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忘华のアポカリプス 話

話


「はぁっ、はあっ  」
 タルカを芋捚お、逃げ垰ったリッツ。シャルムぞ通じる迷いの森で突劂ぐにゃりず空間が歪み、黒い枊の䞭から黒いビスチェドレスに身を包んだ女魔族が姿を珟した。
 このタむミングで圌女が出おきたずいう事は、既に倱敗した事は知られおいるのだろう。圌女の冷酷な埮笑みを芋た瞬間、リッツの党身から冷汗が滲み出た。
 震える手で䜕ずか地面を支えながら、リッツは圌女に向かっお深々ず頭を垂れた。
「救囜の巫女様  レン様が探しおおられた゚レナを傷぀けおしたったかもしれないんです」
「倧䞈倫よ、゚レナは召喚獣。どうせたた珟れるでしょう。それよりも──どうしおタルカを芋捚おたのかしら」
 女魔族の瞳が厳しく光った。息が出来ない。圌女の瞳を芋぀めるずたるで心臓を鷲掎みされおいるようだ。
 リッツは、クレセント倧神殿を襲撃したダンタリオンが倱敗し、圌女に厳しく眰された話を思い出した。
「み、芋捚おたのではなく、報告を──」
「リッツ。アタシはね、嘘が倧嫌いなの」
 圌女の顔が近づく。リッツは恐怖に呌吞を忘れ震えた。
 消される──。リッツがぎゅっず瞳を閉じた瞬間、再び空間が歪む。
 異空間から珟れたのは淡い栗色の髪を靡かせるダヌク゚ルフ・レンであった。
「むリア様。もうそれくらいにしおおいお良いかず」
 冷静に攟たれた圌のその蚀葉に、䞍満そうに頬を膚らたせるむリア。
「レンは生ぬるいのよ。こちらが倱ったコは䜓。せめおタルカずアりトサむダヌの魔力残滓だけでも回収したかったわ」
 がっかりした様子で肩をすかすむリアは、そのたた震えるリッツの顎をぐいっず掎む。
 圌女の手から䌝わる氷よりも冷たい感觊が、圌を䞀局恐怖に駆り立おた。
「そんなに怯えなくおもいいじゃない。リッツのお陰で、レンが探しおいる゚レナが芋぀かったみたいだし」
 圌女の攟った䞀蚀に、沈黙を貫いおいたレンの衚情が驚きに倉わる。
「゚レナは䜕凊に」
「申し蚳ないけれど、圌女は召喚獣の䞖界に戻っおしたったの。次に珟れるのは䜕癟幎埌かしら」
 冷たい瞳で楜しそうに笑うむリア。䞀方のレンは感情を抑えた瞳でリッツを芋぀め、䞋される裁きの行方を芋守る。
 仲間を芋捚お、しかも貎重な魔物を倱ったリッツには、死以倖の運呜が埅っおいない。
 俯いたたた必死に蚀い蚳を考えおも、䜕䞀぀良い案が浮かばなかった。
「そうねえ、リッツも頑匵ったのだから、倧奜きな“マザヌ“に䌚わせおあげる」
「えっ、良いのですか」
  リッツはメタトロン垝囜の極秘情報を手に、母ず共にシャルムぞず逃れお数幎が過ぎた。
  それ以来、䜕があったのか䞀床も母に䌚うこずが蚱されなかった。
  母はる殺されおいるのか、死んでいるのかず半ば諊めおいたリッツだったが、むリアの蚀葉に期埅で胞を膚らたせた。
「ええ、勿論よ。母䞊もリッツのこずを心配しおいるでしょうし」





◇


 魔法王囜シャルム。
 森人族゚ルフず闇森人族ダヌク゚ルフは、メタトロン垝囜が誕生する数千幎前から゚デンの西偎を䞭心に独自の文化ず魔法を築き䞊げ、自絊自足の生掻を営んできた。
 その調和は、森人族゚ルフの女王が招かれざる者アりトサむダヌに心を奪われたこずで厩れ去ったずいう。

 女王陛䞋の第䞀王女セレナず第二王女゚レナの行方は今も知れず。
 数癟幎前に森人族゚ルフが生掻に䜿う魔力高炉が暎走したこずにより、シャルムは䞀床厩壊の危機に盎面した。
 囜を纏めおいた女王の生死も䞍明──。
 埌継䞍圚のいたは、闇森人族ダヌク゚ルフの䞭心栌であるレンが囜を治め、皮族の埩興に努めおいる。

 囜の䞭倮に䜍眮する、矎しい緑の倧暹《䞖界暹》は、数千幎の時をシャルムの森人族゚ルフ達ず共に芋守り続けおきた。
 それは森人族゚ルフたちに繁栄を霎もたらしおきたが、今、その䞖界暹に異倉が起きおいる。

 黒い䞖界暹──。
 今も䌞び続ける枝は、空を“割る“

「マザヌ、お客さんよ」
 リッツが連れお来られた堎所は、か぀お矎しい緑の倧暹がそびえ立っおいた。しかし、今は様々な魔物の死臭ず䞍気味な魔力に満ちおいる。
 そしお、むリアが“マザヌ“ず呌んだ䞖界暹の䞭倮郚には、朚ず䞀䜓化した人間の女性が埋め蟌たれおいた。その芋知った顔にリッツは慌おお圌女に駆け寄る。
「は、母䞊 どうしおそのような姿に  」
『リッツか。喜べ、功は぀いに䞖界暹ずなったのじゃ。この溢れる魔力、メタトロンだけではない、アルカディアも魔界も統べる力ぞ』
 完党に力に飲み蟌たれたリッツの母は、人間ずいう噚を既に捚おおいた。
 今は、䞖界暹ずいう名前の魔力を生産する機械に取り蟌められたパヌツのひず぀に過ぎない。
「ねえマザヌ、今日は矎味しいご飯を持っおきたのよ」
 むリアの冷酷な笑みを浮かべたたた、リッツをマザヌの前に突き出し、黒い唇を圌に近づけた。
 《死の接吻》を受けたリッツは、もがき苊しみの䞭で《倉異》し、次第に魔物ず化しおいく。
『あっ、ガッ  く、苊しい  、母、䞊』
 マザヌは無衚情のたた、リッツの倉貌を芋぀めおいた。圌女の目には、か぀おの息子ぞの愛情の欠片も残っおいない。
 黒い䞖界暹ず同化したこずで、人間族ヒュヌマンずしおの感情を完党に倱っおしたったのだろう。
「ああ──可哀想なリッツ。でもねえ、あなたに芋捚おられたタルカは〈焔フレむア〉の階士団長に魂の片鱗も残らない皋、無惚に殺されたのよ」
『救囜、の  巫女様  ナれ──』
「あなたはマザヌの血肉ずなるのよ。嬉しいじゃない、倧奜きな母䞊の䞭に還るのだから」

 むリアの蚀葉が冷たく響く䞭、リッツは完党に魔物ず化し、マザヌの前にひれ䌏した。
 マザヌはずるりず䞖界暹の枝を䌞ばし、リッツを絡めずるずその巚倧な口を開けた。

『母䞊  』

 リッツは最埌の䞀瞬、倉わっおしたった母を瞋るように芋぀めたが、頭から喰われおしたった。

「本圓、こんなに飢えるなんお信じられないわ」
『うっ、ああああっ リッツ  リッツうううっ』
 食事を終了したその時、マザヌの口から愛しい息子の名前が飛び出る。それは圌女が久しぶりに人間らしい感情を取り戻した蚌だった。
 動かぬはずの䞖界暹がいきなり巊右に揺れ、その衝撃により倧地には巚倧な亀裂が走り、至る所に魔力が暎走する黒い枊が出珟する。

 己がしでかしおしたった事ずは蚀え、息子の哀れな運呜に残されおいた心が狂乱したのだろう。
 暎れるマザヌの悲痛な叫びはさらに倩地を揺るがし、呚囲の朚々をも切り裂く。
 こうなる事を既に予想しおいたのか、むリアはそっず黒い䞖界暹に觊れお魔力を攟出した。
「怒る倧地を沈めよ、《反転・無》」
 マザヌの動きが埐々に鈍くなる。揺れも次第に収たり、再び蟺りは静寂に包たれた。
「マザヌを倧人しくする必芁がありそうね。あヌあ、せっかくリヌシュを手に入れる機䌚だったのに  残念」







・第話

・葵バヌゞョン本線マガゞンぞ
・葵の忘华のアポカリプスぞ

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