静かに整う場所を見つけた話
なんとなく、歩きたくなる日がある。
整えようと思っているわけじゃない。
ただ、外に出たくなる。
そんな日に、
岡山県津山市の神楽尾城跡を歩いてきた。

まだ何も起きていない時間。
最初は、少しだけ息が上がる。
土の階段。
一定じゃない段差。
足の置き場を探しながら進む感じ。
この「ちょっとした不安定さ」が、
身体を起こしてくる。

でも、このくらいがちょうどいい。
しばらくすると、
道が変わる。
尾根に出ると、
ふっと呼吸が楽になる。
視界が開けるからか、
足が勝手に前に出る。
頑張っている感じが、消える。

気づいたら、
深く息が入っていた。
意識していないのに、
呼吸が変わっている。
こういう変化って、
だいたい後から気づく。
さらに進むと、
また少し負荷がくる。
でも、
さっきより楽に越えられる。
身体が、順応している。

身体が慣れてくると、
景色の見え方も変わる。
歩くことって、
調整なんだと思う。
きつすぎてもダメで、
楽すぎても変わらない。
その間を、
行ったり来たりしながら整っていく。
気づけば、
余計な力が抜けていた。
肩も、呼吸も、
少しだけ軽い。

ちゃんと整う。
下山して食べたカレーが、
やけに美味しかった。
特別なものじゃないのに、
ちゃんと美味しい。
身体が整うと、
こういう感覚が戻ってくる。

ちゃんと美味しさを感じる。
整えるって、
何かを足すことじゃないのかもしれない。
少し歩いて、
少し感じて、
少し余白をつくる。

ただ、少し歩いただけ。
無理しなくても、
身体はちゃんと応えてくれる。
歩く日もあれば、走りたくなる日もある。
▶ 奥津湖を走る|湖とダムのあいだで、身体がほどけていく
