一輪挿しの花【青ブラ文学部】掌編
山根 あきらさん、今回も素敵なお題を
ありがとうございます☺️
#青ブラ文学部 #一輪挿しの花
私は昔、生け花を習っていました。
花言葉も好きなので、今回はハートフルなお話にしてみました🌷✨
『一輪挿しの花』
俺は日奈子と同棲して五年になる。
今さらプロポーズなんてタイミングを逃しすぎて気まずい。
でも、どうしてもちゃんと伝えたかった。
小学校の理科の時間、先生がふとした雑談で言った言葉が、今でも頭に残っている。
「一輪挿しの花って、みなさん知っていますか?
口の小さな花瓶に、たった一輪しか飾れないんです。
みなさんは、一輪だけ花が選べるとしたら、なんの花を選びますか?
その一輪には、嘘偽りのない自分のまっすぐな心が映っていると思いますよ」
あの時、子供ながらわけもなく感動した。
だから今回、その先生の言葉を借りることにした。
100均で買った、なんの変哲もない小さな花瓶。
そこに一本だけ、ピンクのチューリップを挿した。
テーブルの真ん中に、そっと置いておいた。
仕事から帰ってきた日奈子が、すぐに気づいた。
「何これ?」
「俺だけど」
「柄にもないことして笑えるー。でも、チューリップ可愛いから許す。お花があるっていいよね、ありがとう」
「明日休みだし、久しぶりに上手いもんでも食べに行こ。俺が予約しとくから」
「あ、うん、いいよ」
翌朝、目が覚めると隣に日奈子の姿がない。
台所に行くと、朝の光の中で肩を震わせて立っていた。
「おはよう」
声をかけると、日奈子は振り向いて泣きながら抱きついてきた。
左手の薬指に、リングが光ってる。
「ずるいよ……」
「朝起きて、テーブルのチューリップ見たら、花が開いてて……
真ん中に何か光るものが入ってて……
こんなとこに指輪隠すなんて、ずるすぎるよ。らしくない……」
声が震えながらも、俺の胸に顔を埋めて小さく笑ってる。
「けど、すごく嬉しい……ありがとう」
「今更だけど、返事聞かせてくれる?」
日奈子は朝露みたいにキラキラした目で俺を見つめた。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
この時、俺は人生で初めて「恩師」と呼べる人に出会った。
先生、ありがとよ。
※ピンクチューリップの花言葉には諸説あります。
一輪のピンクチューリップには、
「誠実な愛」
「あなたが運命の人です」
という意味が込められると言われています。🌷✽.。.:*・゚
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