【毛筆1級】芸術書道経験者でも合格が難しい理由
毛筆書写技能検定1級での最大の難点は、「芸術書道を理解していること」だと思います。
個人的にはそんなに高度でなくても大丈夫だと思っていますが、楷・行・草書の三体に、連綿、様々な書風の漢字の臨書、仮名…そして総合的な能力が問われる創作課題と、できねばならないものが広範囲なことが、結局「簡単」だとは言えなくします。
才能ある人ではありませんが、芸術書道のほうが長い私が思うに、どれも芸術書道の基礎レベルがあれば事足りると思います。
しかし、この広範囲の課題に添削指導のできる先生を見つけるのは至難の業でしょう。
この記事で書いたように、硬筆書写技能検定の1級に対応できる競書もなかなかありませんから、毛筆に対応できる競書はほぼ皆無だと思います。
いや、その前に対応できる競書があったとしても、毛筆書写技能検定は競書誌を見ての独学は厳しいものがあると思います。
芸術書道のミソは「線質」だと思います。この「線質」の出し方だけは、本をいくら眺めても理解しにくいと思います。
これまた難関ですが、芸術書道の線が書ける先生のリアルに書いているところを見せていただいて、呼吸の取り方や筆の運び方など生生しく書いているところを観察するほうが理解が早いと思います。こればかりは理論とかで述べることができる感じじゃないんですよね。
習字(書写)メインの人は、どうしても線の引き方が単一なのでノペッとしがちで表情がありません。古典臨書を通してあるいはリアルで様々な線の書き方を見ていないので、字の形が変わっても、どれも同じ書き方をしているように見えてしまいます。
経験が浅いと、この線質とは何かも見えてないことも多いと思いますし、これまたたちが悪いことに、線質の見え方も個人差がある気もしてます。
ちなみにYouTubeの動画はなんかイマイチなのが多いと思います。(筆先と字しか写ってないのがほとんどだからですかね?)
このように、様々な古典臨書を通して、様々な線質を学ぶという工程が必要になります。
そしてそのうちに、自然な文字列の流れというのが感覚的に身につくので、漢字を見ても仮名を見ても不自然な線があればすぐわかるようになります。
わかりやすいのが仮名の連綿ですが、習字(書写)メインだと、毎月のお手本に掲載されている分しか書きませんし(少ない)、特に硬筆ばかりの方は毛筆で書く自然な連綿の感覚が身につきにくいので、自運(自分の力だけで書く)となると変な連綿を書いてしまうことがあります。
このへんはいかに多様な古典臨書をこなしているかにかかっているので、時間をかけてひたすら書くほかないでしょう。
残念ながら、習字(書写)メインで、古典の臨書経験はほとんどないですという方は、かなり長い道のりになるのは覚悟したほうがいいと思います。感覚的には「5年、10年かかっても1級を取りたいか?」と聞かれてイエスと言えられなければ厳しいです。
古典臨書の経験がなければ、会派によっては書写検定向きでない字の崩し方や癖が染みついている可能性もありますから、かなり難しいと思います。
習字(書写)メインだけど、古典臨書もしてますという方は、古典を指導できるお教室に通われていてよかったです。あとは、漢字はどんな書体を書いたことがあるか、仮名はやっているかどれくらい書けるか等によるかと思います。芸術書道ができる先生でも、書ける書体に偏りがあるものなのでどれくらい学習がすすんでいるかによるでしょう。
一番合格に近いのは、すでに芸術書道をガツガツにやっている方でしょう。かなり本格的な方は一発合格の話をちらほら見かけたことがあります。
しかし現実は、芸術書道をやっていても、不合格は珍しくありません。
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