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なぜ、部屋に植物を置きたくなるのか

最近、カーテンや壁紙、家具メーカーのカタログやウェブサイトを見ると、イメージ写真の中にかなりの確率で観葉植物が置かれています。

以前は、ここまで多くなかったように思います。

かつて「おしゃれなインテリア」といえば、直線的で無機質な、すっきりとしたモダン空間が多かった印象があります。白や黒、ガラスや金属を使い、生活感をできるだけ見せない。そんな空間が洗練されていると感じられた時代がありました。

もちろん、今もモダンなインテリアは人気です。ただ、以前よりも素材を感じさせる木やテキスタイル、植物など、自然を感じられるものが求められるようになってきた気がします。

画面の中で暮らす時代に

私たちの暮らしは、パソコンやスマートフォン、IT、そしてAIに囲まれています。

仕事でもプライベートでも、画面を見る時間は増える一方です。便利になった反面、身のまわりには人工的で均一なものが多くなりました。

だからこそ、家の中に有機的なものを置きたくなるのかもしれません。

植物は、人の都合どおりにはなりません。元気に育つこともあれば、その環境に馴染めないと急に調子を崩すこともあります。

観葉植物は、今の暮らしの中で、もっとも身近に取り入れられる自然なのだと思います。

インテリアに、植物がある風景

最近では、インテリアショップでも観葉植物を本格的に扱う店が増えました。

家具の横に一鉢添えているという程度ではなく、植物そのものを選ぶための売り場があり、鉢や花台まで含めて提案されています。アクタスなどを見ても、観葉植物の売り場は以前よりかなり広くなったように感じます。

植物は、園芸店で買って育てるだけのものではなく、家具や照明と同じように、部屋を構成する要素のひとつになってきました。

メーカーのイメージ写真でも同じ傾向にあります。

家具やカーテンだけで整えた空間に植物を加えると、直線の多い室内に、葉や枝の自然な形が入ります。白やベージュ、グレーを中心にまとめた部屋にも、グリーンが一つ加わるだけで、空間がやわらかく見えます。

ただ整っているだけではなく、そこに人が暮らしているような気配も生まれます。

植物がインテリアの主役というわけではありません。でも、いつの間にか、植物のある風景が当たり前になってきました。

モデルハウスにグリーンを置く理由

私は、モデルハウスの窓まわりやディスプレイの仕事をする際、ほぼ必ずインテリアグリーンを入れます。

モデルハウスでは、カーテンやシェードを取り付け、家具や小物を整えても、まだ少し空間が硬く見えることがあります。

そんなとき、部屋の隅に高さのあるグリーンを置くと、空いていた壁面に動きが生まれます。テーブルの上に小さな植物を添えるだけでも、空間全体が自然につながって見えます。

グリーンは、余った場所を埋めるためのものではありません。

空間に高さや奥行きをつくり、家具や窓まわりの印象をやわらげ、そこで暮らす様子を想像しやすくする。モデルハウスでは、そんな役割を担っています。

ただし、ディスプレイには当然、予算があります。

インテリアグリーンは、価格が見た目に反映されやすい商品です。高価なものほど、葉の密度や幹の自然さ、鉢まで含めた完成度が高い。それでも、すべてに予算をかければ採算が合わなくなります。

どこに少し良いものを置き、どこを抑えるか。高さや鉢、置き方でどう見せるか。

モデルハウスのディスプレイの仕事は、華やかに見えて、実際にはかなり現実的な体力と予算との闘いです。私にとっては、限られた金額の中で空間を整える、一種の買い物ゲームのような仕事でもあります。


モデルハウスのリビングルーム:カーテンやクッション、ラグ、テーブル、植物を足して
暮らしが想像できるようにしました。
モデルハウスのキッチン:リビング同様にここでの暮らしをイメージできるように心掛けています。
モデルハウスの寝室:インテリアグリーンがあると空間が優しく感じられる


小さなリビングで、植物と暮らす

仕事では、空間を仕上げるために植物を置きます。

けれど、自宅の植物はディスプレイ用品ではありません。

育ち、枝を伸ばし、鉢が増え、それぞれに日当たりのよい場所が必要になります。

わが家のリビングは、それほど広くありません。それでも植物は少しずつ増え、床に鉢を並べるだけでは、まとまりにくくなってきました。

広く見せることだけを考えるなら、植物を減らす方が正しいのかもしれません。

でも、植物のないすっきりした部屋にしたいわけではない。

そこで最近、新しい花台を買いました。

植物を減らすのではなく、縦にまとめて、それぞれの居場所をつくることにしました。置いてみると、鉢の数は変わらないのに、床が少し見えるようになり、以前よりまとまって見えます。

もっとも、花台に空いている場所があると、そこにまた新しい植物を置きたくなるので、根本的な解決になっているかは少々怪しいところです。


フロアランプや花台、カーテンレールにブラックのアイアンを繰り返し使い、
空間全体に統一感を持たせています。

暮らしの中に、小さな自然を

観葉植物は、今のインテリアを整えるための定番になりました。

ただ、役割は見た目を整えることだけではありません。

ITやAIに囲まれ、画面を見る時間が増えた暮らしの中で、植物は身近に取り入れられる自然のひとつです。

光の方向に伸び、少しずつ姿を変え、ときには思うように育たない。そうした不規則さが、整いすぎた空間にやわらかさを加えます。

デジタルなものが増えるほど、室内には自然を感じられる要素が必要になるのかもしれません。

観葉植物を置くことは、部屋を飾るというより、暮らしの中に自然との接点をつくることなのだと思います。

部屋づくりについては、こちらの記事にも書いています。


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