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【考える#6】愛知県本宿町の地方創生がすごい(事例3)

前回は、佐賀の豆腐屋「佐嘉平川屋」についてまとめました。地域資産を【発見】し、【事業化】する。そこから【交流】が生まれ、得たものを【再投資】する。このスパイラルによって、地域が自ら稼げるようになることが地方創生なのではないか。そんなことを考えました。

ところが今回の『医師が実践する地方創生』は、ちょっと違います。正直、読み終わった時の感想は、「こんなん真似できへんわい!(笑)」でした。

◾️26年ぶりに地元へ戻った内科医師

舞台は愛知県岡崎市の本宿町。著者の冨田裕氏は、この地域で江戸時代に代官を務めた家系の14代目。明治以降は一族が医業を始め、冨田病院は120年以上にわたり地域医療を担ってきたとのことです。

冨田氏自身は慶應義塾大学病院で医師として働き、先代の病気をきっかけに26年ぶりに地元へ戻ります。まず取り組んだのが、家業である病院の再生でした。

老朽化した病院を建て替え、リハビリテーションや予防医療を強化する。ここまでは分かります。

問題は、この先です・・・。

◾️「アウトレットでも誘致できたら」

病院だけを良くしても、地域そのものが衰退すれば、医療を支える人材もいなくなるそこで冨田氏は、まちづくり協議会を立ち上げます。

その会合で出てきたのが、「アウトレットでも誘致できたら」という話でした。

普通なら「そんなもん来るかい」で終わりそうなのですが、

冨田氏は「じゃあ、電話してみよう」と三井不動産に電話してしまいます。

ここからが再現性がないのですが、、、

本書によると、一本の電話からつながった三井不動産担当者とは慶應の先輩・後輩。さらに遠い親戚でもあったと

そんなことある?(笑)

その縁から実際に三井不動産の人が本宿を見に来ることになります。

そして、商業施設のプロが現地を見る。国道1号があり、新東名高速道路にも近い。名古屋方面だけでなく三河地域からも人を集められる。

「ここ、アウトレットの立地として良いのではないか」という【発見】が起きたのです。

そして2025年11月に三井アウトレットパーク岡崎が誕生しました

もはや、この記事のタイトルを
「一本電話したらアウトレットが爆誕した話」
とかにしたいぐらいです笑

とはいえ、冨田氏が発見したわけではない。外から来た専門家が地域を見ることで、それまで見えていなかった価値が【発見】されたというわけです。

◾️とはいえ、電話一本だけでもない

ただ、アウトレットだけを見ると、「偶然から生まれた再現性のない地方創生」に見えます。
しかし、冨田氏の取り組みは、そこから始まったわけではありません。

最初に病院を再生した。そこで人が集まり、地域との関係や信用が生まれた。そして、そこで得たものを地域へ【再投資】した先に、まちづくり協議会が生まれた。

そして、三井不動産との【交流】が生まれ、外の専門家が地域を見ることで、新しい価値が【発見】され、そこから13年かけ、アウトレットを【事業化】する。そして2025年、「三井アウトレットパーク岡崎」が開業しました。

そう考えると、【発見】→【事業化】→【交流】→【再投資】というスパイラルが崩れたわけではありません。一つのスパイラルの【再投資】から、次の【発見】が生まれている。スパイラルが、次のスパイラルを生んでいるように見えます。

◾️地域資産は「見る人」によって変わる

ここでもう一つ面白いことがあります。本宿の道路や立地条件は、昔からそこにありました。でも、地域の人にとっては「いつもの町」です。

そこに三井不動産という商業施設の専門家が来ることで、「広域から人を呼べる商業立地」という価値が見つかった。

【考える#4】の記事で取り上げた上川大雪酒造も同じでした。上川の水や寒さを、酒造りを知る人が見たことで、「ここで酒を造れたら」という発見が生まれた。

【考える#5】の記事で取り上げた佐嘉平川屋も、昔からある温泉湯豆腐を「全国に売れる商品」として見つけ直した。

違う知識を持った人に、その地域を見てもらうこと。これが重要なのかもしれません。

◾️続く地方創生

富田氏はアウトレットだけで終わりません。病院の隣には、冨田家が所有する築200年ほどの旧本宿代官屋敷がありました。これも再生し、現在は地域の歴史を残しながら、地産地消のレストランなどに活用されています。

一方は巨大な外部資本。もう一方は、200年近く地域に眠っていた歴史資産。全然違います。でも、どちらも新しい人を呼び、地域との【交流】を生み出す。

地方創生とは、一つの正解を見つけることではないのかもしれません。【発見】→【事業化】→【交流】→【再投資】。

一つのスパイラルを回す。すると、そこで生まれた人・金・知識・信用が、次の【発見】につながる。そして、また次のスパイラルが始まる。

上川大雪酒造も、佐嘉平川屋も、本宿も、やっていることは全然違う。でも、少しずつ共通するものが見えてきた気がします。

次回は、そこら辺に生えている草が地方創生になるという話。あの有名な徳島県上勝町の葉っぱビジネスではなく、岐阜県飛騨市の事例をまとめてみようと思います。

(つづく)

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