見出し画像

写真には写らないもの

写真って、便利になったよね。だって、スマホを向けて、ボタンを押せば、誰でもそれなりにキレイな写真が撮れちゃう。
…うん、撮れるはずなんだよね。

でもね、ぼくの場合、どうも「それなり」の所に辿り着いてくれない。なぜか肝心なところが写っていないんだ。

で、最近、もうそれならそれでいいかって思うようになっちゃってさ。だって、写真には写らないものってのがあるんだから。


今日はそんな話。


ご存じかどうかわかんないけど、一応、これでも10ヶ月くらいはここに園芸記録を書き記しててね。去年の分の投稿はほとんど写真を使わなかったんだけど、今年の分にはちょっと写真を載せてるんだ。

それで、次の投稿の準備のためにパソコンの写真フォルダを見返してみたんけど、まぁ、これが酷いのなんの。

何がって、ピンボケだよ、ピンボケ。


軒下の全体を記録しておくような写真ならいいんだけどさ、きれいに咲いたランの花とか、受粉の勉強のための作業風景とか、胞子から育てたシダの発芽の瞬間とか、なんて言うのか、心が動いた時の写真がさ、ことごとくピンボケしてるのよ。もう、悲しいくらいに。

スマホで撮ってるんだけど、機種はなんだったかな、iPhone16だっけか、違ったっけ。まぁ、このくらいの認識しかないから、カメラ起動させて、画面に納めて、シャッターボタン押すぐらいしかやってない。

そうするとさ、自分が撮りたいものと違うところにピントが合っちゃうんだよね。大概、撮りたいものの奥にある壁とかにピントが合うんだ。
いや、そこじゃないって、そう、花の部分を指でタッチしてピントを合わせようとするんだけど、一瞬、ピントが合ったと思ってシャッターボタンを押すと、また、奥の方にピントが移動しちゃってる。

もう、参っちゃうよね。


一応ね、これでも学生時代は写真部だったんだよ。高校の時なんかはちょっとした賞とか貰った記憶もあるんだ。
まぁ、構図とか露出とかピントとかが苦手だったから、現像の時に技巧を凝らすって離れ業で受賞したんだけどさ、それにしても、今よりはマシだったと思う。

なんせ、使ってたカメラにオートフォーカスとか付いてないからさ、撮りたいものがあれば自分でピント合わせなきゃいけない。でも、逆に言えば、撮りたいものを自分で決められた。

それに比べて今のオートフォーカスだと「いや、そっちじゃないんだよ」ってことが頻発してさ、撮影じゃなくて、カメラとの意思疎通に疲れちゃうんだ。だから、もう、ピンボケでもいいやってなっちゃう。

で、実際、それでも困らないんだよ、記録写真の場合はさ。


どういうことかっていうと、例えば、ピンボケした石斛の写真なんかあるじゃない。そりゃ、細かいところまでは見えないよ。でもね、ぼくの心の中には、そのときの情景が浮かんでくる。

あぁ、こんな手触りだったな。
そうだ、こっちから見るとこんな風になってたな。
ここに薄らと紫の線が入ってたっけ。
バニラみたいな甘い香りがしたよな。
まだ涼しいくらいの季節だったな。
風に湿気が乗ってたっけ、って感じでね。

どんなにキレイに石斛の写真を撮ったところで、そんなもの全てが写真に収まるわけじゃない。でも、ピンボケ写真は、写真には決して写らない様々な記憶を思い出すための鍵になってくれる。
だから、ピンボケでもいいやってなっちゃう。


なんてことを、1000文字近くに渡ってグダグダと言ってきたわけだけど、実を言うと、これは負け惜しみでしかない。

だって、結局のところ、ぼくの本音は「誰か、スマホで狙ったところにピントを合わせるコツを教えてよ」に尽きるんだから。

写真に写らないものが大切なのは分かる。
だからといって、写真に写るものまで写らなくていいとは言ってないんだ。

――2026年8月某日の書き散らし

というわけで、マイキーさんの企画「エッセイしりとり」のバトンを冬山迷子さんから受け取りましたので挑戦させていただきました。

企画の詳細はこちら。

冬山迷子さんの記事はこちら。

先にタイトルを考えて内容を考えるというプロセスが始めてだったのですが、冬山さんといえば嫉妬するくらい美しいハオルチアたちの写真が思い浮かんだので、テーマを「写真」にさせていただきました。
冬山さんのハオルチアへの情熱も素晴らしいんですが、その写真の陰翳にいつも羨望のため息をついております。

こういう企画に挑戦するのも楽しいものですね♪

さて、ルールでは3名の方にバトンを渡すことになっております。イベントも後半戦。周囲にも同じバトンを既に受けた方がちらほら見受けられますので、私からは以下の3名様を推挙させていただきます。

Lukuさん

多摩川の道草研究家さんです。多くの人が見過ごしがちな草木にフォーカスを当て、丁寧に解説されています。古典文学への造詣も深く、歌に詠まれた草花から物語を紡ぎ出すのもお上手。食べられそうならとりあえずお口に入れてみるお茶目さんでもあります。
最近、別の企画でバトンを回されてたみたいなので、お忙しいならスルーしてくださってOKです。

ぴかけいさん

新進気鋭の万年青作家さんです。私もそれなりに園芸への情熱は熱いほうですが、この方には全く敵いません。万年青をこよなく愛し、万年青のためなら新幹線にも飛行機にも乗ってしまう超行動派。一人の人間が万年青沼にはまり込んでいく物語は必見です。
あまりエッセイをお書きにならないようなので、スタイルに合わないならスルーでOKです。

霧島寅太之助さん

様々な植物を愛する武士(もののふ)さんです。最近あった千葉の豪雨災害でも街の安全のためにご活躍されておられまして本当に頭が下がります。お母様との植物を通じたやりとりは読んでいて温かい気持ちになります。なかなかできません。流石は武士です。
最近、お忙しくていらっしゃるのでなかなか記事を書く時間的余裕がなければスルーでOKです。

お題はー写真には写らないものーの「の」です。
楽しんでいただければと思います。

素敵な企画を開催してくださったマイキーさん、バトンを下さった冬山迷子さん、読んでくださった皆さん、ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!