⭐︎ヴィンテージ 1474
年明けから続いていた歯科治療は、仕事のシフトと院長の空きが上手く合わず、思いがけなく長引いた。
治療終了を待ち、延び延びになっていたクリーニングを予約。
春休みと重なり、予約が取れたのは約1ヶ月後。
ようやく明日はクリーニングという夜、歯間ブラシを通した途端に詰め物が外れてしまった。
3日後から小旅行の予定なのに、どうしてこのタイミングで外れるかなあ。
4/13(月)、クリーニングの予約は夕刻。
ついでにチョチョチョイと診てもらえればラッキーと電話で伝える。
院長の枠はギュウギュウに予約が詰まっていて、状況確認はできても治療時間は取れないとのこと。
受付嬢がそう言っても、行ってしまえば院長が何とかしてくれるんじゃない?ダメ?
洗濯をして掃除をして、お昼を早めに済ませちゃおうと、鍋で胚芽押し麦を炊く。
そろそろ蒸らし時間が終わる頃、固定電話が鳴った。
こんな時間帯にかかってくる電話は、詐欺か訪問買い取りのセールスに決まってる。
留守電のまま耳を澄ませる。
「先程お電話いただいた○○歯科クリニックです」
おっと、何事?
「たった今、院長の11:30の枠にキャンセルが出ました。
お越しいただくことはできますか?」
そう言われても既に11時を回っている。
黒耳号(人力ママちゃり)で15〜20分。
直ぐに出かければ少し遅れる程度か。
慌てて受話器を取り、お伺いします‼︎
ふと我にかえる。
部屋着にエプロン姿、スキンケアのみですっぴんぽん。
受付嬢から「お忘れなく」と念押しされた、外れた詰め物をケースに入れ、充電中の新赤い子ちゃん(赤くないiPhone)の直ぐそばに置く。
トートバッグに財布•カードケース(診察券•資格者証)•手帳•読みかけの本を放り込み、爆速で身支度。
新赤い子ちゃんは、出かける直前に充電完了。

大遅刻することなく歯科に到着。
受付を済ませ、トートバッグからZiplocコンテナを取り出……
へ、なくない?
いやいや、そんなわけがない。
だって忘れないようにと思って一番最初に準備したんだし、忘れないようにと思って新赤い子ちゃんの近くに置いたんだもん。
ボケてしまったか、私。
取り繕っても仕方ない。
受付嬢と歯科衛生士さんにかくかくしかじか。
カルテによると、外れた詰め物は20年以上前のヴィンテージ。
もし次に不具合があれば、新調する予定と書いてあるらしい(ホッ)。
凄いなあ、20年以上も詰め物が保つなんて。
凄いなあ、歯と歯茎の状態が20年以上も変わらなかったなんて。
詰め物が外れたことで、ついでに隣りの歯の予防的処置もできた。
知らずに放置していたら、近い将来、削ったり詰めたりしなければならないかもしれなかった。
ラッキーってことよね。
今日は型取りまで。
外れた詰め物はいわゆる銀歯。
次回詰めるのは、保険適用の白色のもの。
20年の歳月と技術の進歩を感じる。
「本日のお会計は3,660円です」
5,000円札と660円を出して、2,000円のお釣りをもらう(つもり)。
なのに
「では、5,620円お預かりします」と受付嬢。
ボケてるの?
そんなんしたらお釣りが小銭だらけになるやん。
あっ、ごめん、ちゃうかった。
50円玉のつもりで私が出したのは10円玉だった。
ボケてるのは私の方。
詰め物が外れたのは想定外だったけれど、予約キャンセルが出て良かった。
外れた詰め物を自宅に忘れたけれど、支障がなくて良かった。
待てよ。
あの院長のこと、外れたのを持参していれば
「古いのでいつまで保つか判りませんけど、これを使いましょう」と仰ったかもしれない。
そうすれば、治療は今日1回だけで済んだかもしれない。
もう少しだけ費用を抑えられたかもしれない。
いやいやいや、いつ寿命が訪れるか判らない古い銀歯を使い回すより、新品の白い詰め物の方がいいに決まってるやん。
以前のが20年以上保ったのなら、新しいのはそれ以上保たせたらいいやん。
少なくとも後20年は生きて、詰め物の行く末を確かめねば。


2026.4.13.月
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