社会主義崩壊前夜の東欧を一人で旅した46日間 45日目/46日
【第45話】「大規模なデモ目撃と闇取引」 モスクワ③
1991年3月10日(日)晴れ
昨日、飲みすぎて朝5時に目覚める。
胃腸薬のおかげで気分は回復。
8時に朝食を取り、荷物をまとめてチェックアウト。
バックパックを預け、9時から街歩き開始。
まずはアルバート通りを抜け、クレムリン横を通って赤の広場へ。
昨日閉まっていたグム百貨店は、3階建てのアーケード商店街。
しかし品揃えは乏しく、服や洗剤売り場には長蛇の列。
よくこんなに列べるなと感心。

百貨店内でファンタを頼んだが、味がしない。
ソ連の現実を感じる。
次にゴーリキー通りへ向かうと、軍隊が道路を封鎖し、プラカードを掲げる人々が集結。すごい人数。
デモだ!
でもなぜか怖くない。軍隊も民衆も落ち着いている。



緊張感漂う中を抜け、地下鉄でコムソモリスカヤ駅へ。
天井のタイル画と巨大シャンデリアは確かに美しいが、
「この労力を他に使えばいいのに」と思ってしまう。
再びアルバート通りに戻り、露天商に声をかけ「コマンダスキーある?」と聞くと、1個だけ持っていた。
4個欲しいと言うと、どこからか追加を調達。
ここからスリル満点の交渉開始。
今日は帰国日。
もう情報収集のラジオは要らないので、
持っていたSONYの短波ラジオで物々交換を試みるが不成立。
結局、4個で40ドルに落ち着くが、
「KGBが怖い。ドルは危険、ホテル前で取引しよう」と言われる。
15時、ベオグラードホテル前で待機。
彼の仲間が現れ、裏路地へ移動。
ドルと時計を交換する瞬間、やけに慎重なのでこちらもドキドキ。でも取引無事成立。
まるでスパイ映画のワンシーン。
夕方、ホテルに戻り、予約していた空港送迎のタクシーに乗車。
運転手は英語ができ、
「ゴルビーとエリツィン、どっちが好き?」と聞くと、
「わからない。仕事とウォッカがあればいい。」と笑う。
空港に着くと税関は出発便順で通過。
18時50分まで待たされ、やっと搭乗。
座席はエコノミー最前列の窓側。
ラッキー!と思ったら、壁が振動してうるさい。
うるさくて寝れないまま夜が明ける。
窓の外には三日月と果てしない雪原が広がっている。
次は【第46話】「日本に到着 社会主義とは何だったのか」です。
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