重要鉱物政策の“答え合わせ”は、ライナスの決算に出ていた― 日本の戦略は、数字でどう示されたか ―
日本の重要政策として「重要鉱物」を取り上げました。
半導体やAIの話は華やかですが、
そのさらに上流にあるのが鉱物です。
そして偶然にも、オーストラリアのレアアース企業
Lynas Rare Earths Ltd の最新決算が発表されました。
日本の重要鉱物政策の“途中経過報告”と見ると面白い見方ができると思います。

2026年決算の中身(具体的な数字)
2026年2月発表の半期決算(2025年12月期中間)では、
純利益:約8,020万豪ドル
前年同期:約590万豪ドル
前年比で約13倍超の増益
過去3年で最も高い半期利益水準
という結果でした。
さらに四半期ベースでは、
第2四半期売上:前年比約43%増
NdPr(ネオジム・プラセオジム)価格の上昇が主因
価格は一時1kgあたりA$110を超える水準
という報道も出ています。
ここが重要です。
生産量は必ずしも大幅増ではありません。
一部では、
豪州カルグーリー拠点の電力供給課題
設備立ち上げコスト
重希土類処理能力拡張の負担
といった運営上の課題も抱えています。
それでも利益が大幅改善した。
つまり、
今回の好調は「価格と戦略的価値」の上昇が主因
という構造です。
なぜ価格が上がっているのか
背景は明確です。
米中対立
中国によるレアアース輸出管理強化
西側諸国の供給網再構築
米国による価格フロア政策
レアアースはもはや“商品”ではありません。
戦略物資です。
2010年の衝撃から始まった話
2010年、
中華人民共和国 がレアアースの対日輸出を事実上停止しました。
当時、日本は約9割を中国依存。
この出来事で、日本は方針転換します。
「安いこと」より「止まらないこと」
その中核にいたのが
JOGMEC。
資金支援、長期オフテイク契約。
ライナスは“市場任せ”で育った企業ではなく、
日本の資源安全保障政策の一部として支えられた企業です。
日豪関係の延長線上にある企業
1957年の
日豪通商協定 以来、
豪州=資源供給
日本=加工・製造
という補完関係は続いています。
鉄鉱石、石炭、LNG。
そして今はレアアース。
今回の決算は、
日豪経済安全保障連携が、数字として実り始めている
とも読めます。
政策は機能しているのか?
少なくとも言えることは、
2010年当時より、日本ははるかに準備されている。
豪州供給網
米豪日連携
非中国サプライチェーンの形成
今回の利益改善は、
単なる市況循環ではなく、
「非中国ルート」にプレミアムが乗っている
という市場の評価でもあります。
ただし、リスクもある
冷静に見ると、
価格主導型の利益
設備投資負担
電力供給問題
資源価格の循環性
という課題は残ります。
資源株の本質は循環。
しかしライナスにはもう一つの軸があります。
地政学プレミアムです。
重要鉱物は“地味だが最上流”
AIも半導体も、
その上流にあるのが鉱物。
ここが止まれば、すべて止まります。
昨日の記事が「戦略宣言」なら、
今日の記事は「決算による途中確認」です。
企業を見るとき、私は数字の裏にある構造を見るようにしています。
今回のライナス決算は、
日本の重要鉱物政策は、少なくとも方向性としては正しかった
その一つの裏付けに見えました。
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