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誰も見ていない夜に、少しだけ息をする


自分を整える、最後の儀式


重い話じゃない

ちょっとだけ疲れた夜のことだ。

そんな夜は、少しだけ、自分を甘やかす。


お風呂を最後にまわす

家族が全員入り終わったあと、湯を少し足し、ぬるくなった水面を温め直す。

我が家は追い焚き機能がお風呂にない。順番も私は当然最後だ。


普段の冬はもはや水に近い。

長湯はできない。

けれど、電気を消し、窓の外の夜空を眺めるだけで、心が静まっていく。


暗闇の中の静寂。

自分の輪郭が、ようやく戻ってくる。

胸の奥で、何かが静かにほどけていくのを感じた。


湯から上がる

両親の様子を確認。台所を片づけ、娘の部屋の灯りをそっと確かめる。

すべての生活音が消えたあと、縁側に出る。


少しだけ良い酒を、グラスにほんの指二本分。

灯りは暖色系。静かで、柔らかくて、心地いい。

夜風が通るたび、肩の力が抜けていく。


人は、こうして一日の終わりに自分を整えていくのだと思う。

何かを成し遂げるわけでもなく、ただ、今日という日を生き抜いたことを小さく讃える。


秋の夜は、感情を少しだけ深くする

心が"揺れる"季節。

あの日の声や、過ぎた記憶がふと蘇る。


けれど、それでいい。

それが"生きている"ということだ。


忘れたいことも、忘れられないことも、すべて自分の一部だ。

それを抱えながら、今日も生きた。

それで十分じゃないか。


疲れをゼロにしようとしない

癒やしすぎない。

少しだけ癒やして、また明日へ。


完全に回復しようとすると、かえって疲れる。

疲労と共に生きる。それが、五十代という年齢を生きることなのかもしれない。


だから、ほんの少しだけでいい。

グラス一杯の酒。暗闇の中の静寂。縁側を通る夜風。

それだけで、心は少しだけ軽くなる。


そうして人は、また人生という長い夜をゆっくりと歩いていく

派手な励ましはいらない。

大きな希望もいらない。


ただ、今日を生き延びた自分を、少しだけ讃える時間。

それが、明日への燃料になる。


人生は長いようで短い。

そして、時に重い。

でも、こうして少しずつ自分を整えながら、また歩き出せる。

それが、人間の強さなのだと思う。


あなたへ

もし、あなたも今夜、少しだけ疲れているなら。

完全に癒やそうとしなくていい。


少しだけ、自分を甘やかしてください。

お風呂の電気を消して、暗闇に身を委ねる。

縁側に出て、夜風に触れる。

グラス一杯の酒を、ゆっくりと味わう。


それだけで、世界は少しだけやさしくなる。

そして、明日もまた、歩き出せる。

※静かな夜ほど、人は人に戻る。

湯気の向こうに見えるものは、きっと「希望」だ。


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EX-FAX-CE | NOTE執筆家
「ロスジェネ氷河期的視点 ― 情に生き、言葉で立ち上がる」
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「言葉は、再起動ではなく継続の証」

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