着物を着ると、雨が降る☔
何かの景品でもらったゴルフパラソルがある。
ゴルフバッグが濡れないための物で、普通の傘より大きい。
我が家にはゴルフをする人間がいないので、普段は殆ど出番がない。
だが、どういう訳か私が着物を着る時は、必ずゴルフパラソルの世話になる。
連休初日は、快晴。
釣り吉の見舞いに行く。
術後の経過は、順調だ。
洗濯は自分でするから見舞いにも来なくていいと言われ、とりあえず一安心。
翌日は10年振りに着物を着て、夫と記念写真を撮ると決めていた。
しかし慣れないことをすると、大抵雨が降る。
10年前に着物を着た時も雨が降ったので、濡れない様に夫がゴルフパラソルを差してくれた。
今年は降って欲しくないと思っていたら、なんと横なぐりの暴風雨。
え〜ん、何でよう。
でも美容室も写真館も、今更キャンセルは出来ない。
雨風吹き荒ぶ中、予定決行。
美容室でメイクとヘアセットをしてもらい、母から譲り受けた着物を着せてもらう。

着物を美しく魅せるためには、体型を補正して寸胴にならなければならない。
美容師さんは、綿やタオルを幾重にも私に巻き付けた。
うげっ、くっ、苦しい〜。
あれっ?着物って、こんなに苦しかったっけ?
明らかに10年前より、筋力も体幹も衰えている。
帯を結んでもらう時も、ヨロヨロよろける。
これは鍛えなければ、まずいぞ。
それでも美容師さんは、慣れた手つきで綺麗に着せてくれた。


やっぱり美しい着物を身に着けると、気分は高揚する。
沢山の職人さん達の技に、魅入ってしまう。
しかし、外は嵐。
この嵐の中、着物を濡らさずに写真館へ移動しなければならない。
まずは着物の裾を折り返して、帯に挟んだ。
長襦袢が丸見えだが、仕方がない。
そして、ビニールカッパを纏う。
もはや、原型が何だか分からない。
美容室の客のおばちゃん達が、みんなこっちを見て笑っている。
そりゃ、笑うよねぇ。
夫がゴルフパラソルを差して迎えに来てくれ、なんとか車に乗り込む。
美容師さんが、ドアを閉めてくれた。
普段と違って着物のお陰で、みんなに大事にされる。
写真館でも同じ様に大事にされ、沢山写真を撮ってもらった。
撮影後、せっかく着物を着たのだが土砂降りなので、このまま出かけるのは恐ろしい。
仕方なく、すぐに着替えた。
着替えていつもの私に戻ると、もう誰も大事にはしてくれない。
こうして10年に一度の大騒動は、幕を閉じた。
その翌日は、抜けるような青空。
着物をクリーニングに出し、傘を乾かしながら恨めしく思う。
どうして着物を着る時だけ、雨が降るのだろう。
夫が言った。
「これから日照りの時は、雨乞いのために子葉が着物を着ればいいな」
え〜ん、そりゃ、ないよ。
今度着物を着る時は、晴れてよ〜。
