放送作家がライターさんをガチ添削。1〜2秒の「?」を削る伝え方。
僕のメタ認知は、バグっていたようです。
まさか、よかれと思って付けた「ガチ」の一言に、覇王色の覇気をまとわせていたなんて。
先日、こんな記事を書きました。
僕が文章を書くとき/読むとき、意識している「七つの大罪」がある。それが、不親切、無配慮、無個性、虚偽、矛盾、冗長、淡白だと。
ただ、書き終えたところで思ったんです。
「説教臭くね?」
「偉そう、とか思われん?」
普段、僕は「とっつきにく夫」と思われがち。だったらと急きょ書き足したのが「放送作家のガチ添削」という企画でした。最後まで読んでくれた人に、感謝の意を示そう。本気で向き合おう。そんな気持ちでした。
……そしたらさ。
応募者の方から言われたの。
「ガチと書いてあったので、フルボッコにされるのかなって。応募するのに勇気が要りました」
くっ、こういうとこが「とっつきにく夫」なのか!
てなわけで今回、添削したのはこちらです。
書き手は、みくまゆたんさん(みくさんと呼びます)。お初だったので事前に調べたところ、あわわわわ。
ライター・作家としてバリバリ活躍しておられる!
著書もある! 人脈も広そう!
えええ、僕の意見なんているの?
って方でした😅
そんな相手に、僕はどう向き合ったのか?
結論、開き直って普段のスタイルで挑みました。
①伝えたかったことの確認
②全体の印象について
③ブロックごとに感想戦
④整理してまとめ
よかった点も、違和感があった点も、思ったことは裏表なく。そして、どうしてそう思ったか、自分ならどう書くかも伝える。時にはドラスティックなアイデアも提案し、最後は書き手に判断を預ける。
これが、僕の「ガチ」なのよ。
大前提、記事は個性的でおもしろかったです。
夫と元カレの共通点が「すきっ歯」であるという発見とか。それを夫が治したら「自分への興味を失うのではないか」という謎理論(自分が夫への興味を失うのでは?ならわかる)とか。また「すきっ歯DESTINY」「凱旋門のようなすきっ歯」といった独特の表現も、めちゃんこ好き。
「AIには書けない文章にしたい」とのお話だったんですが、十分にできていると思いました。
一方、惜しいところも。
タイトルにある「山本裕典」がなかなか出てこないとか。野球の比喩に改善の余地ありとか。
そんな中、みくさんは〝思考コスト〟という考え方が新鮮だったそうです。
具体例で説明します。映像を思い浮かべながら読んでいってください。
夫は、一目でわかるレベルに、清々しいすきっ歯である。
かつて、義母は「Dちゃんはね/
ハイ、ここォォォ!
Dちゃんが誰のことか、想像できました? 夫のことか、はたまた別の登場人物か、ちょっと迷いませんでしたか?
その「?」こそ〝思考コスト〟です。
夫は、一目でわかるレベルに、清々しいすきっ歯である。
かつて、義母は「Dちゃんはね、すきっ歯を治したらめちゃくちゃ男前になるんだからぁ」と私に言った。
文を最後まで読んだら、夫のことだってわかるんですけど、そこまでの1〜2秒にはコストがかかってしまうんですね。
この場合は、冒頭の「夫は」を「夫のDは」にするか、「義母は」の後ろに「夫について」を付けるか、あるいは「Dちゃんはね」をカットするか、かなと。
次はどうでしょう。場面転換のブロック頭。
夫に昨夜、私はかねてより気になっていた「すきっ歯への素朴な疑問」について聞いてみることにした。
「あんた、いつか『すきっ歯』を治すのか?」
時間は午後22時ごろ。娘はすっかり眠りについており、夫は自分でいれた珈琲に舌鼓を打っていた。
ハイ、ストップゥゥゥ!
このままでも成立していますが、実は3つめの「時間は〜〜〜舌鼓を打っていた」を最初に持っていくと、思考コストを削れます。
昨日の22時ごろ。娘はすっかり眠りについており、夫は自分でいれた珈琲に舌鼓を打っていた。
私はかねてより気になっていた「すきっ歯への素朴な疑問」について聞いてみることにした。
「あんた、いつか『すきっ歯』を治すのか?」
空白の背景が埋まって、想像が捗ったでしょう?
僕なら「リビングのソファにもたれながら」なんて描写も加えます。映像でも、漫画でも、場面が変わるときって時間・場所・人物の位置関係などがわかる画が入るんですよね。文章もそうしてあげると読みやすくなります。
逆に、よかったのはこちら。
「それは、流石にたまたまやろ」
夫が明後日の方向を向き、失笑している。
「もし、あんたが歯を治したら私を見る目が変わるかもしれんな。私に興味なくなるんちゃうか」
「……あのさ、ちょっと待って」
夫はそう言って、ゆっくりと珈琲を口に含む。渋みのある豆の香りが、静かに満ちていく。
台詞の合間にちょくちょく夫のリアクション描写が挟まっていますよね。ここ、二重の意味でGOOD!
・表情が目に浮かぶ
・次の言葉を引き立たせる「間」になっている
見せ場の描写は流石の腕前でした。
みくさん、この度はありがとうございました。今後ともご贔屓に〜。
最後にお知らせです。
みくさんの反応が良かったので「ガチ添削」の参加者を追加募集します‼️
この記事を読んで「我こそは!」という方がいるようなら、下のGoogleフォームで要項を確認し、お申し込みください。期限は13日20時まで。無料なので1000〜2500字の記事1本だけです。応募数により途中打ち切りあり。その場合はXにて報告しまーす。
⚠️一定数に達したので打ち切ります。またの機会にご応募ください。
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