外国人材政策は“管理強化”へ向かうのか― 秋田の現場から見た具体的な違和感 ―
おはようございます。
株式会社あきた創生マネジメント代表の 阿波野聖一(AWANO SHOICHI)です。
政府の方向性は、確実に変わりつつあります。
「外国人を増やす」から
「制度として管理・運用を厳格化する」方向へ。
内閣官房
「総合的対応策国民の安全・安心のための取組における進捗状況」を読むと、その流れは明確です。
では、その中身は何か。
そして、現場では何が起きるのか。
秋田の現場から、具体的に見ていきます。
■① 外国人側に求められる変化
今回の資料では、これまでより一歩踏み込んだ内容が示されています。
■① 日本語・ルール理解の重視
「日本語や我が国の制度・ルール等を学習するプログラムの創設」
「受講・理解を在留審査の考慮要素とすることを検討」
これは現時点では検討段階ですが、
日本語力や制度理解が在留審査においてより重視される方向にあります。
「知らなかった」が通用しにくくなる可能性は高いです。
■② 医療費などの支払いと在留の関係
「医療費不払情報を在留審査に活用」
支払い状況が審査に影響する可能性を示しています。
生活面の責任も含めて評価される流れです。
■③ 永住資格も例外ではない
「公租公課の不払いによる永住資格取消し」
永住であっても、義務を果たしているかどうかが
問われる方向にあります。
■② 企業に求められる責任
ここは、現場への影響が最も大きい部分です。
■① マイナンバー取得の促進
「受入機関の責務においてマイナンバーカード取得を促す」
雇用だけでなく、生活基盤への関与が前提になります。
■② 業務内容の適正管理
「専門的業務に従事することを確保」
配置ミスや運用のズレが、制度上の問題になる可能性があります。
■③ 違反時の厳格対応
「人権侵害行為があった場合、他の在留資格の受入れも認めない」
悪質な場合、受入停止など
事業全体に影響するリスクがある設計です。
■④ 届出・管理の厳格化
「未届・虚偽届は警察連携で対応」
グレー運用は難しくなる方向です。
■③ 自治体の役割
■① 相談対応と連携強化
「地方公共団体と連携し相談対応体制を整備」
支援と管理の両面を担う存在です。
■② 日本語教育・地域適応
「地域日本語教育体制の整備」
生活できる状態をつくる役割が求められます。
■③ 生活領域の把握
「公営住宅で国籍・在留資格の把握」
生活面の可視化が進む方向です。
■④ 現場で起きること
ここが最も重要です。
制度の整理としては正しい一方で、現場では次のことが起きます。
人は急には増えない
しかし、管理と確認は確実に増える
結果として
書類確認
在留管理
生活指導
トラブル対応
これらが現場に降りてきます。
■⑤ 私たちが秋田でやってきたこと
だからこそ私たちは、制度を守ることではなく、
「現場が機能する状態」をつくることに向き合ってきました。
その中で積み重ねてきた具体的な実践があります。
① やさしい日本語の徹底と“伝わるまで関わる”運用
現場では、「分かりました」と言っていても、実際には理解できていないケースが多くありました。
その結果
・指示と違う動きになる
・事故やヒヤリハットにつながる
・日本人職員との関係が悪化する
こうしたことが実際に起きてきました。
そのため
・専門用語を使わない
・短い文章で伝える
・理解できているかを必ず確認する
・「分からない」と言っていい環境をつくる
といった運用を徹底してきました。
言葉を簡単にすることではなく、
伝わるまで関わることそのものを仕事として設計してきました。
② 役割の明確化と“曖昧さを残さない”現場設計
「誰が何をやるのか」が曖昧なままだと、
外国人材だけでなく、日本人職員の中でも認識のズレが起きます。
実際に
・誰もやらない仕事が発生する
・指示待ちが増える
・責任の押し付け合いになる
といった状態を経験してきました。
そのため
・業務ごとの担当を明確にする
・できること/できないことを整理する
・段階的に任せる範囲を広げる
といった形で、
役割を構造として設計することに取り組んできました。
③ 生活まで含めた支援設計(現場外を切り離さない)
現場でのトラブルの多くは、仕事の中ではなく生活の中から生まれます。
実際に
・ゴミ出しのルールが分からずトラブルになる
・交通ルールを知らず事故リスクが高まる
・お金の管理ができず生活が不安定になる
・共同生活での人間関係が崩れる
こうした問題が現場に影響してきました。
そのため
・来日前・来日後の生活オリエンテーション
・ゴミ出しや交通ルールの具体指導
・金銭管理や生活習慣のサポート
・同居ルールや相談体制の整備
といった形で、仕事と生活を切り離さずに設計することを行ってきました。
④ 受け入れ企業との“分担と連携”の設計
外国人材の問題は、本人だけの問題ではなく、
受け入れる企業側の関わり方で大きく変わります。
実際に
・現場任せになり負担が集中する
・情報共有がなくトラブルが見えない
・問題が起きてから対応する
といったケースも多く見てきました。
そのため
・定期的な情報共有
・役割分担の明確化(企業・支援機関)
・問題の早期共有と対応
を仕組みとして整え、関係性が回る状態を意図的につくってきました。
制度を守るだけでは回らない
回る状態を設計する必要があります
■結論
今回の政策は事実として、
管理・運用の厳格化の方向に進んでいます。
ただし問題の本質は
外国人材の問題ではない
三者(外国人・企業・行政)の関係設計の問題です
■最後に
今回の政策は
「管理できる前提で受け入れる社会」へのシフト
とも読めます。
しかし現場は違います。
関係性がなければ回らない
だからこそ
制度を現場に翻訳し、機能させる存在
がこれからますます重要になります。
そして、これは私たちがこれまで現場で向き合い続けてきたことでもあります。
外国人材を「管理する対象」として扱うのではなく、
同じ現場で働き、共に時間を過ごし、共に成長していく存在として関わること。
その中で私たちが大切にしてきたのは、
「受け止める」と「受け入れる」という姿勢です。
違いを否定せず、まず受け止める。
そして、その違いを前提に関係性の中に受け入れていく。
言葉が通じるかどうかではなく、
伝わるまで関わること。
制度を守ることが目的ではなく、
現場が機能する状態をつくること。
その積み重ねが、結果として定着につながり、
地域にとっても、企業にとっても、本人にとっても
意味のある関係性を生むと考えています。
管理だけでは、人は残らない。
受け止め、受け入れる関係性があって初めて、
人はここで生きていく理由を持つ。
だから私たちはこれからも、
制度に従うだけでなく、
現場で「共に育つ関係性」をつくり続けていきます。
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