芋出し画像

【䞊映時間3時間以䞊】超長尺映画100本を代わりに芳る《第1章超長尺映画入門》


第章超長尺映画入門

この章では『タむタニック』や『ゎッドファヌザヌ』などずいった、映画を普段芳ない人でも䞀床は耳にしたこずのある䜜品や最近公開された䜜品を䞭心に入門的映画15本をピックアップした。プラむム・ビデオやU-NEXTなどずいった各皮サブスクリプションサヌビスで気軜に芳るこずができるため、気になる䜜品は是非挑戊しおいただきたい。

1.タむタニック/TITANIC(ゞェヌムズ・キャメロン、1997幎、189分)

タむタニック(1997幎)
※IMDbより画像匕甚

『ショヌシャンクの空に』ず同様、あたりに有名すぎお過小評䟡されおいるように思える本䜜だが、再芳しおみるずゞェヌムズ・キャメロンが緻密に䜜り蟌んだ空間に脱垜させられる。タむタニック号は圓然ながら瀟䌚の瞮図を衚しおいる。䞀等船宀の領域はたるでプルヌストの䞖界のようにスノッブ、デカダンスな空気感が流れおいるのだが、この空間で人間を描く時、船を意識させないような構成、぀たり豪邞の䞭庭や城の内郚を思わせるようなものずなっおいるのだ。レオナルド・ディカプリオ扮する貧しい画家が貎族の領域ぞず迷い蟌む。圌の背䌞びしお空間に溶け蟌もうずする様を通じ、階局の断絶が浮かび䞊がっおくる。そんな断絶が解消されるのは、皮肉にも船が沈む時である。確かに䞀等船宀の䞊䜍局はいち早く船で脱出できおはいるものの、倚くの乗客は死に至る。終末においおは貧富の栌差など存圚せずに等しく死が䞎えられるのだ。しかし、完党な死が䞎えられるたでにラグがあり、その䞭で生を枇望し足掻くっおずころにリアルな手觊りを感じる。珟実はそう簡単に終末を迎えない様が生々しく描かれおいるのだ。

たた、ゞャックずロヌズずの関係に目を向けおみよう。船の倉庫に栌玍されおいる車に着目するず興味深い。ロヌズを助けたこずで貎族の䌚食に招埅されたゞャック。圌はしたり顔で「キャビアは嫌いだ」ず語るのだが、ハリボテな貎族仕草ずいえる。そんな圌は、倉庫で動かない車を前に貎族ごっこをする。貧しき者が届かないであろう䞖界に想いを銳せながら、その時は情熱的な貎族を挔じる。䞀方、ロヌズは貎族であるものの、匷制的に婚玄させられおおり、自由のなさに生き蟛さを感じおいる。そこで珟実逃避の手段ずしお、ゞャックのごっこ遊びに乗るのだ。そしお車の䞭で肉䜓関係を結ぶこずで、停が真ずなる。恋が愛になる瞬間だけでなく、束の間の虚構が珟実ずなる快楜が情熱的に滟る堎面ずなるのである。だからこそ、冒頭の眮いたロヌズの煌めく県差し、終盀の儚さに我々の感情は揺さぶられるのである。

2.颚ず共に去りぬ/Gone with the Wind(ノィクタヌ・フレミング、1939幎、231分)

颚ず共に去りぬ(1939幎)
※映画.comより画像匕甚

アメリカの映画100遞系の䌁画で取り䞊げられおいいるこずが倚く、圓然ながら「死ぬたでに芳たい映画1001本」に掲茉されおいる䜜品であるが、意倖ず日本囜内で語られおいるケヌスは少ないように思える。

だが、テクニカラヌで撮られたこの超倧䜜は今芳おも党く色耪せないどころか、技術が倧きく進歩した21䞖玀のビッグバゞェット映画ですら寄せ぀けない䞍動のスペクタクルず異様ずも思えるスカヌレット・オハラの行動により心が搔き乱される。

近幎、差別的な描写から歎史的評䟡は䞋降を蟿っおいるものの、『Swallow/スワロり』や『チャむコフスキヌの劻』『゚マニュ゚ル』など、奥なる存圚ぞず抌し蟌められた女性心理を玐解く䜜品が増えおいる今だからこそ、スカヌレット・オハラの行動を分析するず新しい芳点が芋えおくるように思える䜜品であり再怜蚎すべきものがある。

圌女は南郚の癜人貎族である。豪華絢爛な空間の䞭に身を投じおいるわけだが、癜いドレスを動きにくそうに着こなす圌女が象城するように実は土地に瞛られた䞍自由さを抱えおいる。今ずは違い、気軜に旅行なんかできないし、スマホやPCに広がるキラキラした異䞖界で暇を朰すこずすらできない。だから、奜きな男ず結ばれるこずが恍惚ずした異䞖界ぞず飛び蟌むこずになるのだ。しかし、愛するアシュレヌは別の女ず結婚し、北軍の襲撃によっお今いる堎所も故郷も倱う。無ずなった䞖界の䞭でひたすら前ぞ向いお生きる圌女はレット・バトラヌず結婚するのだが、過去ぞの未緎が衚面化し続け、぀いには圌に去られおしたう。異なる䞖界を求めるプロセスで男から男ぞ枡り歩いおきたオハラの執念が最埌たで「過去にありえた䞖界線」にあるこずは興味深い。バトラヌに去られるも「ずりあえず明日考えよう」ず自分に蚀い聞かせ、したいには「圌を取り戻す方法は故郷に垰っお考えるわ!明日に望みを蚗しお!」ず明日どころか明埌日のベクトルぞ向き、人生が続いおいく斬新な着地ずなる。スカヌレット・オハラの行動原理は、䞍自由さを抱いおいるからこそ狂気なたでに理想郷を远い求める様にあるず分析できるのだ。

たたスペクタクル面では、䞭盀の北軍が南郚を攻める堎面が圧巻である。瞊暪無尜に混沌ずする街を捉えおいく。爆撃の音が空間を繋ぎ合わせ、人流に逆らうようにオハラが駆けおいき、それをバトラヌが芋぀ける。教䌚では牧垫が聖曞を読み䞊げおいる。キリストのステンドグラスが爆撃により䞀郚が砎損するものの、圌は狌狜えるこずなく読み続ける。カメラは䞋ぞずパンをしおいき、砎片を片付けようずする女性を捉えるなど、カット割りはもちろん長回しも掗緎されたものずなっおいるのだ。

3.アベンゞャヌズ ゚ンドゲヌム/Avengers: Endgame(アン゜ニヌ・ルッ゜&ゞョヌ・ルッ゜、2019幎、181分)

アベンゞャヌズ ゚ンドゲヌム(2019幎)
※映画.comより画像匕甚

2008幎の『アむアンマン』以降、11幎の歳月をかけお積み䞊げられおきた連続掻劇でありMCUの集倧成『アベンゞャヌズ ゚ンドゲヌム』は、キャラクタヌの関係性を䞁寧に描くこずはもちろん、映画ずしおも綺麗な3幕構成を圢成しおいる。

第䞀郚では、サノスのむンフィニティ・ストヌン匷奪を阻止できず、党宇宙の民が半枛されおから5幎が経った䞖界。喪倱感を抱えながら人々が前を向いお歩こうずする様子を個人/組織、ミクロ/マクロの芖点で読み解いおいく。2020幎代のコロナ犍を生きた者にずっお、壊滅状態から再び瀟䌚の歯車が回り始める空気感の予蚀的リアルさに今芳おも惹き蟌たれるものがある。

アントマンこずスコット・ラングが量子䞖界から脱出したこずで停滞した歎史の歯車が回り始め、アベンゞャヌズは過去の䞖界からストヌンを集めるミッションを敢行する。ここでは、過去ず自己を察峙させおいく。トラりマを抱えたヒヌロヌたちが、そのノむズず闘いながら目暙を達成する様子は我々の人生を圢而䞊の芳点から玐解くものがある。人生を生きる䞭で、様々な苊難やトラりマを抱える。時にそれがフラッシュバックしお人生を進めるこずが難しくなるが、打開策を芋぀けながら自分の進むべき方向を芋出しおいく。その先にある、サノスずの決闘は人生が再び回り始めたような高揚感がある。

MCUを远い続けお来た者ぞのご耒矎であるこずは間違いないが、人生に぀いお物語った䜜品ずしおも䞀流なのである。

4.地獄の黙瀺録/Apocalypse Now(フランシス・フォヌド・コッポラ、1979幎、182分)

地獄の黙瀺録(1979幎)
※映画.comより画像匕甚

ドアヌズ「The End」のダりナヌな旋埋の䞭、男は目を開く。そこにはベトナムの凄惚な爆撃のむメヌゞが重なる。ここは戊堎かそれずも平和な街か。倢から芚める前の虚実が重なり合った曖昧さは、ヘリコプタヌず倩井のプロペラの重なり、蚘憶䞊にある戊地の音ず珟実の音が混ざり合ったむメヌゞによっお衚珟される。ゞョれフ・コンラッド「闇の奥」を読んだこずのある人なら、あの酩酊状態ずもいえる文䜓を完党に映像で再珟した線集に脳倩を撃ち抜かれたかのようなショックを受けるであろう。

戊争の狂気を描いた䜜品は数倚くあれども、ここたで人間が壊れおいき、最終的に無の境地に至る様を描き切った䜜品は他にない。『ハヌト・オブ・ダヌクネス コッポラの黙瀺録』を芳れば明らかなように制䜜珟堎もたさしく「アポカリプス、ナり」であり、剥き出しの狂気が䜜品に凝瞮されおいるからだ。そのため正盎、今の䟡倀芳からでは決しお耒められたものではない。「アメリカはショヌに関しお䞀流だ」ず豪語しながら、本物の戊闘機を出動させる。アメリカ人1名の絊料でフィリピン人100名を雇えるため、600名近い珟地人を䜿っお巚倧なセットを䜜り䞊げる。奎隷に巚石を運ばせおピラミッドを䜜らせる様子に近いグロテスクさ。フランシス・フォヌド・コッポラ自身が闇の奥に取り蟌たれながら制䜜しおいるため、珟代のコンプラむアンスでは䜜れない工皋の先にある䜜品ずいえるからだ。

しかし、そういった問題は暪に眮き、戊堎によっお倉容しおいく人間心理を倧胆か぀繊现に捉えた本䜜には圧倒されるものがある。カヌツ倧䜐暗殺の極秘任務を携えたりィラヌド倧尉は4人の若造を埓え戊地ぞ降り立぀。キルゎア䞭䜐が指揮するヘリコプタヌ匷襲郚隊ず合流するのだが、圌はすでに壊れおいた。空爆の最䞭にもかかわらず、ランスにサヌフィンをさせるため、郚䞋に波の具合を芋るよう呜什する。いくら止めようずしおも爆撃䞭にサヌフィンをするこずぞ執着するキルゎア䞭䜐の異垞さを恐れ逃亡する。

りィラヌド倧尉は心のナレヌションにより戊地の高揚感ずは距離を眮こうずしおいるのだが、郚䞋の暎走、敵の急襲、もはや指揮官䞍圚の状態で戊闘が続けられおいる様ずいった地獄の䞭で神経をすり枛らし、ようやくカヌツ倧䜐ず察峙した時には、悟りを開いた圌にどこか同情するように取り蟌たれ、殺害のミッションが遂行できなくなっおいくのだ。この時の錯綜迷走混乱した心理は「闇の奥」における以䞋の郚分ず共鳎するものがあり背筋が凍ったのであった。

ヌむしろ圌は、倧地を粉埮塵に螏み砕いおいたのだった。党くの孀独だった。圌の前に立った時、僕自身さえが、果たしお倧地の䞊に立っおいるのか、䞭空に浮かんでいるのか、わからなくなっおしたった。先刻から僕は、その時の僕等の䌚話をヌ蚀葉そのたたに䌝えおいるわけだがヌしかしそれがいったいなにになる?それらはただ日垞平凡な蚀葉ばかりヌ僕等がみんな日々の生掻に取り亀わしおいる、あの聞き慣れた、曖昧な声音にすぎない。そんなものがなにになる?圌の堎合は、䞀぀䞀぀の蚀葉の背埌に、ちょうどあの倢の䞭で聞く蚀葉、悪倢の䞭で口走る蚀葉のように、恐ろしいたでの暗瀺が含たれおいた!魂!もし誰か人間の魂ず栌闘した人間があるずすれば、それはこの僕だ。しかも僕の盞手は狂人ではなかった。信じおもらえるかどうか、それは知らない。だが、圌の叡智はむしろ明晰をきわめおいたずさえいえるヌなるほど、䞀切の関心が恐ろしいほどの匷烈さで、自我の䞊だけに集䞭されおいたずはいえるが、しかしずにかく明晰であった。

「闇の奥(岩波文庫)」p138より匕甚

5.ゎッドファヌザヌ 䞉郚䜜/The Godfather(フランシス・フォヌド・コッポラ、1972-1990幎、535分)

ゎッドファヌザヌ(1972幎)
※映画.comより画像匕甚

倧人になっお芳るず空気感が倧きく倉わる映画がある。『ゎッドファヌザヌ』は管理職の悲哀に満ちた蜍を蟿る䜜品ずしお傑䜜である。たず、PART Ⅰにおけるドン・コルレオヌネの動きに着目したい。

圌のもずぞ次から次ぞず䟝頌䞻が珟れる。嚘に察しお暎行した男ぞ埩讐しおほしいず男が珟れる。疎遠であり有事の時だけ助けを求めにやっおくる䞍矩理を指摘し぀぀も、嚘の結婚祝いずいった名目で䟝頌を受け、郚䞋ぞ呜什を䞋す。䞀方で、麻薬取匕の䟝頌に察しおは断る。長期的な関係を芋据えお、静かながら重厚なるこずばを発し、自身は盎接動かず関係性のコントロヌルに集䞭する。たさしく、プロゞェクトマネヌゞャヌに近い動きを取るのだ。

そんな圌の埌継者にマむケルが就く。圌はドンに近いような振る舞いをするものの、関係性の構築に苊劎しおおり、幎䞊達に心理を芋透かされ窮地ぞず远い蟌たれる。ロサト兄匟ずの揉め事に巻き蟌たれ殺されそうになったり、ハバナに利暩を持぀ハむマン・ロスから200䞇ドルを眮いおいけず脅される。キュヌバ革呜や政治的告発に察凊しながら、信頌関係の亀通敎理に远われるこずずなる。

このような修矅堎を経おの最終章では、ドン・コルレオヌネ以䞊にクリヌンな関係性を築き家族を守りたいず堅実なビゞネスぞ方向転換しようずしおいた。その䞭で、ギルディ倧叞教の巚額な損倱の穎埋めず共に投資䌚瀟の乗っ取りを行う。そしお、マむケルは埌継者や迫りくる死のこずを考えながら黄昏に生きる。『ゎッドファヌザヌ』䞉郚䜜を通しで芳た我々は、マむケルの修矅堎を通じお、ドン・コルレオヌネがいかに孀独に繊现な関係性をコントロヌルしおきたかを痛感させられる。長く組織の維持に関わっおくる䞭で倧切なものを芋出し、それを守るために行動しようずするものの、埌継者候補であるアン゜ニヌに䌝わらない様は、か぀おのマむケルを思わせるものがある。管理職の仕事は芋えにくい。ただ怅子に腰を据えお呜什しおいるだけのように芋えるが、実は倧局的に組織やビゞネスを芋据えおおり、ステヌクホルダヌを倚く抱えおいるが故に寡黙である。それは郚䞋や埌継者からするず芋えない䞖界であるこずを9時間近くかけお物語っおいるのである。だから、管理職ずの距離が近くなる30代にずっお刺さる名䜜なのだ。

6.ワンス・アポン・ア・タむム・むン・アメリカ/Once Upon a Time in America(セルゞオ・レオヌネ、1984幎、229分)

ワンス・アポン・ア・タむム・むン・アメリカ(1984幎)
※映画.comより画像匕甚

マカロニ・りェスタンの巚匠セルゞオ・レオヌネが最期に攟ったのは意倖にもギャング映画であった。実はもうひず぀意倖なものがある。よくアニメやネットミヌムで耳にする「お前にやられるなら本望だ」の元ネタが本䜜だずいう点にある。終盀にヌヌドルスのラむバルであるマックスが、スキャンダルで呜を狙われおいる自分の人生を終わらすために殺しを䟝頌する堎面におこのセリフが䜿われおいる。だが、圌は断る。それはマックスに察する埩讐ではなく、暎力的な䞖界を駆け抜けおくる䞭で醞造されたヌヌドルスの耇雑な感情から来るものであった。

本䜜は時間軞を入れ替える構成により、老境に差し掛かった男の意識の流れを捉えるこずに成功しおいる。仲間が殺される珟堎が映し出される。野倖にもかかわらず、延々ず電話の呌び鈎が鳎り突けおいる。堎面が転換しおも呌び鈎だけは空間を超えお䌝わっおくる。やがお受話噚を取る。するず目が芚める。远跡されおいるヌヌドルスが経隓した過去/トラりマが倢ずしお再構成されおいるこずがわかるのだ。たた、圌は寂れたナダダ人レストランぞずやっお来る。暪移動で内装を捉えおいくのだが、郚屋の䞀郚は閉鎖されおいる。やがおカメラはトむレぞず行き぀く。今床はトむレから、再び暪移動でレストランの倖ぞず出おいくわけだが、その際には封鎖された扉は解攟されおおり、店も掻気づいおいる。ひず぀の空間から、ふた぀の時代を繋いでいくアプロヌチが取られおいる。このように、芖芚的挔出によっお状況を説明するこずを埗意ずする本䜜はアクションにたで反映されおおり、朚屑を生成する工堎での攻防における心理戊は芋事である。タヌゲットを远い工堎ぞ入るも気配がない。蜟音ず共に朚屑がブヌスに貯められおいる。呚囲を芋枡し、スむッチを入れる。するず、ブヌス内の朚屑が舞い始め、朧げにタヌゲットの姿が浮かび䞊がる。出口を目指すタヌゲットを射殺する。このように目で状況を刀断し、最適解で敵を远い詰めおいく様をセリフなしで描いおいくのである。

䞀方で、今の䟡倀芳からするずあたりにもミ゜ゞニヌをトリガヌにした描写が倚いため、ゞェンダヌ論の芳点から再考されるべき䜜品ではある。䞀貫しお、こずあるごずにレむプシヌンがあり、女性に察しおもどこか芋䞋した県差しが泚がれる。これは、匷盗䞭でも発生しおおり、匷盗そっちのけでレむプする堎面があるのだ。2025幎10月に女性監督パトリシア・マズィが暎力映画のクリシェを甚いお有害な男性性を批刀した『サタヌン・ボりリング』が日本で公開される。本䜜ず比范するこずで2020幎代ゞェンダヌ論の芳点から『ワンス・アポン・ア・タむム・むン・アメリカ』を語り盎すこずができるのではないだろうか。

7.アラビアのロレンス/Lawrence of Arabia(デノィッド・リヌン、1962幎、227分)

アラビアのロレンス(1962幎)
※映画.comより画像匕甚

砂挠をひたすらラクダで突き進む。やがお井戞を芋぀け、氎を汲んでいるず、地平線の圌方から黒服の男が近づいおくる。蜃気楌のため、遠いのか近いのかわからないが確実にこちらぞず向かっおくる。圌は敵か、味方か、ゞッず県差しを向ける䞭で、案内人タファスは敵ず刀断し撃ち抜こうずするが、逆に射殺されおしたう。ロレンスは足が凍り぀き動けなくなる。目の前で死を突き付けられた際に人は動けなくなり、その䞭で絞り出すように蚀葉が発せられる様を時間かけお描く。

映画的なショットで玡がれる歎史超倧䜜『アラビアのロレンス』は、英雄の䞭に流れる耇雑な心理的倉化。英雄の孀独を巊から右ぞひたすら砂挠を移動する運動でもっお衚珟しおいる。アラブ䞖界の連垯を蚎えかけトルコ軍に打ち勝ずうずする。トヌブに身を包んだロレンスは反乱軍を指揮する者ずしおフロントラむンに立぀わけだが、玔癜は血ず耇雑な政治によっお染められおいく。

圌は結局政治の駒でしかなく、アラブ䞖界に異物ずしおいる癜人ずしおのロレンスは切り捚おられる運呜にあったのだ。だからこそ、冒頭の死はある意味ハッピヌ゚ンドのように思える。歎史によっお傀儡のように突き動かされおきたロレンスが、バむクで爜快に走る。ようやく埗た自由の䞭での死だからだ。

8.赀ひげ(黒柀明、1965幎、185分)

赀ひげ(1965幎)
※IMDbより画像匕甚

凄惚な環境に配属され、地獄のような光景にげんなりするも、冬の時代を必死に駆け抜けた先に爜快な息吹が流れる。瀟䌚人になり、ある皋床の蟛酞ず倉化を経隓しおきた者にずっお黒柀明が『赀ひげ』に刻んだラストに涙するだろう。

せっかくオランダ医孊を修め、江戞幕府の医者ずし掻躍しようず意気蟌んでいた保本登やすもず のがるだったが、䞍本意な小石川逊生所での勀務を呜じられる。小石川逊生所は、膚倧な患者が詰めかけ、悪臭立ち蟌める地獄の底のような空間であった。恋人にも捚おられ散々な状態で蟿り着いたのもあり、最初こそは早々に远攟されたい䞀心で酒を呑み、悪態を぀くも、段々ず所長「赀ひげ」を尊敬するようになり、自分の圹割を芋出しおいく。

若い頃は、理想ず珟実ずのギャップに折り合いを぀けるこずが難しく、珟実から逃げ出しそうになる。しかし、珟実ず向き合っお経隓を積むこずでい぀しか自分の血ずなり肉ずなる。䞀芋、頌りなく芋える先茩や䞊長であっおも、珟実ず向き合っおきた時間の長さだけノりハりがあり、それに觊れるこずで自分の至らなさに気づかされ、他者を尊重し謙虚であろうずする心が育たれる。瀟䌚人1幎目の教科曞ずもいえる本䜜だが、もうひず぀泚目すべき点がある。

それは座敷牢に隔離されおいる女ずの゚ピ゜ヌドだ。䜕人も男を殺した圌女が登を誘惑する。その誘いを受けおしたう䞭で圌は殺されそうになる堎面がある。この䞀連の流れから、圌女はどうやら男から暎力を晒されトラりマを抱いおおり、それ故に攻撃的になっおいるこずがわかっおくる。ケアの芳点からの適切な距離感を考えさせる堎面ずなっおいるのだ。

9.飢逓海峡(内田吐倢、1965幎、182分)

飢逓海峡(1965幎)
※映画.comより画像匕甚

業火包たれる質屋から2人の男が飛び出しおくる。垂民は燃え盛る質屋ぞず県差しを向ける䞭、圌らはひたすら遠くぞ行こうずする。圌らは匷盗、䞀家䞉人を惚殺した挙句、攟火し、倧金を抱えお逃げおいるのだ。3人目の男も加わった逃避行。同じ頃、嵐で青凜連絡船が沈没し530名の呜が亡くなる。その䞭に、身元䞍明の二぀の死䜓が芋぀かった。匓坂刑事は、この死䜓が䞀家惚殺事件の犯人だず掚察し、最埌のひずりの行方を捜す。

氎䞊勉の同名小説を映画化した本䜜は、犯人が最初から明らかにされおいるにもかかわらず巧みな挔出で最埌たで退屈させるこずがない。冒頭で、犯眪者の逃避行が描かれるのだが、アルフレッド・ヒッチコック『芋知らぬ乗客』におけるブルヌノが溝にラむタヌを萜ずしおしたい回収できるか吊かの宙吊りのサスペンスによっお芳客の心がノィランに味方をしそうになるのず同様に、電車に乗れるか吊か、人ごみに玛れられるか吊かずいったヒリ぀く脱出劇に惹き蟌たれる。

運呜が手繰り寄せられるように生き残った男・犬飌のもずぞ匓坂刑事の足跡が近づいおくる。埌半は䌚話劇圢匏で事件の真盞が明らかずなる。ここで我々が知った気になっおいた事件の裏偎が明らかになるのだが、ここでの挔出が興味深い。

切り返しのショットで論戊が繰り広げられる。事実を提瀺する際には新聞写真のような静止したむメヌゞを䞊べおいく。䞀方で真実が語られる郚分では、動なるむメヌゞで語られおいく。ミステリヌにおいお、事実ず察象だけが知っおいる情報を突合しながら真盞が組みあがっおいく醍醐味を映像で芋事に衚珟しおいるのである。

10.オッペンハむマヌ/Oppenheimer(クリストファヌ・ノヌラン、2023幎、180分)

オッペンハむマヌ(2023幎)
※映画.comより画像匕甚

『オッペンハむマヌ』は本来であれば1時間×6話のテレビミニシリヌズでやる内容であっただろうが、「時の魔術垫」こずクリストファヌ・ノヌランが展開する倧きなギミックを通じた嫉劬の解剖孊には泚目である。

本䜜は䞉郚構成ずなっおいる。各構成は䞻に3぀の構成から成り立っおいるのだが、最埌だけ埮劙に異なる䜿い方をしおおり、それが物語を良い意味でも悪い意味でも興味深いものにさせおいる。

䞋蚘がその構成である。

[前半二郚]
・聎聞䌚のオッペンハむマヌ(今)
・圌の回想(個が制埡できる時制)
・公聎䌚(歎史ずしお制埡できない時制)

[埌半䞀郚]
・聎聞䌚のオッペンハむマヌ(今)
・オッペンハむマヌの時制
・ストロヌズの時制

たず、前半から芳おいく。映画はFBIによっお召集された聎聞䌚を䞭心にオッペンハむマヌが回想するずころから始たる。そこに、時折モノクロで公聎䌚の堎面が挿入される。通垞であれば、䞀番過去にあたる回想シヌンがモノクロではないのだろうか?映画を远っおいくず段々メカニズムがわかっおくる。オッペンハむマヌの回想は、たるで小説のようにドラマティックなのである。フランスの哲孊者ポヌル・リクヌル「Réflexion faite」によれば、自䌝は日蚘ず違い小説的であるずのこず。日々起きたこずを連ねる日蚘ず異なり、自䌝は事象を敎理し物語ずしお組み立おおいくからだ。それを螏たえるず、戊埌の公聎䌚の堎面では、オッペンハむマヌが歎史の人ずしお自分の手で過去を制埡できなくなっおしたっおいる状況ずいえる。この自分で制埡できるか吊かの芳点が重芁であり、それを匷調するために色を分けおいるずいえる。

そしお、埌半に差し掛かるずこのモノクロの堎面に別の文脈が加わる。オッペンハむマヌの功瞟を劬むストロヌズの存圚だ。本䜜は䞀般的に『アマデりス』ず比范されるこずが倚い。しかし、ノヌランの文脈からすれば『プレステヌゞ』の発展系ず蚀うのが劥圓である。技術向䞊を共にしおきたオッペンハむマヌずストロヌズ。しかしストロヌズは、い぀しかオッペンハむマヌの物語から圱を朜めおしたう。戊埌、ストロヌズは圌の地䜍を陥れようず政治的に远い詰めおいく。そのキヌずしお赀狩りがあり、聎聞䌚はワナだったこずが明らかずなるのだ。぀たり『プレステヌゞ』における倩才マゞシャンのアンゞャヌずボヌデンの嫉劬合戊に、時制マゞックの倧技が加わったのがたさしく『オッペンハむマヌ』であろう。

山本圭「嫉劬論 民䞻瀟䌚に枊巻く情念を解剖する」でゞョヌゞ・フォスタヌ「嫉劬の解剖孊」による嫉劬からの回避方法が蚀及されおいる。

1.隠蔜:嫉劬の県差しの察象にならないように振る舞う
2.吊認:自分は嫉劬の察象にならない䞋の存圚であるこずを提瀺する
3.賄賂:盞手の利ずなるものを莈り、嫉劬の察象から倖れるよう詊みる
4.共有:自分の富を分け䞎えるこずで嫉劬を解消しようずする

䞊蚘の4段階で嫉劬による攻撃を回避しおいく必芁があるのだが、オッペンハむマヌのケヌスでは、すべおを貫通しおしたい培底的な攻撃に遭う。それはたるでパワハラ䞊叞が執拗に詰問を行い、耇雑な心理の皮を剥がす過皋で察象が実態ず異なる発蚀を行い、疲匊にさらなる自己嫌悪を䞎えおいくような匷烈さがある。しかも、ストロヌズの堎合、自分で盎接手を䞋さないよう政治的にそれを実行に移すのである。

原爆の話から突然、嫉劬の話に転がったのには理由があるように感じる。ストレヌトに蚀えば『オッペンハむマヌ』がアカデミヌ賞䜜品賞を受賞したのは、「嫉劬」の話ぞず巧みにすり替えたこずにあるのではないだろうか。原爆ドヌムが䞖界遺産登録される際にアメリカが出した声明のように「原爆が戊争を終わらせた」ず映画は物語らない。むしろ、それに察しお疑問を投げ぀けおいる。正面からそれを行えば、映画が広島・長厎に぀いお描いおいないこずで物議を醞す日本のような燃え方をしたであろう。ただ、嫉劬の話ぞずシフトし、オッペンハむマヌを尋問する問いずしお「原爆が戊争を終わらせたのか?」ず投げかけるこずで、刃を隠すこずに成功しおいる。䞀方で、このテクニックは原爆による眪ず眰の埌者を矮小化させおしたう問題が孕んでいる。ここは評䟡が分かれるずころであろう。

11.EUREKA ナリむカ(青山真治、2000幎、217分)

EUREKA ナリむカ(2000幎)
※映画.comより画像匕甚

バスに男が乗り蟌む。䞭途半端な䜍眮で立ち尜くし「あっ!」ず埌ろの客に気づいたかず思えば、運転垭の暪に立ち虚空を芋぀める。事件の銙り挂わせる予兆は珟実ずなり、バスから逃げる者は圌によっお射殺される。譊察は䞇党の態勢でバスを取り囲み、刹那を狙い圌を銃撃する。察話䞍可胜な人間のように思えぬ圌は、そう簡単に死ぬこずなく、しぶずく発砲しようずするなか、子どもは助かる。たった15分、セリフも少ないながら緊匵感に満ちた地獄のような心理戊の末、映画は長い時間かけおトラりマを浄化しおいく。

青山真治は、トラりマず察峙し折り合いを぀けるたでにかかる果おしなく長い蜍を3぀のギミックで衚象しおいく。

ひず぀めは、家の存圚である。兄効は事件のトラりマによっお家に匕き篭もる。そこに、埓兄匟がやっおきお明るくケアする。圹所広叞挔じるバスの運転手も加わり、擬䌌家族的なコミュニティが圢成されるのだが、止たったような時間は倖ずの繋がりも少なく息苊しいものずなる。だからこそ、ふた぀目のギミックずしお旧匏バスによる移動がある。その堎に留たっおも仕方がないから前ぞ進むしかないのだ。ある皮珟実逃避のようにも思える移動にみっ぀目のギミックである咳が絡んでくる。バスの運転手は終始、咳き蟌んでいる。どんなに移動しようずも、咳は嘘を぀かない。自分ず察峙させるのだ。それは過去ず向き合うこずであり、未来を向いおいるバスの移動ず過去に囚われた家、それらを繋ぐ咳の存圚によっおトラりマの構造を玐解いおいくのだ。

12.十戒/The Ten Commandments(セシル・B・デミル、1956幎、220分)

十戒(1956幎)
※映画.comより匕甚

 こず映画に話を限れば、セシル・B・デミルは地䞊最倧の芋䞖物䜜りの名手であった。スタッフには絶察の忠誠を芁求し、珟堎においおはあたかも神に遞ばれた者でもあるかのように振る舞った。そういう自らの圹柄に芋合うように、乗銬甚ズボンにハむブヌツずいう出で立ちで、拳銃も携垯した。

「サむレント映画の黄金時代」(ケノィン・ブラりンロり)p218より匕甚

撮圱に始たり、スタヌ俳優の契玄などの现郚の決定たでほずんどひずりで行い究極の倧衆映画補䜜に呜を泚ぎ蟌んだこずで知られおいるセシル・B・デミルは、珟堎でもモヌセのようなリヌダヌずしお振る舞っおいたらしい。

1923幎に旧玄聖曞を映画化した『十誡』を自らの手でリメむクした『十戒』は、圌の遺䜜に盞応しいほどの嚁厳を攟った集倧成ずなっおいる。『十誡』では、旧玄聖曞の物語が珟代にたで続いおいるこずを瀺唆するように二郚構成ずなっおいる。その圱響もあり、特撮の面癜さが煌めくモヌセの海割りは物語序盀の30分付近で提瀺される。逆再生ずレむダヌの重ね合わせによるシンプルな特撮ではあるものの、今芳おも色耪せない迫力がある。䞀方で、この堎面のむンパクトが匷すぎお、その埌のスペクタクルが尻぀がみに思える。

アルブレヒト・アルトドルファヌ
「アレクサンダヌ倧王の戊い」
※Wikipediaより画像匕甚

リメむク版では、この問題点が解決されおおり、ラスト30 分でモヌセの海割り、そしおシナむ山の麓で信仰を忘れ醜態を晒すヘブラむ人ぞ怒りをぶ぀ける堎面を持っおきおいる。テクニカラヌで撮圱され、圓時ずしおは最先端の゚フェクトで実装された炎の柱はたるでアルブレヒト・アルトドルファヌの䞖界が珟実のものになったかのような迫力を䞎える。癜黒サむレント時代には実珟できなかった玅に染たる川は圧巻である。

たた、30幎の時を隔お進歩したカメラワヌクによりダむナミックな人間の運動を捉えおいる点も魅力的である。たずえば、建蚭珟堎で巚倧な石を嵌め蟌む堎面がある。油を敷く芁員であるペケベデの玐が石に挟たる。圧死の危機に瀕するが、珟堎監督は圌女を蜢き殺しおでも石を嵌め蟌もうず劎働者たちに「そのたた突き進め」ず呜什を䞋す。奎隷の男が仲裁に入るず、珟堎監督は激高し、圌を死刑にしようずする。それを芋かねた女は珟堎を飛び出し、远手を振り払うように劎働者がひしめく空間を抜けおモヌセに懇願する。顔を正面から捉えたショットず俯瞰のショットを織り亀ぜ、呜の危機をスリリングに描いおいる。

文盲であっおも宗教の物語を䌝える圹割ずしお絵画やタンパン、ステンドグラスが䜿われおきたが、映画における暡範的アプロヌチをセシル・B・デミルが開発し、その技術はりィリアム・ワむラヌ『ベン・ハヌ』やゞョン・ヒュヌストン『倩地創造』ぞず受け継がれたのである。

13.マグノリア(ポヌル・トヌマス・アンダヌ゜ン、1999幎、187分)

マグノリア(1999幎)
※映画.comより画像匕甚

映画に嵌り始めた䞭孊生の頃に䜕気なく『マグノリア』を芳お衝撃を受けた。どういう話かよく分からないのに、むメヌゞ、むメヌゞ、むメヌゞの措氎に3時間圧倒され続けた。

「あれは䜕だったんだ?」

これは自分が映画を远い続ける原動力のひず぀ずなった。倧人になり、映画に揺蕩う流䜓力孊がわかり、自分でも動画を䜜るようになったいた『マグノリア』を芳るず、ポヌル・トヌマス・アンダヌ゜ンの非凡さにたたしおも衝撃を受けた。

最初の10分でコンセプトず登堎人物の説明がおこなわれる。捲し立おるような口調で、異なる領域の挿話を繋ぎ合わせる。1911幎11月26日付ニュヌペヌク・ヘラルド玙に掲茉された3人の男が絞銖刑にされた話から始たり「偶然」ずいったコンセプトが浮かび䞊がる。偶然ずは人間の行動が耇雑に絡み合っお圢成されるこずが、自殺した男の゚ピ゜ヌドを倚角的に玐解くこずで提瀺される。本来であれば、ビルの䞋に敷かれおいたネットによっお助かっおいたのだが、倫婊喧嘩により暎発したショットガンが圌を撃ちぬく。倫婊の芖点、自殺者の芖点、それを客芳的に繋げる報道の芖点が絡み合い、そこに装填されるはずのなかった銃匟がどこで装填されたのかずいった過皋が説明される。わずか数分でありながら無駄のない語りの導線ず緻密な線集の塊は映画のこずを知らない人が芳おも圧倒されるものずなっおいる。

驚くべきこずに、圌は線集だけでなく長回しにおいおも耇雑な人間関係の亀通敎理を行っおおり、クむズ少幎スタンリヌがテレビ局に入る堎面は圧巻である。倧雚の䞭、メむク宀を目指すスタンリヌ。途䞭で父ず別れ、カメラは圌を远跡しおいく。しかし、カメラはスタッフの女性の動きぞ泚目し始める。テレビ局の入り組んだ楜屋の先で再びスタンリヌずカメラは合流する。人間の行動がバタフラむ・゚フェクトのように関連しおいる様を離散/連続双方のむメヌゞで捉えるため、20幎以䞊経った今でも色耪せない物語ずなっおいる。

特にスタンリヌのパヌトは、アむドルやファンダムに぀いおの研究が盛り䞊がりを魅せおいる昚今にずっお重芁な芳点を䞎えおくれる。倩才少幎ずしお呚囲から期埅の県差しを向けられ、それに応えおきたが、番組䞭に小䟿を挏らしをしたこずで抌し付けられおいた圹割から逃れようず叫ぶ。枡郚宏暹は「ファンたちの垂民瀟䌚」にお、他者を利甚しお自己圢成しおいる点に着目しお掚し掻や二次創䜜文化、粟神的怍民地䞻矩などに぀いお掘り䞋げおいる。圌の理論を揎甚するず、芖聎者を含め呚囲の倧人たちが自分たちの持っおいないスキルを発揮し続けるこずによっお自分の叶えられなかった欲望をスタンリヌで満たしおいる状況だず考えるこずができる。そんな圌がクむズに答えられなかったり、クむズから逃げようずすれば、欲望を満たす噚ずしお圌が䜿えず欲求䞍満ぞず陥る。だから呚囲の人間は、倱犁により矞恥に晒されおいるスタンリヌに寄り添うこずなく非難するのだ。

そしお本䜜は人間の行動による偶然が物語的偶然によっおクラむマックスぞず向かうこずにより、フィクションにおける偶然の恣意性をメタ的に指摘するアむロニカルな終焉ぞず向かう。これを29歳で撮っおしたうポヌル・トヌマス・アンダヌ゜ン、恐るべし。

14.バビロン/Babylon(デむミアン・チャれル、2021幎、188分)

バビロン(2021幎)
※映画.comより画像匕甚

デむミアン・チャれルは『ラ・ラ・ランド』にお、埀幎のミュヌゞカル映画を匕甚し぀぀、ご郜合䞻矩ハッピヌ゚ンドになりがちなハリりッド・ミュヌゞカル映画ぞのアンチテヌれを提瀺した。『バビロン』では、よりストレヌトに映画愛を挑発する物語ずなっおいる。

本䜜では、ゞャック・ケルアック「オン・ザ・ロヌド」さながら、狂乱の枊䞭にいるもい぀の間にか時代が倉わっおしたい過去の人ずなっおしたう切なさが描かれおいる。コンラッド、トレス、ラロむはそれぞれ自分の人生に折り合いを぀けおいく。カメラはトレスにフォヌカスがあたり、数十幎埌、たずもな生掻を送るようになった圌が映画通に吞い蟌たれおいく様子を捉えおいく。映画通では『雚に唄えば』が流れおいる。自分が珟実ずしお目の圓たりにしおきたものが虚構ずしおスクリヌンに投圱される。映画は明るく歌い螊る、芳客は笑う。しかしトレむにずっおは物語の枊䞭にいたず思っおいたのに、もはや過去の人ずしお忘れ去られおしたった珟実が県前に飛び掛かる。映画通は孀独を忘れる堎所ではなかったのか。トレむにずっおこの映画通での䜓隓は、孀独を思い出す装眮ずしお機胜する。そしお、膚倧な映画のフッテヌゞが圌の脳裏に措氎のように降り泚ぐ。そこには、圌の時代には存圚しない『仮面/ペル゜ナ』、『2001幎宇宙の旅』、『トロン』、『マトリックス』、『アバタヌ』などずいった䜜品のフッテヌゞが泚ぎ蟌たれる。

぀たり、映画ず自分の人生を突合し、孀独を忘れる堎から孀独を思い出す堎ぞ眮換される映画通の混沌の䞭、い぀の間にか到来しおいたカラヌ映画をも受容せざる埗ない状況で、圌は未来に蚪れるであろう新しい映画の倜明けを想像する。我々芳客は、神の目線で、映画ず回想の措氎でぐちゃぐちゃになるトレスの感情を包み蟌むこずになる。恍惚、混沌ずしながらも蟛蟣な着地を迎える映画ずいえよう。

15.アバタヌ:りェむ・オブ・りォヌタヌ/Avatar: The Way of Water(ゞェヌムズ・キャメロン、2022幎、192分)

アバタヌ:りェむ・オブ・りォヌタヌ(2022幎)
※映画.comより画像匕甚

3D元幎の倜明けずもいえる2009幎末に生み出された『アバタヌ』は驚かす偎面から没入する偎面ずしおの3Dメガネ像を打ち出しおいった。意倖にもこの偎面はノェルナヌ・ヘルツォヌクがノェれヌル枓谷にあるラスコヌ掞窟を取材した『䞖界最叀の掞窟壁画 3D 忘れられた倢の蚘憶』やノィム・ノェンダヌスがピナ・バりシュの挔目を3Dで撮圱した『Pina/ピナ・バりシュ 螊り続けるいのち』、パリにあるナむトクラブ「クレむゞヌ・ホヌス」の公挔を3Dで魅せる『ファむアbyルブタン』などずいったドキュメンタリヌ映画ぞず継承されおいった。

スペクタクルの䞭で倧掛かりな実隓を仕掛けるゞェヌムズ・キャメロン監督は10幎以䞊の沈黙を経お完成させた続線で、映画における䞖界ぞの没入のさらなる探求を行った。

本䜜は「海には始たりも終わりもない」をキヌワヌドに、我々のいる䞖界における戊争の歎史を虚構から語りなおし分析する䜜品ずなっおいる。駆け抜けるように、パンドラに䜏むナノィ族ず地球から来た者スカむ・ピヌプルずの軋蜢を語る。これはたさしくアフリカずペヌロッパずの関係を衚したものであり、資源のために䟵略する存圚ずそれに察抗する存圚があり、そこに郚族間の軋蜢が絡み厄介なこずずなる。本䜜が緻密なのは、異なる郚族・皮族ずの間に生たれた子どもによる葛藀を含んだものずなっおおり、珟実瀟䌚同様の耇雑さを圢成しおいる。前半2時間はひたすら、このディティヌルを描きこむものずなっおいる。

難民ずしお別の郚族の村に移䜏したナノィ族䞀家。子どもたちは喧嘩をする。原因は芋た目によるものだ。ありがちなトラブルである。それを倧人の政治的関係性による教育でもっお鎮める。子どもたちはそれを受けお瀟䌚ず繋がっおいく。

たた、ナノィ族はスカむ・ピヌプルの道具を䜿っお治療しようずする。スカむ・ピヌプルの合理的・論理的アプロヌチを揎甚しようずする。しかし、海の郚族は自然的なもので治癒を詊みる。それはどこかスピリチュアルなものである。しかし、映画はどちら偎にも肩入れするこずなく、それぞれが信じるものを掻甚しお問題解決する様を提瀺する。この芳点に惹き蟌たれるものがあった。

我々は時ずしお、テクノロゞヌを高く芋お、呪術的なものを䞋に芋るこずがある。しかし、どちらも本質を突き詰めれば、「善い」こずをするために技術を䜿うのには倉わりがない。ゞェヌムズ・キャメロンはここに着目し、技術ず生きる者ずの関係性を浮かび䞊がらせたずいえる。そしお、この芳点は氎䞭生物にたで適甚される。

ここで倧䜐偎のアバタヌ理論が興味深い。メタバヌスやVTuberが䞀般的になり぀぀ある今においおアバタヌは「䞎えられた肉䜓から解攟する存圚」ずいう認識が高たっおいる。前䜜におけるアバタヌ像は「䞎えられた肉䜓」から「䞎えられた肉䜓」ぞの移動であった。本䜜の堎合、「䞎えられた肉䜓」から解攟された倧䜐は、ナノィ族のアバタヌになるこずで、䟵略䜜戊を円滑に進めようずしおいる。故に「䞎えられた肉䜓から解攟する存圚」が悪甚される䞖界を描いおいるのだ。この芖点は面癜かった。

【目次】

《第0章たえがき》

《第2章超長尺映画䜜家たちPART1》

《第2章超長尺映画䜜家たちPART2》

《第3章果おしなく長い語り》

《第4章戊争ず平和》

《第5章シリヌズを完走する》

《第6章執念の県差しずしおのドキュメンタリヌ》

《第7章深淵なる実隓映画》

《第8章List of longest films掲茉䜜品を芳る》

※サムネむルは映画.comよりゞェヌムズ・キャメロン『タむタニック』の画像を匕甚

いいなず思ったら応揎しよう

CHE BUNBUN 映画ブログ『チェ・ブンブンのティヌマ』の管理人です。よろしければサポヌトよろしくお願いしたす。謎の映画探しの資金ずしお掻甚させおいただきたす。