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チャイコフスキー《弦楽セレナーデ ハ長調 作品48》と、20世紀を代表するバレエ振付家 ジョージ・バランシンの《セレナーデ》

チャイコフスキーの音楽が目の前で動き出す

「音楽を見て、踊りを聴く」

これは、「アメリカン・バレエの父」として知られる、ジョージ・バランシンが残した有名な言葉であり、彼の振付思想を端的に表しています。

バランシンは音楽を物語に置き換えるのではなく、音の構造やリズムをそのまま踊りとして視覚化しました。

踊りは単なる表現ではなく、観客が音楽をより深く感じ、理解するための視覚的な音楽であるべきだと考えたのです。


バレエ《セレナーデ》

1.  ソナチネ "Sonatina"
2.   ワルツ "Waltz"
3.   ロシアの踊り "Tema Russo" (Russian Dance) 
4.   エレジー "Elegy"

この作品はチャイコフスキーの《弦楽セレナーデ ハ長調 作品48》をもとにしていますが、原曲に親しんでいる人が観ると、楽章の順序に違いがあることに気づくでしょう。

バランシンは、原曲の第3楽章と第4楽章の順序を入れ替えて振付を構成しました。

そのため、バレエの結末は本来の明るく華やかなアレグロではなく、静かで深い余韻を残すエレジーで幕を閉じます。

この大胆な構成の変更によって、バランシンは作品に詩的な終焉と人間的な哀感を与え、音楽と舞踊の融合による新たなドラマを生み出しました。

チャイコフスキーへの敬愛

バランシンはチャイコフスキーに特別な親近感を抱いていました。あるインタビューでは、こう語っています。

「チャイコフスキーの音楽で何かを創作するとき、いつも彼が私を支えてくれているのを感じました。作品が少しでも形になりそうだと思えたとき、助けてくれたのはチャイコフスキーだと信じられたのです。」

バレエ《セレナーデ》では、原曲通りにすると明るく力強い勝利のようなフィナーレで終わります。そこでバランシンは、静かでもの悲しさをたたえた「エレジー」を最後に置くことで、観客にどこか崇高な世界を感じさせる余韻を残すことを選びました。

これは、チャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》の最終楽章が、静かで深い悲しみに包まれた終わり方をすることに少し似ています。


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