芋出し画像

なぜ「で、儲かるの」で話が止たっおしたうのか

こんばんは🌙

ここたで2回で、私たちの刀断のOSがどこから来たものかを芋おきたした。400幎前のペヌロッパで䞖界を分けたずころから始たり、客芳・論理・物質を䞊に眮く䞉぀の序列が育っおきたこず。そしおその考え方が、䞻芳より客芳、感情より論理、分ければ分かる、効率の最倧化、右肩䞊がり志向ずいう考え方に匷化され、私たちが「優秀なビゞネスパヌ゜ン(シゎデキ)だ」ず評䟡される条件そのものになっおいるこず。

前回の蚘事はコチラ👇

今回で、この話はいったん締めたす。この近代西掋思想に由来する「モノの芋方」や「刀断基準」は実際のずころ、私たちに䜕をもたらしおきたのか。倚倧な恩恵をもたらした䞀方で、その匊害もあるよねずいう話です。

近代西掋思想が私たちにもたらしたもの

たず、デカルト・ニュヌトン以降に登堎した近代西掋思想は、私たち人類にずんでもない成果を出しおきたした。産業革呜以降の爆発的な技術革新ず、それたでの人類が経隓したこずのない物質的な豊かさは、この思考法があっお初めお生たれたものです。珟代の医療も、亀通も、私が毎日仕事で觊っおいるコンピュヌタも、クラりドも、AIも、党お近代西掋思想から始たっおいたす。

私は゜フトりェアを開発しお絊料をもらっおいるので、近代西掋思想流の「分析しお、蚈枬しお、比范しお、改善する」ずいう䞀連の䜜法がなければ䞀日たりずも仕事が成り立ちたせん。これは仕事をしおいく䞊で必須の考え方であり、今埌なくなるこずもないし、なくすべきでもないず思いたす。

そのうえで、今回は東掋思想の芳点から芋た西掋思想のデメリットや匊害を考えおいきたす。

幕末の日本ずいう超特殊な状況

西掋の考え方が日本に䞀気に抌し寄せおきたのが、幕末です。

長く鎖囜しおいたずころに西掋列匷がやっおきお、技術も、軍事力も、考え方そのものも、新しいものがたずめお流れ蟌んできた時代です。圓時の日本人にずっおは、目の前に突然、党く別の文明が珟れたようなものだったこずでしょう。

このずき「西掋の孊問ずは䞀䜓、いかなるものか」を正面から芋極めようずした思想家がいたした。暪井小楠よこいしょうなんです。明治維新の盎埌に暗殺されおしたったので、あたり知っおいる人はいないかもしれたせんが、じ぀は新政府で日本の新しい囜家構想を描ける人材ずしお岩倉具芖が名前を挙げおいた䞀人で、䜐久間象山ず䞊ぶ「近代日本の構想係」だったず蚀われおいたす。

暪井小楠 (1809-1869)

その暪井が、西掋の孊問の本質は「事業の孊である」ず䌝えられおいたす。

「事業の孊」はゎヌルにたどり着くための孊問

「事業の孊」ずは、今颚に蚀えば「プロゞェクトのための孊問」です。

「プロゞェクト」ずいうものは、必ず目的(ゎヌル)がありたす。人類史䞊もっずも有名なプロゞェクトの1぀ずいえばアポロ蚈画ですが、アポロ蚈画の目的(ゎヌル)は「人類が月面に降り立぀こず」です。

ゎヌルを達成するために逆算(バックキャスト)で考えおいくのがプロゞェクトです。目的を決め、そこぞ確実に到達するための技術を磚く。䌚瀟の研修ラむンナップもほずんどがこれではないでしょうか。

研修ラむンナップに䞊ぶもの

私の䌚瀟もそうです。目暙を立おお、タスク分解しお、進捗を枬っお、達成床で評䟡する。この䞀匏を身に぀けおいる人が、仕事のできる人ずしお扱われたす。

決しお「䌚瀟の研修が薄っぺらい」ずいっおいるのではありたせん。これらは「事業の成功」ずいうプロゞェクトの目的を成し遂げるための技術ずしお本圓によくできおいたす。

問題はこれ䞀点匵りなこず

問題は、この「プロゞェクト」的な考え方で党おを扱おうずしおしたうこずです。

前回たでに芋たずおり、この考え方は「枬定できるもの」を䞊に眮く序列がありたす。そしお䌚瀟の䞭でいちばん枬りやすいのは蚀うたでもなく「お金」です。売䞊、利益、コスト、投資察効果。どれも䞀円単䜍で比范できたす。したがっお、意図的に倉えない限り「コスト」を党おの刀断基準ずするこずが圓たり前になっおしたいたす。

その結果どうなるか。ある問題、ある察象をバラバラに分解しお、それぞれに数字を持たせお、数字の䌞びを远いかけるようになりたす。郚門ごずに数字を持おば、郚門のあいだで数字の取り合いが始たりたす。䌚瀟党䜓ずしおは明らかにマむナスなのに、自郚門は数字䞊は正しいから問題ない、そういう刀断が暪行するこずは、誰もが思い圓たるのではないでしょうか。

そうやっお目に芋える数字だけを远うようになった組織は、必ず内郚で摩擊を生みたす。

2300幎前に、同じ構造が曞かれおいる

ここで、以前に曞いた話に戻りたす。

私が東掋思想を孊び始めたきっかけは、新芏事業の提案を持っおいくたびに「で、キミの提案をやったら儲かる保蚌はあるのか」ず問われおいた時期に、研修で『孟子』の䞀行に出䌚ったこずでした。

王よ、なぜ利益の話をする必芁がありたしょうか。倧切なのは仁矩、それだけです。

あの蚀葉には続きがありたす。

孟子がいうには、

囜のトップである王が「どうすれば我が囜の利益になるか」にばかり関心があれば、王の䞋にいる倧臣クラスは「どうすればわが家の利益になるか」ばかりに関心が向かい、その䞋にいる圹人や庶民は「どうすれば自分の利益になるか」ばかりに関心が向かう。

そういう囜は、やがおこうなるず説きたす。

『孟子』梁恵王章句

䞊の者も䞋の者も、たがいに利益を取り合うようになる。そうなった囜は危ういずいう䞀節です。

私はこの話をただの「道埳の話」ではなく、組織構造の話ずしお受け取りたした。トップが「利」ばかり口にするような組織は、それが䞋たで䌝わっお、組織党䜓が「利」の取り合いになっおいく。誰も悪意を持っおいるわけでもなくおも、構造的にそうなる。䞊が䜿った蚀葉が、そのたた組織の䜜法になるずいう話だず受け取りたした。

「利」ずは、育おた成果である

なぜ「利」だけでは足りないのか。その答えは「利」ずいう字そのものに曞いおありたす。

「利」は、のぎぞんに刀ず曞きたす。のぎぞんは皲を衚す郚銖なので、この字が指しおいるのは「皲刈り」です。「皲刈り」はやろうず思ったらすぐにできるこずでしょうか皲は野菜や果実のように自生するこずはありたせん。苗床を䜜っお、苗を育おお、田を耕しお、田怍えをしお、氎やりず肥料ず氎抜きを毎日欠かさず、十か月かけお人が䞖話をする必芁がありたす。それが党郚終わっお、はじめお刈れたす。

぀たり「利」ずは、自分の圹割を果たした人が受け取れる成果のこずです。

圓然ですが、自分の圹割(぀たり皲を育おるこず)を果たさずに、利だけを取ろうずしおいる人の田んがには、秋になっおも皲がありたせん。刈るものがないのに刈ろうずすれば、隣の田から取っおくるしかありたせん。育おおいない成果を刈り取るには、他者から奪うかしか道がないわけです。

これが「䞊䞋亀々利を埁りお、囜危うし」の䞭身です。䞊が利を優先した組織では、自分達で皲を育おるより他者の皲を刈るほうに向かいたす。

䞀぀断っおおきたすが、孟子が指摘した構造は、近代西掋思想ずは関係ありたせん。あくたで孟子が芋おいたのは2300幎前の䞭囜であり、デカルトより2000幎近く前の話です。

ただ、定量的に枬定できるもの、比范できるものを重芖するずいう考え方は、この構造に陥りやすいずころがありたす。ずくに「利益(お金)」はいちばん枬りやすいので、刀断基準が「利益」に寄りがちです。定量的に枬定したり比范するこずが悪いのではなく、その道具しか手元にない状態で刀断するこずが問題なのです。

仕事の刀断で、どこが倉わるか

では明日から䜕をするか。

これは「利益を远うのをやめたしょう」ずいう話ではたったくありたせん。それをやめたら䌚瀟は朰れたすし、孟子も利益を出すなずは䞀蚀も䞻匵しおいたせん。「育おおないのに刈るな」ず蚀っおいるだけです。

私は、仕事で数字を远い掛けるような話が出た時は必ず「その数字を䜕のために远っおいるのか」を意識するようにしおいたす。

さもないず、い぀の間にか、いずも簡単に「数字を远い掛けるこず」自䜓が目的化しおしたうからです。

たずえば提案資料には「この数字がここたで倉わるず、誰のどんな困りごずが消えるのか」を曞くなど。金額でも件数でもなく「状態」の倉化を曞きたす。

もちろん、そんなものを曞いたずころで「で、儲かるの」ずいう問いが消えるわけではありたせん。ありたせんが「儲かるか、儲からないか」の二択で䌚話が終わらなくなりたした。「その困りごずが消えるのなら、こういった垂堎にも展開できるはずだ」ずか「単䟡はもっず取れるんじゃないか」ずいう方向に話が進んだこずもありたす。

10幎前の私は数字だけ持っおいっお「で、儲かるの」で止たっおいたした。圓時は圹員の物分かりが悪いず思っおいたしたが、いた振り返っおみれば、私も「利」の蚀葉でしか喋れおいなかったのかもしれたせん。

先に矩、埌から利。あのずき孟子に励たされたような気がしたのは、たぶんこの順番のこずだったんだろうず、いたは思っおいたす。

たずめ

私たちの思考のOSは、400幎前のペヌロッパで生たれた近代西掋思想です。その特城は「分ける」を軞にした5぀にありたす。そしおこの仕組みは、事業の目的を達成する「プロゞェクト」を操る道具ずしおは完成されおいたすが、それ䞀点匵りで来たずころに、ひずみが出はじめおいたす。

次回からは、いた䜕が起きおいるのかを芋おいきたす。

端的に蚀えば、颚向きが倉わり始めおいたす。ずくにこの10幎ほど、「芋えないもの」「枬れないもの」がビゞネスの衚舞台に出おくるようになりたした。その理由を考えたす。

それでは、たた。


このアカりントでは、儒教・仏教・老荘・犅・神道の叀兞を、日々の仕事の刀断に䜿える圢に翻蚳しお曞いおいたす。

→ アカりントを再始動したす

東掋の思想哲孊に興味はあるけれど、どこから手を付けおいいか分からないずいう方は、ぜひフォロヌしおください

いいなず思ったら応揎しよう