかな日常を取り戻したつもりだった。
家の中でも普通に会話をし、家族の仲は決して悪くなかった。
でも、それは僕の独りよがりな思い上がりだった。
妻が静かに告げた言葉は、どんな怒鳴り声よりも冷たく、重かった。
「やっぱり無理だから。離婚しよう」
僕が心を入れ替えて過ごしたこの2年間、彼女はずっと一人で悩み続けていた。
今の僕がどれだけ誠実であっても、過去に犯した裏切りの事実は消えない。
彼女はこう続けた。
「これ、私の最後のお願いだから。お願い、聞いて」
彼女はついに、子供たちを一人で育てていく覚悟を決めた。
その決心がついたからこそ、僕に最終通告を突きつけたのだ。
その「最後のお願い」を拒む権利なんて、僕には1ミリも残っていなかった。
ーーー
公正証書に刻まれた「償い」の条件
離婚の手続きを進めるにあたり、僕たちは公正証書を作成した。
それは、僕が犯した過ちに対する、逃げ場のない「償いの証明書」でもあった。
そこには、これからの僕の人生を縛る厳しい条件が並んだ。
まず、慰謝料として僕の車を妻に渡すこと。
子供たちの送り迎えやこれからの生活に、車は絶対に必要だ。
自分は移動手段を失っても構わない。
それが父親としてのせめてもの義務だと思った。
そして、3人分の養育費を算定基準額の通り、毎月欠かさず支払い続けること。
加えて、「将来、どちらかが再婚した場合には、養育費について改めて検討する」という文言も盛り込んだ。
自分の手でその書類に署名し、印を突く。
その重みは、これまでのどんな後悔よりも鋭く僕の胸に突き刺さった。

ーーー
離れても「父親」であることは一生変わらない
妻とは別れることになったが、子供たちとの関係は幸いにも良好だった。
離婚してバラバラに暮らすことになっても、僕は子供たちの父親であることに変わりはない。
それは一生、何があっても変わらない事実だ。
実際に、離婚した後も子供たちとは会っていた。
一緒にスポーツ観戦に行き、同じ時間を共有して笑い合った。
そのひとときだけは、自分が犯した罪を忘れ、ただの「父親」に戻れる唯一の救いだった。
だからこそ、どれだけ自分の生活が苦しくなろうとも、養育費を払うのは当然のことだと思っていた。
自分の子供なのだから、責任を持つのは当たり前。
別れたからといって、その絆を断ち切るつもりなんて毛頭なかった。
ーーー
財産分与も家も、すべてを置いて
公正証書を作成した後も、僕は一切の主張を捨てた。
家には絶対に貯金があるはずだと確信していた僕は、妻に聞いた。
「貯金、あるよね?」
だが、彼女の答えは冷ややかだった。
「いいや、貯金なんて何もない」
絶対にあるはずだ。
でも、僕はそれ以上追及するのをやめた。
「……わかった。もういいよ」
実際にあるはずの貯金も、これまでの共有財産も、すべて子供たちと彼女のこれからの生活のために置いていく。
僕がやったことの報いとして、手ぶらで家を出るのが筋だと思った。
自分たちで考え、こだわり抜いて建てた注文住宅。
その家を離れるのは、言葉では言い表せない喪失感だった。
たまたま会社の同僚でその家を欲しいという人がいたため、その人たちに家を譲り、僕たちはそれぞれ別の家へと引っ越していった。
家族で笑い合ったリビングも、子供たちの成長を願って作った部屋も、もう僕の居場所ではない。
ーーー
築古マンションでの「転落」生活
僕が選んだ新しい住まいは、築年数が長い、ボロボロのマンションだった。
バスとトイレが一緒になった、狭いワンルーム。
少しでも家賃を抑え、出費を最小限にするため、自分を極限まで追い込むしかなかった。
理想の注文住宅から、冷え冷えとした築古マンションへの転落。
家を明け渡し、独りきりの生活が始まった。
手元にあったのは、残高が10万円にも満たない、空に近い通帳。
ただこれは、全て自分のしてきたことの代償であると理解していた。

ーーー
自分の行いによって、自ら首を絞め、どん底へと落ちていく「清算」の記録。
自業自得な過ちによって、僕が受けた制裁の全てをさらけ出します。
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
