メンデルスゾーン 弦楽のための交響曲第9番ハ長調「スイス」から生まれた夢のパ・ド・ドゥ ~ バランシン振付『真夏の夜の夢』第2幕 ディヴェルティスマン
一時期、私はメンデルスゾーンの《弦楽のための交響曲第9番 ハ長調「スイス」》のアンダンテにすっかり魅了されていました。複数のCDからこの楽章だけを集めたプレイリストを作り、何度も繰り返し聴いていたほどです。
バレエ好きの私は、後になって、この美しい曲がジョージ・バランシン振付《真夏の夜の夢(A Midsummer Night’s Dream)》第2幕の結婚式の祝祭で踊られる「ディヴェルティスマン・パ・ド・ドゥ」に使われていることを知り、さらに夢中になりました。
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今回ご紹介する動画は、ジョージ・バランシン作品を「ダンサーの視点」から紐解く『Anatomy of a Dance』シリーズの一つです。バレエを愛する人にとって、とても興味深く、貴重な内容となっています。
バレエを観ていると、私たちはつい「美しい!」「素晴らしい」「音楽とぴったり!」というように、観客として舞台を受け取ります。しかし、ダンサーが実際に何を感じ、何を意識しながら一つひとつの動きを踊っているのかを知る機会は、意外と多くありません。
この『Anatomy of a Dance』シリーズでは、舞台上では一瞬にしか見えない動きの中に込められた意味や、音楽との関係、パートナーとの呼吸などを、実演を交えながらわかりやすく紹介しています。
バランシン作品をこれから初めて観る方はもちろん、すでに何度も作品を楽しんできた方にとっても、新たな発見があるはずです。
一度この「ダンサーの視点」を知ってから劇場で作品を観ると、これまで見過ごしていた音楽と身体の結びつき、そしてダンサーの卓越した技術や表現力が、より鮮明に感じられることでしょう。
NYC Ballet's Tiler Peck on George Balanchine's A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM: Anatomy of a Dance
「私はタイラー・ペックです。ここでは『真夏の夜の夢』のディヴェルティスマン・パ・ド・ドゥを踊っています。
このパ・ド・ドゥには、本当に特別な魅力があります。作品全体の中でも、この場面だけが独立した存在のように感じられるんです。まるで『真夏の夜の夢』の中に、もうひとつの小さなバレエがあるような…。嵐の中の静けさ、とでも言える瞬間ですね。
次の部分は、実はとても難しいプロムナードです。女性はずっとアラベスクで片脚のまま立ち続けているのですが、見た目ほど簡単ではありません。実際には、とても高度なテクニックが必要なんです。
すべてをまるで何の苦労もないように見せなければなりませんが、一つひとつの動きを長く保ち続ける必要があって、本当に大変です。
音楽は本当に美しく、とても静かで親密な雰囲気があります。まるで教会にいるような、神聖で穏やかな気持ちになるんです。
この場面では、私はいつも「二人で茨の茂みの中を歩いている」と想像しています。あちこちにツルが絡まっていて、それを手で払いのけながら進んでいく…。そんなふうに、『真夏の夜の夢』の世界を二人で歩いているような気持ちで踊っています。
タイラー・アングルとこのパ・ド・ドゥを踊ることは、本当に夢のような体験です。まるで空中に浮かんでいるような感覚になります。
初めてこの作品を踊ったときのことを今でも覚えています。舞台の上では、お互いの呼吸が聞こえるし、自分たちの呼吸も感じられるほど静かなんです。客席中の視線がすべてこちらに集まっているのを感じます。観客との一体感があって、まるで時間が止まってしまったかのように思える瞬間です。
振付そのものはとてもシンプルなのに、見る人すべての心を奪い、思わず息をのんでしまうような美しさがあります。
これは私が踊るバランシン作品のパ・ド・ドゥの中でも、最も好きな作品のひとつです。いや、もしかしたら一番好きかもしれません。そしてタイラーと踊ると、この作品はまるで私たち二人のために作られたかのように感じられるんです。
そして、このパ・ド・ドゥのラストは、あらゆるパ・ド・ドゥの中でも最も美しい終わり方のひとつだと思います。男性が女性をしっかり支えながら持ち上げ、女性は背中を大きく反らせたアーチの姿勢を保ちます。そして男性は彼女を反対側の腕へと受け渡すのですが、その瞬間、まるで彼女が魔法のようにふわりと落ちるように見えるんです。
そして最後は、私はいつも「あれはまるでキスを交わして終わるような瞬間」だと思っています。」
I'm Tyler, Peck, and here I'm dancing the Divertissement pas de deux in A Midsummer Night's Dream.
There's something so special about this pas de deux . It comes at a time where it really stands alone. It's almost like its own Ballet within A Midsummer Night's Dream. The calm within the storm.
This next part is actually a very difficult promenade. The woman stays on one leg in arabesque the entire time and it just looks not as difficult as it actually is.
You have to make it look so effortless but everything is really, really sustained.
The music is so beautiful and it's super hushed and intimate you almost feel like you're at church.
On this part. I always like to think we are walking through brambles. There's vines everywhere and we're brushing them out of our way and we're just walking … basically in A Midsummer Night's Dream together.
Dancing this pas de deux with Tyler angle is an absolute dream. You feel like you're floating on air.
I remember the first time I danced this. You can feel and hear the two of you breathing. It's that quiet on stage. You have everybody's attention. You feel it from the audience. It just seems like time kind of stops.
It's so simple yet it just takes everybody's breath away.
This is one of my favorite, if not my favorite Balanchine's pas de deux to dance, and with Tyler, kind of feels like it was made for us.
And I think that this is one of the most beautiful endings to any pas de deux there is, where the girl is supported, he brings her up while she stays bent back at an arch and then he's going to pass her to his other arm, so it looks like she almost falls like magic. And then I always think about almost like it's a kiss at the end.
Tiler Peck & Jared Angle in A Midsummer Night's Dream (excerpt) Divertissement pas de deux (8.7.15)
コロラド州の美しい山岳リゾート地ヴェイルで毎年夏に開催されるダンスの祭典で、タイラーペックとジャレッド・アングル(Jared Angle)が、このパ・ド・ドゥを踊った映像です。ちなみに、ジャレッド・アングルは、上述のNYCBプリンシパル、タイラー・アングルの兄でもあります。
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Merrill Ashley & Adam Lüders / Divertissement - Pas de Deux from "A Midsummer Night’s Dream"
1986年に収録された貴重なビデオ。ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)のプリンシパル・ダンサーとして大活躍した メリル・アシュリー(Merrill Ashley)とアダム・リューダース(Adam Lüders)
メリル・アシュリーは、バランシンが晩年に最も信頼し、創作意欲をかき立てられたダンサーの一人で、驚異的なスピードを持つアレグロ(速いテンポの動き)、一点の狂いもない正確なテクニック、そして強靭な身体能力で観客を魅了しました。彼女の踊りは、バランシンが求めた「音楽が身体から溢れ出るようなバレエ」を体現するものでした。
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