旧憲法と新憲法をまるごと置き換えることはできないよ、というお話
*100円ついていますが全文無料で読めます。
改憲ってどういうときに可能になるの?
今回の選挙では参政党がアグレッシブな憲法案を打ち出したことで俄かに憲法への関心が高まったように思います。
ただ、憲法案というのはどこの政党のものも「あんなこといいな、できたらいいな」みたいな夢を描いただけのものです。過去には自民党もなかなかアグレッシブな改憲案を打ち出していますが、長きに亘る自民党政権下にあってなおその通りになっていません。
なぜなら、与党になったからといって憲法を変える権限は持たないから。
今回の選挙で、「改憲の発議」が出た途端に平和な日本が崩壊していくようなイメージを持っている人は少なくないのだなと思いました。
まず、憲法とは特定の候補者や政党が選挙で選ばれたからといって、その政党の希望通りに変えられてしまうような性質のものではありません。
何段階もの手順をすべてクリアしないと憲法を変えることはできないのですが、「発議されたら終わり」のような脅し方をする候補者や政党、支持者が散見されるなぁと思います。特に今回はまるっきりの嘘すらザラで、責任の所在が明らかになりにくい一般支持者のそれはなかなかに過激でした。
嘘に不安にさせられるのはよくない。
具体的にはどういう手順が必要?
憲法なんて縁遠い感じがしますが、実は誰でも今すぐ無料で読めます。
法律よりも上でどういうことが定められているか、知っておくべきことがたくさん載っています。とはいっても巨大フォントの文庫本でせいぜい50ページ。
いろんな人が嘘を言ったり盛ったり思い込んでいたりするこのSNS社会にあって、知っていたら振り回されずに済むことはとても多いです。
改憲手続き、具体的にはこんな感じ。
1:国会議員が改憲案を提出 (←これを発議だと思っている人は多い)
2:憲法審査会で審議・議論
3:衆議院で審議・採決 → 賛成2/3以上
4:参議院で審議・採決 → 賛成2/3以上
5:国会が改憲の発議を行う (←ここでやっと『発議』)
6:国民投票の実施 → 賛成1/2以上
7:憲法改正が成立
これを全部クリアしてやっと改正に至るんですが、それで改正可能なのは1つの改正案、目的とする条文とそれが矛盾しないための関連条文だけです。
これまでの憲法と新たに作成された憲法案をまるごと置き換えることはできません。←ココ!
大日本国憲法(旧憲法)が現日本国憲法にまるっと置き換えられたような雰囲気なのでそういうイメージなのかなと思うのですが、それはできません。
このようにひとつずつ順序立てて考えていくと、例えばよく言われる徴兵制がいかに無理ゲーかよく分かると思います。
「可能性はゼロではない」という隘路を分け入ろうとすることはあまりに思考実験的というか結論ありきで、それこそが机上の空論であり建設的ではないです。
国民投票法ができたときのお話
憲法と法律で喰い違っていることが実はちらほらあって(憲法が上です)、そのうちのひとつが「憲法が憲法改正を認めているのに、その条件である国民投票をするための法律がない」ということでした。
これを是正すべく国民投票法改定案が提出され、憲法改正の手続きを定めた国民投票法が2007年に成立、それを受けて憲法審査会が衆参両院にそれぞれ設置されました。
この際、共産党が「改憲を進めさせないため、国民投票法の整備を進めること自体を阻止すべき」として、投票制度を作らせてはならないという立場を取りました。
ルートを塞ぐ手としてはまぁ確かに確実なのですが、憲法が憲法改正を認めているにもかかわらず法整備を阻止し、事実上不可のままにせよというのは強権的であり民主主義に反することになります。
憲法はみんなで守るべき共通のルールとしていちばん上にあります。
憲法が定めていることを、法整備させないことで不可能にさせるというのは独裁のやり方なのですが、戦争させないためなら独裁であっていいのかという問いへの答えは、独裁を強く批判する人たちからも往々にして是とされ、大きな矛盾を抱えることとなっています。
『健全な民主主義が立ちゆくには条件がある』
この先に『健全な民主主義が立ちゆくには条件がある』ということを書いていたのですが、長くなったので分けることにしました。
この次にあらためて書くので、また読んでいただけるとうれしいです。
項目1つ分ですからとても短く、さくっと読めると思います。
追記:書きました。
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