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【note創作大賞2026】 55℃の瞳 1話-4

全員が黙った。
アオイは自分の席に座り、ハチが横に付く。
大森もミリも同様にした。

《メタバース捜査課》

表示がして、移動する。

アオイは透明な椅子に座っていた。
円形、いや球形の部屋の壁には、さまざまな画像やグラフが表示されていた。
目の前に青いドーナツ状の円卓が浮かぶ。
アオイの横に大森、その横に金髪の貴公子が、円卓の前の椅子に出現した。

アオイの対面、すでに腰掛けていた男は、テーブルに両肘をついて、両手を顔の前に組んでいた。
男の後ろにはセントバーナードがのびのびとふせっている。

全員揃ったのを見て、男が口を開いた。
「おはよう、諸君」
「おはようございます。課長」
アオイが挨拶をし、
「今日は、遅番じゃなかったんですか?課長」
大森が訪ねた。

「遅番だったよ。残念ながら変更だ」
安藤課長は、左手の人差し指でくいっとゴーグルを持ち上げる仕草をした。

「これから署長が入られる」
課長の言葉の直後に、入室通知が浮かんだ。

課長以下4人が起立した。
アオイの横からゴールデンレトリバーが、円卓の空席部分に移動し、ボストンテリア、チワワ、セントバーナードが並んだ。
並んだ4頭の前に、ドーベルマンが姿を現した。
緑の目を光らせ、周囲を見渡す。
「「「「ワン」」」」
4頭の声に、低い声で
「ワン」
と返し、ドーベルマンは横に移動した。
4頭の犬も主の横へもどる。

ドーベルマンの横から小柄な男が現れた。
だいぶ後退した白髪混じりの黒髪。
両端が下がった。穏やかそうな目尻。
しかし、来ている制服にはいくつもの星が付いている。

アオイたちは姿勢を正し、一斉に敬礼した。
男も軽く敬礼して直ると、座るように両手をふった。

全員が着席すると、「急なレベルCですまんな。」と口を開いた。

円卓の中央上空に、VRが浮かぶ。
まとまったドームが4つ。
つながった。小さめのドームが1つ。
その横が拡大され、人型が浮かび上がった。

また顔の前で手を組んだ安藤が、口を開いた。

「本日2075年7月29日6時37分
死体が発見された。
70代男性。
場所と外見的特徴から、
今井陽真 75歳
と推測される」

《?!》
「え、今井陽真って、あの、"100人の父"の?!」

ミリと大森がそれぞれ驚く。
アオイはハチと顔を見合わせた。

安藤が続けた。

「そう、その今井陽真だ。
さらに死体には、
両目の眼球がなかった」



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