おしゃれな部屋より、自分でいられる部屋
植物も、写真も、日用品もある。わが家のリビング。
インテリアコーディネーターの家なら、さぞかしおしゃれなのだろうと思われることがある。
実際には、そうでもない。
少なくともわが家は、モデルルームのように整った部屋ではない。植物は増えるし、棚には日用品も置いてある。生活しているので、いつでも撮影できる状態というわけでもない。
それでも、自分の家は気に入っている。

植物のための場所。育てているうちに、少しずつ増えた。
住宅会社やインテリアメーカーの写真には、きれいに整えられた部屋が使われる。
家具の配置も、色の組み合わせもよく考えられている。生活用品はほとんど見えず、テーブルの上には花や器が少しだけ置かれている。
それは当然だと思う。
家や家具、カーテンを魅力的に見せるための写真なのだから、まずは「いいな」と思ってもらう必要がある。私自身も仕事ではイメージ写真を使うし、写真を見て商品を選ぶこともある。
イメージ写真は、部屋づくりの入口になる。
ただ、その写真と同じ家具やカーテンをそろえても、そのまま自分の部屋になるわけではない。
実際に暮らし始めると、そこに持ち物や習慣が加わる。
わが家では、窓辺に植物を置いている。花を買った日はテーブルに飾る。壁には写真やアートを掛け、棚には小さな作品や、気に入っているものを並べている。

寝室は、カーテンと照明を中心に、静かに落ち着けるようにした。
寝室にも、アートや小さな飾りがある。
カーテンや照明のように、部屋全体の印象を決めるものもあれば、棚の上に置かれた小さなものもある。
どれも、暮らしに絶対必要なものではない。
植物は水やりが必要だし、花は枯れる。飾るものが増えれば、掃除もしにくくなる。

役に立つものと、特に役には立たないけれど好きなもの。
それでも、何もない空間より、自分が好きなものが目に入る空間のほうが落ち着く。
家具やカーテンは、部屋の土台になる。
サイズや機能、色のバランスを考えることは大切だし、そこには専門的な知識も役に立つ。
けれど、部屋をその人の居場所にするのは、それだけではないと思う。

階段も、ただ通り過ぎるためだけの場所ではない。
選んだ絵を掛ける。植物を育てる。花を飾る。意味のないものも、気に入っているなら置いておく。
そうした小さな選択が重なって、ようやく自分の部屋になる。
おしゃれに見えるかどうかは、見る人によって違う。
それよりも、帰ってきたときに落ち着くこと。自分の好きなものがあり、ここは自分の場所だと思えること。

画家の友人の作品:野坂衣織『夜の帳がおりるまで』
好きなものを、自分の見える場所に置く。
私は、そういう空間を目指している。
インテリアは、一度きれいに整えて完成するものではない。
暮らしながら、少しずつ自分の場所にしていくものなのだと思う。
植物を部屋に置く理由については、こちらの記事に書いています。
