根も葉もある
〔解説〕
論拠などを否定することわざに「根も葉もない」がある。これは「根」を〝起きた物事の原因〟に例え、「葉」を〝もたらされた結果〟に例えて言ったものだ。
一般的には、「何の根拠もない」「信頼や信用できるものがない」「理由がない」などという意味を表す。
使い方は、「あたしがあなたの恋人だなんて、根も葉もないことを言わないでちょうだい」などとなる。
(ここまでは事実ですが、以下は創作なので真に受けないでください)
〔さらに解説〕
今回の「根も葉もある」という新しいことわざが制定されたきっかけは、「ただは高くもあり安くもあり」と同じく、日本格言制定委員会の安井高巳委員(33)と高井安美委員(28)とによる雑談だった。
安井「例のゴルフ仲間の男性と温泉旅行に行ったのかい」
高井「行かなかったわ」
安井「だって、温泉旅行に誘われたって言ってたじゃないか」
高井「誘われたけど行ってないわ。でも、安井さんが疑うのもわかるわ。誘われたって私が言ったからね。根も葉もあるっていうことわざもあるし」
安井「そんなことわざはないよ。委員会の正式な委員なんだから、ありもしないことをことわざなんて言っちゃだめだよ」
高井「根も葉もないっていうことわざがあるんだから、根も葉もあるっていうのがあってもいいと思わない?」
安井「それはそうだけど、ないものはないんだから」
高井「連名で新格言制定に申請しない?」
安井「どうもイマイチだな」
高井「連名で申請してくれたら温泉旅行いっしょに行ってもいいわよ」
安井「うおおおお。申請するよ、するするする。すぐする」
というたわいのないものであった。
またもやその雑談を偶然耳にした尾琴場会長は、「高井委員に、俺と二人で温泉旅行に行ってくれるなら申請を受理するよ、と言おうかな」と思ったのだった。
しかし、言いだす度胸がなく、言わないまま受理したのだった。
〔街頭インタビュー〕
(男性には女性が、女性には男性がインタビューしている)
9歳(男)小学生
「え、そんなことわざは知らなかったです。学校じゃ教わってません。だけど、『花も実もある』なら知ってますよ。花や実のほうが、根や葉より明るくていいじゃないですか。え、意味が違うんですか? おねえさん、どこかの学校の回し者じゃないでしょうね。ぼくの夏休み、減らされたりしないですよね。ああよかった。おねえさん、きれいですね」
32歳(女)小説家志望
「新しいことわざができたの? よく作ったわね。たしかに使い道ありそうだわ。小説で使ってみようかしら。『凡之助さん、あたしの留守にお仙とお楽しみだったでしょ。知ってるわよ。あたしがつかんだ情報には根も葉もあるんだからね』なんて。やだ、ちょっと言ってみただけよ。ほんとに書くことなったらちゃんと考えるわよ」
48歳(男)造園自営
「行方の定まらねえ浮き草にだって根や葉はあるんだ。ねえちゃん、所帯を持つならしっかり根を張れる男を選ばなきゃだめだよ。ひっひっ。なに、もういるのかい。どんな男だよ。こんないい女を。俺がもっと若けりゃな。ああ、想像するだけでくやしいな。いや、俺の想像には根も葉もねえんだけどさ。ひっひっ」
