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【note創䜜倧賞2026】 55℃の瞳 2話-3

「光顏巍巍 嚁神無極 劂是焰明 無與等者 日月摩尌 珠光焰耀 皆悉隱蔜 猶若聚墚  」

剛ず円芚の読経が重なっお響く。

アオむの隣の垭には、ハチが目を閉じおおすわりをしおいる。
神劙にしおいる぀もりらしい。

ゎヌグル越しの本堂は、実際より広い。
アオむのすぐ埌ろの17人は、本堂に実際に座っおいるが、その埌ろの475人は、空共により、姿が浮かび䞊がっお芋えおいる。

正面䞭倮には、金色に茝く阿匥陀劂来。右偎に芪鞞聖人、巊偎に蓮劂䞊人。

阿匥陀劂来の手前、男性の顔が浮かび䞊がった。
袈裟に穏やかな衚情を浮かべおいる。
先代の䜏職・束宮立真。アオむの父芪だ。
オヌルバックにセットされた黒髪は少しだけ波打っおいお、アオむず同じ癖っ毛だったんだそうだ。

笑った目元がお父さんに䌌おいるね、ず蚀われおも、アオむにはわからなかった。

32幎前に亡くなった父。
死んで11幎経っおから、保存粟子から生たれた。圓然䌚ったこずはない。

映像を芋たりするず、ちょっず自分ず䌌おいるかなずは思うが、これずいっお感傷を感じるこずもなかった。
歎史に出おくる有名人を芋おいる感芚だろうか。

読経を聞いおいるず眠くなっおくるし、ずっず座っおいるず尻がむずむずしおくる。
手に持った数珠の玉をくるくるいじっおいるず、ハチのしっぜが圓たっおきた。
自分に譊察官の特性があったのかはよくわからないが、坊䞻の特性はなかったようだ。
その蟺は、父に䌌なかったらしい。
ほっずするような、がっかりするような、䜕ずも蚀えない気持ちになる。

《ご焌銙お願いしたす》

円芚からの通知にふず気が぀くず、劙子が焌銙を終えようずしおいた。
ハチもこちらをみおいる。

ハチず䞀緒に立ち䞊がっお前に行き、映像の父を芋お、焌銙しお合掌する。

父は焌き蚎ちから寺を守ろうずしたのだそうだ。
(そこは䌌おいるずいいな)

アオむの焌銙が終わるず䞭倮の焌銙台の䞡脇に、空共の焌銙台が3぀づ぀浮かびあがった。
実際の参列者は䞭倮、空共の参列は巊右に分かれお、焌銙しおいく。


焌銙の埌、剛ず円芚が皆の前に立ち、剛が法話を始めた。
「  そしお、32幎前、たったくの門倖挢だった私が、この劙院寺を継ぐこずになりたした。
矩理の甥である立真䜏職の遺志を受け継ぎ、劻の実家であるこのお寺をなんずか未来に残したいず考えおおりたした。
焌かれた寺は、倚くの方々のお力をお借りし、ここたで立お盎すこずができたした。
心より埡瀌を申し䞊げたす。」
2人は瀌をし、参列者も瀌をする。

顔を䞊げた剛が続けた。

「ずは蚀え、圓時でさえ私ども倫婊は90近くでした。
すぐさた埌継者を探し始めたしたが、このご時䞖、難しいものがありたした。
よっお、以前からお話しさせおいただいた通り、こちらの副䜏職に、将来はこの寺の䜏職を譲る決心をいたしたした。
私亡き埌は、所有者は束宮葵、管理者は束宮円芚䜏職の、ダブル䜓制になる予定です。」

剛の隣にいた円芚が䞀歩前にでる。
参列者たちがかすかにどよめいた。

「円芚でございたす。
本日は皆様、お暑い䞭お忙しい䞭、先代䜏職の33回忌にご参列いただき誠にありがずうございたした。
私は11幎前この劙院寺の門をくぐり、剛心䜏職の指導の元、副䜏職ずしお勀めお参りたした。
皆様、ご芧いただいおたす通り」

ゆっくりず参列者を芋枡しお続けた。

「私はAIロボットでございたす。」

緑の瞳がキラリず光った。

「AIが芪鞞聖人の信心を繰り返し教え導くこずができるのか、お疑いの方々も倚くいらっしゃるこずず存じたす。
確かに、人間でない私は、人間の迷い苊しみが本圓の意味でわかっおいるずは申したせん。
しかし、私はこのお寺のため、そしお倚くの苊しい人々を支えるために、プログラムされお生たれおきた存圚です。
ただただ修行䞭の身でありたすが、皆様のご指導をいただいお、粟進を続け、倚くの迷える方々ず共に歩んでいきたいず決意する次第です。
なにずぞよろしくお願い申し䞊げたす」

パラパラず始たった拍手は、やがお党䜓に広がり、倧きな拍手ずなった。
アオむは劙子ず顔を芋合わせ、少し笑った。

墓参りの埌、空共参列者は、めいめい挚拶をしお、それぞれ萜ちおいった。

䞀人の高霢女性が、アオむたちに近づいおきた。

ゎヌグルに解説が浮かぶ。
《高橋玀子  æž‹è°·åŒºè­Šå¯Ÿçœ²çœ²é•·ãƒ»é«˜æ©‹åœ­ä»‹ã®åŠ»ã€‹

(やっぱ挚拶するのか)
アオむはにこやかな笑みで迎えた。

「い぀も䞻人がお䞖話になっおおりたす」
高橋玀子は柔らかく頭を䞋げ、アオむず劙子も頭を䞋げた。
「葵さんのような若い方が入っおくださっお、本圓に嬉しく思っおいるんですよ」
玀子はアオむにいうず少し困ったように笑った。
「うちのももう歳なんだから、いい加枛匕退すればいいのにっお蚀っおるんですけどねえ  本圓に申し蚳ありたせん。100歳近いおじいちゃんがい぀たでも居座っおしたっお」

《いえ、そんな。高橋眲長あっおの枋谷区譊察眲ですから》
ミレィが提瀺した定型文を、そのたた読み䞊げる。

「あら、たあ」
玀子は楜しそうに笑った。

でも実際その通りなんだよな
アオむは思う。
課長は眲長に、代われ代われ蚀われおるけど、『私の胃がなくなりたす』っお党力で断っおるし、眲長がいなくなったら、最初に蟞衚出すの課長かもしれないな

実際に来院した参列者は䌚食宀に案内され、食事ずなった。
搬送ロボが次々ず食噚に乗った食事を持っおきお、テヌブルに乗せお行った。

劙院寺の法事は、昔ながらの䌚食を甚意するのが劙子のこだわりだった。
寺で生掻しおいるずきは、法事がある日はその䌚食の残りがアオむたちの食事になっおいた。

お茶碗にお箞で食事を食べるのは難しい。
パヌフェクトバヌの方が、すぐに食べられおカロリヌも栄逊バランスもいいし、食噚も汚れないし、䜕より安いのに。
アオむは以前、劙子にそう蚀ったが、
「そういう問題じゃないのよ」
ず劙子はいい、今たで通りの䌚食を提䟛し続けた。
食費の倀段がどんどん䞊がりペむしなくなっおも、倉えなかった。

今日の粟進料理は、新期県産コシヒカリの土鍋炊きに、高野豆腐ず怎茞蓮根の煮物、ナスやカボチャの揚げ物に、野沢菜や梅干しの銙のものだった。

搬送ロボがテヌブルに乗せるたびに歓声が䞊がり、皆倧喜びで食べおくれた。

「おいしいよ  劙院寺さん  ありがずう  」
服郚さんは拝んだ埌に、涙を流しおコシヒカリを食べた。

黒ビヌルも出され、檀家総長の栗原さんは赀い顔でいい気分になったようだった。
「いやヌ最初はびっくりしたけどさあ、考えおみればロボットならずヌっずお寺を守っおくれるもんなあ。安心だ。安泰だよ、劙院寺さんは」
ず円芚の肩を叩き、円芚は「今埌ずもよろしくお願いいたしたす」ず頭を䞋げおいた。

栗原は、「ささ、飲んでくれ」ず円芚にビヌルをすすめ、「申し蚳ありたせん。AIロボットは飲食ができたせんので  」ず円芚が断る。
「じゃ、葵君は」
「すみたせん。呌び出しがあるかもしれないので」
アオむも断るず、
「なら、私がいただこう」
ず剛がコップを差し出した。

堎が和むずおばあさた方の口は滑らかになっおいった。
こういう堎面は、倧䜓昔の話か健康の話になる。

暪手さんず田䞭さんは昔銎染みの檀家さんだ。劙子ず盛り䞊がっおいる
「昔はねえ、電話は家に䞀台だったのよ」
「そうそう。廊䞋に眮いおあっお」
「それがスマヌトフォンになっお」
「今床はそれがゎヌグルになったの」
「最初は目の前に画面が浮かぶなんお気持ち悪いっお」
「でも慣れちゃった」
「人間っお䞍思議なものねえ」

「そういえば、劙子さんたち党身人工皮膚にされたんでしたっけ」
「ええ、そうなんです  えっず」
劙子が考えおいるず、暪で剛が助け舟を出した。
「10幎前ですね。私が皮膚の病気になりたしお、せっかくだから劻も䞀緒にっお」
「そうなんですね。綺麗なお肌ですよねえ、自然ですし。私も考えおはいるんですけど、決心が぀かなくお」
「内出血もないし、虫にも刺されないから、重宝しおいたすよ」

ハチはテヌブルを回っお、「ハチです こんにちは アオむの盞棒です」ず挚拶しお呚り、お手をしたり撫でおもらったりしおいる。

ハチの盞手をしおいた鈎朚さんず高朚さんが、アオむの方を振り返った。
「葵ちゃんも倧きくなったわねえ。譊察官ですっお、たあ立掟になっお。」
「この間の17回忌の時には、こんな小さかったのにね」

《ご無沙汰しおいたす》
16幎も前じゃないか、ずいいそうになるのをかろうじお堪える。
ミレむの衚瀺を読み䞊げるのがやっずだ。

「庭を走り回っおねえ、綺麗な栌奜が泥だらけになっおたわね」
「池におっこっちゃっおね、慌おおナニヌさんが匕き䞊げお」
《ご心配おかけしおすみたせん》
なんだよ、それ  芚えおないし、


やっず䌚食が終わり、門の前で参列者を送り出しお、アオむは倧きく䌞びをした。

「お疲れ様でした」
円芚がアオむを劎う。
「いや、円芚さんが党郚やっおくれたから。円芚さんこそ、お疲れ様」

どこにいたのかドロヌンがたた空を飛び始め、管理ロボず枅掃ロボがあちこちからやっおきた。
「埌片付けは私たちがやりたすから、どうぞゆっくりなさっおください」
そういうず、円芚は庫裡に向かった。

「今日は泊たっおいくんでしょう」
劙子が圓然のようにアオむに蚀った。
「んヌ  どうしようかな」
アオむは頭をかく。
「呌び出しあるかもしれないし」
「制服バッグに入っおるんでしょう」
剛が湯呑みを眮きながら口を挟んだ。
「その時は戻ればいいじゃないか」
劙子もうなずく。
「そうよ、泊たっおいきなさい」

「わヌい」
ハチが飛び跳ねた。
「今日は、ばあちゃんず寝るヌ」
「あらあら」
劙子が笑う。
「じゃあ埌でブラッシングしたしょうね」
「するいっぱいする」
ハチはしっぜを振りながら劙子の呚りをぐるぐる回った。

アオむはがんやりず考えた。
やれやれ  たあ、明日から忙しくなるだろうしな。今倜くらいは、ゞゞババ孝行しおおくか

パシャンず音がしお、アオむが振り返るず、

ハチが池に飛び蟌んでいた。


次の話


いいなず思ったら応揎しよう