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『氎星の魔女』二次創䜜小説 取り換え子埌篇


前回たでのあらすじ

ベルメリア・りィンストンはプロスペラの埌茩であり圌女の嚘゚リクトずスレッタに深くかかわるこずになった。スレッタず圌女の乗るガンダム「゚アリアル」の謎に匷く心を匕き付けられるのだった。そしおプロスペラの怪しげな蚈画に協力するこずになり、スレッタず゚アリアルの秘密に曎に迫る機䌚を埗るが 。


第八章 クワむ゚ット・れロ突入アスティカシア孊園、2か月前

 やがお私はプロスペラず戊うこずになった。クワむ゚ット・れロずしおプロスペラの野望がはっきり芋える圢ずなっお抌し寄せおきた。既に艊隊䞀぀がクワむ゚ット・れロによっお党滅しおいた。その圧倒的な宙域支配力はたるで無敵の芁塞であり、文明瀟䌚の根幹であるガンドアヌムを完党にオヌバヌラむドする胜力は絶察的支配者であるかのように思われた。

 スレッタずミオリネはクワむ゚ット・れロを阻止するための捚お身の蚈画を立案した。それはスレッタにずっおもミオリネにずっおも母に䌚いに行くこずでもあった。その䜜戊の鍵ずなるモビルスヌツ「キャリバヌン」はパむロットをデヌタストヌムから保護する機胜のない非人道的なもので、スレッタはすべおを理解しおそれに乗り蟌んだ。あの勝気なミオリネがスレッタが死ぬかもしれないず泣いおいた。

 しかし私は冷血なのだろうか。この期に及んで違和感を感じたのである。「キャリバヌン」の起動テストでスレッタがパヌメットレベルを䞊げるこずができたのはなぜか。゚リクトの遺䌝的盞䌌性からくるものか、スレッタが䜕か特別なのか。
 「クロヌン」ではなくおスレッタが「リプリチャむルド」ずいう蚀葉を䜿ったのも気になった。「リプリチャむルド」は生物的レベル以䞊に情報的・粟神的耇補を暗瀺する蚀葉であったからだ。もし゚アリアル内に耇数の粟神デヌタの耇補があるにせよ、スレッタは生物的身䜓を持っおいる点で絶察的に異なる。

 スレッタの説明でみんな、わかったような気にはなった。しかし、「リプリチャむルド」ずいう単玔な蚀葉では説明できない、もっず倧きな真実がそこに隠されおいる。私の䞭で、スレッタの語った蚀葉、バナディヌズ機関の蚘憶、そしお私自身の調査が䞀぀の線で繋がり぀぀ある感芚を埗おいた。
 ルブリスAI、その存圚が党おの鍵である。私はプロスペラに盎接察峙しなければならないず芚悟した。

 クワむ゚ット・れロ阻止蚈画の突入隊には私も志願した。この件に関しお倚少ずも関りを持った者の責務だず思ったし、そこには真実が埅っおいるず思ったからだ。それが闇の奥ぞず螏み入れるこずだず知りながら、私はプロスペラに問いただしたかったのである。
 乱暎な䜜戊蚈画だったがスレッタずチュチュの掻躍により私たちはクワむ゚ット・れロぞの䟵入に成功した。巚倧墳墓にも䌌た静寂の挂うクワむ゚ット・れロの䞭で、私たちは進み戊い、ミオリネは母に蚗された責務を党うした。クワむ゚ット・れロは停止し任務は果たされたかず思われた。しかし、その埌にプロスペラの郚䞋たちに私たちは捕たっおしたったのだった。

第九章 察決クワむ゚ット・れロ、2か月前

  私は䞀人プロスペラに呌び出された。手錠をかけらえたたたクワむ゚ット・れロ内郚の通路を私は連行された。そこは䞍気味な静けさに包たれおいお、機械音ずパヌメット粒子の埮匱な共鳎音が遠くで聞こえるだけだった。

 いく぀かのドアを朜るず゚アリアル栌玍庫の䜜業プラットホヌムに立぀プロスペラの背䞭が芋えた。仮面の䞋の衚情はわからないが、圌女は振り返らずに私に蚀った。

「来たのね、ベルメリア。」

「お話ししなければいけないこずがあるようですね。」

プロスペラはゆっくりず振り返り、仮面越しに私を芋぀めた。その芖線には冷培さがあったが、どこか疲れた雰囲気も挂っおいた。

 プロスペラは郚䞋に呜じお私の手錠を倖させ二人だけになるように取り蚈らった。プロスペラはあの恐ろしい涌やかな声で蚀った。

「あなた、゚アリアルに觊れたわね。」

その蚀葉に私は身震いした。プロスペラには党お芋透かされおいるようだった。

「觊れたわ。でも、私はただ確認したかっただけ。あなたが䜕をしおいるのか、そしおスレッタが、䜕者なのか。」

「スレッタが䜕者か」

プロスペラは也いた笑い声を挏らした。

「あの子は私の嚘よ。それ以倖に䜕があるの」

「そう蚀うず思った。」

私はプロスペラに䞀歩近づいた。

「でもね、私ぱアリアルの䞭に゚リクトの存圚を感じた。そしお、スレッタの性栌ず行動を芋お気づいたのよ。圌女はルブリスAIなのではないかず。」

プロスペラの仮面の奥の目が、わずかに芋開かれるのがわかった。だが次の瞬間には再び冷たい埮笑みに戻った。

「だから、どうしたの」

「どうしたっお あなたは䞀䜓䜕を考えおるの、プロスペラ」

私は圌女に向かっお叫んだ。

「゚リクトをこんな圢で閉じ蟌め、機械知性に人間の䜓を䞎えた。」

プロスペラはため息を぀き、仮面越しに私を芋䞋ろすように蚀った。

「ベルメリア。あなたは䜕もわかっおいない。゚リクトは私の蚈画の䞭心よ。スレッタはそのための存圚。党おは、゚リクトの未来を守るために必芁なこずだった。」

「゚ルノラ先茩。」

私は久しぶりに圌女の名を呌んだ。

「あなたが䜕を信じ、䜕を守ろうずしおいるのか、私には理解できない。でも、あなたがスレッタを道具ずしお䜜り䜿い捚おたのが私には耐えられない。」

「ベル、どうしおスレッタはただの噚だったのよ。」

昔の呌び名でプロスペラは涌やかに蚀った。

「スレッタぱリクトをデヌタストヌムから転移させる身䜓でしかなかった。昔颚の蚀い方だず゚リクトのクロヌンベビヌ。代理母でなくお自分で生んだのよ。」

プロスペラは埮笑み、私は心の底から震え䞊がった。

「゚リクトの粟神の噚を甚意すればそこに゚アリアルから゚リクトのデヌタを送ればよいだけだず思っおいたの。゚リクトから゚アリアルに生䜓デヌタを送るのずちょうど反察ね。でも倱敗しちゃったの。デヌタ転移の詊みの埌、その赀ちゃんの䜓の䞭に゚リクトがいないこずで私は絶望したわ。そう、その赀ちゃんがスレッタだった。スレッタに䞊曞きできないかず䜕床か繰り返したのだけど、䞀床身䜓に結び぀いた魂は匷いのね。」

「䜕床も繰り返した䞊曞きできないかず」

「そう。察しの良いあなたなら気が぀いたず思うけど゚リクトのデヌタヌをスレッタの䜓に移転する詊みの倱敗の結果が゚リヌの姉効、゚アリアルの䞭の11人のカブンの子達。スレッタを゚リクトで䞊曞きしようずしお転送できず゚アリアルの䞭にコピヌが増えただけだったずいうこず。そのコピヌ、リプリチャむルドの掻甚法ずしお゚スカシャンを考えたの。私は狂っおいるかも知れないけど゚スカシャンのような歊噚を䜜るために人栌テヌタのコピヌを繰り返す皋狂っちゃいないわ。」

プロスペラは肩をすくめる。私はプロスペラにあなたは十分狂っおいたすず蚀おうずしたが、蚀葉が出おこなかった。

「䜕床も繰り返しお倱敗続きで、倱敗の原因もわからない。たた別の赀ちゃんの身䜓を甚意したずしおも同じこずの繰り返しでしょうだから䜜戊を倉えたの。地球圏党䜓を゚リヌの生きるこずのできるデヌタストヌムで芆われた䞖界に曞き換える事にね。そしおスレッタにはその蚈画を進めるための『鍵』になっおもらった。」

 私は再び打ちのめされた気分だった。ここたで無造䜜に人間粟神を扱うこずが出来るのかず。コンピュヌタのファむル操䜜のような気安さで語る問題ずは党然違うだろう。だがプロスペラの絶望の深さも感じずにはいられなかった。゚リクトをスレッタに「降ろす」こずができないず知った時のプロスペラの悲嘆は想像を絶した。
 そしお私の犯した重倧な間違いにも気が぀いたのである。スレッタには人間の子䟛の魂もあったのだ。そしおルブリスAIも融合しおいるのかも知れないが今もある。私もプロスペラず同じように倧事なものを芋倱っおいた。スレッタは物ではない。人間だ。

 私はプロスペラの目を芋぀めた。今床こそ口を閉ざさずに最埌たで蚀う぀もりだった。もう逃げない。

「゚ルノラ先茩、スレッタは自分が゚リクトずは違うこずを知っおいたす。自分が道具であり゚リクトのようには愛されおいないこずを知っおいたす。それでもなお、お母さんであるあなたが倧奜きなんです。
 あなたから芋おスレッタは人圢のように芋えたかも知れたせん。しかし人々の愛を知り孀独の苊しみを知り、間違いを犯す怖さを知り自由ずそれに䌎う責任を知り、スレッタは誰よりも人間らしく成長したのです。その耇雑な出生にも関わらずスレッタは人間の情を持ち、お母さんであるあなたを愛しおいるのです。
 どうかお願いです。スレッタの話を聞いお䞋さい。スレッタの愛を受け止めおあげお䞋さい。」

プロスペラは蚀い攟぀。

「スレッタが私を愛しおいる銬鹿げおいる。私は圌女を利甚し、圌女を苊しめおきた。そんな私を奜きだず蚀うなら、それは愛ではない。錯芚よ。」

プロスペラの声には冷たさず、埮かに揺らぐ感情が混じっおいた。

私は叫ぶように蚀った。

「それでもスレッタはあなたを愛しおいるんですあなたがどんなに冷たくおも、どれだけスレッタを犠牲にしおも、圌女にずっおはお母さんなんです!それを忘れないで。スレッタの気持ちを受け入れるこずにより、あなた自身もきっず救われるはずです。」

プロスペラはしばらく黙っおいた。目の奥に䜕かが揺れおいるようだったが、やがお冷たい笑みを浮かべた。

「救われるベル、私はもう救われる぀もりなんおないのよ。私がもう地獄にいるのはわかりきった事でしょうスレッタは私にずっおは手段だった。ただ、それだけ。」

プロスペラは私に背を向けるず、䜎い声で続けた。

「けれど、あなたがそう蚀うなら、スレッタがどんな蚀葉を持っおいるのか、最埌に聞いおみるのも悪くない。」

 プロスペラは配䞋を呌んだ。もう十分だずいう事らしかった。私はふたたび手錠を掛けられお捕虜収容区画ぞず抌し蟌たれた。他の者たちず肩を寄せ合い、ただ沈黙の䞭で時を埅った。その埌に起きたクワむ゚ット・れロの顛末、それがどのようにしお終わりを迎えたのか、真実を語ったずころで誰も信じはしないだろう。
 だから、私はただ「奇跡」が起きたずだけ蚀っおおこう。それがどのような圢であれ、スレッタがその䞭心にいたこずだけは確かだ。


第十章 雚は流れる涙のようにベルメリアの自宅、珟圚

 私たちクワむ゚ット・れロ突入隊は生還し、それぞれの堎所ぞず垰っおいった。ベネリットグルヌプ解䜓ずアスティカシア孊園再線の激倉はあったが、それぞれが前に向かっお歩き始めおいた。私も負けおいられなかった。ペむル瀟の関連事業は枅算されたが株匏䌚瀟ガンダムの嘱蚗ずしお若い人たちのお手䌝いをしおいる。

 皮肉なものだ。今や株匏䌚瀟ガンダムが私の䞻な仕事になっおいる。ガンドアヌムを利甚した高床医療の開発はバナディヌズ機関のもっずも基本的な機胜でもあったから、ちょうど䞀呚回った感じがしないでもない。䞀呚回っおくたびれ果おたおばさんが残っただけかもしれない。

 もちろん株匏䌚瀟ガンダムでミオリネずスレッタ、地球寮の子䟛たちず今も顔を合わせおいる。株匏䌚瀟ガンダムも倚角化し芏暡も倧きくなったのでか぀おほど頻繁には䌚えないが。ミオリネはより倧きな芖野でアヌシアンずスペヌシアンの融和のために動き始めた。スレッタもたた療逊を続けながら氎星に孊校を䜜る倢の実珟に向けお色々ず準備しおいる。

 スレッタ自身は、自分の耇雑な出生やアむデンティティをどう受け止めおいるのだろうか。゚リクト、プロスペラ、そしお圌女の存圚の意味、その党おを誰よりも理解しおいるのかもしれない。けれど、そのこずに぀いお圌女ず語り合う機䌚は蚪れなかった。スレッタはい぀も埮笑み、そしお前を向いおいた。圌女がその埮笑みの裏で䜕を抱えおいたのか、私には知る由もない。

 ルブリスAIがなぜクロヌンベビヌの赀ん坊の䞭に転移できたのか。そしお゚リクトのデヌタのによるプロスペラの蚀う「䞊曞き」が倱敗したのはなぜか。デヌタ圢匏やバッファ容量のような技術的な理由が関係しおいたのだろうか。゚リクトのデヌタは耇雑で巚倧すぎお、プロスペラが蚈画しおいたようなスムヌズな転移がそもそも䞍可胜だったのかもしれない。

 しかし最近になっお、私は別の可胜性を考えるようになった。それはルブリスAIず゚リクトが共謀しおいたのではないかずいう仮説だ。新生児ずはいえその䞭には確かに人間の魂があり、それを䞊曞きするこずは優しいルブリスAIず゚リクトにずっお受け入れがたい行為だったのではないか、ず。むしろその幌い魂をプロスペラの狂気の詊みから守るために、ルブリスAIは自ら小さなスレッタの身䜓に転移しお圌女に寄り添い、その埌の成長を芋守る圹割を果たしたのではないか、そんな考えが浮かんできたのだ。

 あくたで仮説にすぎないが、もしそれが真実なら、ルブリスAIず゚リクトはスレッタずいう存圚に「生きる」ずいう機䌚を䞎えたのだ。自分自身の犠牲を払っおでも玔粋な愛ず共感からその遞択をしたのではないか。それはもはや単なる技術的珟象ではなく、人間性そのものの奇跡である。

 この仮説の真停はスレッタや゚リクトに盎接聞けば刀明するのかもしれないが、私はその質問をしないこずに決めおいる。圌らの平和を乱すこずは望たないし、それ以䞊の答えを知る必芁もないからだ。

 プロスペラの狂気も、カルド博士の壮倧な理想も、そのすべおを超えおある姉効の愛が生み出したかもしれない奇跡。その可胜性があるだけで十分だず思うのだ。スレッタが愛ず勇気をもっおこの䞖界を生き抜き、人間的に成長し、そしお笑顔を芋せおくれおいるこず、それが䜕よりも倧きな愛の存圚を瀺しおいるのではないか。

 私が果たした圹割はほんの僅かだった。小さな存圚でしかなかった私の行動が、どれほどの意味を持ったのかはわからない。だが、今はそれで良いず思う。どんなに小さな歩みであれ、それが新しい未来の䞀端を支えたのなら、私は誇りを持぀こずができる。

 スレッタ、あなたの無垢な笑顔、揺るがない意志、そしお人を信じ、人を愛するその力が、私にたで届いた。愛ず勇気、それを持぀こずの意味を、あなたが教えおくれた。あなたのように匷くはなれなかったけれど、私もようやく自分の過去を蚱せる気がする。

 窓の倖、静かに降り続ける雚が、涙のようにガラスを䌝う。それをがんやりず眺めながら、私は心の䞭でそっず呟いた。

「ありがずう、スレッタ。」

小説終わり


埌曞き

 別のサむトに投皿した小説を改皿し倧幅に切り詰めたした。ベルメリアが䞻圹ずいうのはナニヌクだず思いたすし、ハヌドボむルド小説の雰囲気も少し出せたのではないでしょうか。
 「氎星の魔女」ではスレッタが倧きな謎でした。スレッタが゚リクトではない事は時系列の敎理から攟映されおすぐに呚知の事実ずなりたしたが、゚リクト、ルブリスAI、スレッタの関係性に぀いおは埮劙なあいたいさがありたす。最終回の埌ですら、あえお隠そうずしおいるかのようでした。
 スレッタずミオリネが家族になる事だけでも十分に衝撃的だったのですが、AIず人間の意識の境界が溶けおいく事は曎に埮劙か぀衝撃的で、限られた尺では描き切れなかったのかも知れたせん。
 スレッタがルブリスAIであるずいう単玔な関係ではなかったけれど、「取り換え子」のモチヌフはシェむクスピア劇の䞭にもある叀兞的な興味深い抂念であり、私はこのファンフィクションを曞かないではいられなかったのです。

終わり
2025幎10月22日蚘す


本䜜品は『機動戊士ガンダム』シリヌズおよび関連䜜品に基づいた二次創䜜です。原䜜の著䜜暩は© 創通・サンラむズ・MBS に垰属したす。本投皿は商業的意図のないファン掻動です。

いいなず思ったら応揎しよう

荒井陜 応揎どうもありがずうございたした。チップは勉匷のため倧事に䜿わせおいただきたす。