回覧板
―コンヤ23時3チョウメデマツ。
回覧板に挟まれた1枚の紙。白紙に雑誌や新聞記事を1文字ずつ切り抜いて貼り付けている。
芸が細かいが既視感に溢れる。
「さて、どうしたもんか。」
怪文書を取り出し、回覧板のファイルを雑にとじる。
テーブルに置いてあるスマホを片手で持ち、発信する。
「もしもし。」
チェアに強くもたれかかり、天井を見ながらつぶやく。
「マノ、事件だ。」
マノイシハラ#6-1
――
時刻19:15
クククと笑いながら。
「来たな」
「ああ。」
「何があったの?」
テーブルの上に、斜めに置かれた紙切れを、顎で差す。
「……。」
必死で斜めの紙に合わせて首の角度を変えるマノ。
「マノ、触っていい。」
「ああ。」
――
「どう思う?」
「これは…」
少し考えて、続けるマノ。
「この、最後の「ツ」の字、今週のジャンプのワンピースだと思う。」
「……なるほどな。」
――
19:35
腕を組み、未だ怪文書を睨みつける2人。
「犯人は何故、俺たちを呼びつけたいんだ。」
「…俺たち?」
呟くマノ。
――
20:35
「なぁマノ。この怪文書、誰が何の為にやったのか、なんだよ。」
「ああ。」
先ほど置いた回覧板を上に掲げる。
「回覧板にはな、前見た人がわかるシステムがあるんだ‼︎」
回覧板を開き、マノの前に叩きつける。
マノ、少し体が跳ねる。
「名簿だ。」
――
20:45
クククとまた笑い、名簿を指でなぞる。
「イシハラの前は…」
見るからに失速する。
不思議そうに見つめるマノ。
「何?」
名簿を奪い取る。
「イシハラの前は……ん?イシハラ?」
「イシハラ……イシハラ?」
またイシハラの顔を覗く。
両手を腰にあて俯くイシハラ。
「アニキだ。」
――
20:50
部屋の隅で電話をするイシハラ。
「兄ちゃん、変なイタズラやめてよ。」
―
「いや、回覧板の!」
―
「え?違う?まだ見てない?」
とても嬉しそうに。
「マノ、事件だ。」
――
「え、お兄さんは?」
「にいち……いや、アニキはまだ回覧板見てないらしい。」
「つまり、誰かが、名義を偽証したってことだ。」
立ち上がるマノ。
「事件だ。」
「ああ、事件さ。」
――
21:05
両手を膝に乗せて、いつまでも怪文書を覗き込むマノ。
「ねえ、イシハラ。こんな事される覚えはあるの?」
両手を広げ。
「さあね。」
――
21:20
「お腹すいた。」
時計を横目に、お腹を押さえるマノ。
やれやれとばかりに冷蔵庫へ向かう。
「これでも飲め。」
メロンソーダ。
「またか……」
――
21:45
大きく伸びをし、立ち上がるイシハラ。
「さてと。」
「ああ。」
「行きますか。」
革ジャンを羽織り、夜の街(3丁目)へ出る2人。
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