見出し画像

【🐿蕨】蕨は日本一狭い市に日本一密集。外国人14%なのに駅前にケバブがない



蕨市の面積は5.11km²
全国の市で、一番狭い。

そこに75,882人が暮らしていて、人口密度14,850人/km²は市単位で全国1位。住民の14.0%、10,845人が外国籍。うち中国籍が6割強。海外メディアは蕨と川口を「ワラビスタン」と呼んで、在日クルド人約2,000人のコミュニティを取材してきた。

それなのに、蕨駅西口商店街にトルコ料理の路面店は、ほぼない。

尻尾の先がピクッて動いたんだよね。

日本一狭い市で、日本一密集した住民の14%が外国籍で、でも駅前の商店街は昭和のまま。この3つが、同じ5.11km²の中で同時に成立している。


5.11km²に77,216人。山手線内側の1/12の土地に、ぎゅっと詰まった街


数字を並べる。

面積5.11km²(山手線内側の約1/12)。人口75,882人(2026年3月1日推計)。人口密度14,850人/km²は市単位で全国1位。
同じ埼玉の川越市(109.13km²)と比べると、面積は約1/21、密度は約5倍


数字の話をしているようで、これはあなたの話なの。


蕨は、首都圏で店を出せる街の中で、商圏の物理的な境界線が一番近い街。半径500m圏内に飲食店298件(2022年6月時点、居抜き店舗.com調べ)、うち居酒屋96件。狭い場所に店と人がぎゅっと詰まっている。

川越のように「動線を伸ばして観光客を取りに行く」余白はない。歩いて街の端から端まで届いてしまう。

蕨で勝負するなら、「広く薄く」じゃなくて「同じ人に何回戻ってきてもらうか」。これしか選択肢がない。


「ワラビスタン」なのに、駅前でケバブが焼かれていない


ここ、全員がスルーしてるんだよね。

蕨市の外国人住民10,845人(14.0%)の国籍内訳は、中国4,917人(64.9%)、ベトナム803人、韓国394人、フィリピン345人、ネパール333人、トルコ96人の順(蕨市多文化共生指針 第2次・令和3年)。

加えて、海外メディアや国内報道は、蕨・川口周辺に住民登録されない在日クルド人が約2,000人暮らしていると伝えてきた。

英エコノミスト誌が「ワラビスタン」と呼んだのも、このコミュニティの話。

それなのに、蕨駅西口商店街(みゆき通り・ぶぎん通り・セントラル商店街)を歩くと、トルコ料理店やハラール食材店はほぼ見当たらない。


皮、むいちゃおっか?

蕨のエスニック飲食の代表格「ハッピーケバブ」の本店住所は、埼玉県川口市芝新町。蕨駅から徒歩5分だけど、市境の向こう側。2023年開業の2号店も西川口駅前で、同じく蕨市の外。

「ワラビスタン」の実店舗は、蕨市の駅前ではなく川口市側に集中している

オーナーさん、西口の路面で「うちの街は国際的だから」ってシッポを丸めてない?

蕨駅前の飲食は、統計上は「外国人14%の街」だけど、路面上は「日本人96%の街」として動いてきた。

1駅隣の西川口(JK 40、乗車52,988人)は、2006年のNK流一斉摘発以降、空き店舗に中国系飲食店が次々入り、今や外食メディアが「ガチ中華の聖地」と呼ぶゾーンに変わった。

蕨(JK 41、乗車55,862人)は、同じ京浜東北線で駅規模もほぼ同じなのに、駅前の業態は真逆で動いてこなかった。

ドングリ、見つけた。

同じ路線の隣の駅が20年かけてチャイナタウンに切り替わっても、蕨の商店街は切り替わらなかった。隣が変わったから自分も変わる、は蕨では起きなかった。


住民は+1,700人。駅の客は-3,600人。2027年、28階が2本立つ


問題は、これが今も進行中だということ。

蕨市の人口は2018年74,183人→2026年75,882人で+約1,700人。
一方、JR蕨駅の1日平均乗車人員は
2015年度59,501人→2024年度55,862人で-約3,600人(JR東日本公表値)。

住民は増えて、駅利用は減る。意味は1つしかない。都心通勤が減って、在宅勤務と地元消費が増えた。蕨で生活時間を過ごす人が、統計上は明確に増えている。

そして2027年7月、この構造の上に決定的な重しが乗る。W CITY TOWERS(住友不動産、地上28階・総戸数413戸のツインタワー)。
蕨駅西口ロータリー隣接、住宅+商業+図書館+行政センター+デッキ駅直結、2027年秋開業予定。413戸の新住民が、一気に蕨駅西口の徒歩圏に流入する。


冬眠してる場合じゃないから言う。


ここで蕨のオーナーが間違えやすいのが、「413戸の新住民がウチに来てくれる」という発想。西川口は2006年以降20年かけて業態が入れ替わった。蕨の既存店の多くは、その20年間、駅前の商圏構造が変わらないまま営業してきた。

20年間「蕨は蕨」でやってきた店が、413戸の新住民に選ばれる前提は、どこにもない


新住民は、入居の最初の3ヶ月で「自分の街の店」を決める。駅ビル・商業フロア・全国チェーンが、その3ヶ月の主戦場。

すでに2026年2月にコメダ珈琲店蕨宿店、2025年3月にラーメン店「夢の一歩 蕨店」(東口)が開業し、吉野家も2026年春に市内出店検討中と報じられている(号外NET戸田市・蕨市)。

西口28階ツイン413戸の開業を前に、全国チェーンが先に駅前に布陣を敷き始めている。


3ヶ月後に「413戸の最初の1軒」になるための「ツヤツヤのナッツ」アクション3選


難しい話はしない。今の蕨で一番コスパが高い3つだけ話す。


アクション1:今夜、自分の店の住所から半径500mに、どの国籍の人がどれくらい暮らしているかをスマホで確認する


Googleマップに自分の店の住所を打ち込み、半径500m圏内で「蕨市中央」「塚越」「錦町」「川口市芝新町」「芝園町」のどれと重なるかを確認する。

重なるエリアが「日本人が多く暮らすエリア」「中国籍住民が多く暮らすエリア」「クルド系住民が暮らすエリア」のどれに当たるかを、蕨市多文化共生指針や日経ビジネス「超国際化タウン蕨」等の既報と照合する。

紙に「うちの500m圏内には(中国籍/クルド系/ほぼ日本人)が暮らしている」と1行書く。

なぜ効くのか。

蕨は5.11km²で、店の500m圏が街全体の1/5を占める。500m圏内に誰が暮らしているかを確認せず商品設計をしていると、統計上14%いる外国籍住民がメニューに1行も反映されていない店になる。

3ヶ月後、メニュー1品の翻訳表記を追加するかの判断が、憶測ではなく分布で決まる。


アクション2:来週1回、蕨駅西口から中山道までの1km、ぶぎん通り経由で歩ききる


蕨駅西口→セントラル第一商店街→みゆき通り→ぶぎん通り→中山道(蕨宿)の「コメダ珈琲店蕨宿店」まで1km、平日19〜20時に1回歩ききる。

見るのは3つ。

  • W  CITY TOWERS工事現場(敷地約1.3ヘクタール)の現在の高さ

  • 各商店街のシャッター閉店数

  • 「夢の一歩 蕨店」(東口)と「コメダ蕨宿店」(中山道)の客層

なぜ効くのか。

蕨の競合は隣の居酒屋じゃない。2027年7月の竣工で、駅直結の新商業フロアと全国チェーンが、新住民413戸の最初の1軒を取りに来る。

「この3層の外側にある固有の理由」を持っていないと、オープン1〜3ヶ月で選択肢から消える。

3ヶ月後、自分の店の強みが「駅ビル新商業にないもの」「全国チェーンにないもの」「中山道新規出店にないもの」のどれかを1行で言い切れる。


アクション3:来週1週間、自分の店の来店客を「都心通勤層/在宅勤務層/外国籍/他市」の4分類でカウントする


来週1週間、来店客を4分類で「正」の字カウント。
スーツ+21時以降の1杯なら「都心通勤層」、平日昼や15時台の地元会話なら「在宅勤務層」、中国語・トルコ語等が混じるなら「外国籍」、クルマ来店・会話が東京弁/さいたま弁でないなら「他市」。

なぜ効くのか。

蕨は駅乗車人員が9年で3,600人減った一方、在宅勤務と地元消費の時間帯需要が増えている。

「夜の都心通勤客が中心」と思い込んでいる店ほど、実は在宅勤務層が3割を超えていて、平日15〜17時のアイドル帯を取りこぼしている。

3ヶ月後、どの時間帯にリソースを寄せるかが、勘ではなく1週間の実数で決められる。

蕨は「日本一狭い街に、日本一ぎっしり、日本で最も多国籍なベッドタウン住民が暮らす」街。蕨のオーナーの戦場は自分の足元500mの中で完結している。その500mに誰が暮らしているかを1度も確認せず冬眠しているなら、2027年7月の413戸は、あなたの店の横を素通りする。

やってみて。そうしたら、また美味しい街の話、してあげるから。


あなたの店の500m圏内には、誰が暮らしてる?

今夜、Googleマップに自分の店の住所を打ち込んでほしい。

半径500mに中国籍住民が多く暮らしているのか、クルド系住民の生活圏が含まれるのか、ほぼ日本人エリアなのか。

その1行で、あなたの店が2027年に選ばれるかの前提が決まる。


🐿️ 巣穴メモ

「ワラビスタン」って呼び名を知って、尻尾がピン、て立ったんだよね。

日本一狭い市で、1割強が外国籍で、約2,000人のクルド系が暮らすと言われてる街。なのに駅前商店街にケバブの看板が1つも出てこない。

スキとフォロー、1つでいいから残してくれたら、次の駅もちゃんと皮をむきに行くよ。

次はどの街の皮をむきに行こうかな。


他にもこんな記事を書いているよ。興味があったら覗いてみてね🐿


参考・出典

※メシゴトリス独自算出・分析:「市単位の人口密度全国1位」「5.11km²は山手線内側の約1/12」「川越と比べ面積1/21・人口密度約5倍」「蕨市人口2018年→2026年で+約1,700人/駅乗車2015年→2024年で-約3,600人」「蕨駅西口商店街にトルコ料理の路面店がほぼない」は公表統計の組み合わせによる独自整理

いいなと思ったら応援しよう!

メシゴトリス@データと現場の分析メディア 「現場の勘をデータに変える」調査を支えてくれませんか?いただいたチップは、実地調査の経費や分析環境の向上に活用し、読者の皆様の意思決定を支える質の高いレポートとして還元します。メシゴトリスの記事があなたの「考えるヒント」になれたなら、応援いただけると非常に励みになります!